チャイルド44

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

チャイルド44の評価:

4.09/5点 レビュー 117件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.09pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全125件 101〜120 6/7ページ
No.25
(4pt)

☆5つはないでしょう!

このミス海外版1位のこの作品。手頃で安価な文庫版ということもよろしい。読んでみるとスムーズに読み終えます。ソ連の飢餓の過酷な描写。絶望的な状況からの脱出。仮面夫婦が本当の愛を勝ち取る。などよい点もあります。でも・・・・・・あっさりしすぎなんですよ。犯人も、敵役も。そして最後の処置も。とにかく登場人物がどんどんいなくなり、状況の割にはつながりがなく、何となく進んでしまいましたって感じです。これが第1位のミステリー?書評家諸氏の感性ってこんなものですかね。もっとすごいのないんですかね。いい作品ですが、すごくはないです。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.24
(5pt)

衝撃過ぎるデビュー作品!

著者は何と29歳というイギリスの超新星だ。
前評判通り、いやそれ以上の内容である。近年、これほどに衝撃を受けた翻訳作品はジェフリー・ディーヴァー以来であろう。
国家保安省の敏腕刑事である主人公が、国民相互監視制とも言えたスターリン体制の中で、組織に、社会に、家庭とどのように向き合い生き延びそして生き残るかを見事に描いた作品に仕上がっていっる。光射すことのない時代、かつてソビエト連邦という国家で人々は飢えに苦しみ、他人を信じることも許されず、正義などは何の価値も待たない国で生きることが、どれ程に困難だったかを作者は物語の背景として見事に描いている。登場人物、ストリー、プロットこれ程に完成された作品には、しばらくお目にはかかれないであろう。トム・ロブスミスの次作が今から待ち遠しい。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.23
(4pt)

崩壊したソ連の恐ろしい体制

フィクションとは言いながら、ソ連のスターリン体制化の実態が
よく判った一冊であった。
聞きしに勝る恐ろしい実態。独裁者が君臨する国家においては、
言論はもちろんのこと思想までもを圧制されて、意思を持たない
従順なロボットにならなければ生きていけない世界。
例えば北朝*の様に世界には今もこの様な環境で生活している人
がいるのかと思うと今の日本は何とも幸せなことかということを
改めて認識せざるを得ない。
それはさて置きこの小説は44人ものいたいけな子供を殺害する犯人を
国家の下僕であった主人公が人間らしさを取り戻しながら、私利私欲
を捨て、命を賭してまで犯人を追って行く過程を描いている。
連続殺人事件の犯人とその動機とは?というミステリーの要素と共に
主人公の心情の変化を同時に描くことによってハードボイルドな
ヒューマンドラマに仕上がっている。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.22
(4pt)

連続殺人鬼よりも国家のほうが恐ろしい

スターリン体制化のソ連で、主人公の捜査官が連続殺人鬼を追い詰める話です。ただ、完成された社会主義国家であるソ連では、殺人事件の存在は認められないため、事実上殺人の捜査は行われず、犯人は野放し状態になっている。そして国家に反体制と睨まれた人物が殺人事件と関係ないにもかかわらず逮捕され簡単に処刑され事件が強引に解決される。この特殊な状況で主人公が事件の捜査を行うところが、今までの小説と一番違い、この作品の特徴となっている。
もうすでに犯人が逮捕され、事件が終わっているのに主人公が真犯人を見つけるために捜査を強引に行うため、国家から反体制の人物として危険人物とみられ、犯人よりも自分が所属する国家に命を狙われてしまうところが、この作品に緊張感を生み出している。
上巻では、主人公が狡猾な部下の罠にはめられ田舎に左遷されてしまう様子が中心に描かれていて、殺人事件の捜査を本格的に行うのは下巻からになる。
私はこの作品を読んで、殺人事件よりもソ連という国家の特殊性により捜査がうまく機能していなかったり、関係のない市民が犠牲になる事のほうが話のメインである感じがした。
連続殺人事件の犯人は、読んですぐに分かってしまい予想どおりだったが、下巻の中盤で「ある人物」の本当の正体が明らかになるのだが(下巻214ページ)、それは予想していなかったので驚かされた。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.21
(5pt)

続けて『ゴーリキー・パーク』をどうぞ

抜群の面白さ(や問題点)は、他の方のレビューが紹介されてますので、
ちょっと違った観点を紹介させてもらいます。
本作は、海外長編ミステリのストーリーテリングの伝統(ページターナーの
技術)を受け継ぎ、それをゼロ年代風にブラッシュ・アップした作品として
読むことができます。
私の受け取り方では、ネタ元は三つ。
マーティン・クルーズ・スミス『ゴーリキー・パーク』の設定
トマス・ハリス『羊たちの沈黙』からサイコパス
ローバト・ラドラム『逃亡者』の息もつかせぬ展開
なかでも、『ゴーリキー・パーク』で取り上げられたソ連社会の描写が本作
においても強烈な下味となっています。70年代ソ連を舞台にした『ゴーリ
キー・パーク』が続きの読書としてオススメです。
チャイルド44 下巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 下巻 (新潮文庫)より
4102169326
No.20
(4pt)

結末の動機が難点ではありますが、2008年度を代表する重厚な傑作だと思います。

イギリス文壇に彗星の如く登場した超大型新人ロブ・スミスが本年2008年度CWA最優秀スパイ・冒険・スリラー賞を獲得し世界中の書評家から大絶賛された話題の注目作です。本書の中心で扱われている少年少女大量殺人事件は実際にあった事件に着想を得て書かれていますが、決してノンフィクションではありません。本書を著者が書こうとした意図はやはり謎解きの殺人ミステリーというよりも残虐な連続殺人犯を野放しにする狂った社会システムに支配された共産主義国家旧ソ連の姿を描く事にあったのでしょう。そこには人間愛など皆無で裏切りや欺瞞、罪の捏造、邪魔者の処刑による抹殺等々非道で醜悪な描写に多く筆が費やされ、大袈裟でなく一頁に一度は苦々しく遣り切れない思いが込み上げて来ます。そんな腐り切った社会の中で体制の側に立って非道な行いに手を染めて来た国家保安省の捜査官レオがあまりに酷すぎる悪行の実態を知って真実に目覚め、やがて権力の座から引き摺り下ろされて初めて己の所業を悔い改め、死を賭して連続殺人犯人を追い詰めようとする姿に感動を覚えます。そして心の拠り所で真実の愛と信じていた妻ライーサを一転して殺す寸前まで行く程の強烈な愛憎劇の凄まじさに圧倒されます。悪役ではワシーリーとザルビン医師のサディズムに満ちた異常性格が際立ち嫌悪感が募りますし、中盤で鮮やかに反転するスパイ小説としての仕掛けが見事です。終盤近くの列車からの脱走シーンは映像を意識したあざとさも感じますが、胸がすく痛快な見せ場です。そして最後の犯人との対決シーンでは、著者が意外性に重きを置いていないと感じますので故意に隠されていた最初の空白部分は許せますが、最大の難点はこの動機があまりに信じ難く大きな違和感を感じさせる点です。老巧の如き筆の冴えを感じる反面まだ若さ故の強引さもありますので、今後更なる著者の成長を祈って次回作に期待したいと思います。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.19
(2pt)

正直、期待したほどではない(ネタばれあり)

なぜこの作品が高く評価されるのかわからない。
あっと驚くどんでん返しもない(あるといえばあるけど、あまりに自明すぎてサプライズ感はない)し、主人公夫婦が更迭されるきっかけの一つになった悪徳医師のその後といった尻切れトンボのエピソードが残っている。そもそも敵役だったはずの元部下の最期もあまりにあっけなくて爽快感もない。
(以下ネタばれ)
それより何より決定的な欠点が二つ。
第一に、他のレビュワーも書いておられたとおり、国家に裏切られた主人公が自己再生するきっかけがなぜ少年の大量殺人事件捜査でなければならなかったのかという必然性についての論理が足りていないので、物語後半の主人公夫婦の驚異的な粘りの動機が理解できない。
第二に、20年ぶりの兄弟の邂逅物語であるにも関わらず兄弟それぞれが互いに対して抱き続けてきたはずの思いや拘りの描写が希薄で、せっかく邂逅したのに淡白な展開になってしまっている。
「ワールド・オブ・ライズ」でミソをつけたリドリースコットがこれも映画化権を落札したそうだが、これは映画にするにはツラいのでは?ハリウッド映画のファンが納得するような脚本に仕上げるのは楽じゃないぞ。
チャイルド44 下巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 下巻 (新潮文庫)より
4102169326
No.18
(1pt)

このミスNo.1はいつもこれ

いつも毎年このパターンにはまる。昨年もそう。年末せまるとコノミスを買い、1位を買ってしまったががっかり。ケンブリッジ首席が書いた、気持悪い話。アングロサクソン好みのがるばにズムがらみはまだ良し、なぜ主人公(旦那)が、田舎で急に捜査にめざめるのか、またそれに嫁が一枚間で行くのか、このムリムリが、いやいや気分をイヤが上でも盛り上げる。また週末のムリな展開に
冒頭のエピソードがムリムリからむ。 
とにかく、イチバンいやなのは、このような話をNO.1として皆で評価する、ミステリ関係者の感性
に、毎年、わくわくしながら、一位を期待して買って、家で読み終わったときのやるせなさなさけなさ。面白かったという人とは、ちょっと付き合えない感じ。人の感じ方は自由だが
当方と同様の感覚の人はいないものか?
チャイルド44 下巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 下巻 (新潮文庫)より
4102169326
No.17
(5pt)

連続殺人鬼よりも怖いスターリン体制

スターリン体制下のソ連において
44人もの子供を殺害した連続殺人鬼を、
国家保安省のエリート捜査官レオ・デミドフが
絶望的に困難な状況下で追う異色ミステリー。
本書で恐ろしいのは連続殺人鬼よりも、抑圧されたスターリン体制そのもの。
凶悪犯罪の存在自体を認めない国家体制の中にいるために
次々に子供が殺されているのに本格的な捜査は行われず、
事故として処理されたり知的障害者が犯人にさせられたりしてしまう。
そんな中にあって、レオは密かに事件の真相をつきとめようとするが、
体制側の圧力によって窮地に追い込まれてしまう。
はじめは体制側の冷酷なエリートだったレオが、
苦境に立ち向かう過程の中で次第に人間らしさを取り戻していくのが実に見事に描かれている。
あまりにも過酷で絶望的な状況に、読んでいて息苦しくなる程だが
先の展開が気になって読み出したら止まらない。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.16
(5pt)

犯罪が存在しない国での犯罪

ニューズウィーク日本版5.28号の書評で紹介されていて、ずっとそそられていたが、個人的な事情により今まで読めなかった小説である。
舞台は1953年、スターリン恐怖政治下のソ連。”疑わしきは罰すべし”の論理により、多くの人間がささいな、あるいは全くいわれのない罪で弾圧されている。主人公のレオ・デミドフは、弾圧の先鋒を担う国家保安局(KGBの前進)の捜査官だが、自らも”疑わしきは罰すべし”の陥弄に捕らわれて左遷される。レオは左遷先で、連続殺人と思われる事件に遭遇する。だが、”凶悪犯罪は退廃した資本主義社会の病気であり、理想の共産主義国家ソ連に犯罪は存在しない”という絶対不可侵の建前の下、連続殺人犯の存在を指摘する事は国家への反逆に等しい。果たしてレオはどうするのか?
犯罪は存在しないという建前に固執するあまり、犯罪が起きた事を頑として認めまいとする…その気持ちはわからなくもない。だがそれでも、良心的に犯罪を捜査しようとする人間を反逆者扱いするなんて、いくら何でもひどすぎると思う。スパイや反逆者は”疑わしきは罰すべし”の論理をふりかざして、行き過ぎた弾圧をする一方で、一般の犯罪は存在すら認めず、実質的に野放しにするのも、完全にバランスを欠いている。本書の連続殺人犯もかなりのサイコだが、スターリン時代のソ連という国家の方がはるかにサイコだと思った。
だが、楽しいとはほど遠い話にもかかわらず、グイグイと話に引き込まれていった。終盤になると、強引な展開やご都合主義が目に付くのだが、それらを打ち消して余りある圧倒的な迫力があった。特に、自分はどうなろうとも、連続殺人犯の凶行だけは食い止めようと苦闘するレオを、手放しで応援してしまった。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.15
(5pt)

スターリン体制下の陰鬱

 ネズミや木の皮まで食べつくして,静かに死を待つだけの,1933年のソ連の一寒村から話が始まる。やっと見つけた猫を捕獲しようと出かけた兄弟の兄が,何者かに(食料にするために)連れ去られる。
 なすことなく餓死を待つしかないという悲惨な状況にグイグイとひきつけられたまま,1953年・スターリン体制下のモスクワに舞台が移る。「ひとりのスパイに逃げられるより,十人の無実の人間を苦しめるほうがどれほどかましなことだ」という認識が共有されている国家保安省。「新しい社会」に犯罪は存在しないというイデオロギーで,猟奇的な少年殺しは単なる事故として処理される一方,ただの獣医やその友人を「西側のスパイ」として追跡・処刑する。証拠があるから逮捕するのではなく,疑いがあるから逮捕し,後から証拠=自白を作ればよいという捜査方法が採られる社会であるから,捜査官も含めて,社会の誰が疑いをかけられ,有罪となるか全く予測が付かない・・・。
 何の証拠もなく何千万人が処刑されたり収容所に入れられたスターリン体制下の社会状況をリアルに描写していて,いったん読み始めると止まらなかった。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.14
(3pt)

途中で結末がわかってしまうのが残念

『このミステリーがすごい!』で第1位に挙げられた作品ということで期待して読み始めたのですが、少し期待はずれ感が否まれないです。
本筋とは直接的に関係のないディーテイルが必要以上に細かく書かれており、物語への集中力を保つのがキツイ気がしました。
また、感情を表現する箇所が非常に多く、読み手が感情移入しやすいのかもしれませんが、やはり、ちょっとしつこい感じ。
そういうところを飛ばして呼んでもストーリーに支障はなかったので、上・下に分けなくとも、簡潔に1冊にまとめてほしかった。
しかも、中盤になると、ストーリーのもっとも核となる犯人と主人公の関係が簡単に予想できてしまったので、おのずと結末も早い段階からわかってしまいました。
しかしながら、舞台設定が旧ソ末期というのがおもしろい。
共産圏の腐敗した社会を赤裸々に描いており、常に生と死に隣り合わせて生きる究極の様子がひしと伝わってきました。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.13
(4pt)

独創的な設定での傑作の予感

 初読みの作家さんです。
 今年(2008)の海外ミステリ部門では超話題となった一冊です。おおむね絶賛、大好評のようで、遅ればせながらと手にとってみました。引っ越しのドタバタで途中行方不明になっていましたが、続きを読み始めると手がとまらずどんどんと読み進めてしまいました。
 まず、設定が独創的だし面白い(実話をもとに着想だそうですが、目のつけどころがグッドです)。
 スターリン政権下での連続殺人のミステリというのですから、他になかなか例を思いつけません。今までミステリの歴史においては、中世の修道院が舞台だとか、古代ローマが舞台だとか、ドイツ軍と吸血鬼が占拠しているイギリスが舞台だとか、はたまたドイツ占領下のパリでゲシュタポとコンビを組む推理ものとかいろいろ特殊な舞台設定がありましたが、これもけっこう独創的。なにせ、この時代のソビエトでは、犯罪はあってはならないもの、減っていくもの、連続殺人犯なんて存在してはならないものとして、捜査すら許されていないからです。恵まれた社会主義国家で、思想的にも社会的にもそんなものはいる筈がない、だから連続殺人なんてない、という論法です。
 そんな特殊な状況下で、本来は刑事事件などとは縁遠かった国家保安省(いわゆるKGBの前身のようなもの)の若きエリート捜査官のレオが、めぐりめぐって連続殺人犯を追う事になるというのがこの小説の大きな本筋なんですが、本来起こらないことが起こることが自然であるために、この主人公のレオはひたすら苦難の道を進むことになります。いまだかつて、人を国家のために捉え裁くことに疑問を覚えず、悪くいえばそんなことは意識的にシャットアウトして、自分の正義を貫いてきた彼の人生の歯車が徐々に狂っていく様や、それでもその中でまだ自分の信念や意志にしがみついて動く彼の姿はひさびさに骨太なミステリを読んだなと満足させられます。
 とはいえ、前半のまでの彼の正義はある意味ひとりよがりなもので、それが徹底的に否定されるところも並のうすっぺらい小説とは大きく異なり、ただ単にミステリを読むというよりはもっと強い「人間そのもの」を描いた小説ともいえます。まだ下巻に入って半ばくらいなので最後にオオハズレになる可能性もないではないですが、話が進むにつれて面白くなっていく様子からはかなり傑作の予感がします。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.12
(5pt)

素晴しいジェンダー観の理想の夫婦が描かれる!

従順な愛らしい妻から脱皮して、
ヒロイズムに酔う夫を突き放し、
対等のパートナーになる夫婦の関係がいい!
ジェンダー観も素晴しい大傑作!
そして、夫のエリート捜査官は国家の反逆者になっても、
連続殺人犯に挑む!
人肉食いネタもうんこネタもあるが、
レイプシーンだけは無い上品で清々しい大傑作!
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.11
(5pt)

おもしろさ太鼓判!

舞台は旧ソ連の話である。当たり前の話しだが登場するロシア語の名前を覚えがたいせいもあって、それぞれの人物の結びつきにとまどったりする。だから最初の方はちょっとイライラするかもしれない、それにとっても暗い話ばかりである。憂鬱な気分にもなるかもしれない。だから途中で投げ出す人もいるだろう。
しかし、作者独特の場面の切り替え(まさにハリウッドを意識した構成)が素晴らしくて、主人公レオが罠に落とし入れられるところまで読み進むことができればもう大丈夫だ。そこまでくれば作者のしかけたワナに次々とはまりこんでしまうから、そのままめり込んでしまって最後まで読まずにはいられないだろう。面白い作品であることは間違いない。
巧みな人物描写もなかなかの評判のようだ。主人公レオは、まるでディック・フランシス作品の主人公かと思えてしまうくらいに相当痛めつけられてしまうから、心理描写が延々と続く場面も決して読者をあきさせるものではない。多少説明的なところはあるが、ダメージを受けたロシア人の気持ちを理解するんだと思えばいいだろう?。
でも、レオだけではない妻ラィーサも主役である。映画化されたあかつきは、彼女の描き方次第で、作品の価値が大きく左右されるのではないかなどと勝手なことを考えてしまうくらい彼女は重要なポストを占めてないか。ただ、最後に善良な人達がたくさん出てきて・・・・といったところはもう一工夫ほしかった。
でも贅沢は言えないかもしれない。これほど興奮しながら読み終えた作品は自分にとっては非常に珍しい。もちろん翻訳が素晴らしいからであることはいうまでもない。だからこの田口訳を手元に英語でも原書でも読みたくなった。著者がイギリス人であるところがポイントではないだろうか、旧ロシアの体制について英国ほど熟知し、狡猾な国もないだろうから。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.10
(5pt)

恐怖のスターリン!

 
スターリン政権下、
粛正の嵐が吹き荒れる理想の世界。
子供が殺されたのは、殺人が起こってはいけない世界だった。
とても大きな背景を最後には破綻無く包み込んでしまう、
とてつもなく良く出来た構成の本書。
品があり、あざとさもなく、しかもここまで読ませるとは。
筆力も十分ながら、テーマの選び方と、妥協せず様々な要素を語り尽くす
真摯さが出色。
傑作
必読。
褒め言葉すら邪魔になりそうだ。
自分なりの感想を一つ付け加えるなら、
社会主義という実験はやはり失敗だったのだろうと・・・。
人間の理想通りに人間はうまれつかないのだから。
スターリン政権下の社会描写がとにかく圧巻。
チャイルド44 下巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 下巻 (新潮文庫)より
4102169326
No.9
(5pt)

スパイ&冒険小説の傑作

前評判通りの傑作である。きな臭いソ連邦のスパイ小説であるが、物語の行き詰る展開と魅力溢れる主人公、脇役たちの人物造詣の冥利は極上の冒険小説にも仕上がっている。
まさにページ一枚々を早く読みたくなる、わくわくするようなストーリー展開の冥利は新人ながらも途轍もない才能を感じるし、海外ものの評価を分けるであろう翻訳家(田口俊樹氏)との愛称も抜群のようである。さすが田口さん、良い仕事を今回もしています。つまりは何拍子も重なったような傑作である。週間ブックレビューで北上次郎氏が大絶賛していたが、今回は100点満点で同調したい。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.8
(3pt)

野暮なことは言いたくないのですが

読ませる力はすごい。
迫力もある(読んでるうちに気分が落ち込みますが)。
でも
ミステリとしては、けっこう致命的な欠点があるでしょう。
そのへんは、あまり固いことは言いっこなしでいいんでしょうかね?
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.7
(5pt)

凄過ぎる!!

 これはとてつもなく面白い!!
 上下巻と2冊なのですが、長さを全く感じさせません。人物造形の確かさ、社会背景の的確な描写、スリリングな展開と、殆ど完璧な小説です。訳も読みやすく素晴らしいです。
 北上次郎氏は「今年度ベストワン」と絶賛しています(NHKBS2週刊ブックレビュー10/18)。それを信じて一読、納得です。
 2008年度英国推理作家協会賞・スリラー部門を受賞。著者はまだ28歳で、これが処女作だというのだから驚きます。なんという完成度。
 「子供たちは森に消えた」というノンフィクションがあります(未読ですが)。だいぶ前に出た本で、ソ連で70〜80年代に発生した大量連続児童殺人事件を扱ったものですが、西側社会ではありきたりなシリアルキラー(快楽殺人者)がソ連にも居た、ということは別に意外でもなく、興味を惹かれなかったので、読もうとはしませんでした。しかし、事情が違うということを本書を読んで初めて知ったのです。
 この作品は、そのソ連での事件をベースに、時代をスターリン時代に変えて舞台設定をして再構成するという離れ業をやってのけました。
 スターリン時代というもののおぞましさ、苛烈さについてはある程度知っていたとはいうものの、その認識は極めて不十分でした。数百万人が粛清されたり、強制移住させられたり、餓死したり、強制収容所に入れられたり、というのは聞いていましたし、ソルジェニーツィンの「イワン・デニーソビッチの1日」も読んだことはあります。しかし、この、考証の確かな、多くの参考文献の基礎の上に構築された作品で描かれる恐怖政治社会、密告社会の庶民の日常はすさまじいもので、いやはやここまで酷い状況だったのかと今更ながら知らされた、というのは我ながら不明と言うべきでちょっと恥ずかしくもあります。ここには小説というものが持ち得る、尋常でない迫力、事実ではなくとも真実(への接近)があります。
 この作品の価値は、そういう歴史的事実をフィクションの形で明らかにする、ということが第一としても、それだけでなく、ミステリ/サスペンスとしての娯楽性も超一級です。人間心理の機微、その醜さ、愚かさ、逆にけなげさ、気高さなどなど、についての様々な描写の豊かさ、興味深さは特筆すべきだし、過酷な境遇での冒険に次ぐ冒険の手に汗握る興奮ももたらします。普通、探偵は自由に捜査し情報を得ることの出来る特権的な立場にある(安楽椅子探偵にしても)ものですが、この作品ほど悪条件で逆境に追いつめられた探偵というのは空前じゃないでしょうか? 絶対のお薦めです。
 巻頭に折り込みの地図、最初はなんじゃこりゃ、これでも地図なのか!と呆れるくらいあっさりとした情報量の少ないものなのですが、読み進むにつれ、その恐ろしい意味が浮かび上がって来ます。
 ところで、ソ連崩壊後の今のロシアって、またプーチン(KGB出身)が元に戻そうとしているんじゃないか、という危惧がしてなりません。やたらとジャーナリストや元スパイの殺害が横行してるらしいですし。
チャイルド44 下巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 下巻 (新潮文庫)より
4102169326
No.6
(4pt)

驚くべきデビュー作

 貫井徳郎さん、道尾秀介さんのデビュー作を読んだ時も驚いた(まだお若いのに、いきなりこれほどのものを書いてしまうのか!)ものですが、本書にはさらに驚かされました。テンポの良いストーリー展開、スリルの盛り上げ方、堅牢なプロット、と多くの美点がありますが、主人公夫婦の心の機微など、たった29年しか生きていない人の描き方ではないですよ。この作者は、一体どれほど濃い人生経験を積んできたのだ? と不思議に思えてなりません。
 訳者が絶賛している、連続殺人犯の再登場の場面など「老獪」と言いたくなるほどの巧みさ。これが本当に「デビュー作」なのでしょうか?
 読む前はサイコ・スリラーかと思っていたのですが、実際に読んでみると冒険小説だなと思いました。事件の真相については、手がかりが実にあからさまに示されていたのに、全く気がつきませんでした。僕はカタカナ名が苦手で、翻訳ミステリはいつも、登場人物表を見返し見返ししながら読んでいるのですが、そういう読者ほど真相を明かされた時の驚きが大きいのではないのでしょうか。「こんな事に、どうして気づかなかったんだ、俺(あるいは私)!」と。これはある意味、造本の勝利かもしれません。新潮社さん、やってくれましたね。(苦笑)
 てっきり意味があると思っていたある事に、あまり意味が無かった点が残念ですが、それは僕が本格ミステリ好きなせいでしょう。ともあれ、驚くべき完成度のデビュー作である事は間違いありません。おすすめです。
チャイルド44 下巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 下巻 (新潮文庫)より
4102169326