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その手を離すのは、私



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【この小説が収録されている参考書籍】
その手を離すのは、私 (小学館文庫)

その手を離すのは、私の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

警察小説で始まり、最後はサイコ・ミステリー

イギリスの女性作家のデビュー作。ひき逃げ殺人事件の捜査から始まった警察小説が、いつのまにかサイコ・サスペンスに変化している、不思議な構成のミステリーである。
ブリストル市の住宅街の雨の夕刻、5歳の息子を学校に迎えに行った母親が自宅を目前にしてちょっと手を離したすきに子供が駆け出し、猛スピードで走ってきた車にはねられた。道路に倒れた息子に駆け寄り半狂乱で助けを求める母親を無視して、車はその場で方向転換し、街路樹に車体をこすりながら猛スピードで逃げて行った。事件を捜査することになったブリストル警察犯罪捜査課のスティーブンス警部補たちは、犯行の悪質さに怒りを募らせ必死んで捜査を進めたが、一向に手がかりをつかむことが出来なかった。それから半年後、警察上層部は捜査を打ち切るようにスティーブンスたちに命じたのだが、納得がいかない若手女性刑事・ケイトはこっそり捜査を継続し、スティーブンスもそれを黙認した。
一方、忌まわしい事故の記憶から逃れるためにウェールズの鄙びた寒村に来た、謎の女性・ジェナは親切な地元民に助けられ、徐々に海辺の村での生活を築き上げていたのだが、常に何かに怯えながら暮らしていた。
物語の前半は捜査の進行とジェナの動向が交互に語られ、事件の全体像が見えてきたと思われたのだが、スティーブンスたちとジェナが交差したとき、物語は急展開し、さらに複雑に、ミステリアスになって行く。
ひき逃げ犯を追いかける警察小説に、捜査陣内部の人間ドラマを加味したものだと思っていると、途中から一気にサイコ・サスペンスの恐怖に引きずり込まれている。新人のデビュー作とは思えない、なかなかに歯ごたえがあるミステリーである。
警察ミステリー、サイコもののファンにオススメする。

iisan
927253Y1

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