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タカタソン さんのレビュー一覧

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レビュー数155

全155件 21~40 2/8ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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No.135:
(5pt)

リアルよりも展開重視

ミステリ-としては趣向は非常に面白いが、リアルさを求めるとかなり残念。

物語は、新幹線に偶然乗り合わせた殺し屋と中学生が、それぞれの理由によってトラブルや事件が起こるというもの。そこには警察とかの介入は一切なしで殺し屋達だけの物語になっている。一見面白そうだが(いや、普通に読めば面白いと思うが)、そこはいつもの著者節があって殺し屋達の妙な個性がリアルから離れコメディになってしまった。殺し屋の名前が檸檬(れもん)や蜜柑(みかん)だったり、機関車トーマスが好きだったり。しかも、一番は悪運・幸運が物語の核を握っていたりして、著者の意図するところだと思うが、卑劣な中学生の悪運で物語が進むのはちょっと嫌な気分。

殺人という部分の怖いリアルさを出すよりその物語性を重視し個性すぎるキャラを登場人物をしたところは好き嫌いは分かれると思う。
マリアビートル (角川文庫)
伊坂幸太郎マリアビートル についてのレビュー
No.134:
(4pt)

もはやエスパ-物語。共感できず。

全作「数学的にありえない」が面白かった記憶があったので、期待して読んでみ見たものの、自分的にはありえないドイヒ-な内容でした。

まず、ノンストップ?ジェットコ-スタ-?サスペンスという触れ込みは、全く自分には当てはまりませんでした。他人の精神世界を見れるとか自分の感情を投影出来るとか、そのあたりのエピソ-ドに面白みも無く、先の展開を期待させるような話でもありませんでした。一体何の話なのか、ダラダラ続き事件性も見えづらく、恐らく挫折する方もいるのでは。

しかも中盤には過去にさかのぼり主人公達の説明が永遠に続きます。終盤のオチも全然以外でもないし想像していた通りです。

もう少し共感できるリアリティが欲しい。次作は果たして期待できるのでしょうか?
心理学的にありえない 上
No.133:
(6pt)

珍しい?空港サスペンスシリ-ズ

空港という限られた空間の警備システムミステリ-3弾目。空港が誇る世界最高峰の警備システムに挑戦したテロとの戦いが1作目で、超高額の重要彫刻作品の窃盗団との戦いが2作品目。さすがに空港セキュリティという制限がハードルが高いのか、どちらかというと空港に挑戦というより、まず事件があってその最終目標が空港内での事件という展開。

ただ、相変わらず登場人物はキャラが魅力的だし、最近の著者の傾向だが民族問題にも踏み込んでいて普通に面白く読めた。
ROMES06 まどろみの月桃
五條瑛ROMES06 まどろみの月桃 についてのレビュー
No.132: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

日本橋人形町の良さを知る

このシリ-ズを読むのは本作が初めてで、著者が好きだからとか有名作だから読んだのではなく、この小説の舞台になっている日本橋人形町が自分にとって馴染み深く、興味があったから読んでみました。

他のレビュ-でもある通り推理小説というよりは、一編毎に事件に関わるお店や人との人情話として完結していてそれが全編通して読むとひとつの事件としての物語となっている。このあたりはさすがと思うし、街の雰囲気が小説ににじみ出ているところも良かった。ただ、ミステリ-として読むと物足りなさはあると思う。

有名作だけど、人情話+ミステリ-の高次元の融合は本作しか体験出来ないだろうな。


新参者 (講談社文庫)
東野圭吾新参者 についてのレビュー
No.131:
(7pt)

主人公の活躍目立つ

シリ-ズ3作目。今作は長編というより連作中編で形的には長編でだらけるよりは、小気味良く安定して読める。
ただ、今回は主人公の保育園園長にして探偵のハナちゃんの活躍が目立ち、シリ-ズファンは脇役の奈美女医や恋人理沙や前妻の絡みも楽しみのひとつだったが今作はナシ。ただ、RIKOシリ-ズでおなじみの山内練が意外と出てくる。

相変わらず性・母性だったり根底に見え隠れするテ-マはこの時期の著者作品の傾向のひとつで期待するどころでもある。

このシリ-ズでもドロドロに濃い作品が是非読みたい。
シーセッド・ヒーセッド (講談社文庫)
柴田よしきシーセッド・ヒーセッド についてのレビュー
No.130: 9人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

誰かに何かを伝えたくなる

ここ最近で印象に残った面白い小説は何かと聞かれれば本作を推かもしれない。それぐらい面白かったし、何より読んでてこれほど良く考えられてるなぁと感じるのもそうそうない。

物語は、傭兵がコンゴのジャングル奥地である民族グル-プ殲滅のミッションと日本での薬学学生の父親の謎と残されたメッセ-ジにより製薬していく話が交互に展開していく。前半の傭兵パートはサバイバルホラ-といった感じで、民族グル-プ殲滅と未知なる生物発見時は即射殺というミッションにドキドキ。中盤以降は、そういう展開になっていくの?と若干テンションは下がるものの、日本での製薬パートとのバランスで読む手を止められず。

人知を超えた存在と、一国の為、または世界の為の判断が合衆国大統領という構図はキモで、判断が最高責任者のちょっとした人格によっても方向づけられる様は、変にリアル感があり、怖さがある。

また今作は、歴史的な解釈により賛否両論がすごいが、そんなにのめり込まず客観的に読めば日本人の自虐だったりアメリカへの感情だったり、特に気にはならなかった。逆に、いつも日本人は正しく優等生で、大統領は世界を救うヒ-ロ-みたいな作品や映画は腐るほどあるわけだから、多少逆の表現があっても良いと思うけど。

評価が1点か10点の極端な作品は、世にも珍しいわけだから是非読んでみてください。最高に面白いのにメッセ-ジ性は高いです。
ジェノサイド
高野和明ジェノサイド についてのレビュー
No.129: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

衝撃的な経済ミステリ-小説の大傑作

面白すぎて、読み止められませんでした。一気読み。

経済小説って敬遠されがちだが、池井戸氏(「オレたちバブル入行組」とか「下町ロケット」とか)のおかげでだいぶ敷居が下がっていると思うので、是非その面白さに衝撃を受けてほしい。経済小説というよりも人間ドラマであるしミステリ-でもある。

題目でもあるとおり、潰れそうな会社の買収による再生によって利益をあげるハゲタカビジネスの話だが、ニュ-ス等での伝え方の問題もあるが恐らくあまり良いイメ-ジは無いと思う。ただ本作を読めば、必ずしもそうではない事が分かる。一族で放漫経営して湯水のように自分の欲に金を使い、破綻寸前になった会社を救おうと思いますか?

また色んな立場の登場人物が出てきて、こぎみ良いテンポで展開し、自己中な経営者にイライラし、買収出来るのかハラハラし、会社を建て直せるのかドキドキし、銀行の身勝手にモヤモヤし、最高の1冊でした。

ハゲタカ〈上〉
真山仁ハゲタカ についてのレビュー
No.128:
(6pt)

極端すぎて

この作品が発表された時代背景もあるかと思うが、ヤクザがヤクザをしていた時で今の感覚で読むとちょっとありえないって思ってしまうかも。

物語はちょっと障害があって人づきあいが苦手な純粋無垢な山を愛す青年がヤクザが不法投棄している現場を知り兄が新聞記者という事もあり公表させる。その報復で兄や子供を宿している妻が襲われてしまう。

全体的に話が重い。主人公の兄や妻への報復、そして復讐と、人を殺し殺され、なかなか希望が見いだせない展開。(主人公の奥さんも悲惨な過去があってしゃべれない設定)

山岳小説を楽しむというより主人公の悲惨さが際立ってしまった。
光の山脈 (ハルキ文庫)
樋口明雄光の山脈 についてのレビュー
No.127:
(5pt)

少女マンガか夢物語

不倫で退社した元OLが偶然若手俳優と知り合い、その後撮影現場にエキストラとして出演することになり再会、そして何故かその俳優のマネ-ジャ-となって、事件が起きて若手俳優が容疑者になって、その彼と恋をしてと、女性の夢物語です。

元OLがひたむきに頑張る様や、芸能世界、微妙な殺人事件など意外と読み易く、スイスイ読んでしまった。

ただ、なにぶん芸能や恋話に興味はありませんのでこの評価です。好きな方にはハマるかも。
恋雨 (文春文庫)
柴田よしき恋雨 についてのレビュー
No.126: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)
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伝承技のセオイ

伝承技の「セオイ」ってなにか拳法ぽいけど別に暗殺拳ではありません。その名の通り背負うことで、人生に絶望した人の生き方を救う技。

序盤はセオイのエピソ-ドがいくつか入るが、別に本当に助けたいと思うようなかわいそうな人間が出てくるわけではなく、どちらかというと人生を舐め切ったムカつく野郎がセオイによって変わる様は、ちょっと良いかも。

最終的には主人公の過去にまつわる展開になるのだが、どうしても展開が荒く都合が良すぎるし、ちょっとマンガになりすぎている。刑事がそんな簡単に情報を教えてくれたり夢物語みたいな伝承技を信じるわけないし。

まぁ、デビュ-作という事だし物語自体は悪くなかったから次作に期待したい。

セオイ (ハヤカワ文庫JA)
丈武琉セオイ についてのレビュー
No.125:
(8pt)

過酷な正義の殺し屋

グレイマン2弾目。1作目がハマった方なら間違いはないでしょう。

今回も殺し屋でありながら、自分ルールの正義の為に、全て裏目に窮地に追い込まれていく。それにしてもテンポがとても良い。章の区切りが早いので読み易く、読むアクションを最高に堪能できる。ミッションの為に一人で適地に送り込まれ、絶望から一人で立ち向かい、ささやかな正義をかざす。

しかし、ホント描写が上手く、読んでいるだけでその状況が浮かび、映画をみているような錯覚を覚える。アクション・冒険小説として秀逸。
暗殺者の正義 (ハヤカワ文庫 NV)
マーク・グリーニー暗殺者の正義 についてのレビュー
No.124: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(1pt)

本作を出版する意味はあるのか

完全にやらかした駄作中の駄作としかいいようのない。

どうしてもリアリティが低すぎる。
山荘で逃げられない状況だとしても、あと一回刺されたら死ぬという状況でも、数匹の蜂相手に、死に物狂いのサバイバルってありえないでしょ?あと、主人公の妄想も無駄に長く、怖さも何も煽らない。あまりの展開に失笑です。

文量も多くないので、1~2日で読めてしまうが、オチもまたヒドい。間違いなくホラ-ではないし、謎かけする推理小説のありえない解決編。

何これ?と失笑だけが残る今作でした。
(ファンだからこそ、期待が大きかったからこそ、きつく言います)
雀蜂 (角川ホラー文庫)
貴志祐介雀蜂 についてのレビュー
No.123: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

ファ-ザ-じゃなくても

著者の得意路線ではないでしょうか。主人公が高校生のほんわか青春ストーリー。いつもだったら仲間として登場しそうな超個性的な人間が、父親として、しかも4人という設定にしたらどうなるんだろうと。

確かに、著者節が効いていて、好きな方には満足するだろうけど、父親という設定でなくても良かった気がする。つまり、父親である必然性があまり感じなかった。父親が子を思う場面は沢山出てくるが、著者の他の青春ストーリーでの仲間を思う場面とそんなに変わらず。
オー!ファーザー
伊坂幸太郎オー! ファーザー についてのレビュー
No.122: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

重ねるごとに奥深く

誰にでも、誰が何と言おうとこの作品だけはってあると思うが、自分にとってはこのシリ-ズがまさしくそれで、それ以前まで推理小説しか読んで無かった自分がこのシリ-ズで色んなジャンルの小説があり、楽しさがある事を教えてくれた。

今作は記念すべき10作目であり、区切りというか節目作。警官を殺すと予告した出所したばかりの大男を追っているうちに別の事件にも顔を突っ込んでいく鮫島。偏見だろうが構わないが、ホント無駄な言いまわしも無く必要限の言葉でこれだけ緊張感と興奮を味わえるのは感動。

また、テ-マが本題でもある通り「絆」で、色んな人間関係の繋がりの物語が悲しくも突き刺さる。全てのエピソードに結論が出なくてもいいと思う。あくまで「絆」の物語であるから。

絆回廊 新宿鮫Ⅹ
大沢在昌絆回廊 新宿鮫Ⅹ についてのレビュー
No.121: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

読めばやっぱり面白い

シリ-ズ3作目。1年ぶりくらいにこのシリ-ズを読むがコフィンダンサ-は最高だったが、今作も期待は外さず。

それにしても、趣向がまたがらっと変わって今度は田舎町が舞台。なれない場所と科学分析機材も無いなかサックスの暴走。容疑者を逃す為に一緒に逃げ、追ってきた警察官も殺してしまう。

追い詰められたリンカ-ンがどう乗り越え真犯人に詰め寄り、そしてサックス助けるのか。

主役の一人のサックスがどうなるのかが今作の目玉。期待通りの大どんでん返しはあるのか?・・・いや、無かったら大変な事になるので楽しみに読みましょう。
エンプティー・チェア〈上〉 (文春文庫)
No.120:
(7pt)

笑えるほど、話がコア過ぎる

スパイ小説は数あれど、スパイを捕まえるだけにこれだけ書けるのは素晴らしいと思う。しかも、何か事件とか起こるわけではなく、ロシアのスパイ要員と思われる方々を監視し、その兆候をが見えれるまでひたすら見守り続ける話。

そこにはスパイを追う警察内部の物語と、スパイ側の物語もあり、たとえ事件が無くても、読み応え十分。

ただ、ひたすらスパイを追う話でこの文量はちょっと多すぎ。物語の山はあるけど、ちょっと飽きるかも。
エスピオナージ (幻冬舎文庫)
麻生幾エスピオナージ についてのレビュー
No.119:
(7pt)

最後のヤマ場は山にあり。

今から40年くらい前の古典山岳小説の傑作。

今の感覚で読むと、古典として素晴らしいとは思うものの面白いかはちょっと別かも。そもそも、この主人公が孤高と言えるのか?ただの人間嫌いに思える。人と接するのが苦手、会話するのが苦手、関係を築くのが苦手、だからひとり。あと、どうしても気になるのが、この時代特有の男尊女卑。特に女性に処女性を求める事が当然のように描写されている事は気が滅入る。

本作は山岳小説のように思えるが、たしかに主人公は登山が好きで登山に関わる話が多いが、どちらかというと主人公の目を通したその時代の人間の生き様が主の人間ドラマ。

物語の最後の待ち受ける登山シ-ンは圧巻で、そこに至るまでの煽りで結末は誰でもわかるが、ようやく人間味を覚えた主人公の生にしがみつく息をのむ展開・描写は本作を傑作に仕上げた。
孤高の人〈上〉 (新潮文庫)
新田次郎孤高の人 についてのレビュー
No.118: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

新宿2丁目の保育園長探偵物語

新宿2丁目で無許可の保育園経営している元刑事のハナちゃんが活躍するシリ-ズ2弾。水商売で働いていたり不法滞在の女達の子供を格安であずかり、保育園を維持する為に報酬の高い危険な探偵の仕事を請け負う。

このシリ-ズはRIKOシリ-ズと同じ時代設定で、一部登場人物が重複していているのでRIKOファンも楽しめる。RIKOシリ-ズでもそうだが、女性の立ち位置というか、妊娠した女性や幼子を持つ母親、日本で生きる外人女性の環境だったり、軽いテンポで進むこのシリ-ズでもメッセ-ジ性はある。

RIKOと違って軽快でユ-モアもあって読み易く、ハナちゃんの女関係も、彼女が行方不明になり、弁護士で心優しい元妻が出てきたり、セックスフレンドの無許可女医の奈美との関係だったり羨ましい?

このシリ-ズくらいは新作が出てほしいな。
フォー・ユア・プレジャー (講談社文庫)
柴田よしきフォー・ユア・プレジャー についてのレビュー
No.117:
(7pt)

逆に目新しい、ど真ん中ハ-ドボイルド

ハ-ドボイルドと聞いて誰もがイメ-ジするようなアウトロ-な主人公、物語展開で、これぞハ-ドボイルドって感じが堪能できる。

ヤクザじゃないけどその狭間のグレ-ゾ-ンで生きる主人公の生き様に憧れやカッコよさを感じないとついていけないかもしれない。

金に不自由なく、絵を描いて、色んな距離感の女が居て、無鉄砲な子分?が居て、余命を持つ女との関係もそうだが、この子分との関係も物語を軸となって、終わりはこうなんだろうなと思うような展開になるし、最後まで考えられた主人公のカッコよさがあった。

抱影 (講談社文庫)
北方謙三抱影 についてのレビュー
No.116:
(5pt)

もう少し活躍が欲しい

文庫の帯に書かれている「ジウ」とか「ダ-クヒ-ロ-」をそのまま期待して読むとちょっとガッカリはするでしょう。

もう少しアンダ-グラウンドの世界で動きのある展開を期待していたが、どちらかというと「歌舞伎町セブン」とは何なのか、見え隠れする「歌舞伎町セブン」の正体で物語の終盤まで引っ張られ、少なくてもスケ-ルの大きさはあってもよかったはずだが、終わってみればあまりに狭い身内の話で終わり、なんじゃそれ?とツッコミました。

救いはおなじみの東警部がほんのちょこっと出ているので、次回作は期待。
歌舞伎町セブン (中公文庫)
誉田哲也歌舞伎町セブン についてのレビュー