秋の花
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初版刊行(参考)
種別
長編
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評判
秋の花の評価:
7.33/10点 レビュー 3件。 B ランク
秋の花の総合評価:
8.32/10点 レビュー 25件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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季節は秋。
20歳の「私」は卒論を芥川に決め、取り組みはじめた。
卒業まで残り一年半。
「時」の流れを感じる「私」であった。
ところで、最近「私」の周りに時が止まってしまった人がいた。
津田真理子。
「私」が小学生の頃から顔見知りの、3歳下の後輩。
彼女は文化祭準備の合宿の夜、屋上から転落死した。
「私」にはもう一人、顔見知りの後輩がいた。
和泉理恵。
津田さんの葬式の際の彼女は、まるで影のようであった。
「私」はというと、悲しみよりも驚きがまさった。
「私」より年下の少女の一生が「私」の人生の中にすっぽり収まってしまうという不思議な感覚。
ある日、「私」の郵便受けに奇妙な封筒が入っていた。
中身は多少落書きのある教科書見開きのコピー一枚。
そこでは何故かアダム・スミスの「見えざる手」にマーカーが引かれていた。
また別のある日、和泉さんが学校にも行かず、ぼんやりと痛ましく座っていた。
「私」の家から見える場所で、見つけてといわんばかりに。
彼女によると、コピーは津田さんの教科書のものだが、津田さんの政経の教科書は棺に入れ火葬した。
存在しないはずの教科書のコピーがなぜ存在するのか。
そもそもなぜそれが「私」のもとに送られてきたのか。
「私」と円紫さんシリーズ第3作目。
シリーズ初の長編であり、初の死者。
はたして事故の真相は。
「私」は何を思うのか―・・・
前2作は「私」の日常の謎を取り扱う、いわゆる「死なないミステリ」です。
短編集ですが一連の流れがあり、その中で「私」が「大人」になるため清濁受け入れていきます。
ミステリであり、「私」の成長記でもあります。
メッセージ性が強く、推理に関しては伏線ももちろんありますが、正直想像力で補う箇所も多いと思います。
今作はシリーズ初の長編であり、一人の少女の「死」からはじまるミステリです。
全2作と異なり「死」にまつわるため、前2作よりミステリの印象が強いです。
推理も割合前2作より想像力で補う箇所が少なく、しっかり伏線を回収し組み立てていけると思います。
犯人当てというより、事故の真相について考え、その流れで著者のメッセージが浮かんでくる感じです。
今作も前2作同様文学作品からの引用があります。
推理のための伏線であり、今作を理解するためのヒントやメッセージでもあります。
長編だからか、前2作より引用や語りがより多く感じます。
私が教養不足なだけかもしれませんが、馴染みがない作品の引用や語りが多いです。
文学少女な「私」はもとより、友だちとの文学談義。
前2作までは一つ賢くなった程度にしか思いませんでしたが、今作は諸所で評論を読んでるようで、少し疲れます。
友だちとの会話も高尚すぎて、女子大生の会話としては違和感があります。
今作はただの事故の真相を考えるミステリではありません。
明日を迎えることができなくなった少女の人物像。
残された者の苦しみ。
日常において転落死は身近ではありませんが、「死」に伴う喪失感や欠落感は誰しもが抱くものです。
「死」を通じて、「生きる」ことについて考えさせられます。
今作は死者がいるため、前2作のように甘酸っぱくとか、爽やかに締めるわけにはいきません。
生きること、そして救いについて考えさせられる、切ない一冊です。
▼以下、ネタバレ感想