レックスが囚われた過去に
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事件のその後、を丹念に追う物語だ。 ストーリーは刑務所にいた母親が死に、財産管理のため、それまでバラバラに暮らしていた兄弟達に主人公レックス(アレグザンドラ)が会いに行く事から始まる。 彼らの父親は宗教に入れ込み、自ら教会を立ち上げるが失敗。家庭は食べるものにも事欠き、7人いる子供への対応も次第に変化。レックスとその妹は鎖で繋がれ幽閉される生活となるが、レックスが脱出し事件が明るみに出る、という過去が主人公とその兄弟達の人生につきまとっている。 しかしその過去との向き合い方は兄弟それぞれ様々だ。自らの過去を売り有名人になる者、親を赦そうとする者、自分の過去が売り物にならず落ちぶれた者、事件の事も自らの出自も知らない者。。。その中でレックスは最も過去に縛られず生きているように見えたが、果たしてそれはどうだったのか、を最後に問われる事となる。 あおり立てるようなケレン味もなく、ミステリやサスペンスというよりは、凄惨な過去と人がどう向き合うのかを語る物語となっている。 訳者あとがきに詳しいが、この物語に元となった事件があったわけではないが、参考にした事件はいくつかあるという。 報道では日々児童虐待のニュースが絶えないのは小説の舞台である英国でも日本でも同様である。幼少年期に虐待を受けた(あるいは他の原因で結果的に子供の心に傷を残すような出来事は多々あるだろう)子供達が事件の発覚後にどう人生と向き合っているのか知る機会は少ない。 最近、家庭が崩壊してしまった事に端を発する狙撃事件があったばかりで、ちょうど本書を読んでいる時にその報道を目にする事となった。報道読者はもっとこうした「家庭の事件」「家庭の問題」を抱えたまま成長していく人々を理解する機会ではないだろうか。 | ||||
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作者のデビュー作だそうですが、「レックスが囚われた過去に "Girl A"」(アビゲイル・ディーン ハヤカワ・ミステリ)を読み終えました。単なる「サイコ・スリラー」と呼んでしまってはいけない、秀でたフィクションだと思います。 英国。マンチェスター、ムア・ウッズ・ロードと呼ばれる土地。両親が子供たちを監禁していた「恐怖の館」から逃げ出して来た"少女 A"・レックスがその主人公。 そして、その十五年後、ニューヨークで弁護士として忙しい日々を送るレックスは母親が獄中で死亡し、母親がレックスを遺言執行者に指定していたことにより、遺産を整理、特に自宅を処理するためには、兄弟全員の同意を得なければならなくなります。一人の兄。二人の妹。三人の弟たちに向けて。 レックスは英国に戻り、彼らを訪ね歩きながら、覆い隠すべき「過去」と向き合い、複雑なその後の彼らの人生を綴り、「恐怖の館」から逃げ出すまでの苦難と哀しみに満ちた道筋を辿り、「手に入れられなかった永遠の子供時代」という表現に従えば、この先もまた決して手に入れることのない何かが失われた子供たちの人生を再現してみせます。読者に、その信じられないような「虐待」の詳細を突きつけながら。 大変なことばかりだった日々。それでも、優しさと暖かさを分け与えてくれた人たち。挿絵入りの「ギリシア神話」の本。 これほど重苦しい物語を読み続けてもなお、やはり最後まで読み続けたいという希みはどこからやってくるのでしょうか? 或るクリケット・チームの中に弟・ノアの所在を探り当てたレックス。 「オフィスの入口にだれかが現れて、なぜ泣いているのかと訊かれても、わたしは答えられなかっただろう」(p.258)。この抑制された物語の中、作者は、このようなパセティックな瞬間を何か所か垣間見せてくれます。それは、私には良い小説家に与えられたギフトのように感じられます。 | ||||
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