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虚ろな十字架



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【この小説が収録されている参考書籍】
虚ろな十字架
虚ろな十字架 (光文社文庫)

虚ろな十字架の評価: 7.09/10点 レビュー 11件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.09pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

虚ろな十字架の感想

「贖罪」と「寛怒」…東野氏の作品によく著されるテーマですね。今作も感慨深く読ませていただきました。人が人の命を奪うことの重みに向き合う時間をすごしました。
ちょうどこの週末、池袋暴走事故への有罪実刑判決が下されましたが、判決前に被害者遺族がSNS上でその心中を綴った文章で「誰かを憎む人生を終わりにさせて欲しい。妻子が愛していた私でいさせて欲しい。」といった内容が記されていたことを知りました。罪の十字架は加害者だけでなく被害者にも重くのし掛かって来るのです。
罪を背負わず生きる人間などいないと思います。誰もがただ生きるだけで、何がしらの十字架を背負っています。その中身は人により異なり、その重さは背負う人間にしか感じることはできません。「命を奪う」とい罪の重さを軽んじる人に、その罪の重みを知覚し、苦しみ贖罪へと導く方法があるとしたら、罪が罪であることを感じる心を人として生れたてそのときから育むことしかないのではというのが、私の結論なのですが、今の社会に、今の大人にそれが出来得るのか、疑問符を拭うことが出来ず、また混沌の思考のなかに堕ちて行ってしまいました…。
取りとめのない感想になってしまいましたが、ぜひオススメしたい作品でした。

はつえ
L7BVQMDY
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

虚ろな十字架の感想

殺人事件の加害者及び被害者家族の立場から、その罪と罰、そして死刑制度にまで、真摯に向き合ったかなり重めの作品です。
作者にも正解は出せなかったのか、意図的に出さなかったのか・・・実際回答は出されていないように思うのですが、そんな訳で、読了後、結構じわじわくる作品です。

娘を殺害された被害者側の夫婦である道正と小夜子。
中学生でありながら妊娠、出産、そして産まれてきた子供を出産後直ぐに殺害した加害者側である史也と沙織。
この2つの別の殺人事件を起点とした、被害者側、加害者側の関係者のその後の人生の対比がズシッときます。
被害者の側は女性(小夜子)、加害者の側は男性(史也)の方が、強くそして正しく生きているように描かれています。
そして、被害者側の男性(道正)は「静」、加害者側は女性(沙織)は「堕」
こう見てみると女性って両極端ですよね。壊れるか凶暴になるか(笑) 二人共壊れたという解釈もできそうですが。

私は小夜子の言動が理解できず不快でした。作者は意図的にそういう人間として描いていたようにも思えました。
そして史也には同情が向くようにも。
作者の回答はこれなのかな、とも少し思ってるんですけどね。
史也が罰せられる事は果たして正しいのでしょうかね。私にも分かりません。


梁山泊
MTNH2G0O

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