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やっと来た、という感じの満足感が得られた。物語作家ドイルの面目躍如たる一作。私は世評高い『バスカーヴィル家の犬』よりも本作を推す。今回はドイルがここまで書けるのかと感嘆させられた。
物語の構成はエピローグを加えると大きく分けて3部になる。1部は通常のホームズ譚―依頼人が来て、事件の概要を話し、ホームズが現地に乗り出し、事件発生後、証拠を捜索して驚嘆の事実を暴露する―である。しかし、今回白眉なのは第2部、つまり事件の背景となる加害者側のストーリーなのだ。これが実にいい!!
この構成は先に出てきた『バスカヴィル~』以外の長編、『緋色の研究』、『四つの署名』と同じなのだが、『緋色の研究』の時にも感嘆させられたが今回は更に作家としての円熟味が増したせいか、ものすごく芳醇な味わいがあるのだ。
なんとハード・ボイルドなのである!!!ハメットすら唸らせるかのようなその臨場感はまるでスペクタクル映画を観ているよう!
しかもそのサイド・ストーリーにも驚きの仕掛―これは今考えるとほとんどサスペンスの常套手段なのだが私には全く予想つかなかった―が施されている辺りにも正にぬかりなしといった感じ。
ドイルはやはりドイルなのだと感じ入った次第。思うに本来ドイルはこのような小説を書きたかったのではないだろうか。
▼以下、ネタバレ感想