記念樹(メモリアル・トゥリー)
【この小説が収録されている参考書籍】 |
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt |
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鮎川哲也と十三の椅子1990年の最終候補四作のなかの一冊です。最後の解説に鮎川哲也氏が書かれていますが、有栖川氏ものんびりとは構えているわけにはいくまい。有望な新人が出現したものだ。と。しかし、この後この人はこの『記念樹メモリアル・トゥリー』の他に『歳時記ダイアリー』、『肖像画ポートレート』『夜想曲ノクターン』の四作と短編数作を書かれたあと作品を発表されていません。クイーンに傾倒する作者らしい論理でストーリーを構築する作品で物語のなかのすべてのエピソードが謎解きの手がかりとなっています。お約束どうりフェア・プレイで書かれていることを証明するために読者への挑戦をしますというページがあり、必要な手がかりはすべて提出されました。論理的に犯人を決定することが可能です。とあります。この本は密室がテーマで、物語に出てくる全員の云った言葉、行動、表情までもが解決へのヒントとなっています。本格ファンには充分楽しめる内容といえるでしょう。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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鮎川哲也氏と13の謎での公募枠を今邑彩の卍の殺人と争い惜しくも落選した作品をリリースしたもの。 読者への挑戦付きで、同時期の有栖川有栖氏に勝るとも劣らない論理を主体とした本格推理作品であり、トリックと論理性では受賞作の今邑氏の作品を凌ぐものがある。ただ、文章が平坦であり、その点でミステリー界でも随一の文章力を持つ今邑氏と対決したのは分が悪かったと言うことだろう。 ただ、最終候補作で唯一出版が行われた作品でもあり、その後も意欲作を創元から出した著者のこともあり、本格推理作品としては非常に完成度が高い読み応えのある作品である。 隠れた名作と言えるだろう。 | ||||
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富岡秀之が所属する大学のゼミには、ミステリマニアの多根井理や奇術が 趣味の高屋和彦などがおり、親睦を深めるために、合宿を行ったりしていた。 合宿からしばらく経ったある日、ゼミ生の一人が、電話ボックス から電話をかけていた際に、何者かに刺殺される事件が起きる。 続いて、別のゼミ生が、密室状態の自室で殺害される第二 の事件が起き、さらに、第三、第四の事件まで起きてしまう。 果たして犯人は、ゼミ生の中にいるのか……? 印象的な手がかりと、そこから引き出されるロジックが秀逸な本作。 第一の事件は、当時をしのばせる電話ボックスが 舞台で、それにまつわる小道具の扱いが巧妙です。 勘違いに勘違いが重ねられた結果生じた不可能状況なのですが、 前述した小道具――厳密にはそこに残されていた被害者の痕跡 ――をもとに構築されるロジックによって明快に解き明かされます。 一方、第二の事件のほうも、第一の事件に輪をかけてイレギュラーな 要素が入り込み、錯綜した様相を呈しているのですが、こちらも、ある 小道具――犯人の心理としてあり得ない状態のままにされていた―― をもとに構築されるロジックが冴えています(ただ、偽装工作のために 現場に残されたある物について、鑑識の調査に穴があるのは不自然)。 そして、最終的に犯人を導き出す消去法の決定的条件――読者の心理的盲点を突く ある事実――が、冒頭に抜け抜けと、伏線として忍ばされていたことには脱帽でした。 | ||||
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