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4.37/5点 レビュー 119件。 B ランク

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全352件 301〜320 16/18ページ
No.52
(5pt)

ラブミステリー!

 第114回直木賞受賞作品。 世間が浅間山荘事件に釘付けとなっていたその時に、同じ軽井沢で一人の女子大生が殺人事件を起こす。しかし、普通に考えた場合に彼女が殺したであろう人間と実際の被害者は違っていた。 彼女がなぜ実際の被害者に殺意を抱いたのかということについての真相は現在に至るまで闇の中であった… この事件は浅間山荘事件の陰に隠れてしまったが、女子大生が殺意を抱くようになった真相の奥深くには複雑で自由奔放な『恋』が絡んでいた… 一人の女子大生がいかにして殺人者となったのか。彼女を取り巻く環境の変化から、心の変化まで余すところなく綴る。 題名が『恋』だけに恋愛小説という第一印象を持ったが、実はミステリーの要素も多分に含んだ“ラブミステリー”ともいえる作品だと思います。 ソレデハ…
恋 (ハヤカワ・ミステリワールド) Amazon書評・レビュー: 恋 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152079630
No.51
(5pt)

ラブミステリー!

 第114回直木賞受賞作品。 世間が浅間山荘事件に釘付けとなっていたその時に、同じ軽井沢で一人の女子大生が殺人事件を起こす。しかし、普通に考えた場合に彼女が殺したであろう人間と実際の被害者は違っていた。 彼女がなぜ実際の被害者に殺意を抱いたのかということについての真相は現在に至るまで闇の中であった… この事件は浅間山荘事件の陰に隠れてしまったが、女子大生が殺意を抱くようになった真相の奥深くには複雑で自由奔放な『恋』が絡んでいた… 一人の女子大生がいかにして殺人者となったのか。彼女を取り巻く環境の変化から、心の変化まで余すところなく綴る。 題名が『恋』だけに恋愛小説という第一印象を持ったが、実はミステリーの要素も多分に含んだ“ラブミステリー”ともいえる作品だと思います。 ソレデハ…
恋 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 恋 (ハヤカワ文庫JA)より
4150306133
No.50
(5pt)

ラブミステリー!

 第114回直木賞受賞作品。 世間が浅間山荘事件に釘付けとなっていたその時に、同じ軽井沢で一人の女子大生が殺人事件を起こす。しかし、普通に考えた場合に彼女が殺したであろう人間と実際の被害者は違っていた。 彼女がなぜ実際の被害者に殺意を抱いたのかということについての真相は現在に至るまで闇の中であった… この事件は浅間山荘事件の陰に隠れてしまったが、女子大生が殺意を抱くようになった真相の奥深くには複雑で自由奔放な『恋』が絡んでいた… 一人の女子大生がいかにして殺人者となったのか。彼女を取り巻く環境の変化から、心の変化まで余すところなく綴る。 題名が『恋』だけに恋愛小説という第一印象を持ったが、実はミステリーの要素も多分に含んだ“ラブミステリー”ともいえる作品だと思います。 ソレデハ…
恋 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.49
(5pt)

少女はいったい誰に恋をしたのか

学生運動をさめた眼でみる1人の女子大生と,贅沢や奔放という世界に生きる1組の夫婦の奇妙な結びつきがやや現実離れしている気がするが,女子大生の心の変化は実にリアルで理解に及ぶため,何の迷いもなく物語の中に足を踏み入れられる。官能小説と言われているが決して肉体的な感覚ではなく,無垢な女子大生が踏み入れた片瀬夫婦との現実から逃避したような倒錯,甘美な世界が官能的な世界というべきであろう。物語と平行して進行する浅間山荘事件が官能や虚無感をよりリアルに写す。物語への導入方法,壮絶な終演,その後の長い沈黙の人生,そしてクライマックス。悲劇の主人公だと思っていた布美子に安らぎを感じながら本を閉じた。この本から小池真理子ワールドに足を踏み入れさせられたと言ってもいい。
恋 (ハヤカワ・ミステリワールド) Amazon書評・レビュー: 恋 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152079630
No.48
(5pt)

少女はいったい誰に恋をしたのか

学生運動をさめた眼でみる1人の女子大生と,贅沢や奔放という世界に生きる1組の夫婦の奇妙な結びつきがやや現実離れしている気がするが,女子大生の心の変化は実にリアルで理解に及ぶため,何の迷いもなく物語の中に足を踏み入れられる。官能小説と言われているが決して肉体的な感覚ではなく,無垢な女子大生が踏み入れた片瀬夫婦との現実から逃避したような倒錯,甘美な世界が官能的な世界というべきであろう。物語と平行して進行する浅間山荘事件が官能や虚無感をよりリアルに写す。物語への導入方法,壮絶な終演,その後の長い沈黙の人生,そしてクライマックス。悲劇の主人公だと思っていた布美子に安らぎを感じながら本を閉じた。この本から小池真理子ワールドに足を踏み入れさせられたと言ってもいい。
恋 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 恋 (ハヤカワ文庫JA)より
4150306133
No.47
(5pt)

少女はいったい誰に恋をしたのか

学生運動をさめた眼でみる1人の女子大生と,贅沢や奔放という世界に生きる1組の夫婦の奇妙な結びつきがやや現実離れしている気がするが,女子大生の心の変化は実にリアルで理解に及ぶため,何の迷いもなく物語の中に足を踏み入れられる。官能小説と言われているが決して肉体的な感覚ではなく,無垢な女子大生が踏み入れた片瀬夫婦との現実から逃避したような倒錯,甘美な世界が官能的な世界というべきであろう。物語と平行して進行する浅間山荘事件が官能や虚無感をよりリアルに写す。物語への導入方法,壮絶な終演,その後の長い沈黙の人生,そしてクライマックス。悲劇の主人公だと思っていた布美子に安らぎを感じながら本を閉じた。この本から小池真理子ワールドに足を踏み入れさせられたと言ってもいい。
恋 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.46
(5pt)

小池真理子に出会えたよろこび

この小説には3人の主人公がいる。大学の英文科の助教授「片瀬信太郎」とその妻「雛子」、そして夫婦と親しくしている女子学生「矢野布美子」である。舞台は1970年代初頭――学園紛争が終焉に向かいはじめた時期である。布美子も時代の波と無関係ではいられず、全共闘の活動家である恋人とアパートで暮らしたりする。しかし、片瀬夫妻との出会いが彼女の生活を一変させた。それは3人を取り巻く激しい時代をも意識の外側に追いやってしまうほどの、個人的で甘く濃密な世界のはじまりだった。前半の山場は3人が軽井沢の別荘で過ごした2週間の夏の情景に集約される。ふりそそぐ陽光、その下で同等に生きる植物、野鳥、昆虫、人間たち・・・。森の中でブルーベリーを摘み、ベランダで昼間からビールを飲み、食べては喋り、喋っては笑う。夜はワイン、読書、音楽、抱擁、接吻・・・。セックスに至るまでのなにげない会話、取り交わされる視線、さりげない触れ合い、そんなものがくり返しくり返しふわりと美しい筆致で描かれている。まるで英国映画のワンシーンを見ているような軽井沢の美しい風景は、これが永遠に続くはずはないと読者に思わせるにはじゅうぶんで、読んでいくうちにかえって不吉な予感に胸がしめつけられてくるような気がする。そして現実に、早すぎる崩壊がやってくる。出会いの不思議さ、人間関係の玄妙さ、運命の暗い存在感、そんなものがこの小説の根底にあるように思う。「自分はそのためにこそ、生まれてきた・・・」という布美子の独白。他人からどう見られようと、死ぬまでに「それ」を見つけられた人は幸せである。
恋 (ハヤカワ・ミステリワールド) Amazon書評・レビュー: 恋 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152079630
No.45
(5pt)

小池真理子に出会えたよろこび

この小説には3人の主人公がいる。大学の英文科の助教授「片瀬信太郎」とその妻「雛子」、そして夫婦と親しくしている女子学生「矢野布美子」である。舞台は1970年代初頭――学園紛争が終焉に向かいはじめた時期である。布美子も時代の波と無関係ではいられず、全共闘の活動家である恋人とアパートで暮らしたりする。しかし、片瀬夫妻との出会いが彼女の生活を一変させた。それは3人を取り巻く激しい時代をも意識の外側に追いやってしまうほどの、個人的で甘く濃密な世界のはじまりだった。前半の山場は3人が軽井沢の別荘で過ごした2週間の夏の情景に集約される。ふりそそぐ陽光、その下で同等に生きる植物、野鳥、昆虫、人間たち・・・。森の中でブルーベリーを摘み、ベランダで昼間からビールを飲み、食べては喋り、喋っては笑う。夜はワイン、読書、音楽、抱擁、接吻・・・。セックスに至るまでのなにげない会話、取り交わされる視線、さりげない触れ合い、そんなものがくり返しくり返しふわりと美しい筆致で描かれている。まるで英国映画のワンシーンを見ているような軽井沢の美しい風景は、これが永遠に続くはずはないと読者に思わせるにはじゅうぶんで、読んでいくうちにかえって不吉な予感に胸がしめつけられてくるような気がする。そして現実に、早すぎる崩壊がやってくる。出会いの不思議さ、人間関係の玄妙さ、運命の暗い存在感、そんなものがこの小説の根底にあるように思う。「自分はそのためにこそ、生まれてきた・・・」という布美子の独白。他人からどう見られようと、死ぬまでに「それ」を見つけられた人は幸せである。
恋 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 恋 (ハヤカワ文庫JA)より
4150306133
No.44
(5pt)

小池真理子に出会えたよろこび

この小説には3人の主人公がいる。大学の英文科の助教授「片瀬信太郎」とその妻「雛子」、そして夫婦と親しくしている女子学生「矢野布美子」である。舞台は1970年代初頭――学園紛争が終焉に向かいはじめた時期である。布美子も時代の波と無関係ではいられず、全共闘の活動家である恋人とアパートで暮らしたりする。しかし、片瀬夫妻との出会いが彼女の生活を一変させた。それは3人を取り巻く激しい時代をも意識の外側に追いやってしまうほどの、個人的で甘く濃密な世界のはじまりだった。前半の山場は3人が軽井沢の別荘で過ごした2週間の夏の情景に集約される。ふりそそぐ陽光、その下で同等に生きる植物、野鳥、昆虫、人間たち・・・。森の中でブルーベリーを摘み、ベランダで昼間からビールを飲み、食べては喋り、喋っては笑う。夜はワイン、読書、音楽、抱擁、接吻・・・。セックスに至るまでのなにげない会話、取り交わされる視線、さりげない触れ合い、そんなものがくり返しくり返しふわりと美しい筆致で描かれている。まるで英国映画のワンシーンを見ているような軽井沢の美しい風景は、これが永遠に続くはずはないと読者に思わせるにはじゅうぶんで、読んでいくうちにかえって不吉な予感に胸がしめつけられてくるような気がする。そして現実に、早すぎる崩壊がやってくる。出会いの不思議さ、人間関係の玄妙さ、運命の暗い存在感、そんなものがこの小説の根底にあるように思う。「自分はそのためにこそ、生まれてきた・・・」という布美子の独白。他人からどう見られようと、死ぬまでに「それ」を見つけられた人は幸せである。
恋 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.43
(5pt)

一気に読めました

買って帰りの電車の中で読み始めたのですが、駅を乗り過ごしそうになり、さらに家に着いてからも読み続け、食事の支度もせず風呂にも入らず一気に読みました。こんなに夢中になって読んだ本は他にもあまりないので私自身珍しい経験が出来てとても嬉しかったです。読んだ季節は初夏でしたので、窓を開けて草花の香りをかぎながら読みました。読み終わったのは深夜になってからでしたが、不思議と疲れはなく他の小池真理子作品も読んでみたいと思いました。作品の内容についてはあえて触れません。
恋 (ハヤカワ・ミステリワールド) Amazon書評・レビュー: 恋 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152079630
No.42
(5pt)

一気に読めました

買って帰りの電車の中で読み始めたのですが、駅を乗り過ごしそうになり、さらに家に着いてからも読み続け、食事の支度もせず風呂にも入らず一気に読みました。こんなに夢中になって読んだ本は他にもあまりないので私自身珍しい経験が出来てとても嬉しかったです。読んだ季節は初夏でしたので、窓を開けて草花の香りをかぎながら読みました。読み終わったのは深夜になってからでしたが、不思議と疲れはなく他の小池真理子作品も読んでみたいと思いました。作品の内容についてはあえて触れません。
恋 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 恋 (ハヤカワ文庫JA)より
4150306133
No.41
(5pt)

一気に読めました

買って帰りの電車の中で読み始めたのですが、駅を乗り過ごしそうになり、さらに家に着いてからも読み続け、食事の支度もせず風呂にも入らず一気に読みました。こんなに夢中になって読んだ本は他にもあまりないので私自身珍しい経験が出来てとても嬉しかったです。読んだ季節は初夏でしたので、窓を開けて草花の香りをかぎながら読みました。読み終わったのは深夜になってからでしたが、不思議と疲れはなく他の小池真理子作品も読んでみたいと思いました。作品の内容についてはあえて触れません。
恋 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.40
(3pt)

時代の雰囲気を描き出せていない

この作品は直木賞受賞作であるが、小池真理子作品の中での私の評価は低い。作品全体に、もっと時代の雰囲気を醸し出す必要があったのではないのかと思う。浅間山荘事件を起こした連合赤軍内では、「恋愛はブルジョアである」などと言ってリンチを加えていたらしいが、その対比として、矢野布美子が片瀬夫妻に抱いた感情を描き出せば、もっと良い作品になったと思う。「浅間山荘事件」という言葉自体は、作品内に何回か出てくるが、布美子達の日常に、その時代の空気は漂っていない。また作品の内容からして、「恋」というタイトルにも、釈然としないものが残る。
恋 (ハヤカワ・ミステリワールド) Amazon書評・レビュー: 恋 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152079630
No.39
(3pt)

時代の雰囲気を描き出せていない

この作品は直木賞受賞作であるが、小池真理子作品の中での私の評価は低い。作品全体に、もっと時代の雰囲気を醸し出す必要があったのではないのかと思う。浅間山荘事件を起こした連合赤軍内では、「恋愛はブルジョアである」などと言ってリンチを加えていたらしいが、その対比として、矢野布美子が片瀬夫妻に抱いた感情を描き出せば、もっと良い作品になったと思う。「浅間山荘事件」という言葉自体は、作品内に何回か出てくるが、布美子達の日常に、その時代の空気は漂っていない。また作品の内容からして、「恋」というタイトルにも、釈然としないものが残る。
恋 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 恋 (ハヤカワ文庫JA)より
4150306133
No.38
(3pt)

時代の雰囲気を描き出せていない

この作品は直木賞受賞作であるが、小池真理子作品の中での私の評価は低い。作品全体に、もっと時代の雰囲気を醸し出す必要があったのではないのかと思う。浅間山荘事件を起こした連合赤軍内では、「恋愛はブルジョアである」などと言ってリンチを加えていたらしいが、その対比として、矢野布美子が片瀬夫妻に抱いた感情を描き出せば、もっと良い作品になったと思う。「浅間山荘事件」という言葉自体は、作品内に何回か出てくるが、布美子達の日常に、その時代の空気は漂っていない。また作品の内容からして、「恋」というタイトルにも、釈然としないものが残る。
恋 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.37
(5pt)

ザ・官能

真っ赤な表紙がとてもすてきでまさに官能の世界。女のどろどろとした世界を見事にかきあげた作品があつまった充実した重みのある一冊でした。
エクスタシィ―大人の恋の物語り Amazon書評・レビュー: エクスタシィ―大人の恋の物語りより
4584180318
No.36
(5pt)

エロティックで悪魔的、デカダンな雰囲気

 この小説は時間をおいて、できれば数年単位の間隔をおいて再読されるべき名作だ。ほぼ三年半ぶりに読みかえして、私は、序章に出てくるヒロインの可憐で痛切な姿に深い感銘を覚えた。矢野布美子の「肉と魂」は、私の記憶の襞にひっそりと息づいている。二十三年の時が過ぎても、布美子の心の中に信太郎と雛子が生き続けていたように。「世間では人を殺すためには、凶暴さと憎悪と怒りと絶望が必要であるかのように言われているが、それは嘘で、ただほんの少し、虚無感にさいなまれていさえすれば、人は簡単にムルソー[カミユ『異邦人』の主人公]になることができるのだ」。──陳腐だけれど、「官能小説の金字塔」という賛辞を、浅間山荘事件のさなかに遂行された魂の殺戮劇ともいうべきクライマックスを叙述しきったこの作品に捧げたい。「エロティックで悪魔的、デカダンな雰囲気」と「秘密を抱えながら生きていく人の精神」を見事に造形し、痛いほどの官能性を表現しつくした小池真理子さんを讃えたい。
恋 (ハヤカワ・ミステリワールド) Amazon書評・レビュー: 恋 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152079630
No.35
(5pt)

エロティックで悪魔的、デカダンな雰囲気

 この小説は時間をおいて、できれば数年単位の間隔をおいて再読されるべき名作だ。ほぼ三年半ぶりに読みかえして、私は、序章に出てくるヒロインの可憐で痛切な姿に深い感銘を覚えた。矢野布美子の「肉と魂」は、私の記憶の襞にひっそりと息づいている。二十三年の時が過ぎても、布美子の心の中に信太郎と雛子が生き続けていたように。「世間では人を殺すためには、凶暴さと憎悪と怒りと絶望が必要であるかのように言われているが、それは嘘で、ただほんの少し、虚無感にさいなまれていさえすれば、人は簡単にムルソー[カミユ『異邦人』の主人公]になることができるのだ」。──陳腐だけれど、「官能小説の金字塔」という賛辞を、浅間山荘事件のさなかに遂行された魂の殺戮劇ともいうべきクライマックスを叙述しきったこの作品に捧げたい。「エロティックで悪魔的、デカダンな雰囲気」と「秘密を抱えながら生きていく人の精神」を見事に造形し、痛いほどの官能性を表現しつくした小池真理子さんを讃えたい。
恋 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 恋 (ハヤカワ文庫JA)より
4150306133
No.34
(5pt)

エロティックで悪魔的、デカダンな雰囲気

 この小説は時間をおいて、できれば数年単位の間隔をおいて再読されるべき名作だ。ほぼ三年半ぶりに読みかえして、私は、序章に出てくるヒロインの可憐で痛切な姿に深い感銘を覚えた。矢野布美子の「肉と魂」は、私の記憶の襞にひっそりと息づいている。二十三年の時が過ぎても、布美子の心の中に信太郎と雛子が生き続けていたように。「世間では人を殺すためには、凶暴さと憎悪と怒りと絶望が必要であるかのように言われているが、それは嘘で、ただほんの少し、虚無感にさいなまれていさえすれば、人は簡単にムルソー[カミユ『異邦人』の主人公]になることができるのだ」。──陳腐だけれど、「官能小説の金字塔」という賛辞を、浅間山荘事件のさなかに遂行された魂の殺戮劇ともいうべきクライマックスを叙述しきったこの作品に捧げたい。「エロティックで悪魔的、デカダンな雰囲気」と「秘密を抱えながら生きていく人の精神」を見事に造形し、痛いほどの官能性を表現しつくした小池真理子さんを讃えたい。
恋 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.33
(5pt)

小池真理子の最高傑作

ラストは主人公が猟銃で人を殺す。などと小説を十数ページ読み進めると書いてあった。どうしてそんな事をしたのだろう、と自然に物語へと引き込まれていく。得に派手なストーリー展開は無い。美しい風景描写と繊細な心理描写が静かに積み重ねられていく。出会った夫婦に少しずつ心を開いていく主人公の女子大生。幸せそうな3人のやりとりも、やがて壊れるのだと思うと、主人公が楽しそうに笑うたびに哀しくなる。
恋 (ハヤカワ・ミステリワールド) Amazon書評・レビュー: 恋 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152079630