竜を駆る種族
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登場人物は少ないのですが、人間側が3つの陣営に別れ、それに爬虫類型のエイリアンの侵略が加わって、なかなか複雑なストーリーになっていると思います。 話を面白くしているようそのひとつが各陣営間でまったく価値観、倫理観が相容れない点を挙げることができると思います。このため、話し合いで解決しようとしても、同質性よりも異質性のほうが浮き上がってしまいます。やり取り自体は、価値観のずれがユーモアすら漂わせますが、分かり合えないものとの争いが、徹底的な殲滅戦となり、より悲惨さが強調されているように思います。 また予定調和を否定する展開や、「金剛」、「阿修羅」、「青面夜叉」などの竜の品種、「上鬼返し」や「星屑ヶ原」のような地名に代表される訳語に代表されるエキゾチックな雰囲気など、短いながら読みどころの多い作品だと思います。 | ||||
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「竜を駆る種族」は1963年ヒューゴー賞(短編部門)を受けたヴァンスの代表作。実際は短編でなく中編であるが、ヒューゴー賞中編部門が新設されたのが1967年からであるが故。本書の末尾の作者紹介欄によると作者は「奇怪な世界と異様な文化を活写する個性的な作風」だそうですが、竜は竜でなく、阿修羅(アシュラ)、韋駄天(イダテン)、一角竜(イッカクリュウ)、巨蜘蛛(オオグモ)、金剛(コンゴウ)、青面夜叉(ショウメンヤシャ)、羅刹(ラセツ)といった類名で記されている。これらの竜の類名は、作者ヴェンスの造語を訳者が工夫のうえ訳語を充てたもの。 そして、ここでは人が暮らすエーリスというさいはての惑星が舞台であり、エーリスは異星コラリンから過去に六度、とかげと呼ばれたベイシックの侵攻を受けていた。その際に人はそのとかげを捕らえて、飼育・交配し、できたのが上記の名称の竜で、現在奴隷戦士に仕立てられている。現在のエーリスではアービス・カーコロの一族とジョアズ・バンベックの一族とが対立して、竜を仕立ててお互いに争いを繰り返している。またエーリスには、波羅門(バラモン)と称する古くからの民もいる。エーリスの竜とは、よくあるファンタジーの「竜」とはまったく趣が異なっていて、「竜」ではなくむしろ「蜥蜴」といった印象が合っている。そしてそれを二つの一族が「蜥蜴」を操って戦いに呉れている日々。実際ファンタジー小説のような物語の展開はなく、ここでは延々と戦いの描写が続いていく。9章からは、異星人ベイシックの侵攻が始まり、ベイシックも過去にエーリスに侵攻した際に人を捕虜とし育成し、今回の侵攻にベイシックも奴隷戦士としてそれらを探索兵、重装歩兵、掌砲手として引き連れている。お互いが奴隷戦士を使っての血生臭い戦い。こういった人類の危機に際し、対立するカーコロ一族とバンベック一族は結束することはないが、結局本作の終わる13章にはどうやら人は異星人ベイシックを撃退する。 ところで、2章まではジョアズの祖父のカーガン・バンベックの話。最終頁は225頁でしたから、長編を読み終えるほどの労力は必要とはしない。40頁「幸いの谷の人口が旧に倍しているにもかかわらず」の「旧」は誤植で「急」が正しいのだろうか?末尾に「2006年発行」とある前の頁には「本書は、一九七六年十二月に刊行されたハヤカワ文庫SF『竜を駆る種族』の新装版です。」とあるのだから、きっと誤植は直されずにそのまま引き継がれたのだろう。 | ||||
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アメリカのSF作家【ジャック・ヴァンス】が、1962年に発表した傑作SF小説が本作品です。内容的には娯楽作品なのですが、やっぱり面白いです。今から遥か遠未来。惑星エーリスを支配するバンベック家とカーコロ家の領土争い。両家とは別に惑星エーリスにおいて隠遁生活を送る瞑想的なバラモン一族。永い時を隔てて何度も惑星エーリスに侵略軍を宇宙から送ってくる竜型エイリアンのベイシック。これらの勢力の四つどもえの戦いが、実に魅力的に描かれています。本格SFとヒロイック・ファンタジーを融合した上に、隠し味として神秘主義をまぶし、最後は娯楽作品に仕上げた非常に魅力的な傑作です。21世紀を迎えた今、20世紀中期の古典的【サイエンス・フィクション】を読むというのも、また楽しいです。今振り返ると、20世紀のSFは本当に【宝の山】です。興味がある方には、オススメします。面白いですよ。 (追記) 21世紀を迎えた今、20世紀の文化を【歴史的遺産】として研究するのも、また楽しいです。20世紀の歴史や文化は今となっては、冷静かつ客観的な研究対象として見られるようになりました。21世紀という時代を生み出した20世紀という時代を研究するのも、また面白いですね(笑)。 | ||||
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