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雪冤
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雪冤の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.61pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全66件 61~66 4/4ページ
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第29回横溝正史ミステリ大賞&テレビ東京賞W受賞作。 15年前に起きた殺人事件。死刑囚の息子の冤罪を信じ続ける父親。 そして、被害者の妹で、犯人に深い憎しみを抱く沢井菜摘。 彼らに連絡をしてきたメロスと名乗る真犯人…本当に事件は冤罪なのか。 死刑制度の是非と冤罪という、司法の世界における重要な問題を ある殺人事件の関係者たちをめぐるサスペンスタッチで描いた小説。 エンタテイメントに必要な緊張感を保ちつつ、実際に自分が無実の罪で 裁判にかけられてしまったら?とか、身近な人が事件の関係者になって しまったら?などなど、リアルに息詰まるような怖さも感じられた。 京都の川原で学生とホームレスたちが黒人霊歌を歌うシーンが プロローグとエピローグに出てくるのだけど、とても印象的。 来年はテレビドラマ化(関西テレビ放送開局50周年記念ドラマ)が ひかえているらしいので、とても楽しみ。結構情報量の多い話だし、 連続ドラマでも十分たえられる原作だと思う。重厚な役者陣で 大人のドラマとして作れば傑作になる予感。 ただ、最後のどんでん返しの連続は、なんだかやりすぎな感じも。 エンタテイメントとしては充実したけどテーマがぼやけた気もするし 犯人の動機を聞いても「でもなんで?」という後味の悪さが若干 残ります。それも余韻としてはアリかもしれませんが。 | ||||
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どちらかというとミステリー苦手分野。でも話に引き込まれていった自分がいます。 ぐいぐいと引っ張っていってくれます。 改めて裁判員制度、冤罪につて考え直す機会を貰いました。 死刑囚は殺されて当たり前という、何の疑問も持たなかった自分がいましたが、 国家、国民全員ががりでの殺人だと思うと、やはり戦慄を覚えずにはいられません。 どんでん返しにいたるまでの人物描写。もう少しわかりやすいと良かったのですが・・・ それが内容に重みを与えるのかもしれないが、逆に読者に難しいと感じさせる部分でもあります。 でも読んで良かったと思わせる一作です。 | ||||
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第29回横溝正史ミステリー大賞・テレビ東京賞W受賞で、高評価の人が並ぶなかで恐縮ですが、私には評価が低い作品です。 京都を舞台に冤罪と死刑問題を「走れメロス」とからめて描いたこのミステリー、一言で言えば作品へのセンスが無い。 京都の描写はシーンが変わる度に、過剰に書きこむ。 人物描写があまりにも下手で、死刑問題等で登場人物達が議論しあうシーンなど、一人芝居にしか映らない。 ラスト終章での真実も、その前に不細工などんでん返しをしている構成だけに白けた。 この1冊で持てる力を全て出した感が否めないなので、次回作への未知数が皆無。 欲張り過ぎた青草さと、作品におけるセンスの欠如、よって評価に値しない。 テレビで放映される時には、原作をかなり削除し結構だけにすると思うから、その方がシンプルでいいんじゃないだろうか。 | ||||
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死刑制度を扱ったいわゆる社会派、冤罪ミステリーです。 主人公は二人。死刑囚の父親八木沼悦史と、被害者の妹沢井菜摘。紆余曲折をへて二人が 出会ったとき、物語は考えられない方向に加速していきます。私はミステリーは読み慣れたつもりですが、この展開は予想できませんでした。 最終的には真犯人デイオニスは誰かという流れになっています。デイオニスとは太宰治の小説『走れメロス』にでてくる悪い王様。このデイオニスは誰かというフーダニットは百人 いてわかるのは一人か二人・・・・くらい難しいのではないでしょうか? 重いテーマはあまり得意なのではないのですが、意外に読みやすく、社会派より本格が好きな私でも楽しめました。持田なんて何処にもないようなキャラだし、台詞回しも熱い。 ただやはり一番の売りは意外なストーリー展開かな。ちょっとやりすぎの気もしますが。 重いテーマながら「読者をもてなす」ことを重視しているのが伝わってきます。 | ||||
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久々に小説で泣けました。「死刑制度と冤罪」という重いテーマをそれぞれの立場の人物に織り込み、その全てに読み手を感情移入させ得る秀作です。新人作家ならではの真っ直ぐで飾り気の無い文章の中に、非常に早いテンポでストーリーが進みます。ある程度先の読める展開と思いつつも引き込まれ、最後に意外な大どんでん返しもあり、一気に楽しめます。登場人物の一人がある思いを込めて有名な黒人霊歌を歌う場面などは圧巻で、涙が止まりませんでした。私の中で、この先も記憶に残る一冊になるはずです。テレビ東京でドラマ化が予定されていると事で、映像化も非常に楽しみです。最近の小説のパターン化などに飽き、純粋に楽しめて感動を求める方には特にお薦めです。了 | ||||
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昨年は該当者なしだった横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をダブル受賞した作品。綾辻行人氏絶賛などの帯は正直またかという感じでそれほどの期待はもっていなかった。しかし読んでいるうちにひきこまれた。死刑制度という重いテーマを扱いながらストーリー展開は実にドラマチック。詳しく書けないが、途中、読んでいて頭が白くなるような意外な展開もあり、飽きさせない。最後には大どんでん返しが待ち構えている。 人物設定もいい。冤罪を主張しながらも死刑は必要だと言う死刑囚。死刑廃止論者であるのに冤罪を廃止論の根拠にしないその父親。死刑肯定論者ながら死刑囚のもとを訪れる被害者遺族など一筋縄ではいかない人物が多く登場する。単純な被害者加害者の対立図式には決してなっていない。実によく考えられた設定だと思う。 問題点もないわけではない。終盤のどんでん返しの連続は社会派ミステリとしてはリアリティをそぐ怖れもあり、そう感じる人もいるかもしれない。ただそれを補って余りあるだけの熱がこの作品にはある。小気味よい文章と、死刑制度論への真摯な取り組み。効果的に使われる黒人霊歌。ラストシーンも綺麗だ。 横溝賞はSFや小さくまとまった作品が多い印象だったが、そういう意味でこの作品はあまり横溝賞的でないかもしれない。だが無論それは否定的な意味ではない。『13階段』や『天使のナイフ』といった乱歩賞の系譜に属する力作だと思う。 | ||||
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