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梁山泊 さんのレビュー一覧

梁山泊さんのページへ

レビュー数136

全136件 81~100 5/7ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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No.56: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

閉鎖病棟の感想

元精神科医である作者が、精神病院の実態を患者の立場から描いた作品です。
精神疾患系の作品にありがちな、読んでいるこちらも息苦しくなるような差別的描写も(殆ど)なく心温まるお話です。
患者達のその独特な思考や心理の描写が精神科医にしか描けないとまでは言いませんが、その描写に患者達を包み込むような優しさや暖かさを感じられたのは、この作者でこそではないでしょうか。

クライマックスで涙腺が緩むのですが、逢坂剛氏の解説がそれに追い打ちをかけます。
是非解説まで読んで下さい。
扱っている内容に若干デリケートな一面もあるためか、作者は問題提起こそしますが、最後少々あやふやに終わらせているところがあります。
そこを逢坂剛氏がズバリ突きます。 泣けます。


▼以下、ネタバレ感想
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閉鎖病棟 (新潮文庫)
帚木蓬生閉鎖病棟 についてのレビュー
No.55: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

五声のリチェルカーレの感想

完敗。 恐れ入りました。

そこそこ分かったつもりで読み終えたんです。
レビュアーの数も少なく、これまでの作品と比較しても話題になっていない気がしましたし、正直「見え見えじゃん」と思いながら読んでいたくらいですし、深水作品にしては外れなのかなと思っていました。
やっぱりそんな訳なかったです。
2割くらいでしたね・・・理解度(笑)。
それにしてもレベル高過ぎですよ。
読中にほぼ理解できた人ってどれくらいいるのだろうか。

個人的に超おすすめ。


▼以下、ネタバレ感想
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五声のリチェルカーレ (創元推理文庫)
深水黎一郎五声のリチェルカーレ についてのレビュー
No.54: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

オレたち花のバブル組の感想

「俺たちバブル入行組」の続編だったようだ。
ただ、(私のように)前作未読でも十分楽しめる作品です。

兎に角痛快である。
「やられたら倍返し」の主人公・半沢が、不正を暴き、正す物語。
職場でのストレスに苦しむサラリーマン諸氏に元気と光を与えてくれる作品である。
某登場人物などには、読んでいて「ざまあみろバ~カ」と思わず声が出そうになります。


▼以下、ネタバレ感想
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オレたち花のバブル組 (文春文庫)
池井戸潤オレたち花のバブル組 についてのレビュー
No.53: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

火車の感想

ローンによる多重債務と自己破産がテーマになっています。
92年の作品ですから、丁度バブルが弾けた頃ですね。
自己破産件数が顕著な増加を見せ社会問題となったのが96年ですから、若干時代を先取りした作品だったと言う事になりますか。
あれから20年以上経過しているのですが、10人に1人が消費者金融を利用している計算になるとか・・・
消費者金融云々の話だけでなく、個人的に、日本人には「経済無知」が多い気がしますねぇ。
積極的に学ぶ意志を見せなければ、しっかり学べる場所すらないですし・・・
そういった意味でも、意義のある作品だと評価したいです。


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火車 (新潮文庫)
宮部みゆき火車 についてのレビュー
No.52: 11人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ジェノサイドの感想

アフリカ、アメリカ、日本と3箇所からの視点を切り換えながら進行しますが、3箇所共にスリリングな展開を見せます。
単行本で600頁弱の長編ですが、そのせいで全く中だるみ感がありません。
薬学、創薬、遺伝子学と一般人には馴染みのない専門用語が飛び交いますが、読み手が物語の本筋から外れる事が無いように、丁寧に分かりやすく描きリードしてくれます。
参考文献の多さを見ても分かりますが、その作り込み様は半端無く、作者の途轍もない努力が伺えます。


▼以下、ネタバレ感想
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ジェノサイド
高野和明ジェノサイド についてのレビュー
No.51: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

マークスの山の感想

腐敗した巨大組織の中で、自己を見失いそうになりながらも、圧力に屈しようとする自身への不信感を推進力にして殺人犯を追う刑事・合田雄一郎。
明と暗の人格を交互に繰り返すが故、社会的に底辺に位置する事を余儀なくされているマークスこと殺人犯水沢裕之。
追う側と追われる側の緊張感溢れる追跡劇が描かれる読み応えのある大作です。

そこには、社会的地位、名誉ある人物の圧力が介入してきます。
その圧力に、捜査の最前線にいる合田は怒り、苦しみ、一方マークスも怒り、そして圧倒的な狂気を発動します。

作者が女性とはとても思えないリアルな警察組織の描写、しかもその腐敗っぷりをも、汚らわしく描いています。


▼以下、ネタバレ感想
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マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)
高村薫マークスの山 についてのレビュー
No.50: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

クライマーズ・ハイの感想

日航ジャンボ墜落事故の全権デスクに任命された一人の新聞記者の物語である。
事故当時まさに地元群馬上毛新聞の記者であった作者にとっては、渾身の作品である事は間違いないし、リアリティの高さも保証付きである。

新聞社内部の喧騒、上層部との衝突、派閥争い、出世を巡る汚い嫉妬・裏工作・足の引っ張り合い。
そして、汗臭く、怒号が飛び交う、そんなまさに男の職場における1分1秒を争うスクープ争い。
その臨場感や半端なしで、終盤まで読み進めた時点で、ここまで僅か1週間しか経過していないと驚かされるその密度の高さも凄い。

ある意味特殊な世界と言えるが、新聞社も、会社という1つの社会である限り、否が応でもそこに存在する大人の事情。
主人公は、40過ぎの仕事人間であるが、衝突で潰されたり、攻め時を間違えたり、駆け引きに負けたりする。
時に怒り、時に迷い、そして傷つき、目の前の高い壁を前にしてもがき苦しみますが、しっかり向き合っています。
そこには高いリアリティを感じますし、同年代の社会人にとって「わかる、わかるぞ」とその人間臭さにシンパシーを感じずにいられません。
仕事のみならず、家族、仲間との関係・苦悩もしっかり描けている点が、更に主人公に対する好感度を上げていますね。
「男の人生」を謳歌している主人公が羨ましかったりもします。

特に男性に読んでもらいたい作品ですね。

クライマーズ・ハイ
横山秀夫クライマーズ・ハイ についてのレビュー
No.49:
(9pt)

十三番目の陪審員の感想

1998年の作品であり、この作品を読むにあたっては、アメリカなどで導入されている陪審員制度が導入された事を仮定した物語であるという事を念頭に置く必要があります。
日本では2009年に裁判員制度が導入されており、類似した制度である事から、物語にはすんなりに入り込めると思いますが、陪審員制度と裁判員制度の相違点は把握しておいた方がよいと思います。
ただ、裁判員制度が導入される10年以上も前に描かれている事、また冒頭に描かれる原発事故の話と、今読むとどこかタイムリーで、作者の彗眼には驚くばかりです。


▼以下、ネタバレ感想
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十三番目の陪審員 (角川文庫)
芦辺拓十三番目の陪審員 についてのレビュー
No.48: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

クローズド・ノートの感想

雫井脩介さんの作品は「火の粉」しか読んでいなかったのですが、同じ作者さんの作品とはとても思えませんでした。
引き出しの多さに驚かされました。

万年筆、マンドリン。 派手さはないですが、作品にいい味わいを出していますね。
主人公・香恵の人間性をよく表せているように思えました。(映画の方は人選を誤りましたね(笑))
石飛クンも伊吹先生も、みんな好感度の高い人物です。
脇に軽い男、意地悪な女も登場しますが、所詮は脇。
好感度の高い主人公が、好感度の高い男性に淡い恋心を抱き、好感度の高い女性に共感し、影響を受け成長していく物語。
全編を通して不快感に襲われる事がありません。
その分、起伏がないと言われれば、その通りなんですけど、まぁ読みやすい作品です。

結末は序盤で予想できてしまい、その予想通りに終わるのですが、それでも泣けます。
感動作です。 後何年かしたら、娘、息子にも読ませてみたい作品です。

恋愛のエピソードにおいては、男性と女性の思考や行動のズレを、女性視点から描いているのですが、男からはドキッとさせられるような記述もありましたね。
この程度の事が、女性に「鈍感」とこき下ろされるのか・・・とか。
作者男性だよなぁとか思いつつ・・・勉強になりました。
主人公が、常識的でいい仔だって思って読んでいるので、こちらとしても少々焦りますね。

クローズド・ノート (角川文庫)
雫井脩介クローズド・ノート についてのレビュー

No.47:

螢 (幻冬舎文庫)

麻耶雄嵩

No.47: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

螢の感想

嵐の山荘における密室殺人というバリバリの本格作品であり、これまで読んできた麻耶氏の作品とは、どこか趣が異なっている印象を受けました。(メルさんも登場しませんし)
しかし、仕掛けられているトリックは「さすが」と思える内容であり、麻耶作品の人気の高さを再認識できた感じがします。
私は以前のレビューで「鴉」を大絶賛したのですが、この作品はそれ以上にお気に入りです。


▼以下、ネタバレ感想
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螢 (幻冬舎文庫)
麻耶雄嵩 についてのレビュー
No.46: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

反乱のボヤージュの感想

大学寮の取り壊しを主張する大学当局と、存続を主張する学生の対立を通して、そこに学生達の成長を描いていますが、作者の真の意図は別のところにあるように思いました。
寮の存続を要求する学生達の主張には、絶対的な信念、確固たる主義主張がある訳ではないと批判しています。
驚くのは、一方で、現代の学生達の父親の世代、即ち大学紛争のあった時代と現代を比較し、当時の学生達も同じだったと批判している点です。
「最近の若い連中は・・・」的色合いの作品ではありません。
寧ろ、現代の学生を引き合いに出して、作者が学生時代に経験した大学紛争、それを扇動していた学生達が、単に社会や権力に反抗しているだけで、現代の軽い学生達と同レベルだったと暴いていきます。
作者の主眼は、こちらにあったのではないかと思います。
寮は周囲から浮いた存在として描かれており、廃寮問題は大多数の学生にとって関心外の事になっています。
この作品の廃寮問題は、大学紛争の縮図的扱いをされているように感じました。


▼以下、ネタバレ感想
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反乱のボヤージュ (集英社文庫)
野沢尚反乱のボヤージュ についてのレビュー
No.45: 7人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

青の炎の感想

倒叙型犯罪小説ですが、追う側、追われる側の攻防が描かれた作品ではありません。
全編通して高校生である犯人目線で、「犯行に至るまでの心理」を詳細に描いています。
主人公は天才ではなく(2番手レベルの高校出身)、機械のような冷酷さを持ち合わせる訳でもなく、人間らしさを感じられる人物造形になっています。
如何にも共感しやすい設定になっているところが秀逸です。


▼以下、ネタバレ感想
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青の炎 (角川文庫)
貴志祐介青の炎 についてのレビュー
No.44: 9人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

人格転移の殺人の感想

中に入ると人格転移が発生するという密室空間における連続殺人。
転移発生タイミングは不定ですが、入れ替わり順には特定のルールが設定されています。
転移が起こると、当然外見と人格の不一致という現象が発生します。
作中では、「外見(人格)」と明記されていますが、入れ替わる頻度が多くなる物語後半はもうパニックです。
紙とペンを持って状況確認しながら読みたくなるかも知れません。 しかしこれは罠なのです。


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人格転移の殺人 (講談社文庫)
西澤保彦人格転移の殺人 についてのレビュー

No.43:

虚夢 (講談社文庫)

虚夢

薬丸岳

No.43: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

虚夢の感想

作者の代表作「天使のナイフ」より深く、重いです。
お薦めします。

「心神喪失者の行為は、これを罰しない」
「刑法第39条」の矛盾点に対して真っ向から取り組んだ作品です。
被害者や遺族からすればとてもやりきれない問題。 損をするのは明らかに被害者サイドな気がします。
こんな事がまかり通る世の中なら・・・とすら思えます。


▼以下、ネタバレ感想
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虚夢 (講談社文庫)
薬丸岳虚夢 についてのレビュー
No.42:
(9pt)

陽気なギャングの日常と襲撃の感想

伊坂さんの作品といえば、どこか重っ苦しいテーマがあって、全体的に「暗」のイメージが付きまとう作品が多いです。(嫌いではないですよ)
またラストの伏線回収に向けて、序盤から身構えて読む事が多いので、読むのに時間が掛かるし、結構疲れてしまう。(嫌いではないですよ)
そんな中でこのシリーズは、全体的に「明」のイメージで、勿論伏線は張られているものの、そんなに気張らず気楽に読める作品だと思います。(好きなんですよ)

第1章が、主要登場人物4人が巻き込まれた事件の4本の短編で構成されています。
前作で披露した各々の特技、個性をフルに活用しており、前作を読んだ方には十分楽しく、嬉しい内容です。
第2章以降は、第1章で描かれた一見無関係に思われる事象に繋がりを持たせるという伊坂さんお得意の仕組みが楽しめます。
彼らの会話のテンポや掛け合いは、センスに溢れ、読み手を退屈させませんね。
また、巻末のボーナストラックが、このシリーズを愛する読者にはたまらない内容になっており、愛すべきギャング達がその「らしさ」を存分に発揮します。
1作目より楽しめました。
続編に期待したいです。
陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫)
伊坂幸太郎陽気なギャングの日常と襲撃 についてのレビュー
No.41: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

百舌の叫ぶ夜の感想

4半世紀前の作品という事で、主要登場人物は全員硬派、半端な奴などいません。
時代をよく反映しているように思います。
そして、妻を失った善玉と兄を失った悪玉が共通の敵を追うという設定が何とも魅力的です。


▼以下、ネタバレ感想
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百舌の叫ぶ夜 (百舌シリーズ) (集英社文庫)
逢坂剛百舌の叫ぶ夜 についてのレビュー
No.40: 12人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人の感想

まだ長いとはいえない私の読書人生ですが、これ程「バカな」話は読んだ事がありません(笑)
ただ「バカミス」は「バカミス」なんでしょうけど、この作品を壁に投げつける人はいないでしょう(笑)
作者の「バカミス」に賭ける執念には脱帽で、ここまで来てしまえば私は最早「芸術」と呼びたい(笑)
この作品の謎が全て明らかになった時の衝撃度は、「十角館の殺人」を10とすると50くらいかなぁ(笑)
再読も楽しいと思いますよ、この作品は。

勿論お薦めしますね。
ただ「謎解き」の章辺りからは、一人でいる時に読んだ方がいいですよ。
ちなみに、文庫落ちを待っても無駄だと思いますので、是非今直ぐ本屋さんへ!!


▼以下、ネタバレ感想
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三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人 (講談社ノベルス)
No.39: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

新参者の感想

伊坂幸太郎を意識したのではないかと思わせる章構成で、シュールな要素を排除しその分人情をスパイスにしている感じ。
トリックを暴くといった作品でありません。
各章ごとに捜査の対象となる人物が異なっており、彼らは少なからずの「隠し事」を持っています。
加賀が、一人一人としっかり向き合う事で、彼らの人間性が非常によく描けています。
トリックを暴くのではなく、「隠し事」の真意を明らかにして少しづつ可能性を潰していくという趣向です。
「歩いて行く方向と、上着の有無」とか「無糖ブラックコーヒー」といった、些細な事への着目も、どこか新鮮さが感じられました。
派手さはありませんが、心打たれるエピソードもあります。
ガリレオシリーズは映像で見たい作品ですが、このシリーズは文字で追った方が味があると思いますね。

新参者 (講談社文庫)
東野圭吾新参者 についてのレビュー
No.38: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

夜のピクニックの感想

読み終えた時、これ程「もっと読んでいたい」と思えた本は久しぶりです。
私のような、学生時代など遠い昔というおじさん、またはおばさんが読むと、込み上げてくるものがあるかも知れません。
各種方面からストレスをかけられている中間管理職の皆さん、子育てに一息ついた奥さん、そんな疲れた中年にお薦めします。
名作だと思います。

高校生達が丸一日歩きゴールを目指します。 それ以外何もありません。
この作品には、意外な展開・結末など何ひとつありません。
ただそれだけの話に何故これだけ引き込まれてしまったのか。
作者の技量が窺えますね。

この「歩行祭」、気の合う者同士がつるんで歩きます。
既にお互いの事をよく知る間柄であるはずなのですが、一日中共に歩いている内に、秘めていた思いが露見していき、それが新しい発見となり、繋がりを一層強くします。
貴子と融という、クラスメイトでありながら、会話も交わしたことのない異母兄弟の和解が中心に添えられていますが、彼らを囲む仲間達も気持ち良い奴ばかりです。
前向きさ、ひたむきさ、必死さ・・・若いなぁ、羨ましいなぁ、自分にもこういう多感な時期があったなぁと・・・
楽しい読書タイムでした。

夜のピクニック (新潮文庫)
恩田陸夜のピクニック についてのレビュー
No.37: 5人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

リピートの感想

「イニシエーション・ラブ」よりも面白かったですよ。

▼以下、ネタバレ感想
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リピート (文春文庫)
乾くるみリピート についてのレビュー