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ミステリアス・セッティング



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ミステリアス・セッティングの評価: 3.73/5点 レビュー 15件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.73pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全8件 1~8 1/1ページ
No.8:
(4pt)

阿部に似合わぬファンタジックでフェミニンな作風

暴力やエログロ、自己陶酔、分裂症などといったテーマが多かった阿部和重の著作の中で本作は異質と思っていました。が、ピストルズの登場によって腑に落ちました。こういうファンタジックな作風もありなのだと。
 本作はケータイ小説でリリースされた作品の書籍化とのことです。若い女性をターゲットにしているそうで、地の文は短く、改行と会話が多めになっています。そのため阿部独特の文体が消え、読みやすいです。プロット上、阿部お気に入りのモチーフも登場しますので、成人男性が純文学作品として読んでも十分楽しめます。
ミステリアスセッティングAmazon書評・レビュー:ミステリアスセッティングより
4022502444
No.7:
(5pt)

我々にも

シオリの一連の物語はすべてよく分からん謎の爺さんが公園で語ったものだ。
自分にも相手にも裏切られ散々な目に遭わされても最後の最後には
自分自身を信じることができた女の子がいたのだ。
そしてその信じる想いが人知れず世界をも救ったのだ。
そんな事が昔あったんだと。

読後、物語の世界が現実に入り込む。もしかしたら物語の中だけではなく
我々の世界もそういう誰かの信じ願う気持ちで
今日が成り立っているのではないか。ギリギリで危ない所を
助けてもらっているのではないか。だから私達もどこかの誰かに感謝して
同じように信じるその想いを今一度考えてみるべきではないか。
CMでいうジョージアの仕事論、アニメでいうまどかマギカの世界だ。

どうだろう?そんなシオリの物語をあなたは信じることができるだろうか?
信じる事への問いは他ならぬ我々に突きつけられている。
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4022502444
No.6:
(4pt)

軽くて可愛い

ケータイ小説、ということを読み終えてから聞いて納得。
話のテンポは軽く、女の子が好きそうな、可愛い内容。
途中、シリアス?な面も出てはくるものの、それも軽い。
サクサク読めるので、読後感は薄いかも。
しかし、だからと言ってこの小説が低レベルかというと、決してそうではない。
わりと面白かったのです。女の子の不幸な?顛末。
その不幸とされていることは、自分にも当てはまっていたりして。。。
例えば、大声で歌いたい(自分の理想をかなえたい)けど、それが他人には迷惑をかけていたり。
それが故に、自分の中で封印せざるをえなくなってしまったり。
ま、この小説は、あまり難しく考えず、パッと読んでクスリと笑って、それで十分じゃないですか?
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4022502444
No.5:
(5pt)

寓話

 人が良すぎるが故に傷ついていく少女の物語。そう一言で言ってしまえば簡単なのだが、感傷的な話にとどまることなく、それ以上の深みを提供してくれる作者には感服する。僕はこの作品から、人を信じるという事の表裏を感ずる事ができた。全年代に読んでもらいたいと思える、寓話的な魅力がいっぱいつまった作品でした。
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4022502444
No.4:
(5pt)

ケータイで読みたかった!

 ケータイを使いこなすことができず、ケータイに振りまわされている自分としては、ケータイ小説というものが信じられなかったのだが、まさか阿部和重がケータイ小説を書くとは……ケータイで読むべきだった!あの小さな画面で無限のスクロールを重ねれば、もっとあのスリリングな展開を味わえたのに!
 もちろん女の子を主人公にしたストーリーはいつもながらにばかばかしく(もちろん褒め言葉。もっとも男の子が主人公のほうがいっそうばかばかしくて涙ぐましいけど)、主人公シオリのうっとおしいまでにピュアなキャラも、妹ノゾミとの淫靡な関係性も十分におもしろく、ここちよく読むうちに、加速度的に悲惨な運命に突き進んで行くところは阿部節全開。暗闇を駆け抜けるタイプのジェットコースターに乗ったみたいに、地方都市から東京へ、東京タワーの展望台から都内の地下鉄で二番目に深い所にあると言われている千代田線国会議事堂前駅の地下ホームへと、左右上下に振りまわされ、気がつくと減速した車両は明るい出口へ。はい、物語はおしまいです。
 電車が駅に着いてしまったり、充電が切れたり、接続がうまく行かなかったり……という状況でケータイに振りまわされつつ読みたかったかも……と思いながら、最後まで指でページをめくり続けてしまった。
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4022502444
No.3:
(5pt)

これまでの著作に比べると「女子向け」

阿部和重さんがはじめて女の子が主人公の小説を書きました。
彼女は吟遊詩人を夢見る、
動物が大好きな純粋無垢な女の子。
この作品の存在は、
女性の阿部和重ファンにとってはとても嬉しいはず!
これまでとは比べ物にならないほど「女子向き」です
そのせいか、
今までの阿部作品にはない繊細さと優しさがありました。
主人公のシオリはどんなに過酷な状況に置かれても、
決して人を恨むということをしない。
むしろそういった発想を持たない。
彼女が悲しい思いをしてしまうのは、
純粋さ故に人を信じすぎて、人に利用されてしまうから。
汚れのなさが自らを不幸へ追い込んでしまう・・・。
最後の彼女の選択は本当に彼女らしすぎて呆れちゃうほどだけど、
でも私はこんな生き方しかできなかったバカなシオリが大好きです。
後半はスーツケース爆弾なんて物騒なものが彼女を翻弄し、
どんどん破滅へと向かっていくのだけれど、
ラストは穏やかで美しかったなぁ
シオリの悲痛だけど優しい泣き声が耳に届いてきそうで・・・。
ただし、ちょっと気になったのは
他の阿部作品より明らかに「読みやすい」こと。
大爆笑とはいかないけれど、
読者が思わずニヤリと薄い笑みをこぼしてしまうような
独特の堅苦しい言い回しが今回はあまり感じられない。
主人公が純真無垢な少女だから
あえて堅苦しさのない書き方をしたのかもしれない。
作品の世界観を考えればこれで正解なのかもしれないけど、
コアな阿部ファンとしては少し物足りなさも感じました。
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4022502444
No.2:
(5pt)

大きな世界観

敬愛する作家の最新作。本書も物語としても良質であります。日常の生活感から物語は広がり、やがて大きな世界へと繋がっていく。本書の主人公のシオリとその大きな世界との繋がりは誰も知らない。結果をしったストーリテラーが独りいるだけだ。しかしながら本書のシオリの日常の描写はつらさ、悲しさが切実にせまってくる。後半の物語とのギャップが凄い。日常から、非日常。日常の感覚は我々も生活しているので本当にこんなことがあったら辛いだろうなーという感覚を共有できるが、後半の世界観はまるで棒高跳びで日常を超えてきた感覚に襲われる。しかしながらその感覚は「無理だろ」というものではなく、「しっくり」くるものである。破綻していないのである。その大きな世界観は彼独特のものである。他のレビューでもあったが、本書は凄く「読みやすい」。その分だけ彼の世界観を知りたい人の「入門書」となりえる書であると思う。今日は山形県天童市でサイン会。あー楽しみ。
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4022502444
No.1:
(4pt)

世界の片隅で騙る?

異様な音痴であるということに内向し、まるで『白痴』のムイシュキンのように他人を信じて止まないために騙されて金をせびられてしまう主人公の少女は、やがて世間の底辺に近いところを這い回るように生活する。そして、ある出会いの過程で世界の明日を左右する「危険物」を持たされてしまう。その処理をどうするか? これらは、とある公園でのとある老人の語るお話と言う設定であり、語りは騙りに通じる入れ子の構造になっている。しかも、これらはメールによってその少女から、少年だった老人に伝えられるという結構。
限りなく閉じてゆく世界で少女が最終的に自ら選び取ったのは、自己犠牲による世界の救済である。この物語から何を読み取るかは各人に任されているのは当然のこと。緩い文体が、後半から意外な迫真力を帯びだして一気に読ませる。『シンセミア』では、前半の物語の大きさが次第に力を失って通俗に走っていたのとは違い、この作品では小さなトラウマ物が巨きな問いを投げかけているように思った。これは世界の片隅で世界の為に戦う少女の物語(騙り)。
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4022502444

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