マラコット深海



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初公開日(参考)1963年12月
分類

長編小説

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マラコット深海 (創元SF文庫)

1963年12月06日 マラコット深海 (創元SF文庫)

大西洋の深海調査に出発したストラッドフォード号は突然、消息を絶ってしまった。しかし遭難したと思われた乗組員たちは驚異の新世界を目撃して生還した。八千年の昔、人知をきわめた文明を誇る大陸が大西洋の底深く陥没し、そのときから海底に棲息する人類が誕生していたのだ。驚嘆すべき科学的予見に満ちたコナン・ドイルのSF! (「BOOK」データベースより)




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マラコット深海の総合評価:8.17/10点レビュー 6件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

ドイル最後の作品はヴェルヌ張りの海底冒険物語だ!

ドイル晩年のSF冒険譚。ウィキペディアで調べる限り、これがドイル最後の小説のようだ。
空想冒険小説ではチャレンジャー教授がシリーズキャラクターとして有名であるが、本書では海洋学者マラコット博士が主人公を務め、冒険の行き先は大西洋の深海だ。

潜降函なる金属の箱でカナリア諸島西にある、自身の名が付いたマラコット海淵から深海調査に乗り出したマラコット博士とオックスフォード大学の研究生サイアラス・ヘッドリーとアメリカ人の機械工ビル・スキャンランの3人が大蟹に潜好函が襲われてそのまま海底に遭難してしまうが、なんと独自の科学技術で深海で生活しているアトランティス人たちに助けられるという、ジュヴナイル小説のような作品だ。

もともとドイルは海に関する短編を数多く発表しており、新潮文庫で海洋奇談編として1冊編まれているくらいだ。そして深海の怪物に関する短編もあり、もともと未知なる世界である海底にはヴェルヌなどのSF作家と同じように興味を抱いていたようだ。

そしてそれを証明するかのようにマラコット博士一行が海底でアトランティス人たちと暮らす生活が恐らく当時の深海生物に関する資料に基づいてイマジネーション豊かに描かれている。

まずアトランティス人たちが海底で暮らすために透明なヘルメットを被っており、そこに空気が送られて一定時間活動できるというのは今の潜水服そのものだ。
調べてみると1837年にはイギリス人のシーベによってヘルメット潜水器の原型が発明されており、1871年には日本にも導入されているから本書が書かれた1929年では既に既知の技術だったことは間違いない。

しかし空気や水、食糧、ガラス材料などを作る装置が備わった海底でも暮せる防水建築という概念は今でも新鮮であり、さらに思ったことが映像として出てくるスクリーンなどは今でも発明されていない。

さらに彼らの生活を支えるエネルギー源が海底に豊富に眠る石炭であり、それらを採掘して動力にしているとなかなか抜け目がない。

またドイルが描く深海生物も特筆で博士たち一行を海中に追いやったエビと蟹の中間の大ザリガニのような化け物から、毛布のように人を包んで海底にこすり付けて食べるブランケット・フィッシュ、樽のような形をした電波で攻撃する海ナメクジ、群れで活動し、血の匂いを嗅ぎつけると集団で襲い掛かり、白骨になるまで食い尽くすピラニアのような魚、1エイカーほどの大きさを持つ大ヒラメなど、今なお未開の地である海底にいてもおかしくない生物たちが描かれている。

しかし物語のクライマックスと云える邪神バアル・シーパとの戦いは果たして必要だったのか、はなはだ疑問だ。

この戦いをクライマックスに持ってくるよりもやはり物語の中盤で描かれる、彼らの生還を詳細に書いた方がよかったのではないか。

唯一おかしいのは水圧に関する考察だ。本書では深く潜っても水圧が高くなるのは迷信であるとして彼らの深海行の最大の難関を一蹴している。
今ではそのような理屈だと物語の前提から覆るのだが、ドイルはどうしても深海冒険物語を書きたかったのだろう。最後の作品でもあるのでそこら辺は大目に見るべきだろう。

しかし最後の作品でも子供心をくすぐる冒険小説を書いていることが率直に嬉しいではないか。読者を愉しませるためには貪欲なまでに色んなことを吸収して想像力を巡らせて嬉々としながら筆を走らせるドイルの姿が目に浮かぶようだ。
翌年ドイルはその生涯を終えた。

最後の最後まで空想の翼を広げた少年のような心を持っていた作家であった。
合掌。


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No.5:
(4pt)

ドイルの海洋譚

ドイルと言えば「シャーロック・ホームズ」だけれど、このような本を読むと
やっぱりドイルは冒険活劇が好きだなあと思う。

「失われた世界」や「勇将ジェラールの冒険」も迫力ある筆致で
読ませてくれるし「ドイル傑作集」のようなSFやミステリーなど実に
バラエティに富んだ娯楽小説を書きまくってるという印象。
ホームズ物にしても第一作から推理の後半に冒険譚が始まるし、実は
この人、想像力を掻き立てる物語こそ本領発揮だと自負していたのかも。

本書でも深海の神秘的な様子や、SF考証にやや難があるものの驚く
ほど今日性のある潜水艇の描写など、十分に楽しませてくれる。
むしろ技術が先攻し人間性が取り残されつつあるような現代から
見れば、ちょっとのほほんとした芝居掛かったやりとりや、古臭い
倫理観なんかが新鮮に映った。
ううむ、こうなると「毒ガス帯」や「霧の国」も気になりますね…
マラコット深海 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:マラコット深海 (創元SF文庫)より
4488608019
No.4:
(5pt)

守備範囲の広さ

ドイルといえば、シャーロック・ホームズ? いいえ。 「ロスト・ワールド」をしのぐ(と思う)、深海への旅。
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No.3:
(4pt)

マラコット博士が登場する唯一の作品

ドイルの長編の中では最末期に属する1929年に発表されたSF作品です。マラコット博士をリーダーとする探検隊が海底を探検し、アトランティス大陸が海底に沈んだ後、海底で独自の文化を築き上げているのを発見するという物語。マラコット博士はチャレンジャー教授とほぼ同じ人物造形で、なぜ本作だけわざわざ別の人物を持ち出したのかはよくわかりません。

失われていた大陸が海底で存続していたという設定は、現代の感覚ではかなり陳腐ですが、ドイルは海底の建物や海底生物の描写に独自性を出すことによって生き生きとした世界を作ることに成功しています。石ノ森章太郎『サイボーグ007』の海の底編は本作を意識して描かれたものではないでしょうか。
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4488608019
No.2:
(4pt)

潜航函がいい・・・。

いかにも古典的海洋SFのアイデアだが、これまた夢がある作品。ムチャなんだけど、完全に嘘臭い所が、逆に面白かった。最近のSF物は本当に、理屈っぽくて難解なものが多すぎるから、かえって昔の古典作の方が気楽に読めて良い感じがするな。まあ、今じゃサイバーパンクSFみたいなのが普通だし、古典風の作品を出しても時代に合わないから無理だろうけど・・・。50〜80年代の作品を、再販してもらいたいな。
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4488608019
No.1:
(4pt)

ドイルの古典SF

コナン・ドイルというと「シャーロック・ホームズ」なのだけど、いくつかのSF、冒険小説も残している。実は、彼はこちらの方を優先したかった。しかし、あまりの人気のために、ライへンバッハの谷底に葬ったホームズを、余儀なく生き返らせるのだった。もともとあまり好きでない仕事なためか、復活後の創作には相当な苦労を要したという。そんなドイルにとって、SF、冒険小説は、好きなテーマに没入できる何よりの息抜きだったのだと思う。 
 
 「マラコット深海」は、ドイル最後の小説。マラコット博士に率いられた、海洋学者へドリー、機械工スキャンランが、潜水“箱”に乗り込み、未知の深海に旅立つ。ところが、途上、事故で沈んでしまい、そこで遭遇したアトランティスの末裔たちに救い出される・・。1世紀近く昔のSFながら、道具立は古びていない。水中で呼吸ができ、海水から食料を合成する機械、思念を映像化する装置、水素より軽いレヴィゲン・ガス・・etc。今の創作に与えている影響(古くは「ドラえもん」など・・)も多分にうかがえ、とても興味深い。むしろ、19世紀を生きた作家のイマジネーションに、かなり驚かされてしまう。
 
 研究の鬼だけど、味わい深い人間味も見せる老教授マラコット、それゆえ彼に手を焼きながら付いて行くへドリー。そして、二人だけで行かせては男の名折とばかり、“棺桶”に勇んで乗り込む好漢スキャンラン。登場人物は非常に魅力的。怠惰に生きるアトランティスの人たちとの対比、徐々に溶け込んでいく様がとても生き生きと描かれている。(とりわけスキャンランは、ドイル作品には珍しい口八丁で陽気な人物)アトランティスの女性、モウナとへドリーをめぐる恋愛描写も、いかにもドイル好みの秘めやかなロマンス。
 
 クライマックス、物語はユートピア譚から、ドイルが晩年のめり込んでいた心霊・オカルトの世界へ。全能の邪神、“黒面魔王”バール・シーパと、マラコット博士の息詰まる一騎打ち。初めて読んだ時は、洗練されたSFに、得体の知れない何かが割り込むダイナミックな展開に、驚き、興奮したもの。今でも、エンタティメントというと、この作品がまず思い出されてしまう。 
マラコット深海 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:マラコット深海 (創元SF文庫)より
4488608019



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