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百年法



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百年法の評価: 8.87/10点 レビュー 15件。 Sランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.87pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全3件 1~3 1/1ページ
No.3:4人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

個人が老いなくなった時、国家や人類は老いる

一言で説明すると不老不死の技術が実現した時に日本はどうなるのか、という設定の元描かれたSF小説。ミステリ、推理小説の枠組みには入らないと思います。
上下巻でそこそこの分量があり、作中で50年以上の時間が経過する壮大なストーリーですが基本はエンターテイメント小説なので読みやすいです。

ほぼ全ての日本人が成人年齢を超えるとHAVIと呼ばれる、不老不死になる処置を受けるという世界。ただし法律で100年後には強制的に安楽死させられる。
本当に永遠に個人が生き続けたら人口はパンクしてしまいますので少し考えれば子供でもわかる当然の処置です。
どのみち普通に人生を送って120歳まで生きることはほぼ不可能ですし、仮にその年齢まで生きたとしてもその間の老いの悩み・問題からは逃れられません。
だから当然100年後に死ななければいけないと判っていても作中の人間はほぼ全員がこの処置を受けますし、この作品を読んだ読者もほぼみんな「自分も受けたい」と思ったのではないでしょうか。

そんなまさに全人類の夢が実現したような世界なのですが、正直個人レベルで見ても全体レベルで見ても、人々は全く幸せそうには見えず、どちらかと言えば夢のない世の中が広がっています。
そして「まぁ実際この技術が実現したら、こんな感じになるだろうね」と思わされてしまうものでした。
それはひとえにこの作品が個人レベルでも全体レベルでも「人間とはこういうもの」という描写が上手く、説得力があったからだと思います。

個人的にこの作品を見て感じたのは、本来生物というものは全体がまた一つの生き物のようなもので、種全体の存続、繁栄のためには個は細胞が新陳代謝を活発にするように適度に入れ替わらないと、全体として停滞、それどころか逆に「老化」してしまうものなのだなということです。
人は有限だからこそ、老いるからこそ今を大切に生きられるなどという言葉は、普段はなんか説教臭くて嫌いなのですが、この作品を読むと理屈と感情双方で納得が出来るような気がしました。

また読んでいて面白いと思ったのは他の人の感想にもありますが、この作品は自分の意思でHAVIを受けていないケン以外の人間はみな外見的には20代のはずなのですが、思い浮かぶイメージが実年齢通りのヨボヨボのおじいさんおばあさんまでは行かないまでも、いい意味では大人の貫禄のある、悪い意味では疲れの見えた40代・50代ぐらいの見た目なってしまうことです。(ある意味歌野氏の例の作品の逆バージョン的なものを感じますw)
これは実際作者も意図している所で、この作品の実写版をケン役意外は全員20代の若手役者で作ったら面白そうと思う反面、叙述トリック作品並に映像化せずあくまで文字で想像する作品だからいいのではないのかとも思いました。



▼以下、ネタバレ感想

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マリオネットK
UIU36MHZ
No.2:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

百年法の感想

SF設定を取り入れた歴史IF小説ですね、パラレルワールドという見方もできなくもないですが時代のリンクを考えると現代の日本とは違いが大きすぎるので受け入れにくいですね。また、ミステリー小説ではありません。

設定は特殊ですが、世界観及び説得力が現実的に表現されているので、単純なフィクションとは違いちょっと想像力を働かせると身の毛のよだつ怖さも感じます。登場人物達も世界観の中で論理的に思考してるのが伝わるので違和感なく受け入れられ物語に没頭できました。この辺の筆力は見事です。

ただ、惜しむらくは裏設定が個人的に希薄に感じたのが残念です(詳しくはネタバレで)

▼以下、ネタバレ感想

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mkaw11
HAAP6CBX
No.1:4人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

百年法の感想

面白かった。
永遠の若さを手に入れられるが、人類の世代交代を促す為に100年後に死ななければならない。
この設定だけで特異な小説なのですが、内容が非常にリアルに描かれている為、違和なく没頭できました。

こんな事が現実に起きたらどうなるんだろう?と考えた時の可能性が、非常に練られたシミュレーションとなっているのが見物。
不老な為、年齢の関係ない自由恋愛や別家族を新たに作り直すファミリーリセットや、100年目を迎える人々の受け入れ方や反発心などの感情面、100年生きられると認識している場合、活動が怠惰になり経済面が衰退するなど、作中に出てくる未来を暗示したMレポートが本書自体のような錯覚を得ました。(作者名の宗樹レポートなんちゃって)

余談として、不老世界な為、絵面を想像すると皆20代付近の容姿なのが面白い。会話の言葉遣いで立場や貫禄を読者にイメージさせているのが作家の技だなと思いました。

▼以下、ネタバレ感想

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egut
T4OQ1KM0

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