ブルックリンの死
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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アフリカ系アメリカ人女性の初ミステリー。2021年度アメリカ探偵作家クラブの最優秀ペーパーバック賞などを受賞した、シニカルでファンタジックなミステリーである。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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主人公は離婚して母親の住むブルックリンの実家に戻ってきた黒人女性シドニー。歴史の香り漂う褐色砂岩の家が立ち並ぶ街並みを愛する彼女は、昔からそこに住む黒人たちを無視して白人中心でのみ語られるタウンツアーに腹をたて、自分たちの考える「街」のツアーを計画する。新たに彼女の家の前に越してきた白人男性セオの協力を得て古株の住人たちから話を聞いたりしているうちに、彼女の周囲にはおかしなことが起こり始める。次々に姿を消す住民たち、執拗に家を売るよう訪ねてくる不動産業者、新しい住人たちによるコミュニティの不協和音、いつの間にか経営者の変わった店舗・・・・・。 ついには警察までが敵対し、彼女自身の身にも危険が・・・!! 途中までは黒人女性と白人男性のコンビによるバディムービー的なサスペンスとして読んでいたのだが、後半1/4ぐらいからトンデモ展開になっていく。 住民の拉致・殺人も辞さない「不動産業者の社員」やら民族浄化レベルの薬物実験を行う私設収容所まで登場し、主役二人は群がる敵を殺しまくり。(セオは昔マ〇ィアだった、という背景設定がつく) これでどうやってオチをつけるんだ、と思っているとほぼファンタジーなラストに。 歴史探訪ツアーの件はどこ行った!? 結局、著者はブラック・ライブズ・マターがらみでネットに溢れた陰謀論を集めて「差別」を主張したいだけなのだろう。 黒人に選挙権を与えないため土地所有を許したくない、しかし法的に禁じるわけにはいかないので白人の支配する銀行が融資の段階で”調整”してきた、という過去の構造的差別のエピソードなどにはリアリティもあるのだが・・・。 しょせん門外漢の日本人にはエキセントリックなまでの暴走ぶりにはついていけないものがありますね。 | ||||
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硬質でシニカルな文体が小気味いい。物語も面白い。ジェントリフィケーションという言葉を初めて知った。 | ||||
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アリッサ・コールの2020年9月刊行の作品。2021年エドガー賞オリジナルペイパーバック賞受賞作。 ○アリッサ・コールはアフリカ系アメリカ人作家で、多作のようだが、本書が日本デビューである。 ○訳題の『ブルックリンの死』は絶妙な訳題と言えなくはないが、哀愁ミステリー、正統派警察ミステリー、正統派ハードボイルドのような内容を期待していると裏切られる。これはホラーに近く、バイオレンス要素を有するスリラー・サスペンスというのが実体に近いかなと思う。原題はWHEN NO ONE IS WATCHINGでこれもなかなかいい題である。 ○ネタバレに注意しつつ分類してみると、不動産ミステリーで、連続失踪ミステリーで、人種差別テーマミステリーで、医学サスペンス要素もあり、何よりも町ミステリーである。つまりブルックリンミステリーである。 ○主人公は離婚してブルックリンの実家に戻ってきた黒人女性シドニー、相棒もどきが恋人と共同でシドニーの向かいの家を買ったのに恋人に逃げられてしまった白人男性セオ。叙述はシドニーの1人称とセオの1人称が交互に出現するが、シドニーのほうが長い。 ○事件は、町の古くからの住民が次々といなくなり、代わりに新しい住民が引っ越してくる。古い住民はどこに行ったかわからない。シドニーは歴史探訪ツアーのため調査を始め、町の恐ろしい歴史の一端に気づく。そして、親友も失踪してしまう。 私的感想 ○面白かった。良くできたスリラーサスペンスである。 ○原本のアマゾンレビューを見ると、現時点で3286の評価と255のレビューが載っている。批判されている点が面白い。①シドニーにもセオにも感情移入しにくい。②前半がモタモタしている。ちょっと長い。③後半がグロテスク。④現実味に乏しい。4点とも一応当たっていると思う。 ○これらの点について、私は①簡単に感情移入させないのが作者のわざである。②前半はじっくり書いている。③後半はダイナミック。④物語的リアリティーはあると思う。 ○セオはともかく、シドニーはだんだん好きになってきた。 ○全体として、作者の大仕掛けは成功していると思う。 | ||||
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