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エンジェルエンジェルエンジェル
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エンジェルエンジェルエンジェルの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.36pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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主人公があまりにクールでしっかりしているので年齢不詳(ヒントは出ているので明らかではあるのだが)なところが ティーン向けにもなりそうなストーリーを大人の雰囲気に仕上げている。 おばあちゃんとの会話が一見ファンタジーなのだが、実はとても厳しい現実を示している。 その辺りのさじ加減が絶妙。 | ||||
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天使がたくさん出てきます。母から見たら天使のように良い娘コウコ、そのコウコが飼う熱帯魚のエンゼルフィッシュ、エンゼルフィッシュの水槽を置くことにした古い台の引き出しに入っていた小さな木彫りの天使像、おばあちゃんが女学生時代に通っていた教会の天使様…。いろんなかたちの「天使」を見るうちに「天使ってなんだろう?」と考えさせられました。どんな天使でも些細なことで悪魔になったり見えたりするもので、両極端にもかかわらず紙一重なのだと思います。 現在のお話と、今は呆けてしまったおばあちゃんの女学校時代の日記(古風な文が旧字体で綴られています!)が交互になっており、メリハりがついて読みやすかったです。梨木さんの作品らしく読後感が爽やかですが、いつもはもっと入り組んだお話をかかれているので今回は随分あっさりして少し読みごたえがなかったなと感じました。なので良作ですが☆3つです。 | ||||
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久々に、読み終わった後、作品世界から抜け出すことができない感覚を味わった。 ずんと深い所に突き落とされるような感覚。 「神さまは悪魔をどう思っていらっしゃるのだろう。 神さまが作り出した楽園を乱す悪魔を。」 神様は悪魔を赦されるのか、それともはなから赦しているのか。 このテーマを中心に据え、ヒロインとヒロインの祖母の密やかな交流と ヒロインの祖母の若いころの思い出が時に重なり合い、時にリンクしながら描かれる。 作品世界から未だに抜け出せないでいるのに、自分の思いを言葉ですくい取ることが できないもどかしさを味わい続けている。私が何に対して、ずんとした思いを 抱いているのか。なぜ、こんなにも物悲しい気持を引きずっているのか。 その具体的な原因にたどり着けないでいる。 強いて挙げるならば、誰もが持っている人間の「悪」をコウコとコウコのおばあちゃんが 具体的に行動で示していて、その行動に、私はずんと落ちてしまったのだと思う。 「わたしはひどいことをしました。 神様はわたしたちをおゆるしになるでしょうか。」 これは文庫本にかけられていた帯文句。 しかし、コウコがした「ひどいこと」もコウコのおばあちゃん、サワコがした 「ひどいこと」も大きなことではない。 私たちが感じるちょっとした神経のささくれを言葉で、行動で表し、そのささくれを 解消しようとしているだけに過ぎない。その小さな「ひどいこと」が小さいにも関わらず、 確かにぞっとするような「ひどいこと」で、その小ささとひどさの持つアンバランスさに 私はやられたのだと思う。同様に、コウコもサワコも、自分のそういった言動に 自分自身が最も傷ついてしまう。 けれども、サワコが乗り越えられなかった痛みを、コウコはサワコとの交流の中で 乗り越えていく。いや、「乗り越える」のではない。自分の一部として気づき、認め、 存在を許すことができる。 なぜ、万能であるはずの神様が「悪い存在」の悪魔を作ったのか。 神様は悪魔について、どう思っているのか。 作品全体を貫くこの疑問に対して、梨木さんは温かい視線で回答している。 この温かさ故に、私は人間の身勝手さを更に感じ、読み終わった後も物悲しい気持を 持ち続けたのだろうと思う。 | ||||
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天使のようなお婆ちゃん。おばあちゃんの介護を引き受けることで飼う事ができたエンジェルフィッシュ。天使のようだと母の自慢の主人公。 熱帯魚の水槽の音でおばあちゃんは昔の自分を取り戻し、孫の考子は友達のようになれた。エンジェルフィッシュは小さい魚を食べ始め、とてもエンジェルとは思えなくなってくる。悪魔なエンジェルフィッシュ。 おばあちゃんの女学生時代の物語と現在が交互に描かれていて、物語がリンクされている様な感じで上手いな〜と思った。 | ||||
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つい人の顔色をうかがってしまうコウコ。口をついて出てくる言葉といえば「自分の思い」ではなくて、「相手が望んでいる答え」なのだ。そんな自分に嫌気がさしているコウコは情緒不安定である。これはそんなコウコと、お婆ちゃんとの短い触れ合いの物語だ。いつも2人の間にあるのは大きな水槽。熱帯魚たちの住む小宇宙。そこにはそこでしか通用しない秩序がある。息を詰めてその世界を見守っているコウコとおばあちゃん。ある時気づく。私達の世界もこうして見られているのでは?心を痛めて見つめている人がいるのでは?と。 | ||||
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梨木作品の中ではかなり分量・深みとも少なく感じてしまう作品。全てを語り尽くすのではなく、行間を探らせたり、情景描写から読者なりの読み方をできるのは確かに梨木作品のウリではありますが、今回は物足りなさを感じてしまった。解説にある通り、ハードカバーで読めばまた違う感想を得たのかも知れないが、文庫化する以上、その制限の中でも読者に対して最良の作品となるように仕掛けるのが作者および出版社に期待されることではないだろうか。今回の評価は「2寄りの3」が正直なところ。 | ||||
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以前ハードカバーで出版されたときにこの本を購入したのですが、非常に凝った面白いつくりかたになっていて感心しました。詳しくは語りませんが、お話の形式が非常にわかりやすく読み手に伝わるような編集になっていたのです。文庫本になっているのをみて、そのへんはどうなったのだろうと思い手にとってみたら、案の定そういう作りはなくなっていました。ちょっと残念な気はしたのですが、以前より地味にはなったもののとてもさりげなくて、ある意味これでこそ梨木さんの本だなーという感じがしました。あからさまに物語の形式を主張するのではなく、読み進むうちに「ん」と気づくような・・・・もともとこの物語にはそんな形が相応しかったのかもしれません。なんにせよ、文庫本化ばんざいです(笑) | ||||
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