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(短編集)

思い出は満たされないまま



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思い出は満たされないままの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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No.1:
(8pt)

「思い出は満たされないまま」の感想。心温まる短編集。

心温まる短編集 良作です。

東京郊外にあるマンモス団地を舞台にした7編が収められた短編集です。
団地というのは大勢の人が住んでおり、さまざまな店舗や病院、郵便局などがあります。
また学校や保育園などもあったりして、そこから出なくても極端な話生活が成り立ってしまう
ある意味一つの閉じられた町という感じがします。
それゆえそこには無数の物語が存在するのです。

7編はそれぞれが独立した物語ではありますが、全体が上手くつながっていて
しかも同じ団地内ですから、登場人物も当然共通していたりします。
その人間関係のアヤもこの作品の大切な要素の一つですが、さらに大きな魅力は
SF的な仕掛けです。具体的には書けませんが、この仕掛けが上手く功を奏しているのでは
ないでしょうか。派手さはありませんが、心温まる佳作としてお薦めします。

作者の一番言いたいことは、みんながちょっとした勇気を持てば、人生は変えられるというものでは
ないかと思います。あのときああしていれば、こうしていれば、という小さな後悔の連続、積み重ねが
思い出なのではないかとあくまでも個人的解釈ですが、そう感じますね。

「しらず森」
団地のそばの神社の裏手にある小高い丘、通称ひょうたん島で、団地に住む尚之少年が
神隠し?にあう話。ひょうたん島は全編通して、重要な場所になっています。

「団地の孤児」
団地内の敷地に住むホームレス、キリストおじさんを扱った作品。意外な結末がもの悲しい。

「溜池のトゥイ・マリラ」
溜池で釣りをする老人と、亀の話です。

「ノートリアス・オールドマン」
変わり者の小池老人の意外な正体とは?

「一人ぼっちの王国」
引越しの不用品のワープロのフロッピーに収められていた小説と
その書き手の謎。

「裏倉庫のヨセフ」
尚之に妹が出来た話と、謎の螺旋階段の話です。

「少年時代の終わり」
最初の「しらず森」ともつながる話であり、ある意味SF的な仕掛けも施された
作品。読後、胸がきゅんとなるようなそんな感動がここにあります。


いわし雲
78XRDN1A

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