天狗の面
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初版刊行(参考)
種別
長編
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評判
天狗の面の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 C ランク
天狗の面の総合評価:
8.00/10点 レビュー 11件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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ぴょんぴょん跳んでいる。月の光を浴びながら跳びまわってる。
いったい何してるんだ? このばあさん、いったい何してごじゃる?
「きちがいじゃが仕方がない」もしこのひと言が、この発言場面が
『獄門島』の代表場面、『獄門島』というクレイジーな探偵小説の
核心であるとするなら、この「ばあさんピョンピョン」こそは、この
『天狗の面』の核心であるに違いない。ばあさんはいったい何をしてたのか?
もちろん読めば分かる。分かれば普通の読者は「うえっ!」と思うに違いない。
特に男性読者は「まじかよ」と思うだろう。女性読者だって「ひー」だろう。
私も「おげげげ」とのけぞった。間違いなくこの小説のもっともクレイジーな部分だ。
いまも生々しくこの作品を思い出すことができるのは、この「ばあさんぴょんぴょん」が
あったればこそだ。それ以外は、むしろ、あまり感心できない部分の方が多かった。
すでに五十年前の探偵小説だから、というわけでもない。横溝正史の長大な田舎怨念
連続殺人を浴びるほど読んだあとで、それで、それらの半分ほどの厚さしかない本で、
やっぱり閉ざされた田舎の、一種の特異な怨念ミステリで、これじゃあ(好き嫌いは
別にしても)まったく喰い足りない。おまけに、作者自身が初刊本のあとがきで
「そういう風にはしたくなかった」と言いながら、神津恭介みたいな爽やかな青年名探偵が
出てきたり、ちょっとちぐはぐなんじゃないかな、などと不遜な読中感想をいだきながら
読んでいて、それで、結末の手前で出くわした「ばあさんぴょんぴょん」。思わずのけぞり
ながらも、これだ、これがこの作者のクレイジーだ、そう感じて妙な安堵感を得たのも事実です。
この「クレイジーさ」というのは「うへっ、そこまでやるかよ」という、読者の、いささか
マゾヒスティックな「うれしい悲鳴」のことです。乱歩にも横正にも、その他、本格だろうが
変格だろうが、語り継がれている作品には、みんなそれがあります。この『天狗の面』にも
ありました。少なくとも「ばあさんぴょんぴょん」の部分に、私はそれを感じました。
皆さんはどうだったでしょうか。カーばりの作風とか、本格ミステリとか(自分にはこれが
本格とは思えませんでした)そういう点での感想はよく聞きますが、あの「ばあさん
ぴょんぴょん」について書いている人には遭遇したことがありません。なぜでしょうか。
最近では、単純に自分が勘違いしているだけなのではないか、そんな恐怖にすら襲われます。
本当のところは、どうなのでしょうか。