悪魔に食われろ青尾蠅
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どなたかのブログにて紹介されていたことで読んでみた。 まず本書が1948年に書かれた作品である点には敬意を表したい。65年後の2013年に 読んだ僕としても、かなり怖さを感じながら読む体験となった。その意味では時代に影響されない 要素が少なからずある一冊ということなのだと思う。 本書の展開は非常にトリッキーである。筋を正しく時系列的に追う事は難しい。また、そもそも 何が起こったのか、若しくは何が起こらなかったのかが分かりにくい。それはそれで、作者の テクニックなのだとは思うが、十分に混乱させられたことも確かだ。もちろん、かかる混乱が 怖さの源泉であり、その意味で僕も作者の掌の上で本を読んでいたということなのだろう。 映画「エンゼルハート」を思い出した。 | ||||
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これはネタバレになるが、タイトルだけで結論の予想がついてしまう人がいるかもしれない。 それはともかく、妄想/回想部分の幻想的な文章(解説によればシュールレアリズムの影響を受けている)がとにかくクドい。大したストーリー展開もないまま主人公の感覚や意識に関する文章が長々と持って回った文体で続き、読んでいるとウンザリする。こういう部分が好きな人もいるのだろうが、私は途中から嫌になった。古典や純文学ならいざ知らず、あくまでも娯楽小説なのだから、もう少しテンポよく筋を運んでほしい。 妄想部分に伏線が仕込んであったりするので、あまり飛ばし読みもできないのが厄介なところ。全編通して読んでもそれほど面白くはなかったが、ラストの一節はさむけがするほど上手かった。病院の患者仲間?エラのエピソードなども主人公の辿る道を予感させるようで巧み。 | ||||
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主人公の女性が精神病院から退院するが、奇妙な出来事が頻発し・・・というストーリーのサスペンス。 兎に角冒頭から主人公の行為が不可解だったり、実際あった出来事かと思ったら主人公の妄想らしかったりと、読者を翻弄していく展開で相当薄気味悪い。更に中盤以降も主人公が体験することが実際に起こったことなのか主人公の妄想なのか判別できず、ラストに至って小説自体が暴走して自己破綻してしまうという恐怖のサスペンス。読み終わってそもそも冒頭から実は全て主人公の妄想だったのではないかと思ってしまうというとてもキモい小説。その本質はホラーに近いのではとも感じました。 今、こういう小説は当たり前になってしまって読みなれている人には物足りないかもしれないけれど、この小説の書かれた年代からすると、かなり画期的・前衛的試みだったのではないかと推測します。本国でリアルタイムで出版できなかったのも多分時代が早すぎたからではと思いました。きちんと評価されていたらもっと色々書いていたのではと思い、筆力のある方だけにもったいないとも感じました。 個人的には「死を呼ぶペルシュロン」の方が面白かったですが、こちらも歴史的価値とそれを抜きにして面白い、というかキモい小説として後世に読み継がれていくべき小説だと思いましたがどうでしょうか。 | ||||
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終盤に入って話が動いてからは、そこそこ読ませますが、そこまで行く過程が実に退屈です。伏線というか布石というか、その過程が無ければ勿論終盤の面白さもないわけだけれども、ちょっとつきあうのに骨が折れました。肝心のオチも言ってしまえば、ビョーキネタですから、「ああ、そうきたか」という程度のもので、あまり意外性が無い。書かれた年代を考えると、それなりにショッキングなラストだったのかもしれませんがね。今ならこのレビューだけで、勘の良い人なら、分かってしまうような感じです。 ちょっと解説文とか帯とか、あおり過ぎです。万人向きでないのだけは確かです。 | ||||
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終始、主人公のハープシコード演奏家エレンの視点で語られていく心理スリラー。前半から中盤にかけては、話が一体、エレンの強迫観念から来る妄想なのか現実なのか分からなくて戸惑いました。さながら、迷路の中をぐるぐるとさ迷う感じ。時系列が唐突に行きつ戻りつするので、それが余計に、エレンが語る話への不信感を抱かせるものになっていたんだと思います。 その曖昧模糊としてとりとめのない話の印象が一転するのが、終盤も終盤、第六章の半ばに差し掛かったところ。この作品のキモとなる要素が、話に注入されます。急転直下、ここから俄然、話は速度を上げてエンディングへとなだれ込んでいく。それまで作品に立ちこめていた霧が晴れるかのように、エレンが感じていた恐怖の正体が明らかなものとなる。この終盤の急速調の展開は、なかなかスリリングでぞくぞくしました。 1948年にアメリカで書かれた作品。当時はまだ、この手の小説は不可解すぎたからでしょうか、母国では出版元を見つけることが出来ず、英国から刊行されるにとどまったと、本書のあとがきで松浦正人氏が記しています。確かに本書を読んでいて、「1948年にこれが書かれたっていうのは早すぎたかもしれない。今でこそかなり受け入れやすくなったけれど、1948年というのは・・・・」と、そんな印象を持ちましたね。 こうしたニューロティック(神経症的)な心理スリラーでは、松浦氏も挙げておられますが、マーガレット・ミラーの作品が鮮烈で、実に面白かった覚えがあります。『鉄の門 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』(1945)、『狙った獣 (創元推理文庫)』(1955)、『まるで天使のような (ハヤカワ・ミステリ文庫 41-4)』(1962)といった作品。本書を読んで「こういうの、意外と好きかも」と感じた方には、ぜひマーガレット・ミラーの作品も読んでみてと、おすすめさせていただきます。 | ||||
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