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孔雀と雀 アラブに消えゆくスパイ



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【この小説が収録されている参考書籍】
アラブに冬を呼ぶスパイ (ハヤカワ文庫NV)

孔雀と雀 アラブに消えゆくスパイの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
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(8pt)

死ぬまで疑い続けるしかない、スパイの宿命

デビュー作にして2023年度エドガー賞最優秀新人賞を受賞した、本格スパイ小説。激動期の中東でCIAケースオフィサーとして勤務した著者が、その体験をベースに書き上げた、リアリティ豊かなスパイ・サスペンスである。
バーレーンのCIA支局員・シェーンは、自分の息子とさして歳の違わない上司にうんざりしながら適度に仕事をこなし、酒浸りで年金を貰える日を待っていた。それでも、唯一の情報提供者との接触の中でバーレーン反政府派の気になる動きを察知し、探りを入れると、首都の中心部で起きた爆弾事件が政府による自作自演ではないかと思い始めた。さらに、偶然知り合った女性アーティストとの交際を深めることで、政府の陰謀であると確信し、その情報を本部に報告した。すると、シェーンの過度の飲酒、不適切な女性関係を理由にした退職通知が返ってきた。納得がいかないシェーンはCIA、米軍、バーレーン政府、アラブの春に感化された民衆が複雑に絡み合う騒乱のバーレーンで、真相解明のために奮闘する…。
知識が乏しい中東でも特に複雑な歴史を持つバーレーン王国が舞台で、それだけでも興味深い物語だが、さらにアラブの春という激動期の話であり、誰が誰を騙してるのか、どこに正義があるのか、最後まで先が読めないストーリーである。つまり、極めてリアルで緊迫感があるスパイ小説で、派手なアクションはなくても最後までサスペンスが味わえる、冷戦時代のスパイ小説の血統を受け継いだ作品と言える。
ル・カレ、グレアム・グリーンの世界を現代に甦らせた傑作として、本格スパイ小説のファンにオススメする。

iisan
927253Y1

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