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かくて彼女はヘレンとなった



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【この小説が収録されている参考書籍】
かくて彼女はヘレンとなった (HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOKS No. 1)

かくて彼女はヘレンとなったの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

なかなか読ませる、高齢者ミステリーの新パターン

ヤングアダルト小説をベースに活躍するアメリカの女性作家が73歳で発表した、長編ミステリー。裕福な退職者たちが暮らすシニアタウンで起きた殺人事件の犯人探しと、事件を発見してしまった女性が隠してきた秘密を明らかにするサスペンス・ミステリーである。
住民同士の交流が盛んなシニアタウンに暮らすヘレンが、いつも安否確認のためにメールを交換する隣人・ドムから連絡がなかったため、預かっている合鍵を使って隣家に入ってみると本人の姿が見えなかった。家の中を探し歩いているうちに、ガレージに奇妙なドアがあり、ドムのガレージが別の隣家・コブランド家に繋がっているのに気がついた。好奇心に駆られたヘレンが、いつも住人不在のコブランド家に入るとテーブルの上に美しいガラスパイプがあり、ヘレンは思わず携帯で写真を撮り、姪の子供たちに送信した。ところが、パイプはマリファナ吸引道具であり、麻薬密売に関わる品であることが分かった。当然、警察に通報すべきなのだが、実はヘレンには現在の名前は盗んだもので警察にバレると50年前の事件に関与していたことが明らかになってしまうという秘密があった。窮地を脱するためにヘレンは策を巡らすのだが上手く行かず、次々と難問に直面することになる…。
70代の女性が主役で最近目にすることが多い高齢者ミステリーの一つと言えるが、ヘレンの抱える過去が複雑でインパクトがあり、単なるお婆ちゃん探偵で終わっていないのがいい。作者自身が生きてきた60年代のアメリカの暗黒面と、現在のシニアタウンに暮らす高齢者たちの元気溌剌さが好対照を見せ、フーダニットの面白さと軽やかなユーモア小説の二面性が調和している。
謎解きサスペンスとして、また老人が主役のユーモアミステリーとして、幅広いジャンルのミステリーファンにオススメしたい。

iisan
927253Y1

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