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此の世の果ての殺人の評価:
7.50/10点 レビュー 4件。 B ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです
平均点7.50pt
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
此の世の果ての殺人の感想
おもしろかったです。そもそもの設定とか、殺人の動機とか、いくつか無理がある内容はありましたが、極限状況の中で人と繋がり絆を深めていく展開は、ベタなのかもしれないけど個人的には好きです。全てがハッピーな結末ではなく切なさを感じますが、総じて良い作品だと思います。
「第68回江戸川乱歩賞受賞作、 選考委員満場一致」との触れ込みで手にした小説。なかなか序盤のつかみは良い。小惑星「テロス」が日本に衝突。2か月後には確実に死ぬ。そんな極限の状況で、主人公は太宰府で自動車の教習を受ける。山道教習では、途中で落下してきた首つり死体に教習車が激突したり、行き先のダムでは生きる希望を失った人間の自殺場となっていたりと、非日常の世界を描いている。そんな中、主人公小春は、なぜこの時期敢えて自動車学校に通うのか?そもそも自動車学校がなぜ営業されており、唯一残っていた指導教官イサガワ先生とは一体何者なのか?ここまでは、今後の展開期待大ですこぶる良かった。しかしながら、その後の展開は、ある殺人事件の謎解き小説。ハッキリ言って、この謎解きは陳腐である。せっかくの究極の極限状態という設定が、あまり活かされていない。そもそもこんな状況で、殺人事件の犯人探しなんて、超非現実的。ありえない。登場人物の生い立ち、背景、性格、心理描写、この辺りの記述が妙に軽くて表面的。描写・文体もこなれていないというかちょっと、幼い感じ。結局、テーマの割にはライトすぎるという感覚か。ということで、あまり高評価は与えられなかった。ただ、序盤が気に入ったので、中庸点の5点とした。
古風な印象さえあるタイトルに対し、さすがは史上最年少の乱歩賞作家だけあり、軽いけどストーリーはしっかり、テーマの選択、絶望的な将来しか見えないのに人物たちがむしろ軽やかに行動して陰鬱にならないところ、それに構成も新人とは思えない程うまい。リアリティこそないものの情景がはっきりイメージできるのは、先行きが楽しみな作家といえる。あとは本作が最高傑作にならないよう、進化していくことを祈るのみ。
これは面白かったです。2022年度の江戸川乱歩賞受賞作品。地球に小惑星が衝突し滅びる定めとなった終末もの。主人公はそんな世界の中で自動車教習所に通い運転を学んでいる。という始まり。世界崩壊を舞台になんで教習所?というチグハグさがまず印象的でした。江戸川乱歩賞は昨年『老虎残夢』の特殊設定ミステリが受賞した事から、今年も特殊設定ミステリを採用しエンタメ系の流行に乗る変わり種かと思った次第です。ですが先に伝えておきますと、中身は災害小説としての日常や社会的テーマも絡めた堅実な本格ミステリでした。災害小説における死体が道端に転がっているなどの非現実的要素が日常化されており、生きる希望を失った者、最後まで生き抜こうとする人々のドラマを感じる物語。教習中の車に乗り不慣れな運転で街を移動する様はロードノベルのような味わいも感じられました。主人公は著者と同じ23歳の女性。社会に出たての者の不安や、弟の面倒を見る姉としてしっかりしなくてはいけない気張った心境など主人公の等身大が描かれているのが印象的でした。総じて文章が大変読み易く情景が浮かびやすいのでドラマや映画を見ているような気分にも感じた次第です。ミステリとしては大きなインパクトがある訳ではないのですが、作り方が巧いと感じる所が多くてそれでこうなっているのか~と印象に残る所がしばしばありました。終末ものと自動車教習の組み合わせは最初不思議でしたが、読み終わってみれば納得。結末&読後感も良かったです。 ▼以下、ネタバレ感想
おもしろかったです。そもそもの設定とか、殺人の動機とか、いくつか無理がある内容はありましたが、極限状況の中で人と繋がり絆を深めていく展開は、ベタなのかもしれないけど個人的には好きです。全てがハッピーな結末ではなく切なさを感じますが、総じて良い作品だと思います。