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スワン



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【この小説が収録されている参考書籍】
スワン
スワン (角川文庫)

スワンの評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

通り魔事件、被害者バッシング、復讐心…正解のない物語

2020年の吉川英治文学新人賞、日本推理協会を受賞した長編小説。大型ショッピングモールで起きた無差別銃撃事件をめぐり、事件関係者が現場で起きた謎の解明を強制されるという、特異なシチュエーションの心理ミステリーである。
日曜の大型ショッピングモールに二人の男が侵入し、手製の銃と日本刀で死者21名、負傷者17名を出すという無差別殺人事件が発生した。犯人二人は自害し、警察の捜査は終わったのだが、後日、事件で母親を亡くした男性が「母の死の真相を知りたい」との意図で奇妙な「お茶会」を開いた。会を仕切るのは男性から依頼された弁護士で、招待されたのは全員現場にいた5人の男女だった。そこでは「真相解明」のために5人の行動が付き合わされ、比較対照され、それぞれの記憶の矛盾や間違いが容赦なく指摘されていった…。
前半は事件の様相、犯人たちの短絡的な行動が解明され、中盤では被害者でありながら「保身のために他の被害者を見捨てた」とバッシングされている16歳の高校生女子を中心にした「お茶会」の心理劇が展開され、終盤では突然の悪夢に巻き込まれたとき人は果たして正解の行動を取れるだろうかという答えのない難問に直面する。無差別事件そのものの解明より、人間は自分を守るためのストーリー、物語を作りながら生きるのではないかという、事件後の物語がメインテーマである。
犯人探しや謎解きではないが、心理ミステリーの傑作としてオススメする。

iisan
927253Y1

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