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閉ざされて



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【この小説が収録されている参考書籍】
閉ざされて
閉ざされて (角川文庫)

閉ざされての評価: 3.50/5点 レビュー 6件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.50pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(1pt)

一目瞭然

冒頭数ページで物語全体にかかわる「仕掛け」を確信できてしまう。サスペンスにせよミステリにせよ、これほど興醒めなこともないだろう。そしてその理由が、作者の書き方が拙いというただその一点にすぎないことも白けさせてくれる。冒頭から終盤まで、これでもかとばかりに「伏線」と呼ぶにもおこがましい見え透いた「仕掛け」につながる描写が頻出するが、あまりにも露骨で、これは真相を見透かされることを前提としてもう一段階「仕掛け」があるのではないかと勘繰るほどであったが、そんなことはなく、物語は白々しい最後のネタばらしから尻窄みに、そして悪い意味での驚愕の幕切れを見せる。
このように見え見えの「仕掛け」を弄した作品にありがちなことだが、打って変わって、読者が良くも悪くも予想していなかった急展開によって締め括られることがある。まさに本作はその悪例である。最後とその直前での主人公の行動と心情が、前章までとはまったくの別人であり、狼を恐れていた鹿が突然熊に豹変したかのようだった。複数の人物の一人称や三人称が入り交じったことも、「仕掛け」を隠す一助となったとは思えず、二時間ドラマ同然の散漫で粗末な物語を仰々しく綴ろうとせんがための、小賢しい手口としか思われない。
他のレビューに洋館という記述が見えたが、この話の舞台はコンクリートの現代的な建物でありマンションであり病院であり、洋館などといった叙情性や懐古趣味を喚起させる要素は皆無である。そもそも舞台となる函館の描写にしろすべてが写真的で、叙情性を漂わせる絵画的な美しい描写はまるでなく、この作者にそうした才能は期待できない。

なお、文庫版の作者あとがきにおいてのアガサ・クリスティーのある名作に対する批評は的外れであり、また、あとがきで記す類のことでもない。使い古された二番煎じ、三番煎じの「仕掛け」を拙く仕上げた本作に、原点ともいえる作品への言及があること自体、筋違いであり、甚だしく心得違いをしている。さらに、まったくもって余分なことに、自著における自らの工夫を新たな試みのように吹聴しているが、手垢がついた手法であり、そもそも冒頭数ページで看破される程度の文章力である。心得違いもここまでくると苦笑を禁じ得ない。
閉ざされて (角川文庫)Amazon書評・レビュー:閉ざされて (角川文庫)より
4041004845

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