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梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数236件
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毎作社会的なメッセージを含める中山七里作品であるが、今回は「麻薬」
被害者である製薬会社社員をはじめとして、薬大生である被害者の彼女、本庁から来た宮條、そして主人公である槇畑の過去物語が次から対へと語られ、前半の物語は非常に重苦しい雰囲気。 しかし後半、カエル男を台無しにしたあのバイオレンスがここに再登場する。 意外すぎる犯人もその原因の一端ではあると思うが、このバイオレンスが、「麻薬は恐ろしい」「麻薬は憎むべき存在」という作者のメッセージを遥か彼方に忘れ去らせてしまっている。 まぁ、舞台となった薬物研究所は謎が多く残ったままで、ここに勤務していた社員達は全員の名前まで明らかになったものの連絡が取れないまま。 昔のパートナーを失った渡瀬も、宮條の協力者だった人物も、「彼の意思を継ぐ」的な何のアクションも起こさないまま。 古手川もこのままでは使えないただの笑いもののまま。 特に、麻薬を憎みその撲滅に全てを捧げているキャリア組宮條が、あのようなな退場をさせられた事については流石に納得がいかないのですが、この作品には続編があるということ。 出し惜しみしない作者さんのことだから、宮條を物語の舞台から降ろしたのにもしっかりした理由があるのではと思ってます。 それは後編を読めば分かるはず、と信じたい。 この作品単体では低い評価となるのは仕方ない。 で、埼玉県民から言わせてもらうと所沢はそんな僻地ではないです。 |
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将棋をモチーフしたバトルゲームで、主人公を含め登場人物(?)は作者お得意の異型キャラで、コマそのものであり、ゲーム自体は仮想空間で行われるという感じです。
何故こういったゲームを行うハメになっているのか、などは全く明らかにされないまま、いきなり戦闘シーンから開始されます。 で、その謎は、最後の最後に明らかにされるのですが、これまでの流れにマッチしない、想像もしなかった受け入れがたい地点へ着地させられた感じで、驚きというより呆れや怒りに近いですかね。 将棋をモチーフにはしていますが、勿論、その設定自体、将棋そのものというわけではないです。 正直「設定負け」ですかね。 まずターン制ではないこと。 そして、視点が主人公のチームに固定されたままなので、相手側の考えが見えないです。 対戦ゲームならではの心理戦の面白味を感じる事ができなかったです。まして将棋でしょ。 次に7局4本先取という点。 残りページでおおよそこの対局の勝ち負けの予想がついてしまいます。 まぁこれはある程度仕方のない事かもしれないのですが・・・ 次に冒頭に舞台となる軍艦島の地図こそありますが、場所の特徴が全く不明だという事。 位置関係どころか、この場に留まる事、または移動する事の意味、メリット、デメリットが全く分からないです。 将棋を意識しているのに、この辺りの設定が出来ていない(少なくとも私には伝わっていない)のは、どうか、というより将棋である意味がないように思います。 そして最悪だったのが、コマが持つ特性の設定が大雑把すぎた事です。 三竦みの関係になっているコマがありました。 「新世界より」にも同じルールがあって、「新世界より」では非常に効果的な設定だったわけですが、この作品では完全に逆効果になってしまっています。 決着をつけるためには局面を動かす必要があります。膠着状態を続けるわけには行かないのです。 「新世界より」のレビューで、このルールにより「トンデモSF」にならずにすんでいる、と書いたのですが、この作品は「トンデモSF」とは言わないまでも、1角が崩れた時点で勝負ありになってしまってますよね。これは「昇格」ルールにも同じ事がいえますね。 一気にゲームバランスが崩れてしまってますもんね。 もう少し凝った設定にして欲しかったですね。 「黒い家」「天使の囁き」「新世界より」を描いた時とは、明らかにモチベーションが違うでしょ。 どこか投げやりな気がするのですが・・・ |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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アンチミステリの問題作で、賛否両論の激しい作品だという前知識を持った状態で読み始めました。
「後期クイーン問題」を意識させるような、そういう類の作品なのだろう、というある程度の先入観を持っていましたが、そんな先入観など遥かに突き抜ける空前絶後の展開に絶句してしまいました。 作者は明らかに、ミステリ好きの間ですら、相当の物議を醸すであろう事を見越して描いてますよね。 これ一応、名探偵・石動戯作っていうシリーズものなんですけどね。 アントニオの設定はどうすんのさ(笑) 私はシリーズ3作目の「鏡の中は日曜日」を先に読んでいるわけですが、取り敢えず人類は滅亡しなかったという事で・・・ 夢求が勝ったんですね(笑) やったね!!夢求(呆笑) 本格ミステリの定義の1つである「手掛かりを全て作中に示す」事が作中でどのように保証されるかを問題にしたプロット。 で、扱われるのはアリバイトリックで、クロフツへのリスペクト。 前作「美濃牛」は横溝正史でしたね。 作者がやりたかったであろう事は何となく理解できます。 その表現の方法が独特というかもはや異常なんですけどね。 で、その「何となく分かる」が、この作品を読む事の出来る(或いは楽しむことが出来る、或いは壁に投げつけないで読み切れる)下限ではないでしょうか。 今後この本を読まれる方が「何じゃこりゃ!」になりませんように、お祈り申し上げます。 この作家さんの新作を拝めないってのは悲しいなぁ。 |
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芸術探偵シリーズのスピンオフ作品となる短編集。
本格ミステリのお約束や定番となっているガジェットを暴走すれすれのラインで茶化しまくっています。 一見脱力もののバカミスに見えて、相当にマニアックで玄人好みの作品ですね。 そこでクスッと笑えるか笑えないか、ある程度読み手のスキルも要求されるかと思います。 単なるギャグで終わらせることなく、しっかり尻は拭けている、破綻させずに収束させる事ができているところは好感が持てます。 ただ、これまでに読んだ、この手のいわゆるアンチミステリといわれる作品と比較して目新しいとか「鋭い!!」といったものはなかったですかね。 キャラ設定で目先を変えている・・・だけかな。 っていうか、この警部さん、こんなキャラでしたっけ。 |
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【ネタバレかも!?】
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物語は3部構成になっています。
第1部は、主人公が所属する奇術同好会が奇術ショーに出演する模様。 第2部は、物語の登場人物の1人が描いたトリックを題材にした作中作。 第3部は、世界中から著名なマジシャンが集まる国際奇術家会議。 このアジェンダだけ見れば「ポカ~ン」でしょう。 実際、「ポカ~ン」なわけですが・・・ 第1部の最後に殺人事件が起き、第3部の最後で謎解きがなされます。 まるでコントのような失敗続きの第1部は、数多い登場人物の自己紹介的な役割も果たしています。 作者がアマチュアマジシャンという事で、ショーの裏側などが垣間見れるのは面白いと言えば面白いのですが、とにかく長く、とにかくゆるい。 「さぁ次はooooさんによるXXXXです」が登場人物分続くのですからたまりません。 ミステリを読んでいるということを忘れてしまいそうになります。 第1部の最後にやっとこ殺人事件が起き、「さぁ」となったところでの第2部。 この作中作は、いわゆる表に出なかった奇術同好会内のボツネタトリック集といったところでしょうか。そして第3部も世界マジック大会なわけです。 マジック好きにも程がある、正直な感想はキムタク的に言うなら「ちょ、待てよ」です。 実際、第2部が殺人事件の謎解きの伏線となっているというか、伏線まみれなわけですが、それに感動できるかは読み手次第ではないでしょうか。 ミステリを読んでいるんだというモチベーションを保てていればという条件付きですね。 私の場合、壁に投げつける寸前までいった、と正直告白しておきます。 で、肝心のトリックですが、 本物のマジシャン(作者)が、その手段を文章に変えて読み手に仕掛けてきたと考えていいと思います。 マジックといっても、視覚的にイメージしづらいままに読み手をごまかすような類の作品ではありません。 この作品はすっごくフェアです。誰もが納得できるはずです。 ただ「ふーん、なるほどねぇ」とか「ほぉ、たしかにね」のレベル。 まぁ、こんなにマジックマジックしてなくて普通にミステリミステリしていたら「うまいなぁ」と思えたのかも知れませんが、何れにしても驚けるものではないですね。 ただ最後まで読んでみて、高評価する人がいるのも頷ける作品。 ただ私はしない。 |
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高校を舞台とした学園の謎モノです。
連作短編の体を取っていて、細かな謎を毎回解決していきながらも、その裏には、自殺した少女の幽霊の謎というテーマが全編を通してあります。 変わっているのは主人公の女性がマジシャンという事でしょうか。 クラスメイトであるその女性に一目惚れした男性をワトソン役として、マジックのテクニックを使いながら事件を解決していきます。 山田奈緒子と上田次郎の学園の謎シリーズという感じでしょうか。(ウソです。かなり違います) 米澤穂信さんの古典部シリーズの男女を入れ換えた感じですかね。 この手の作品の場合、ワトソン役の男性が間抜けで鈍感でというパターンが多いですが、この作品も例に漏れずというか拍車をかけたようにダメダメです。 一方主人公の女性の方も、高校生マジシャンという時点で変わり者で、手先は器用だけど人間関係がダメダメ。 正直両名ともに感情移入できるタイプではなかった。特に女性の方。 千反田えるや山田奈緒子のような魅力がなく、ただただ疲れる女という印象。 またマジシャンという設定を活かせていないようにも思える。 騙す側、騙される側の心理というか、そういうところをもっと突いてくると思っていたのですが・・・ この題材なら、もう少し面白いミステリに仕上げられたのではないかなと思います。 なのでミステリというよりかなりライトノベル寄り、つまりは自分の好みからは外れる方向へベクトルが向いてしまったって感じです。 |
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日常のちょっとした謎をテーマにした作品。
そういう意味で、米澤穂信さんの古典部シリーズに似た作品といえるのだが、この作品の場合、謎の向こうには「人間というのも捨てたもんじゃないでしょう」的なものが潜んでいますかね。 そういう意味では、古典部シリーズと比較すると「大人版」という感じがします。 主人公は女子大生なのですが、純情潔白で文学好き、そして落語好きという、少し変わった・・・というと言いすぎかもしれないがちょっと珍しいタイプ。 おかげで青春小説という感じもしませんね。同級生と一緒にいてもどこか冷めているというか、体温を感じないというか・・・ 正直苦手なタイプだったかもしれないですね。 ミステリ的な驚きは感じられないですかね。そういうところを狙った作品ではないのかもしれませんが・・・ 大衆文学より寧ろ純文学に近いかもと感じました。 ミステリ読みには評価が難しい作品ですね。 |
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「私たち、お父さんのこと何も知らない」
仕事で家をあける父親と子供との繋がりは、子供が歳を取っていくにつれ、会話もいつの間にか減り、希薄になっていく。 そんな今や平均的とも言える家庭で「父親が殺害される」という悲劇が起きる。 それでもやはり父は父。 父が何を考え、何を想い・・・てな事が徐々に明らかになっていき・・・という物語。 そして、加賀恭一郎シリーズと言えば下町人情モノという印象。 そして帯は声高らかに「加賀シリーズ最高傑作」とうたっている。 読了しての率直な感想は「最高傑作? んなわけない」だ。 食材がしっかり調理されていたら最高傑作になっていたかもしれません。 私は調理に失敗したんじゃないの? と思えて仕方ありません。 味付けではありません。調理そのものです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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第1回「日本ラブストーリー大賞」受賞作品。
う~む、少女マンガのような、正直有り得ない展開だと思うのですが・・・ 更に、何人かのレビュアーの方が触れているように、私も登場人物に感情移入できませんでした。 カフーというのは現地の言葉で果報の事らしい。 「果報は寝て待て」という諺があるが、それにしても主人公の奥手さにはイライラしっぱなしだった。 目の前に起こっている状況は、普通に考えて有り得ない状況だと言うのに、その状況に対して何のツッコミもない。 かと思えば、物語後半、よく調べもせずに幸を追い返してしまった時には、読んでいてクラクラしそうになった。 「奥手で可愛い」なんていう域を超越している。 友人の俊一の取った行動は、冗談と受け取ることは出来ず最早イジメなのだが、この歳になってこのような低俗なイジメを受けてしまう、それを面白がられてしまうというのは、イジメを受ける側にも問題はあると再認識させられた。 何もかも自業自得じゃないか、と幸せなって欲しいという思いも徐々に薄れていってしまうのでした。 一方、幸はどうかと言えば、このヒロインの一体どこが魅力的だったのだろうか。 何故主人公がこの女性に惹かれたのか、イマイチよくわからないのだ。 当然、何故彼女が主人公に惹かれるのかも全くの謎である。 女性受けはいいのかもしれないですね。 ただ、ヒロインをもう少し魅力的に描けば、作品の印象も少し変わったのかもしれない。 |
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刑事である新田は相手の仮面を暴くのが仕事、ホテルマンである山岸は相手の仮面を守るのが仕事。
こんな二人がコンビを組んで連続殺人事件に挑むお話。 前作を読んだ時から面白い設定だと思っていました。 さぁ続編が来たか、と思っていたら、二人が出会う前の話。 二人の絡みが全くない無いってのは少々肩透かしを喰らった感じ。 二人のキャラについては前作でも十分に描かれていたと思っていて、私の印象は二人共に「ドS」 今作で新たな発見というのはなかったですが、まだ駆け出しの身分とは言え十分に「ドS」の資質を垣間見せていたように思います。 準備は整ったという感じでしょうか。 二人の再会を楽しみにしておきたいと思います。 |
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「外れは少ないが当たりも少ない」
東野さんの作品に対する個人的な評価であるが、「秘密」や「白夜行」を求めてまたしても手にとってしまうのだ。 この作品に関しても、かなり世間評価とのズレがあるようです。 テーマは「植物」 作者得意の「理系」ミステリであり、この作品を描くために相当の取材をして・・・というのは伺えます。 作者のこの手の作品は、(誰も知らない)「科学的事実」が作品の中心にある事が多いです。 そこから、様々に散りばめられた伏線に繋がるのですが、知らないので気づきようがないのです。 事件解決のきっかけが、「へぇーそうなんですか」な事実から始まるので、要するに推理しようがないのです。 作者の「科学」をテーマにした作品を、みなどこか薄っぺらく奥行きがないと感じてしまうのはそういう理由からではないかと・・・ だから収束の心地よさを得ることが出来ないんですね。 更にこの作品は、テーマが地味すぎるせいか、ラストのも盛り上がりもいまいち。 そもそも「負の遺産」と言う程、大袈裟に扱われなければならない秘密なのだろうか。 面白くなかった訳ではないのですが、期待値高い分、辛めになっちゃいますかね。 |
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密室をテーマにした5編の連作?短編集です。
密室殺人が起こると、「密室蒐集家」を名乗る探偵役が、何処からともなく現れて、瞬時に解決して、いつの間にか消えているというパターンです。 麻耶雄嵩の「貴族探偵」シリーズに少し似た感じですが、この作品は正直「パズル」ですかね。(貴族探偵は単なる「パズル」ではない) 短編なので仕方ないのですが「贅肉」がありません。 即ち、文字として描かれた情報の殆どがロジックの一部になっている感じです。 当然登場人物も少ないのですが、パターンとして「最も犯人らしからぬ人」を犯人として仕立てる傾向があります。 なので、相当に「強引」になってしまっています。 「偶然」にも頼りすぎで、ご都合主義的と言われても仕方ないですかね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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私にとって当たり外れの大きいメフィスト賞受賞作品。
舞台は12世紀の中東。 イスラム神秘主義修行者を描いた物語なのですが、そもそもイスラム世界に明るい日本人なんているのだろうか? これを題材に持ってくる辺り、さすがメフィスト賞って感じはしますが・・・ イスラム知識皆無でも問題なく読めます、というレビューは散見されますが、それにしては専門用語が説明もなく頻繁に登場しますし、説明されていたとしてもよく意味がわからないものが多いし・・・ 「火蛾」とは「出口を求めて何度も火中に身を投じてその身を焼き尽くしてしまう蛾」の事なので、要は宗教者が「修行により真理を求めて彷徨う」物語という事だろう。 物語の中で3つの殺人事件が起こりますが、そもそもその舞台に登場する人物はわずか5人で、そのうちの2人は死体でしか登場しないし、1人は影でしか登場しません。 一応ミステリ的な解決はなされているとはいえ、実際そんなミステリ的な事などどうでもよくて、単なる、最高階級に到達するため?彼らが信仰する世界観を完成させるため?の「手段」以外の何物でもないって感じがします。 要するに「フーダニット」などどうでもよくて「ハウダニット」、何故殺さなきゃいけなかったの?が主眼。 その「何故?」は、私イスラム教徒ではないんで説明されても腹落ちしないです。 私にとっては全てが後出しジャンケンみたくなってしまいますから。 宗教とミステリの融合という事で高評価なのかと思いますが、私には高尚すぎました。 |
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「他者にその存在さえ知られない罪を完全犯罪と呼ぶ。では他者にその存在さえ知られない恋は完全恋愛と呼ばれるべきか?」
それってただの片想いじゃねぇか、と思いながらも、この冒頭の一節には惹かれるものがありました。 しかし、読後の感想としては、 「作者のネームバリューが過大評価させている」そんな印象です。 作中3つの殺人事件が起こります。 1つ目の殺人が終わった後は、もしかしたら「白夜行」的な作品になるのかな、という期待感がありました。 主人公の画家は成長するにしたがい、「もし完全犯罪を目論むとしたら凄い事をやりそうだ」的な雰囲気を持った人物に感じていましたし・・・ ところが、 2つ目の殺人で、島田荘司氏が頭に浮かんだのは私だけでしょうか? ただ、御大でもそういうオチにはしない、と一応フォローしておきますが・・・ で、この辺りから、「何か想像してたのと違うぞ」・・・と。 そして、3つ目は最早バカミスの領域かと・・・ まぁバカミスならバカミスでもいいのですが、そこまでの作品の雰囲気に合っていないというか・・・ 真面目にバカミスやらないでよ、って感じです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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囁きシリーズの一作目。
(残念ながら)綾辻らしい作品と言えるんでしょうね。 サイトの「綾辻行人の作品一覧」を見ると、時期的には「迷路館」と「人形館」の間に入ってくる作品と考えてよいのでしょうか。 妙に納得できてしまうのだが・・・ 「迷路館」の真相が、この作品のヒントになり、(綾辻作品では今ではおなじみとなってしまった)精神異常の持ち主がワサワサ湧いてきて、館シリーズにも跳梁跋扈するようになり、ドバドバ血が流れ、多くの人間が死ぬのだが、狂気で全てを解決させるという・・・ 「綾辻始まったな」・・・な、ある意味記念すべき作品といえるのかもね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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作者の作品は「私が殺した少女」に続いて2作目。
独特な気障な比喩というか言い回しというか、はハードボイルドそのものですが別段鼻につく訳でもない。 酒と女と暴力と・・・といった描写も少なく、どっぷりハードボイルドという感じでもなさそう。 登場人物が多く、その関係性がややこしい割に造形が浅く印象に残らない。 この手の作品は、探偵が孤軍奮闘するものであるが、それにしても魅力的な脇役すら登場しないために奥行きのない薄っぺらい作品になっている気がする。 ひきこもりの青年など、登場人物欄にはしっかり名前が明記されている割に「これだけかい?」という感じである。 更に、銃撃事件、誘拐事件、身代金事件と次から次へと色々なことが起こる。 結局は、警察官殺害事件と三日男爵関連の事件という2つの全く異なる事件が起こり、それが交差する点に探偵がいるという構図。 複雑、悪く言えばごちゃごちゃであり、結局最後の最後まで1点に焦点が合わないまま終わってしまった。 「私が殺した少女」は最後ビシっと決まったんですが、この作品はどこか発散したまま終わってしまった。 そんな気がします。 |
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Gシリーズ1作目。
S&Mシリーズの続編という事でよいのでしょうか。 S&Mシリーズは1作目が強烈だっただけでなく、登場人物がそれぞれ個性的で次回作を期待させるに十分だった。 しかしこのシリーズの1作目は導入という意味では相当に地味。 3人の主要登場人物にしても、萌絵、そして殆ど登場しない犀川に完全に食われている。 また萌絵、犀川だけでなく、過去作品からの登場キャラが複数いるらしい。 なのにその説明がないのである。 この作品を最初に手に取った人に萌絵の何が分かるというのか。 私は先日「スカイ・クロラ」を読んだのだがなんのこっちゃさっぱり分からなかったよ(泣) 同じじゃないの(笑) ちょっと違うか(爆) ▼以下、ネタバレ感想 |
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