■スポンサードリンク


たこやき さんのレビュー一覧

たこやきさんのページへ

レビュー数93

全93件 81~93 5/5ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
 閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。
No.13: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

ねじれた文字、ねじれた路の感想

ミステリーを好んで読む方には、前半は退屈かもしれません。
ミステリーと言うよりも、2人の男性の青春?小説のような気がします。
最後はなかなかグっとくる良作ですが、謎解きとかスリリングな展開とかはありません。
でも、アメリカの南部のほうの田舎の情景は手に取るようにわかります。

差別や偏見、銃に象徴されるどこかゆがんだ男性優位社会。
そんな中で淡々と、誰も恨まず憎まず孤独に生きる主人公のラリー・オットには、じんわりと感動させられます。
ねじれた文字、ねじれた路
No.12:
(8pt)

塗仏の宴 宴の始末の感想

京極堂シリーズは順番に読んできましたが、それにしても妖怪の薀蓄とページ数がすごい!
はまる人ははまると思いますが、読むのはかなり大変です。
主役級のキャラが皆すごく個性的で、いつも貧乏くじをひかされる関口はとっても可哀想ですが・・・。
中善寺(京極堂)の過去が少しだけ明らかになりますね。
憑き物落しという形で、真相が解明されていくのが非常に斬新です。
ただ、『塗仏の宴』以降の作品は、ちょっとトーンダウンしてきたような気がしますが。


▼以下、ネタバレ感想
※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[] ログインはこちら
文庫版 塗仏の宴―宴の支度 (講談社文庫)
京極夏彦塗仏の宴 宴の支度/宴の始末 についてのレビュー
No.11: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

イン・ザ・プールの感想

伊良部さん、すごいです。
伊良部さんが唯我独尊で、こんな強烈なキャラがいたらたまらないだろうなあと思いつつ、患者さんはなんだかんだ言いながら、癒されてしまうのが不思議なところで。
実際にありそうな話で、笑えそうな話なのに患者さんにとっては深刻なことこの上なくて。
いい加減に生きていく能力って、とっても大切なんじゃないかと思ってしまいました。

イン・ザ・プール (文春文庫)
奥田英朗イン・ザ・プール についてのレビュー
No.10:
(8pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

オリンピックの身代金の感想

以前読んだ『サウスバウンド』がとても面白くユーモアがあったので、そう言うところもあるのかな?と思って読んだのですが、めちゃくちゃシリアスで切ない話でした。
映画の『三丁目の夕日』なんかを見ると、夢と希望があるれるまさにオリンピックの年の東京、一方で復興からは縁遠く忘れ去られたかのような地方の過疎の村。
東北の田舎では小作農家は長男も含めて出稼ぎに行かなければ食べていけない現実があって、その出稼ぎ労働者達の過酷な現場での労働の上に、なりたってきた富と繁栄。
主人公がそんな現実を理不尽に感じていった過程がよくわかります。

それにしても日本人の気質をすごく旨く表現してるなあと感じました。学生運動なんて叫んでいるだけだと感じる村田の言葉が一番ずっしりと響きました。
主人公の島崎より、村田の方に共感できる気がしました。
ただミステリーとしては偶然が重なりすぎているきらいがありますが、あの時代の雰囲気が手に取るようにわかりました。

ただ時代が変った今でも支配する側と搾取される側の構図は、何も変っていない気がします・・・。

オリンピックの身代金
奥田英朗オリンピックの身代金 についてのレビュー
No.9: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

静寂の叫びの感想

リンカーン・ライムのシリーズを読んだあとにこれを読みましたが、すごくよかったです。
人質をとって立て籠もった凶悪犯に交渉人としてのFBIの専門家。
交渉の過程が非常に緊迫感があり、それぞれ所属している警察官同士の反目や対立、マスコミの人間のやりそうなことについてもリアリティーがあるように思いました。
人質の命が何が何でも最優先でないことに、日本人の感覚からすると多少抵抗のあるところですが、ポター捜査官の言葉を読んでいる限りではなるほどと思えてしまいます。
日本ではこれほど大きな事件と言えば30年くらい前の三菱銀行強盗の事件くらいしか思い浮かびませんが、内容が荒唐無稽でないところに作者の取材力のすごさを感じました。
最後のどんでん返しもみょうに納得。メアリーの心境が少しずつ変化していくところは絶妙でした。

静寂の叫び〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ジェフリー・ディーヴァー静寂の叫び についてのレビュー
No.8: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

感想

1作目から順番に読んできたのですが、この話が個人的には一番好きです。
エンターテイメントとしては非常に面白いし、社会背景よりも娯楽を重視してると言うか、どんでん返しが多くてどちらかと言えば映像向きの話なのかなと思います。
映画化されたのは1作目の『ボーン・コレクター』だけですが、ずっと前に映画だけ見ていて犯人があまりに唐突だったのでいまいち納得できなかったのですが、原作を読んでかなり設定に変更があったのだとやっとわかりました。
それんしても、どんでん返しが好きな作家さんですね。あまりにそればっかりでちょっとこじつけっぽい感じがして、そこまで必要ないのでは?と思いますが、面白いのには間違いないです。
最後にはすっきり解決するので、そこはスウェーデンの作家さんが書くような重い感じはなく、爽快です。

映画でのデンゼル・ワシントンとアンジェリーナジョリーがなかなか良かったので、どうしても読んでいてそのイメージから抜け出せませんが、この『石の猿』では、ソニー・リーがどうしてもジェット・リーになってしまって・・・・。

これまでの話ほどどんでん返しはありませんでしたが、中国に生きる人達の大変さ、過酷さがリアルで伝わってきて良かったです。ゴーストの背景にあるものも現実に存在したのだろうなと思います。
ただ、本当にアメリカは美国ですばらしい国なんですかね?銃依存症のような国民性と犯罪の多さを考えると、すごい病んだ国に思えるのは私だけではないと思うのですが・・・・。


石の猿〈上〉 (文春文庫)
ジェフリー・ディーヴァー石の猿 についてのレビュー
No.7: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

感想

新宿鮫のシリーズは、1作目がすごいよくて立て続けに読みました。
ちょっと間が空いてこの絆回廊を読んだのですが、話の中での10年ほどの移り変わりが非常に面白かったです。22年も服役して出所した樫原という男にとっては、未知の世界だったかもと思えます。今回の話には、最初の情報提供者の露崎といい、樫原といい非常にアナログな人間が登場します(吉田もそうかも)内容的にはちょっと浪花節的な感じがしました。最初の頃の尖がった感じの頃の鮫島の方がどちらかと言うと好きでしたが、色んな意味でその棘が小さくなってきたような気がします。

この話事体はこれで終わりなんでしょうが、「・・・・続く」みたいな終わり方で、先が気になるところですね。続き書いて欲しいです。
絆回廊 新宿鮫Ⅹ
大沢在昌絆回廊 新宿鮫Ⅹ についてのレビュー
No.6: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

感想

ルースルンド・ヘルストレムの2人の作品で邦訳されているものは3冊とも読みました。
いずれも秀作ですが、娯楽ミステリーと思って読むとちょっと雰囲気が違うかもしれません。
死刑制度に対する問いかけであり、死刑制度もひとつの暴力だと定義することにはすごく意味があると思います。犯罪に対して厳罰化を進めることではなんら犯罪が減っていかないことは、アメリカを見ているとそのとおりだと思います。
被害者の遺族の行き場のない怒りや悲しみは、加害者が合法的に殺されることで本当に多少なりとも救いを見出せるのか?本当にそれしかないのかを考えさせられます。
辛い過去を葬りスウェーデンの地で密かに生きていたジョンですが、些細なことで暴力を使ってしまう衝動を抑えることができなかったことで、破滅の道をたどることになってしまうのです。
メインキャストである3人の警察官と1人の検察官。4人ともが死刑に対して明確に『反対』と言えることにヨーロッパの成熟した社会が感じられる反面、日本に比べて犯罪の割合が多いのも事実で、どちらがいいとはなかなか比較できないと思いました。

▼以下、ネタバレ感想
※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[] ログインはこちら
死刑囚 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
アンデシュ・ルースルンド死刑囚 についてのレビュー
No.5:
(8pt)

感想

衝撃的な最後でした。
賞をとったのもうなずける、秀作です。
ミステリーと言うより、社会問題を多くの人に問いかけるような話です。
それぞれの登場人物の心の葛藤が痛々しい。
ただ娯楽小説としてのミステリーと思って読むと、すっきりしない・・・と言うか、結局問題は何も解決していないのではないかと・・・そこがまた読ませるところなんですけど。
世の中はここまで病んでいるんだろうか・・・と思ってしまいました。
ボックス21 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
アンデシュ・ルースルンドボックス21 についてのレビュー
No.4: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

感想

読む人によって、捉え方が大きく異なる物語ではないかと思います。
刑罰の制度が日本とは大きく異なり、スウェーデンでは死刑制度がありません。
と言うか、採用している国の方が世界では圧倒的に少ないのですが、そのことの是非は別にしても、あまりにも人権意識の高さのゆえか、犯罪者に対して寛容すぎるような気がしました。
罪とは何なのか?
虐待されて成長した子どもが犯罪者になってしまった時、それはどこまで情状されるのか、個人の尺度によって大きく違ってくるのだろうなあと。
ただ、復讐やリンチでは何も解決はしないと言うのは間違いないと思うのです。
問題提議としてはすばらしいフィクションですが、これが本当にスウェーデンと言う国の現実なら、ひどいなあと言うか、とにかく救いのない終り方がなんだかなあと思ってしまいました。
制裁 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
アンデシュ・ルースルンド制裁 についてのレビュー
No.3:
(8pt)

感想

1冊を残して、シリーズの大半を読みましたが、スウェーデンと言う国は、色んな問題を抱えているのだと言うことが、非常にわかりやすかったです。
まっとうな警察官の話でしたが、マルティン・ベックの家庭の事情なんかは非常にリアルで、日本の警察も同じような話が一杯あるのではないかと思ってしまいました。
福祉大国と言われながら、その福祉に見捨てられてしまった若い女の子が、めちゃくちゃ可愛そうです。
この小説からは50年近くたった現在は、どんな風に様変わりしてるのだろうかと考えてしまいます。

テロリスト (角川文庫)
マイ・シューヴァルテロリスト についてのレビュー
No.2:
(8pt)

感想

怖いです。
犯人は明らかに異常なんですが、恨みがここまで徹底してるのはすごいです。
警察や探偵はほとんど出てこないのですが、疑心暗鬼になりながら主人公の精神科医が犯人を追い詰めて
いく過程(下巻)は非常に面白いです。
ただ、犯人の現在の背景があまり詳しく書かれていないので、もうちょっとそのあたりの事がわかると面白かったのではと思います。
あと、主人公が年齢のわりに動きが鋭いと言うか、53歳にしてはできすぎ?
20数年後ではなく、せいぜい10年くらいのほうがよかった気がするのは、私だけかもですが。
精神分析医〈下〉 (新潮文庫)
ジョン・カッツェンバック精神分析医 についてのレビュー
No.1: 5人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

感想

ミステリーとしては非常に面白かったです。
日本から見れば、スウェーデンはすばらしい福祉国家と言うイメージしかありませんが、いろんな暗部があるのだなと初めて知りました。特に女性が生きやすい国と言う先入観があるので、物語自体はフィクションであるものの、意外に深刻なDVの問題が日常的にあるのかもしれない事が、作者がもともとジャーナリストであったことで非常に説得力がありました。

ただ、そこもスウェーデンらしいというか、主人公のSEXに対する自由度が日本人にはなじみにくいかもと思ってしまいました。
しかし、リスベットは非常に魅力的で次の話が気になるところです。

▼以下、ネタバレ感想
※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[] ログインはこちら
ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上