青鉛筆の女
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凝った構成の物語ですが、文句無く傑作のひとつといえると思います。 読み込んで、想像力を働かせないと分かりにくい点もありますが、利己的であったり、差別的な人間の負の面を巧みに描いていると思います。 特に時代に流されて差別的になる人々を表面的に描く一方で、その中に混じる利己的な人間の悪意をその奥に垣間見せる物語を読み解いていくことは、小説の醍醐味といえるでしょう。 | ||||
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帯紙には「三重構造の超絶技巧ミステリ!」などという売り文句が躍る。2015年発表の米国ミステリである。マカルパイン作品は初読。 三重構造というのは、(1)1945年刊行のパルプ・スリラー、(2)編集者(欧米の編集者は原稿に青鉛筆でコメントを書き込むらしい)からの手紙、(3)手書きの原稿の束、のことで、これらが順繰りに読者に提示されていくことを指している。 冒頭、ハンフリーボガード主演「マルタの鷹」が上映されている映画館で物語の幕は上がる(個人的に最近同作を文庫で読んだばかりで、おおぉと思った)。読み進めていくと、これら(1)~(3)の3つはどうやら互いに関連性があるらしいことがわかってくるのだが、なぜそういう自体になっているのかは謎のまま。(1)と(2)が相互に干渉していることはうすうすわかってくる。(3)はなんだかSF仕立てのような気もしてくる。ちょっとご都合主義な展開とか何だかなぁと思いながらも読み進めていくと、ところどころにおやっと思う微妙な記述。前のほうで出てきたアレに関係しているのか?と。謎はしかし綺麗な解決を提示されることなく強引に本編は終了、後日談が語られて全ては終わってしまうのだ。 やや不完全燃焼な気持ちで解説を読み始めて、瞠目。わたし日本人ですが、第二次大戦中に米国の日系人が直面した厳しい状況については殆ど無知で(『バンクーバーの朝日』は映画館で見たけれど)、それゆえ読後感が不完全燃焼だったことが分かるのだ。歴史的事実をいろいろ後付けで(webで)調べていくうちに、著者が仕掛けていた伏線に気付くこと気づくこと。ううーんこれが帯紙の三重構造だったのか、青鉛筆女史の言動もそれを踏まえると意味あいが違ってくるし、表紙もそういう意味・・・色々な意味で無念・・・。初期の西村京太郎ミステリにも通じる何か。 くやしいので再読するか。 | ||||
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本書は、 1)日系アメリカ人作家サトウ・タクミが、同じく日系人の主人公 サム・スミダが妻のキョウコ殺しの謎に挑むミステリー 「(仮題)キョウコ殺人事件」の『改訂版』の抜粋 2)真珠湾攻撃の影響で、ウィリアム・ソーン名義で書かされた 『オーキッドと秘密工作員』の抜粋 3)出版社の副編集長からサトウ・タクミへの手紙 の3つのテキストを交互に配置して構成されている。 単にこれだけを普通に読むと、凡庸な作品に読めるかもしれないが、 書かれなかった背景に思いをはせるとなかなか深いと思う。 特に、 真珠湾攻撃の影響で、日系人への憎悪がはげしくなったため、 日系人を主人公にした小説はボツにするしかない、しかし、 同じ東洋人、例えば朝鮮人の主人公が卑劣な「ジャップ」の スパイ組織と戦う内容なら売れるかも、と編集長に言われて 心にもない作品を書かされるサトウ・タクミの心中を察すると、 今日の日韓関係(韓国の態度!)にイライラしている日本人にこそ 身に染みて迫ってくる。 たまたま手に取って読んで、初読から面白かった。 これは掘り出し物、再読するたびに印象が深くなるかも。 | ||||
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2本の作中作と、編集者の手紙が交錯する構成、あらすじの煽りから、叙述による技巧的な大どんでん返しを期待するかもしれませんが、本作はそういう作品ではありません。 そして、非常にわかりにくい作品でもあります。 私も初読時は意味不明で、「あれ、これで終わり?」と思ったものでした。 そういう人は少なくないのではないでしょうか。 結論から言うと、本作は最終的に、テキストを書いた彼らの背後の状況、人物像が立体的に浮かび上がるようになっているのです。 これらは作中にはっきりとは書かれておらず(そうすることで余韻を残す意図なので、書くと作品にならない)、解説もそれをほのめかすに留めています。 確かに「答」を書くと趣を欠いてしまうのですが、解説ではさらに踏み込んでネタばれしてもよかったように思います。 くわしくは各種ネタばれレビューを検索してもらうとして(インターネットは便利ですね)、技巧的におもしろいと思ったのは、テキストの順番です。 解説で指摘されている特定ページの2行は、そのテキストが書かれた日付であり、それは読者の素直な解釈とは違うもののはずです。 7Pの記述とともに、そのとき著者がどのような状況におかれていたかを考えれば、作品の意味も、テキスト同士の関係性も、読者自身が見る「絵」もちがってくるでしょう。 総論としていえば、このような方向で「凝りに凝った」作品は、日本のミステリではまずお目にかかれないでしょう(どちらが上うんぬんではなく)。 いろいろと「ああ、そういうことか……」と解釈した後の読後感、感慨には独特のものがあり、比肩するタイプの作品がちょっと思い浮かばない。 すごい作品なのは確かです。 何じゃこりゃ、で終わらず、もう少し踏み込んでいただくと、私みたいに評価が変わってくるかもしれませんよ。 | ||||
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ハードボイルドとSFの手法を駆使して、小説家になりたい男と大成させたい女の姿を描いた純文学、といったところだろうか。 偏っていない読書をしている方なら、きっと面白く読めると思いますよ。 | ||||
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