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闇夜に惑う二月



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【この小説が収録されている参考書籍】
闇夜に惑う二月 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

闇夜に惑う二月の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

力強くて切ない、アンチヒーローな傑作ハードボイルド

グラスゴーを舞台にした「刑事ハリー・マッコイ」シリーズの第二弾。連続殺人事件を捜査することになったハリーが否応なく、忘れたい過去に直面させられるノワール・ハードボイルドである。
建設中のタワー屋上で発見された惨殺死体は地元のプロサッカー選手で、彼はギャングのボス・スコビーの一人娘・エレインの婚約者だった。すぐに容疑者として、スコビーの汚れ仕事を担当していたコナリーが浮上した。コナリーは精神的に不安定になり、エレインにつきまとっていたという。ハリーたちはコナリーを追い詰めたのだが、すんでのところで逃してしまう。さらに、コナリーはエレインの周囲に出没し、ボスのスコビーまで襲おうとする。そんな中、前作(血塗られた一月)でハリーの命を救ってくれた、幼馴染で地元の若手ギャングのボス・スティーヴィーを見舞ったハリーは一枚の新聞記事を見せられ、激しく動揺する。そこには、ハリーやスティーヴィーが児童養護施設にいた頃に性的虐待を加えていた男が映っていたのだった。さらに、教会でホームレスが自殺する事件が発生し、残された遺品を調べていたハリーは、スティーヴィーに見せられたのと同じ記事があるのを発見する。花形サッカー選手とホームレス、全く無関係に見えた二つの事件が、ハリーの過去を媒介にしてつながっていった・・・。
一匹狼の刑事が難事件を解決するという警察ハードボイルドの基本はしっかり守りながら、そこに児童の性的虐待の被害当事者をぶつけることで、ストーリーが何層にも重なり合い、ねじれあって展開する複雑で手応えのある物語になっている。訳者あとがきにもあるように、前作からさらにパワーアップしたことは間違いない。オススメだ。
月名のタイトルから推察できるようにシリーズ化されており、イギリスでは一年に一作、現在では6月まで刊行されているというので、まだまだ楽しめそうである。

iisan
927253Y1

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