(アンソロジー)
英国幽霊屋敷譚傑作集
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やたらに暑い日が続く今日この頃、せめて往年の納涼怪談特集的なものを求めて購入してみました。 あまり佳作と思える作品は多くなく、幽霊スポット探訪の実話と変わらないようなもの、幽霊の因縁話をダイジェストしたような味気のないものもありますが、まあ目くじらたてずに古い怪談映画を見ていると思えばそれなりに「涼しさ」を得られるのではないでしょうか。 ●シャーロット・リデル「開いた扉」 ヴィクトリアン・ゴーストストーリーと言えば定番となった感のあるリデル夫人の作品。かって殺人が行われたラドロー屋敷。現場となった部屋の扉は「殺害犯が捕まるまで決して扉が閉めきられることがない」とされ、何度施錠しようと必ず開かれてしまうという。 主人公の若者は上司の命令でラドロー屋敷の謎を解くため乗り込むことになるのだが・・・・。任務を請け負うやいなや賃上げ交渉しようとしてクビになってしまうという、しようのなくも憎めない主人公の造形がリデルらしい。やっと捕らえた幽霊らしき女が実は・・・というツイストが効いている。 ●マーガレット・オリファント「開いた扉」 江戸川乱歩が「透明怪談」の代表作とした佳篇。廃屋となった古屋敷の一角をなす低い破風のある棟。内部は崩れ落ち、扉もなくなった勝手口だけがぽっかりと開いている廃墟。だがそこから「ぼくを中に入れてよ、母さん!」という悲痛な泣き声がするという。それを聞いて心を痛め床に伏した少年に頼まれ、ゴーストハントに臨む父親が主人公。軍人らしい現実主義者で、自らは幽霊を信じていないにも関わらず息子の「父さんならなんとかしてくれる」という全幅の信頼に応えようとする父親と、科学的懐疑主義の権化のような冷笑的な医者のキャラクターの対照の妙が面白く、これといったショックシーンもないのにクライマックスに向けてぐんぐん盛り上がっていく緊張感が素晴らしい。 ●アーサー・コナン・ドイル「ゴアズソープ屋敷の幽霊選び」 成功して引退した食料品店の主人が封建領主の由緒ある邸宅、ゴアズソープ屋敷の主となった。屋敷は成金的な主人の趣味を完全に満足させたが、ただ一つ、由緒ある屋敷にあってしかるべき幽霊が存在しない。そこで彼は伝手をたどってロンドンから幽霊を移転させようとするのだが・・・・ やたらに幽霊好きな英国人気質をからかった、出色の幽霊屋敷譚のパロディ。作者ドイル自身が後年オカルト詐欺に引っかかったとされる史実を踏まえるとさらに楽しい。 なお最近出版された中公文庫のドイル短編集『ササッサ谷の怪』に別訳があります。 | ||||
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