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黒い錠剤 スウェーデン国家警察ファイル



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【この小説が収録されている参考書籍】
黒い錠剤 スウェーデン国家警察ファイル (ハヤカワ・ミステリ)

黒い錠剤 スウェーデン国家警察ファイルの評価: 9.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点9.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(9pt)

女性憎悪、ヘイト犯罪の究極を見つめたサイコ・サスペンスの傑作!

スウェーデンからまた登場した新星の本邦デビュー作。現代社会の病理である憎悪犯罪、差別、暴力肯定などのテーマをスリリングなストーリーで描いた、傑作サイコ・サスペンスである。
ストックホルムで25歳の女性・エメリが殺害され、交際相手のカリムが容疑者と断定された。カリムは服役中だったが事件当日は仮釈放で外に出ており、また面会に来たエメリを「殺してやる」と脅迫したことがあり、しかも刑務所に戻った彼の靴にはエメリの血液が付着していた。証拠は万全と思われたが、カリムを知る殺人捜査課警部ヴァネッサは「あの狡猾なカリムがそんなミスをするはずはない」と疑問を持った。だが警察もマスコミもカリムの犯行を疑わずカリムが起訴されようとした時、「彼は殺していない」と語る女性・ジャスミナがヴァネッサのもとに現れた。彼女は事件発生時、カリムを含む複数の男に暴行されたのだが、恥ずかしさと怖さで警察に訴えていなかったという。血の気の多い乱暴者の単純な怨恨という事件の構図は、まるで違っていたのだった…。
エメりの殺人に加えて、テレビ局スタッフの殺人、ジャスミナの暴行が並行して描かれ、だんだんつながっていく展開は実にスリリング。その背後にある社会病理の不気味さも真に迫り、ページを捲る手が止まらなくなる。また、ヴァネッサをはじめとする登場人物の言動は生き生きしており、捜査陣と犯人との攻防だけでなく、市井の人々の生活や想いも丁寧に拾い上げられていて、これぞ北欧ミステリーという仕上がりだ。
本作はすでに5作が刊行された「ヴァネッサ・フランク警部」シリーズの2作目ということで、第1作からの邦訳を強く希望したい。
北欧ミステリーファン、サイコもののファン、社会派ミステリーのファンにオススメする。

iisan
927253Y1

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