魂よ眠れ
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小説ではあるものの、日本人にはあまり馴染みのないアナコスティア地区が舞台の中心となっており、観光コースではないワシントンDC及びその周辺地域の事情が参考になって、大変面白い。ワシントンDCの郊外にある快適な住宅地であるシルバースプリング、黒人の中流階級が住むプリンスジョージ郡などという地名も出てくるし、訳者あとがきにも記されているように「ワシントンDC各地域の姿が本書でも見事に活写され、地図を片手に読むと面白さ倍増」というのは、まさに的を得ている。 作者は、ペレケーノスというワシントン生まれの作家である。ある意味やむを得ないことではあるが、ワシントンDCやその郊外に駐在したり、留学している日本人のほとんどは治安の良い地域に住んでおり、黒人街についての詳しい情報をあまり持っていない。そういう人たちに、黒人街の様子を聞いていも、「行ったことがない」という回答が返ってくることも珍しくない。ここまで黒人の人口比率が多いワシントンDC地区について、その一部しか知ろうとしない日本人滞在者が多いことが理解できる。私自身もDCは何回か訪問しているが、アナコスティア地区は出向いたことがない。 この本は、単なる娯楽として読むだけではなく、ワシントンDCやアメリカ論を学ぶ上でも大変参考になる。この書の中で、あるテレビ局関係者がアナコスティアの黒人を撮影しろと言われて、普通に仕事をしたり、草取りをしたり、子供を学校に送ったりする場面をおさめたら、飲んだくれたり、麻薬取引をしたりする連中を撮影しろとプロデューサーから批判されるという話が出てくる。ギャング抗争ばかりやっているのではなく、まっとうな生活をしている住民もいるということも理解した上で、この書を読む必要があるだろう。ホワイトハウスやウォール街の動きばかりウォッチしている日本人の目をさます意味でも、この書は大きな意味を持っている。小説とは言え、番外編の『ワシントンDCガイドブック』とも位置づけられる。 | ||||
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ワシントンDCを舞台にした“現代ハードボイルドの雄”ジョージ・P・ペレケーノスの黒人私立探偵<デレク・ストレンジ>シリーズの第三作。本書は、’03年度「ロサンゼルス・タイムズ・ミステリー/スリラー・ブック・アワード」の最優秀賞を受賞している。ストレンジは、まさに死刑判決が下されんとして拘置されている元ギャングのボス、グランヴィル・オリヴァーの依頼で、減刑のために彼に有利な証言をしてくれるであろうデヴラ・ストークスという女性を捜す仕事を引き受ける。ストレンジはオリヴァーの罪を憎みながらも、彼の父親の死に対する責任に苛まれていたからだ。一方、ストレンジの事務所にマーリオ・ダラムという男がやってきて、失踪した女の調査を依頼した。ストレンジの相棒で若い白人のクインが女の居所を突き止めるが、実はこの件には麻薬が絡んでいた。やがてすべての糸が一本によりあわされ、ストレンジとクインは、ストリート・ギャングの血で血を洗う縄張り争いのなかへと巻き込まれてゆく・・・。本書は、表面上は銃でもって簡単に人を殺すギャングの抗争を描いているが、その奥には本筋とは別だが十代、二十代前半でたやすく銃を手に入れ、若くしてこの世を去る事件の新聞記事にストレンジが眼を通しやりきれないものを感じるくだりがあるように、貧困、人種問題を背景にしたアメリカの、しかも首都の銃社会の暗部を抉り出している。本書は、ハードボイルドの形を借りて、ペレケーノスが過酷な現実をしっかりと見据えつつ、愚直なまでに正義の信念を貫き通そうとするストレンジを主人公に配して、男の哀愁を漂わせながら、この銃問題に希望の火を灯そうとしているのである。この『魂よ眠れ』という邦題はまさに言いえて妙である。 | ||||
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