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湖の女たち



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【この小説が収録されている参考書籍】
湖の女たち

湖の女たちの評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

前半はハラハラするんだけど・・・

2018~19年に週刊誌連載されたものを加筆・改稿した長編小説。老人介護施設での殺人事件をきっかけに、人間の闇の深さを抉り出そうとしたヒューマンドラマである。
琵琶湖の湖畔にある老人介護施設で100歳の男性が人工呼吸器が止まったために死亡した。機械の故障か人為的なものなのか? 警察は女性介護士の犯行を疑い、執拗に追い詰めていく。その過程で出会った刑事・濱中と介護士・佳代は互いの欲望をぶつけ合うことで関係を深めていくようになる。一方、30年前の薬害事件を取材していた週刊誌記者・池田は現場が近かったことから介護施設の事件も取材することになったのだが、殺人事件の被害者は薬害事件に関係がある疑いが出てきた。さらに調査を進めると、薬害事件の背後には満州での731部隊の存在がかかわっているようだった・・・。
介護施設での殺人、薬害事件、731部隊という3つのエピソードが絡み合い、さらに尋常ではない男女の関係性が重ねられ、きわめて複雑な構成の物語である。そのため前半部分ではひりひりするサスペンスがあるのだが、最後にはすべてを放り投げたようなエンディングで、最初に広げすぎた大風呂敷が上手くたためなかったような、肩透かしを食らった感じが残ってしまうのが残念。
「悪人」や「怒り」を超えるレベルではないが、吉田修一らしい悪意を秘めたミステリーとして、吉田修一ファンにはおススメできる。

iisan
927253Y1

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