(短編集)

クイーンのフルハウス

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短編集
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あらすじ

1979年08月31日 クイーンのフルハウス (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-28)

殺されたのは国防省のある極秘計画に協力していた博士で、手にはメモ用紙が握られていた。しるされた手書きの文字はEと読めたが、紙片を回転させると今度はMに、さらには3、Wにも見えてきた!博士が書こうとしていた文字とは?ツイストのきいた「Eの殺人」をはじめ、魅力いっぱいの五篇を収める傑作短篇集(「BOOK」データベースより)

評判

クイーンのフルハウスの評価:

7.00/10点 レビュー 1件。 C ランク

書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点7.00pt

クイーンのフルハウスの総合評価:

6.75/10点 レビュー 4件。

感想一覧

サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

全1件 1〜1 1/1ページ
No.1
(7pt)

クイーンが後期に繰り出した手札

3編の中短編と2編のショートショートを並べ、ポーカーのフルハウスに準えた作品集。
構成も3編の短編の間に2編のショートショートが挟まる、ちょっと変わった構成になっている(目次では短編の目次にショートショートの目次が別々に表記されているため、その構成が解りにくくなっている)。

作品集の先陣を切るのは『ドン・ファンの死』という中編。なんとライツヴィル物。
『エラリー・クイーンの国際事件簿』に「あるドン・ファンの死」という作品があったのでてっきりそちらかと思ったのが、全然違っていた。あちらは犯罪実録物であるのに対し、こちらは純然たるエラリイ・クイーンが活躍する作品だ。
演劇の幕間で起きた殺人事件。被害者が末期の息吹と共に告げた犯人を示唆する言葉は「ザ・ヘロイン」。これでほとんど犯人は一人に絞られたもので、しかも凶器のナイフの所在は解っている。全てがヒロイン役のジョーン・トルースローを指しているのだが…という事件にエラリイが挑む。
ライツヴィル物というのがクイーン読者の興趣を誘う。しかしかつてのライツヴィルも年月の流れと共に人も過ぎ去り、エラリイの顔見知りの人物も少なくなっている。これは変わりゆく当時のミステリシーンを示唆したものかもしれないが、そんな中でも新任警察署長のニュービイに疎まれながらも事件に関わるのがけなげ。
ダイイング・メッセージの意味は案外簡単に解る。こういう時に翻訳物の限界を感じてしまうのが哀しい。
また犯人も物語の半ばで解った。事件としてはやはり小粒か。

次の「Eの殺人」は幕間の息抜きとも云えるショートショートミステリ。
ショートショートミステリということで限られたページ数で切れ味鋭い真相を明かさなければならない。それ故推理もどんどん進み、読者に考えさせる暇を与えない。

続く「ライツヴィルの遺産」もタイトルにあるようにライツヴィルが舞台になっているが、お馴染みのデイキン署長が健在なので時系列的に「ドン・ファンの死」よりも前。
資産相続のトラブルという極めてオーソドックスな内容の1編。犯人の動機と犯行は解るものの、犯人の決め手となる罠にはいささか疑問が残る。
色んな部分で整合性が取れないバランスの悪い1編だ。

次はまたもや幕間のショートショートミステリ「パラダイスのダイヤモンド」だ。賭博場で人気女優のダイヤが盗まれ、犯人もすぐに捕まるが、肝心のダイヤが見つからないといった話。
先の「Eの殺人」もそうだが、ミステリとしてはいささか弱く、逆に小咄のような作品だ。これも間抜けな犯人が最期に息を引き取る前に漏らした言葉「ダイヤモンド・イン・パラダイス」というダイイング・メッセージ物で、「ドン・ファンの死」同様、英語のカタカナ表記にせざるを得ないメッセージなのが残念。
ダイイング・メッセージ物は異国の作品だと言葉の違いという壁に突き当たるというのがこの2編でよく解る。

最後を飾るのは「キャロル事件」。クイーン警視とヴェリー部長刑事が登場する。
後期クイーンの、登場人物も少なく、また明らかに犯人と目される人物が犯行を犯したように見える事件をエラリイが解決しようとする物語。不可能犯罪や派手なトリックはなく、純粋にロジックで、しかも人の心理でさえもそれで解き明かす趣向となっている。
『災厄の町』、『フォックス家の殺人』、『十日間の不思議』などの一連の作品に連なる重い読後感を残す作品となっている。事件の真相自体は正直大したことはない。その物語の最中に語られる出来事がこの意外な真相を持たない事件にどんな意味があるのかを明らかにする。
人間の一見筋の通らない行動でさえもそれが何のためになされたのかをエラリイが陳述する時、実に人間臭い真相が現れてくる。


ライツヴィル物2編にショートショートミステリ2編。それに1編にクイーン警視とヴェリー部長刑事が登場するファンの心をくすぐる作品集…といいたいところだが、『エラリー・クイーンの冒険』などの初期の短編集と比べるとその出来栄えは必ずしも高いとは云えないのが哀しい所。

本書が出版されたのが1965年。長編では『三角形の第四辺』が発表された年。この頃は1963年に『盤面の敵』、1964年に『第八の日』と立て続けに他作家によるクイーン名義の作品が発表されていた時期であり、書評家たちが云っているように決して作品としては出来のいいものがあった時期ではない。各編の書かれた時期は寡聞にして不明だが、晩年の作品集であることには間違いはないようだ。

正直云って幕間劇のように挿入される2編のショートショートミステリは単なる筆休めのような軽い作品でロジックや推理の妙を愉しむわけではなく、純粋にオチを愉しむ作品となっている。この出来が良いかどうかはファン度の強さによるだろう。

中短編3編はエラリイのロジックが披露される純然たるミステリ作品。

凶器に使われたナイフの奇妙な窪みから犯人を絞り出す「ドン・ファンの死」。明白な動機を持つ兄妹の母殺しの意外な犯人が明らかになる「ライツヴィルの遺産」、そして容疑者の無実を晴らすためにエラリイが介入する「キャロル事件」。

「ドン・ファンの死」はクイーンの十八番とも云える小道具からロジックを組み立てるミステリで、これはなかなかの出来。

「ライツヴィルの遺産」は意外な犯人ありきで作られたようなバランスに欠く1編(しかし余談だが本編の登場人物の一人、恋多き娘オリヴィアの綽名が「ガガ」というのは面白い。レディ・ガガはこのことは知らないのだろうなぁ。なんせ本国アメリカではクイーンは既に忘れられた作家らしいから、彼女の人生に関わっているとは考えにくい)。

本書では後期クイーンの諸作品のテイストを最も色濃く感じさせる「キャロル事件」が佳作と云えるだろう。事件そのものは地味で、明かされる殺人事件の犯人も驚きはなく、逆に肩透かしを食らった感はあるものの、エラリイが最終9ページに亘って開陳する推理の道筋と犯行に至った犯人の心理はなかなかに考えさせられるものがある。
逆に人間というものはそれほど論理的に行動する生き物ではないという、推理を超えた推理を見せられた気がした。

しかし本書もまた絶版の1冊である。今回図書館で借りて読んだのだが、何かのフェアで復刊してくれないものだろうか?
古典ミステリの新訳が活発な昨今、よろしくお願いしたいものだ。


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Amazonレビュー

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No.3
(4pt)

イマイチな作品がちらほら

ちょっと読むにはうーんという作品が散見されます。
よいと思えた作品は
最後に出てくる中編作品でしょうか。

この作品は従来の推理小説の
概念を取っ払わないとうまく読めません。
いわゆるあるはずのないまさかが
この本では起こってしまうのです。
ある意味反則ともいえましょう。

なのでまさかの展開を期待すると
別の展開のまさかがやってくるのです。

後はちょっと犯人の設定に無理があったりして
首を傾げたくなってしまいました。
クイーンのフルハウス (1968年) (世界ミステリシリーズ) Amazon書評・レビュー: クイーンのフルハウス (1968年) (世界ミステリシリーズ)より
B000JA448U
No.2
(3pt)

小粒ぞろいの短編集

クイーンの代名詞ともいえる「ロジック(論理性)」と「ダイイング・メッセージ」を主題にすえた短編&ショートショートが5編収録されている。「エラリー・クイーンの冒険」などの傑作短編集に比べると、若干見劣りの感は否めないが、「キャロル事件」のような、クリスティの「検察側の証人」に類する哀切調の作品も収録されており、クイーンらしさを楽しむことが出来る。
クイーンのフルハウス (1968年) (世界ミステリシリーズ) Amazon書評・レビュー: クイーンのフルハウス (1968年) (世界ミステリシリーズ)より
B000JA448U
No.1
(3pt)

短編集

寝る前に読むには、ちょうどいい感じで、なかにはそれなりに面白い作品もあり短編集としては十分だと思います。
クイーンのフルハウス (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-28) Amazon書評・レビュー: クイーンのフルハウス (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-28)より
4150701288
No.0
(4pt)

イマイチな作品がちらほら

ちょっと読むにはうーんという作品が散見されます。
よいと思えた作品は
最後に出てくる中編作品でしょうか。

この作品は従来の推理小説の
概念を取っ払わないとうまく読めません。
いわゆるあるはずのないまさかが
この本では起こってしまうのです。
ある意味反則ともいえましょう。

なのでまさかの展開を期待すると
別の展開のまさかがやってくるのです。

後はちょっと犯人の設定に無理があったりして
首を傾げたくなってしまいました。
クイーンのフルハウス (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-28) Amazon書評・レビュー: クイーンのフルハウス (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-28)より
4150701288
No.-1
(3pt)

小粒ぞろいの短編集

クイーンの代名詞ともいえる「ロジック(論理性)」と「ダイイング・メッセージ」を主題にすえた短編&ショートショートが5編収録されている。「エラリー・クイーンの冒険」などの傑作短編集に比べると、若干見劣りの感は否めないが、「キャロル事件」のような、クリスティの「検察側の証人」に類する哀切調の作品も収録されており、クイーンらしさを楽しむことが出来る。
クイーンのフルハウス (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-28) Amazon書評・レビュー: クイーンのフルハウス (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-28)より
4150701288

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