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霧に溶ける
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【この小説が収録されている参考書籍】
霧に溶けるの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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人の心理を書くのは上手いけどこんなに調子のいい殺人事件のストーリーはないよ! | ||||
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ミスOLの選出が評判である。候補者のひとり杉静子は、幼馴染で事故で片腕を失った男・小牧と新しい生活を始めるため、ぜひ賞金が欲しい。ところが小牧との密会現場を何者かに撮影された。候補者には純潔を求められるため、表ざたになれば失格だ。そのうち、他の四人の候補者が次々と死傷する。 いかにもな昭和のミスコン裏話がテーマだ。女を若さと容姿で選考するなんて、現代なら許されないだろう。現実にルックスが女性評価の重要な基準になっているのだから、この時代の方が本音という気もする。単なるスキャンダル暴露ではなく、すべての事件にミステリの濃厚な妙味が詰まっている。 トリックもさることながら、全体を描く着想が素晴らしい。もし成功すれば完全犯罪以上だった。 オチも鮮やかだ。最高点を差し上げる。 | ||||
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わかり易い表現です。 | ||||
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笹沢左保、初期の最高傑作。これが今年(2020年)祥伝社より再版された。 ここ数年、笹沢作品の面白さが再評価されて再版が相次いでいる。それならばこの小説は必ず再版される、されなければならないと、ずっと思って待っていた。 かく言う私も、実はこの小説、最後まで読んだことが無かった。これまでなぜか途中で投げ出してしまっていたのだ。だから今回の出版は本当に楽しみにしていた。 話が変わるが、今年(2020年)の江戸川乱歩賞講評で、綾辻行人氏が「ミステリーの基本は、魅力ある謎と、魅力ある解決だ。」と言っている。 私はそれに加えて、「魅力ある探偵」「魅力ある被害者または事件」「魅力ある犯人」を上げたい。 さてこの「霧に溶ける」だが、以上の条件をすべて満たしている。 高額の賞金をかけたミスコンテストが開催されることになった。最初の100ページくらいは、その優勝候補者の5名のプロフィールの紹介だ。 ここの部分はいささか退屈だが、昭和のオンナたちはたくましく生きていたのだなぁ、と感想を持ってしまう。 そして100ページあたりから、事件発生だ。 この5人のうち3名が、同じタイミングで事故で死傷するのだ。状況は事故としか言いようがないものだが、ミスコンテスト優勝候補が3人同時に事故にあうはずがない。警察は非公式に捜査を開始する。 ここから最後まで一気に読ませる。 そこで上記の条件。 「魅力ある探偵」 探偵役は最後に登場して事件を解決に導くが、「えっ、この人が探偵役」という人物が事件を解決する。 「魅力ある被害者または事件」 最後の100ページくらいで黒幕はこの人なんだろうなとわかってしまうが、問題は3人を同じタイミングで死傷させるトリックだ。どういうトリックを使っているのか、最後まで引っ張られる。 「魅力ある犯人」 ええっ、と思わせる犯人が出てくる。しかも最後の1ページで。これは参った。 江戸川乱歩賞のことを書いた。ここのところ低迷としか言いようがない作品・作家ばかりが出てくる。 この小説は1960年に出版された。今こんな小説がまた出てくれば、ミステリーも復活するだろう。現代のミステリー作家がこの小説から学ぶことは多いはずだ。 | ||||
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ミスコンテストの候補者が次々と殺される連続殺人事件。 事件の構図や犯人の設定が斬新で、3つの殺人の方法もそれぞれユニーク。 小河内エミ殺しのトリックは単純な手法ではあるものの盲点となっており、密室としての見せ方もうまい。 手鏡の存在が欺瞞のもととなっており、また、事件をつなぐ鍵ともなっていて、小道具として巧く使われている。 真相説明は図解を取り入れていて、わかりやすい。 大技はないものの、事件の真相は十分に納得のいくものであり、きれいにまとまった本格ミステリーの佳作。 | ||||
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デビュー作にして代表作「招かれざる客」に次ぐ作者の第二作。ミス・コンテストの最終候補に残った5人の女性及び関係する男性達を題材にした物語。前半は5人の女性の各々の強かな思惑が描かれるが、一人として無垢な女性はおらず、構成上の必然とは言え、作者の底意地の悪さが感じられる。 まず、一人が自動車事故で怪我をして入院、続いてもう一人が密室状態下でガス中毒死。急に事件らしい展開になる。更に、もう一人が二つ目の事件とほぼ同時刻に自宅の棚の崩落による事故死。担当警部補は二つの事故死を殺人と睨むのだが...。生硬い文体であるが、本格ミステリに賭ける情熱が伝わって来る。加えて、もう一人が二つの事件と同日に自宅の冷蔵庫の中で窒息死していた事が後から発見される。二つの(準)密室に対する「How Done It」と「Who Done It」。冒頭で語られる一組の男女の情念と共に、終盤これらの謎解きがなされる。特に密室に関しては現場の見取り図を入れたり、伏線をキチンと張ってあったりと、読者への挑戦心と公正心に溢れており、中々買える。ただし、犯人の設定については問題があろう。先述の一組の男女の情念が生々しく描かれているのに対し、如何にも砂上の楼閣。説得力が皆無である。 とは言え、当時の笹沢氏の本格ミステリに賭けていた情熱とアイデアが窺え、貴重な作品と言える。 | ||||
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ミステリ、時代小説、風俗小説などなど、幅広いジャンルの作品を書いている大ベストセラー作家の笹沢左保。なのですが、今まで一度もその小説を読んだことはありませんでした。作品数があまりに多いので、どうしても手の込んだものが無さそうに思え、なんか「ベストセラー作家」というのを敬遠してしまうんですよね。 本書も古本屋でカバー絵に引かれて(大きなイチゴの絵です)偶然手にとったもの、パラパラめくってみると今では文庫では珍しい上下二段にわかれた体裁、値段も安かったので買ってみたという程度のもの、特に期待もしていませんでした。 が、読んでみてビックリ、化粧品会社が募ったミスコンテストの最終候補に残った五人を襲う連続殺人事件を扱った、よくできたしっかりとした本格ミステリ、とても楽しめました。 作品数の多い作者のこと、できの良い悪いはあることでしょうが、少なくとも本作は本格ミステリが好きな人におすすめできる秀作です。ただ、読むのなら春陽文庫版以外がいいかも。古い版の本にはありがちですが、誤字脱字があまりにも多かったので。 | ||||
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ミステリ、時代小説、風俗小説などなど、幅広いジャンルの作品を書いている大ベストセラー作家の笹沢左保。なのですが、今まで一度もその小説を読んだことはありませんでした。作品数があまりに多いので、どうしても手の込んだものが無さそうに思え、なんか「ベストセラー作家」というのを敬遠してしまうんですよね。 本書も古本屋でカバー絵に引かれて(大きなイチゴの絵です)偶然手にとったもの、パラパラめくってみると今では文庫では珍しい上下二段にわかれた体裁、値段も安かったので買ってみたという程度のもの、特に期待もしていませんでした。 が、読んでみてビックリ、化粧品会社が募ったミスコンテストの最終候補に残った五人を襲う連続殺人事件を扱った、よくできたしっかりとした本格ミステリ、とても楽しめました。 作品数の多い作者のこと、できの良い悪いはあることでしょうが、少なくとも本作は本格ミステリが好きな人におすすめできる秀作です。ただ、読むのなら春陽文庫版以外がいいかも。古い版の本にはありがちですが、誤字脱字があまりにも多かったので。 | ||||
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