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死者の書



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【この小説が収録されている参考書籍】
死者の書 (創元推理文庫)

死者の書の評価: 4.19/5点 レビュー 26件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.19pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全26件 1~20 1/2ページ
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No.26:
(5pt)

古い小説だけど、代表作

表紙が現物と変わっていたけど、こっちのほうが気に入ってます。
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No.25:
(5pt)

リズミカルな文体、不可思議な作風、キャロルにしか書けない作品

長いこと積読状態になっていたジョナサン・キャロル、久々に手を出したらハマってしまい、改めて1作目から読み返しています。
キャロルのデビュー作であるこの本を最初に読んだのはもうはるか昔の20代の時でした。あらすじはだいたいおぼえていましたが、ラストは記憶が曖昧。そんな状態で再読したのですが、初読時同様のショックを持って読み終わり、ああこれはやっぱりすごいと再認識しました。

こちらでの評価は賛否両論のようですね。日本ではキャロルは売れないらしく、本国では新作が順調に出版されているのに日本での翻訳は途中で止まったままで残念です。
怪奇、幻想、ホラー、ファンタジー、そして残酷童話的なお話が好きな方はまず気に入ると思います。論理ではなく感性で書かれた物語なので、足が地について現実に即した筋道立った話が好きな方は受けつけないかもしれません。
キャロルの作品はダーク・ファンタジーと呼ばれ独特の不気味さが持ち味ですが、表現は結構ユーモラスでとてもアメリカンです。個人的に受けた印象ですが、アメリカ人という出生と、育ったのが陰影あるヨーロッパの古都ウィーンというのがいいバランスでミックスされているような気がします。

「死者の書」も、最初はいかにもアメリカ的な地方都市を舞台に、ごく普通の日常が描かれます。偉大な童話作家マーシャル・フランスの伝記を書きたいという野望を持って教師の職を休職し、ガールフレンドと共にフランスの故郷であるゲイレンという小さな町へ向かうトーマス。
偏屈だと聞いていたフランスの娘アンナに会いますが、意外にもすんなり受け入れられます。ゲイレンでの住まいも決まって何もかも順調に進んでいると思えた日々に、少しずつおかしなことが起き始めて・・・。最初は気のせいだと思い込もうとする主人公。けれどとうとう違和感を無視することができなくなって・・・。
じわじわと増加してゆく得体の知れない雰囲気、そして真相が見えてくると同時に話はだんだんとスピードアップ、怒涛のラストでは世界が変容し死者の匂いが漂ってくるようでなんとも言えない不気味さです。さらに最後のオチで意外な人物が現れたことを思うと、主人公自身の変容とこれからの人生が暗示され、愕然とします。
これが処女作というのはすごいです。新作の翻訳再開もなんとかお願いしたいです。
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No.24:
(3pt)

映画化してほしい

前半がややスローです。
主人公トーマスとその恋人サクソニーから見たちょっとした違和感、あれ?と思う瞬間をもう少し散りばめてくれても良かったかなと思います。
他の方も書いていらっしゃるように、映画化したら面白そうです。
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No.23:
(4pt)

ホラーなんです

主人公とある女性と二人でのロードムービーのような感じで物語は進んでいきます。
そしてあるのどかな田舎町に・・・

本当に終盤までのどかな雰囲気で最後までホラーだと気づきません。
というか、読後感もホラーという印象はないのですが、
よく考えてみるとじわじわと怖くなってくるという感じで、
かなりユニークなホラーだと思いました。
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No.22:
(5pt)

好き嫌いはわかれるでしょう。

関連書籍で出てきて、こちらにあるレビューを読んで興味を持ったので購入しました。
へんてこりんなお話です。でもとても不気味。そして私もみなさん同様、主人公が好きになれませんし、サクソニーがかわいそうでなりません。
彼女はいったい彼にとって何だったんでしょうね?
終章で、トーマスは一人のはずなんですが「僕ら」と言っています。一緒にいるのは、誰?もしかしてトーマスもフランスと同じ力を持っちゃったの??などなど、謎は残ります。
これを読んでキャロルが好きになるか、とんでも本として本を投げたくなるかは、読者次第。私はほかの作品も読みたくなりました。
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No.21:
(5pt)

冒頭からグイグイくる

ジョナサン・キャロルの邦訳第一弾。
キャロルはホラーに分類されるのかな。
最近死んだ、とある作家の伝記を書こうとした青年は、作家の住んでいた町を訪れる。
その小さな町では、気さくな人々が暮らし、作家の娘も健在で、伝記は好調に書き始められた。
ところがある日、町の住人の一人である少年が、自動車事故で死亡してしまう。
他の住人は、その悲しいはずの報せを聞くと、「あの子は、死ぬときに笑っていましたか?」と的外れな質問を返してきた。。。

常識的な世界が、小さな事件をきっかけにガラガラと崩壊し、それまでとは違った側面を見せはじめる。
そして、この日常崩壊の様子の描きかたこそキャロルの本領だろう。
キングなどのホラーを読む人にも、そうでない人にもお勧めできる作品。
個人的には、最後のオチは蛇足だったような気もしますが。。。
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No.20:
(4pt)

イヤミスに分類されるかもしれない不気味なファンタジー

ある作家の作品に夢中になった主人公がその伝記を書く為にある町に赴くが・・・というお話。
物語の中盤くらいまでは割とリアリズムを基調にした小説に思えますが、中盤以降に怪異な現象などが起こり始め、ファンタジーやホラーっぽくなるという展開の作品でした。その中盤以降の展開が結構薄気味悪い感じで居心地の悪いファンタジー、或いは悪意に満ちたファンタジーという感じでなかなか読ませる作品になっているように思えました。この薄気味悪さ,蟻走感のような居心地悪さを楽しめるか、不快に思うかで本書に対する評価が割れるのではないかと思いましたがどうでしょうか。私の場合、根暗世代の鬼畜系という事で楽しめましたが。
著者のジョナサン・キャロルは父親がハリウッドで脚本を書いていた名のある父親を持つ人だということで、作中映画に関する逸話や挿話が沢山出てくるのもこの辺の事からなのだと思います(因みに瀬戸川猛資はその脚本家の父の事が好きで、この人の作品を読んで父には及んでないと評されてました)。
イヤミスに分類されるかもしれない不気味なファンタジー。機会があったらご一読を。
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No.19:
(5pt)

私は小説が嫌いだが、どうしても何回も読んでしまう名作というものがある。

ホラーの巨匠にして、米国の小説界の大御所である、スティーブン・キングをして「私のような、卑しい物書きが、あなたにお手紙を出すのは~」と絶賛したらしい。とてもこれが処女作とは思えない、できばえである。私は「笑いの郷」、「緑の犬嘆き」、「桃の実色の影」という、マーシャル・フランスなる作家の本をぜひ読みたい。実はその様な作家も本も実在しないのだが、「猫あかり」なるものとは何かしりたい。
何故この本が、映画化されなかったのだろう?J・キャロルもそれを望んでいたに違いない。今だったら、かなりテクノロジーでカバーでき、面白い映画になると思う。世の中のプロダクションは何をしているのかと歯がゆい思いをさせる、一冊である。浅羽莢子氏の翻訳も実にうまい。彼女が指摘しているがごとく、J・キャロルは日本人の感性を持っているがごとくの、季節への情感の描写がこの小説を只者ではなくしている。(ついに、アマゾンで取り寄せ原書をよむことまでした。)表紙のデザインはいまいちでしたが、浅羽氏の翻訳は見事でした。
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No.18:
(3pt)

ラストに終結される伏線と日常と混乱。

まずコレが処女作だということの驚きは既に他の方々もおっしゃる通りに文章力や表現力センスと細部に渡るまでの構成がずば抜けて高くキャロル氏の繊細さ才能たるや驚くばかりと思います。

しかしいわゆるある程度の読書経験から来る本好きや有名文学などを読み漁り行き着いた先に楽しむような内容でもあり。
普段からあまり読書しないような方々には本書の魅力は十分には伝わらず酷く退屈な作品に映るでしょう。

というのも物語はホントーに後半までにはこれという変化も薄くただ偏屈で融通が利かない利己的な主人公のどっちつかずの行動や言動にイラつかされつつも日々の事柄を主人公目線から淡々と記載されている。

やがてはその主人公すら二人の女性の間で業を煮やす情けない男に成り下がる訳ですがその女性達がかなり重要な役割を
になっています。

後半につれて徐々にネタが明かされていき空気が一変しますがコレを面白いと感じるかただただ気味が悪いと感じるかでも評価が分かれそうです。

読み終えた後はなんとも言えない虚しい気分にさせられとある女性がただただ救われないのが残念でなりませんでした。

てか主人公が嫌www

これが予めキャロル氏により計算された事ならやはりキャロル氏は素晴らしい。
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No.17:
(4pt)

ラストがいい

Jonathan Carrollの『The Land of Laghs』(1980年)の翻訳。
 著者の長編デビュー作である。
 ホラー小説というかファンタジーというか。
 どことなく不気味で、しかし、温かな雰囲気のなかで物語が進んでいき、衝撃的なラストを迎える。
 物語と現実世界の融合がテーマとなっているのだが、先の展開が読める中で、じわじわと不安が募り、ページを繰る手を止めることができなかった。
 結末が気が利いていていい。
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No.16:
(3pt)

Low Fantsyの着地点は難しい

ダークファンタジー。
裏表紙の末尾に「鬼才のデビュー作、驚嘆の一語に尽きる傑作!」とある。

主人公トーマスは著名な映画俳優を父に持つ高校の英語教師。今の生活に飽き飽きしている。あるクラスにポウを教えたあたりで精神の最終的な危機を回避するために休職を願い出ようと決める。トーマスの夢は彼の一番好きな作家マーシャル・フランスの伝記を書くこと。ある日、古書店でフランスのファンのサクソニーと出会い意気投合し、伝記の材料を集めようと、フランスが長年住んだアメリカ中部の小さな町ゲイレンへと車を走らせる。
ゲイレンに着く直前、現実世界に住む二人に異界が忍び込む。最初すぐにはそれと気づかない。着いてすぐ町の人たちやフランスの娘アンナとも知り合う。好意的な住民の部屋を借りることができフランスの取材を進める。小さな謎めいた出来事が積み重なり、ゲイレンの町と住人の秘密がじょじょに露わになっていく。
ロウ・ファンタジーとは日常生活に異界が侵入する物語のことをいう。ゲイレンの町を知りフランスの伝記的事実を調べていくうちに、いつの間にか侵入した異界が膨れ上がり全てを飲み込もうとする。現実世界の世界観が変容し別の世界が姿を現す。それに気がついたときには運命は取り返しのつかないところまで進んでいた。

物語の前半は才気溢れる作家の物語展開が眩しいほど。しかし謎が自己展開を始めるとともに、筆致は展開それ自体が中心になったように先を急ぎ、才気は萎み作家はストーリー・テリングを急ぐ。

物語の結末がその物語の中心だとすれば、町を覆う大きな暗い悪意のうねりに呑み込まれた個人の「茫然」と「無力感」が読後に残る。暗示はある場合は効果的な手法ではあるものの、物語の必然と作家の「恣意」では、読者は「物語の必然」を好むだろう。大きく広げた風呂敷くが大きすぎて畳めなくなると不思議が残ったままとなる。結末だけみれば、これが長編である必要はない。丹念に描写していった積み重ねがワン・アイデア・ストーリー的なものでは些か残念なほど、前半から中盤の描写が魅力的だと思う。
アメリカの作家特有の大袈裟な比喩、繰り返し出てくる映画の知識などは結構面白い。

しかし恐らく、読者は物語を語る主人公のトーマスに感情移入できなかったのではないだろうか。評者は物語の後半から出来なかった。後半はB級映画を見ているような気になった。アメリカ映画にありがちな出だしは壮大、結末は尻すぼみの轍。物語の展開と文章に最後まで才気を感じさせて欲しかったという気がする。

あと、登場人物のセックス描写であるが、物語の展開に必要だったのかと疑問に思う。そういう描写も決して嫌いではないけれど。「これがアメリカ人の日常ですよ、だんな」と言われればそれまでだけど。読者サービスの域を出ていないような気がする。

総じて謎のベールが少しずつ上がっていく展開と描写は上手いと思うし感心もした。
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No.15:
(5pt)

何気ない日常にちょっとした異変がからむ話

何気ない日常にちょっとした異変がからみ、次第におかしな方向へと進んでいく話です。
 ちょっとおかしな主人公と、これまたちょっとおかしなサポート役の女性とのコミュニケーションが、またおもしろいのですが、旅先での出来事が、徐々に狂っていく感じなどは、違和感なく読み進められました。
 読み終わって、後で考えると、なるほどと思えるシーンがたくさんあるので、ミステリー好きな人も読みやすい作品だと思います。
 登場人物がシンプルかつ個性的で、親しみの持てる人物から、かなり憎らしく感じる人物まで幅広く、おもしろいです。
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No.14:
(5pt)

好きな本です。

ジョナサン・キャロルの本は初めてです。読み終えてネットで調べるまでは著者が男なのか女なのかわかりませんでした
(ジョナサンじゃないかと思うかもしれませんが、本を読むとそんな気分です)。
読んでいて退屈する部分がない本です(そんな本って少ないでしょ)。内容が充実しています。プロットよりも、キャラクターに魅力があります。
題名ほど怖い本ではありません(なんであんな題名?)。質の高い面白さが長く続く感じです。最後にS評価をとるのではなく、A評価がずっと続く感じです。全然タイプが違いますがフロスト警部シリーズと同様です。個人的に好きなタイプの本です。   
著者の知名度が上がり、近所の本屋でも買えるようになるといいのに。
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No.13:
(5pt)

尋常ではない空気感

なんとキャロルの処女作がこれというのは、驚愕するしかありません。それほど、巧みで、したたかでさえある文の運び、
全体に流れる不気味なニュアンスに魅せられました。もっと若いころ出合いたかった。
また、マーシャル・フランスの作品が読めないもどかしさ、残念さもありますね。主人公がちょっとだけ挙げる、
フランスの物語の断片が素晴らしい。タイトルもまたそそられます。作中作「笑いの郷」「星の湖」「緑の犬の嘆き」
「桃の実色の影」・・・。
とにかく全編に満ちる空気感が尋常ではありません。ダークで電気を帯びたような街の描写が続くうちに、キャロルの描く
ゲイレンに引きこまれていきます。

主人公トーマスは愛する作家マーシャル・フランスの伝記を書くために作家が終生愛したゲイレンという街を訪ねます。
フランスの家には彼の一人娘アンナがひっそりと暮らしている。
そこに滞在することを許されトーマスは恋人のサクソニーとともに、フランスの足跡をたどり始めます。
アメリカの片田舎の町ゲイレン。ぱっとしない小さな町。しかし、住んでみると何か不可思議な謎がありそうな、
どこか歪んだレンズをのぞいているような、そんな妙な街なのです。

前半のゆったりした展開から一転、後半は謎が明かされホラーファンタジー的な展開になり物語もどんどん進んでいきます。
そしてラストまで、一分の隙もない筆の運びで、驚愕の終幕を迎えます。
キャロルの処女作にして代表作。
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No.12:
(2pt)

世界像の作りこみのわりには

期待して読んでいき、期待通りの文章力(→翻訳力も相まってすごくセンスは感じる)に遭遇し、数々の文芸ジャンル情報の取り扱いのうまさに脱帽しながら、中盤を迎えました。特殊なある世界設定がその途上で提示されて、いったん驚きます、が、それにひどい違和感を持つこともありませんでした(小説だしね)。ただ、そのわりには、プロットの「着地点」がもう一つ、と感じてしまいました。シミ入るようなサプライズエンディングではなかった気がします。逆にあそこまで細部を構成して「別世界」をつくりあげたのなら、もう一つ何かズドンというものがないと、もったいなかったのでは、と感じたところです。もし著者ジョナサンがこれを処女作ではなく後年に書いたのなら、別の結構をつくりあげたのではと思いました。
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No.11:
(2pt)

期待はずれ

 評価の高い作家なので期待して読みましたが、ええと、これは冗談小説ですよね?
 題材は、心温まるファンタジー、もしくは奇想天外なユーモア小説にふさわしいものであって、決してホラーにはなりえないと思うのです。それを無理にホラー仕立てにしたのは作者か、あるいは翻訳者、出版社のいずれかが重大な勘違いをやらかしたに違いない。
 カテゴリーミステイクというのは哲学用語ですが、この小説にふさわしい言葉のように思われます。
 文章を高く買うという人も多いようですが、くだらないアメリカンジョークに付き合わされているような、精神的な浅さの目立つ、へたくそな文章だと私は思います。
 ラストの数ページは見事です。しかしそれはオチというべきもので、短編作品で読ませれば済むこと。長編でやられるのはちょっと困る。
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No.10:
(5pt)

ダークファンタジー登場

 十年以上前になんの予備知識もなしにこの作家のデビュー作にぶつかった時にもあまりに衝撃的過ぎてただただ圧倒されましたが、今回も同じでした。何回読み返してみても、ストーリー展開もさることながら、プロットに、描写力に、巧みな言葉遣いに、そして独特のタッチに、やっぱりただただ凄い、才能ってこういうことをいうのだなと絶賛の言葉以外に送る言葉が思いつきませんでした。完璧すぎます。
 ストーリーは、ダークファンタジーの名にふさわしい不思議な物語。有名な映画スターの息子トーマス・アビィは、有名人の息子ということにうんざりし続けていたが、彼にとっての永遠の文学的アイドルにして謎の多い童話作家のマーシャル・フランスの伝記を書くべく、同じくフランスの熱狂的なファンの女性と一緒に彼が終世住み続けたゲレインの町に赴く。町へと行く前にフランスのエージェントだった男からいろいろと情報を仕入れたいた二人は用心深く町へとついたが、いきなりフランスの娘に正体がばれ、状況は思いがけない方向に転がっていく。村人の態度にいぶかしいものを覚えながら、伝記に着手するトーマスはだんだんと何かがおかしい事に気がつき始める。アメリカの田舎町を舞台に展開される不思議な物語。
 前半はスロースタートですが、中盤からはページを繰る手をとめさせてくれません。
 海外小説を読む愉しみをとことん味あわせてくれる一冊です。最大級のお勧め作品です。
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No.9:
(2pt)

誇大妄想小説

原題は主人公が崇拝する童話作家フランスの代表作「The Land Of Laughs(笑いの郷)」。主人公は恋人と一緒にフランスの住んでいた町に行き、伝記を書こうとするのだが...。文体はサリンジャーを意識したものか軽口体。有名な俳優を父に持つ主人公が、そのコンプレックスを振り払うための自立の物語かと思いきや、町の様子がおかしい事に気付き始める...。
ここから先は詳しく書けないが、作者が物を書く者に特有な「ペンの力への過信」を持っている事が分かる。私は途中で仕掛けに気付いたが、この作品の構想は妄想の中から産まれたと言って良いだろう。恐怖感を感じるどころか、バカバカしくて最後まで読むのに苦労した。運命論に対する深い考察もなければ、風刺性も感じられない。
本作の発想は小学生レベルのもので、それを何となく当たりの柔らかい文章にしただけである。作者の未熟が産んだ、誇大妄想小説。
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No.8:
(5pt)

ジョナサン・キャロル入門書

途上で明かされる世界観をどう受け止めるかで評価は極端に別れてしまう作品でしょう。
自分としてはそれをオチ的な扱いにはせず、主人公のドラマや表現へ至るプロットとして活用しているので高評価。
延々と付きまとう不安感は他に類をみない程。
ただ、展開に対するキャラクターのリアクションがどうにも不自然なため感情移入に繋がりにくかった。
心理としてはもっと疑問を持つだろうとか、責めるだろうとか、諦めるでしょうとか、諸々。
ジョナサン・キャロル入門書としては最適(個人的にはキャロル唯一の傑作)。
読者各々の評価は別にしても有意義な読書体験が出来ると思います(映画なんて媒体だとこの内容は難しそう)。
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No.7:
(3pt)

惹句にひかれたが・・・

前評判がとても良い作家。
ホラーだと覚悟して読んだ。表紙の絵も怖いし。
(表紙の絵が一番こわかったかも)
読了後・・・ファンタジーのように感じた。
けれど、文章は物凄くうまい。
伏線の使い方が すばらしい。文章に無駄が無い。
最後の数ページで ビックリさせられたが、
結末の予測はできた。けれど、まさかね、と理性が
否定しているところへ この筆力で ねじこまれた感じだ。
しつこいようだが
近代作家、現代作家の中で この文章力はピカイチだろう・・・感嘆。
死者の書 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:死者の書 (創元推理文庫)より
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