鳥
評判
鳥の評価:
4.94/5点 レビュー 31件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全32件 21〜32 2/2ページ
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鳥の評価:
4.94/5点 レビュー 31件。 B ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
ジャンルとしてはミステリーロマンスのように言われることが多いデュ・モーリアの小説は、恐怖と謎とロマンスの混じり合う世界である。だが、あらためてこうして短編集を眺めると、その物語世界の豊かさ、多様さに驚かざるを得ない。
ヒッチコックの映画化による「鳥」がいちばん有名だろうが、原作の緊迫感は映画をはるかに越える。ある日突然鳥が人間を襲い出すという話は、主人公が異変に気づく冒頭から、壮絶な戦いの末に取り合えず身を守る終わりまで、鳥がなぜ人を襲い、また今後どうなるかという重要な問いに対して一切の答えを与えていないのであり、それが怖い。
おそらく最も多くの人が最も面白いと思いそうなのは、最後の「動機」である。幸福の頂点にありそうな婦人が突然自殺し、動機は全く考えられない。だが、粘り強い私立探偵の追求で、わずかな1本の糸から驚くべき過去が浮かび上がる。どうです、読みたくなりませんか。何しろ昔の作家だから、昨今のトリックに比べれば、わかってしまえば「コロンブスの卵」かもしれないが、そこに浮かび上がる人生の、この構想力はどうだろう。
他に突然神秘の山に消えた妻を追い求める夫の苦悩を描いた「モンテ・ヴェリタ(真実の山)」の濃密な情念の世界、死んだ妻の呪いを受けた夫の運命を描いた「林檎の木」のじわじわと迫りくる恐怖感、などなど、デュ・モーリアを知らずに損をしている潜在的ファンはたくさんいるはずで、その人たちに嬉しい8編である。
読み通して思うのは、どれもがきわめて心理的なドラマだということ。突然何か異様なことが起こるパタンが多いが、そこには常に当事者と部外者とのずれがある。そのために部外者は謎に苦しみ、あるいは当事者は人に理解されない恐怖に苦しむ。デュ・モーリアの心理描写は絶品だが、そこで我々は、人間の真実とはいかに心理的なものであり、またそれゆえ人は周囲とのずれにいかに苦しまねばならないかを思わずにはいられない。基本的に娯楽小説でも、そうした深みのある作家なのである。