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りーり さんのレビュー一覧
りーりさんのページへレビュー数231件
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舞台は岩手県の奥地鷲尻村。 数か月前に村唯一の医師が事故死を遂げていたこの場所に後継の医師としてやって来たのは「滝本志門」。 凶暴な熊、血生臭い昔話、村の財政難、不穏な雰囲気漂う鷲尻村にて連続殺人の影が・・。 誰が言ったか21世紀の横溝正史、私の中の横溝正史のイメージと言えば金田一耕助を主人公とする探偵小説家で飄々とした探偵とおどろおどろしい舞台、戦争後昭和の日本が本人が生きてきただけあって当然に刻まれているといった感じでこの作品とは特に結びつかないです。 単に独特の因習残る怪しい村が舞台というなら別に横溝正史の特権では無いかと。 物語の方ですが色々と話を広げた割には特に相互的に絡まり合うこともなく、人物の描写もいまいちです。 賞の選評としては桐野氏と坂東氏に同調したい。★は5つ ▼以下、ネタバレ感想 |
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「黒髪の乙女」の後輩に思いを寄せる「先輩」は京都諸所にアンテナを張り偶発的な出会いを演出し続ける。 そんな多発する出会いにも天然乙女は”奇遇ですね”と躱し続ける。 巻き起こる不思議な事件で進まない二人の関係は・・・。 四畳半のキャラも巻き込み個性的な面子で送る恋愛ファンタジー、迂遠すぎる計画で空回りする「先輩」と不自然な出会いにも一切動じない「後輩」ちゃんが楽しすぎるぞ!! |
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埼玉県某所で2ヵ月前に起こった一家失踪事件―― 不可思議な神隠しの裏には5年前の殺人事件が関係しているのか、失踪事件の調査を始めたライターの五十嵐みどりは関係者を通じて事件の闇を追っていく・・・。 一方、また別の埼玉県某所では連続通り魔事件が進行していた。 ある因縁から通り魔の「君」を突き詰めた「僕」は仕事のネタにしようと通り魔事件を追い始める。 3つの事件は如何に終結するのか・・・。 主人公の五十嵐みどりは「冤罪者」の被害者の妹、五十嵐友也の妻でこのシリーズでは珍しい信頼できる語り手になります。 必然ではないにしろ「冤罪者」を読んでおいた方が飲み込めると思います。 さて内容の方は相も変らぬ複雑な多重視点。 時系列、関連性、一人称が隠されたプロットをいったいどのようにまとめあげるのか見物です。 ○○者シリーズとしてはぼちぼちの出来。 この作品の直近の沈黙者や冤罪者と比べるとかなり劣るのが否めないです。 それでも折原さんの作品は推理する楽しさがあって面白い、★は6つ。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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体長1メートル越えのワニが盗まれた!! 残された張り紙には怪盗ソロモンなる者が・・・。 動物の扱いに長けた人の犯行だろうと疑惑が渦巻く中、さらにほかの動物も盗まれて・・・。 動物園職員が奮闘するライトなミステリ。
楓ケ丘動物園シリーズの1作目。 似鳥鶏さん動物ものとかも書かれてたのですね、確かにペンネームも動物に因んで・・・って調べたら全然由来は動物好きとか関係なかった!! 獰猛なワニを盗んでいるので内部犯なのは確実なのですが、その割には登場人物全体の掘り下げが足りないような・・。 動物を盗んだ理由付けは上々、キャラクターも良し、鴇先生可愛い!! ライトで楽しいミステリ、そう考えるとラストの真相はむしろマイナスに作用するかな。 ★は5つ。 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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「呪い」で人を殺せるか? そんなことは無理だろうと一蹴することは簡単であろう。 しかし事実として被害者の傍に眠っていたのは60年来の怨みの籠った呪術符。 調べてゆくうち明かされるは被害者の隠匿された過去と罪業、誰が何のために途方もない企てをしたのか被害者の孫と呪術専門家で迫っていく。 「呪い」を全面に押し出した作品。 この作品を楽しめるかどうかは「呪い」という非科学的、超常現象とも言えるテーマを受け入れられるかにかかっています。 私自身は好みのテーマで呪術や因習に関する蘊蓄じみた知識に嫌悪感を持つことはなかったです。 仮に興味がなかったとしても説得力を持った丁寧な説明があり理解することに苦心することは無いと思います。 この気難しいテーマを万人に扱えるように昇華させたのは作者の研究と筆力の賜物でしょう、私の想像するミステリとは些か違ったのですが、なるほどこのような作品も悪くないです。 ★は6つ ▼以下、ネタバレ感想 |
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樋口真由"消失"シリーズの三作目(短編集)。 過去二作を補完するような作品もあり楽しく読めました。 短編集だけあって整合性よりも大胆さを有していますが、表題作の冬空トランスはかなり気合入っていると思います。 中編小説ぐらい長いですし、登場人物も多いですし、シリーズのテーマも辿っておりますし、短編だから許されるレベルですが秀作。 |
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「麻雀」で検索したら出てきた作品。 この時代には雀荘と言う商売が成立していたのか。 色々突っ込みどころはあるが中々に面白いです。 なにより非常に読みやすいです。 海野十三、浜尾四郎、大阪圭吉あたりは本当に退屈しない、青空文庫漁りがはかどります。 |
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倒叙ミステリは最初に犯人が作者によって明かされています。故に読者はそれ以外の要素、動機なり方法なりを推測することになります。 複数の登場人物の行動、アリバイを考慮しなくて良いので色々と楽に読めますね。
古今東西様々な探偵役がいますが本作程魅力ない人物は珍しいと思います。 「探偵と警察の違いは真実を胸に秘めていられるかどうか」と誰かが言ってました。 私自身探偵役は飄々として犯人よりも事件の真相が大事というような輩が好きではあるのですが、まぁ限度はありますよね最低限人としての。 どこぞの知的強姦者かと思いましたもの、あっちは悪役なのに。 動機に関しては欠陥物ですね。 殺す必要がそもそもない。 一方で犯人の偽装による行動トリックと密室の役割については非常に精巧です。 ★は4つ ▼以下、ネタバレ感想 |
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2017年発刊の現代心理サスペンス。 完璧主義者の建築家エドワードの建てた住居は最新鋭の技術でコーティングされた質素で要塞のような家。 徹底した管理と監視、厳しい条件を課せられた上で入居を許された者が本作の主人公の一人ジェーン。 そしてその家でかつて死を遂げた過去の住人がもう一人の主人公エマ。 現在と過去を交互に描き、エマの死の真相とジェーンの行末、家に隠された秘密を追ってゆく・・・。 二人の主人公を交互に展開していくのですがそのスパンが驚く程短いです。 僅か5ページ程で主人公が入れ替わり進行していきます。 しかし不思議なことにまったく読みにくさや混乱はないです。 時系列は違えど二つの物語は謎を提示し解き明かし、読者を一つの真実に導いてくれます。 人の心を支配するような家で繰り広げられる肉薄した心理サスペンス、勿論犯人当てという所でしっかりミステリの体裁を保っています。 作者が真珠王御木本幸吉を出すほどの日本通?なのかは定かではないですが日本の文化が度々触れられています。 この日本の描写、二つの視点の物語が映画にてどのように料理されるのか楽しみですね。 ★は6つ!! |
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大型ショッピングセンターで起こった凄惨な災害―― 原因が何一つ見つからない災禍を当事者とインタビュアーの「Q&A」で照らし出してゆく
事件だったのか事故だったのか、偶発的な物なのか仕組まれたものだったのか、将又両方なのか・・・。 対話の中から浮かび上がる政治的・宗教的な利権と欲望、個人レベルの悲運と葛藤、哀悼や自責が恐ろしくリアル。 本作を初めて読んだのは中学生の頃で当時はチンプンカンプンでした。 発刊は2004年、情報化社会が広がりつつある中で人間の仄暗い裏面を誇張したように取り出した一冊であったと思います。 そして平成も終わりを迎えることになった今読み直すと現実が本書のような社会・思惑に傾倒していくようで怖い。 自身が深いレベルで災害や事件に巻き込まれ大きな傷を心に負ったときにどうなってしまうのか、一歩外に出れば宗教の勧誘が、ネットを開けば虚構や扇動的な情報が溢れる今世で本書の登場人物のような道を辿ることはあり得ない話ではないと思わされます。 ジャンルはミステリーよりかはホラーテイスト。 ★は6つ |
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可愛くない 本作はあるきっかけでコンビを組むことになったキャリア組少女警部と一般地方公務員巡査の警察小説の一作目。 ユーモアミステリということでキャラクター同士の掛け合い、警察知識をネタ的に紹介してくれるのが楽しい。 しかし事件の様相は過去も交えた多発事件で登場人物や時系列の把握が難しく、時に事件外の描写が雑多なものに感じてしまうかもしれないです。 シリーズ初作ということで折々で説明が入るのもそれに拍車をかけているでしょうか。 ヘヴィなミステリの合間に読もうと手に取った割にはトリックはかなり本格でびっくり。 なによりヒロインが可愛い、アンダーリムのピンク女子警部ですからね・・・★は5 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「そして誰もいなくなった」の公演中に一人目の被害者が本当に死人と化してしまう。 犯人の目的は? 本当に原典通りの連続殺人が始まるのか? 見立て殺人を踏襲しながらも裏にオリジナリティ感じる結末を盛り込んでおり、作者のクリスティへの尊敬と自作への意欲を強く感じさせます。 読み終わって総括しますと終盤明かされる真相には原典に見劣りしない衝撃を感じますし、クリスティやミステリ好きに読ませるような巧技も相俟って大変凝っている作品と思いました。 では何故この評価にとどめているかというとそれらがまったく楽しくなかったからです。 登場人物の一挙一動の軽薄さ、事件を成立させるために登場人物をチェスの駒のように扱う作者の都合が気にかかりました。 ある程度なら瑣末な問題と割り切れるのですが今作は看過できませんでした。 誰もいなくなった系統のトリックはトントンと読み進めて驚愕の事実に出くわすというのが楽しいと思うのですが、所々の引っ掛かりがその爽快感を失くしてしまった感じです。 ★は5ですが、それは良き点と悪しき点の相殺であり、悪しき点は私の好みによるものが強いです。 光るものが何もない平坦な作品では決してありません。 読む人によってはクリスティに劣ることもない感嘆を得ることができることを述べておきます。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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本作は大学教授を探偵役に据えるシリーズ作品の第八作目。既翻訳本の「ミステリ講座の殺人」はそれの二作目にあたるとのこと。特にシリーズ通しての繋がりはないようなので安心です。
舞台は世界を航海しながらサーカス巡業を行う<サーカス・クイーン号>。その団長がゴリラの檻にて死んでいました。 誰しもが事故だと思っていました、事故以外の可能性を捨てていました。 しかし巡業先で曲芸師の一人が演劇中に大怪我を負い、船内に潜む悪意を感じ取った探偵役達は団長の死が利権狙いの殺人だったのではないかと動き始めます・・・。 汚点ばかりというわけではないのですが色々と淡々としています。 まず登場人物の台詞に難あり、普通の会話はともかく何かを説明するときの機械的な言動がひっかかる。 短い掛け合いはそれでそれで読みやすい時もあるんですけどね。 世界を廻りながらの事件なので事件と事件のスパンが長い。登場人物もかなり冷静で緊迫感のようなものはあまり感じられません。 本作は1940年刊行ということで普段読むミステリとは色々と違った趣を感じられました。 今世紀、世に出回ってるミステリがトリックの大胆さ精緻さ、技巧と装飾を競っているのなら本作は評価に値しないでしょう。 私がこれを読んで感じたのは本来の捜査や推理ってこういうのが普通だよなぁ と、はなから密室殺人や動機のない殺人(交換殺人等)を考慮して動くのは小説の中だけだよなぁ と、・・・これも小説ですが。 一方で事件に並行してある男女の悶着が起きますが、その男女の想いの揺れの描写は今も昔も変らないようなのがまた面白いのです。 海外文学はあまり嗜みませんが、これは手に取ってよかったです。★は6つ!! |
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