チャイルド44

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評判

チャイルド44の評価:

4.09/5点 レビュー 117件。 A ランク

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平均点4.09pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全125件 81〜100 5/7ページ
No.45
(4pt)

下巻途中までの緊迫感が素晴らしい

奥田英朗の「最悪」やトム・クランシーの「レインボーシックス」に匹敵する緊張感を持つ素晴らしい小説だと思う。だたし途中までは。個人的には兄弟の設定はそれほど必要だったか疑問。蛇足になってしまったように感じた。全体を通した重苦しいリアリズムが緊張感を生んでいたのだが、急に出てきた兄と弟の物語は冒頭部の伏線の回収にはなっても都合が良すぎ、リアリズムが犠牲になったように感じられた。それがなくてもソビエト連邦というシステムの中で絶望的な戦いを挑む一警官と最悪の連続殺人鬼という設定だけで十分だったと思うのだが。冒頭の極限状態は物語を始める上で十分な魅力をもっているがその後の話に関連するわけでもないのでそれほど必要だったのかどうか疑問に思う。著者のトム・ロブ・スミスはこれがデビュー作らしいので、欲張って詰め込みすぎたのかもしれない。
チャイルド44 下巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 下巻 (新潮文庫)より
4102169326
No.44
(5pt)

主人公の変化がすごい

悪役として登場した主人公が、正義を追求する男に変わっていく様がすごい。
ラストも良い。映画化も当然だ。
チャイルド44 下巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 下巻 (新潮文庫)より
4102169326
No.43
(4pt)

読後感は良い

読後感が素晴らしいので、どうしても高評価をつけてしまいがちだが、読んでいる間の嫌な気持ちについて触れないわけにはいけない。
子供の連続殺人どころではない、地獄のようなスターリン弾圧の中でイジメ抜かれる主人公の一家の描写を読んでいる間は、とても気分が暗くなったし、その気分の落ち込みは本当の歴史を知る上で役に立っているのならともかく、作者の想像をなぞる役にしか立っていないような気がした。
スターリン体制下のソヴィエト体制側の人々の描き方があまりにも醜い。
実際に歴史的事実はあるのだと思うが、実在の歴史上の国家を外国人が描くのであれば、その心理描写についても、それなりの根拠が必要になるのではないか。つまり、本当にソヴィエトの体制側の人間の心理を知らないのであれば、悪意に満ち満ちた人間描写は不当となると思うのだ。
私はこの本を書いた当時、26〜28才であった作者がソヴィエトの体制側の人間の心情を理解しているとは思えない。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.42
(5pt)

驚愕の展開!

本作は、暗い話やグロテスクな殺人の描写が続いて、ダークな気持ちにはなるが、最終的にはハッピーエンドになるので安心して読んで欲しい。本作の舞台はスターリン体制下のソ連で、主人公は国家保安省の捜査官レオ・デミドフだ。上巻の1/3くらいまでは、まったく物語のつながりが見えず、流れを読めるようになってくるまでは読み進めるのに時間がかかった。後半まで、プロローグが一体なんの話をしているのかさっぱり訳がわからなかった。その後、一気に20年後の1953年にとび、物語の本編が始まる。主人公のレオと妻のライーサが窮地に立たされるあたりからだんだんと物語に引きずり込まれ、その先は一気に読み進めてしまった。レオが自身の立場を危ぶめながらも、少年少女の連続殺人事件の捜査にどんどん深く関わるうちに次から次へと謎が明らかになり、全ての話が繋がっていく。ラストの展開はまさに「驚愕の」という感じだ。
私自身が歴史に疎いため、物語の舞台となっているスターリン体制下のソ連を想像するのが難しかったが、途中で投げ出すことなど出来ないほどに重厚で面白い作品だった。
著者の次回作にも期待しています。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.41
(5pt)

人間は変われるはずという信念に裏打ちされたサスペンス小説

 1950年代のスターリン体制下ソ連。国家保安省の捜査官レオは妻にスパイの容疑がかけられていることを知らされる。妻の捜査を命じられるものの最終的にはその無実を主張したため、夫婦で田舎町の民警へと左遷されてしまう。そこで起きた児童惨殺事件が実は広範囲にわたる連続殺人であることを確信したレオは犯人を追うことにするのだが、同僚の策略と妨害を前に、その捜査は命を賭したものになっていく…。
 上下巻合計で800頁近い長編サスペンス小説です。
 主人公レオはソビエト社会における特権階級として物語に登場します。職場を同じくする者の息子が死亡した事件を、なんとか事故死として穏便に片付けようとする彼は、事なかれ主義を通すことで全体主義国家の中で餓えと寒さを免れた生活を安穏と送ることが出来ています。
 しかし、児童連続殺人事件を追い始めた彼は、前門の虎(連続殺人鬼)と後門の狼(全体主義国家)の両方と対峙せざるをえないほど過酷な捜査活動を通じて、むしろ少しずつ人間性を取り戻していくことになります。
 優れた物語とは、主人公がわずかであっても成長を遂げていく物語のことだと強く思います。この小説は、共産党一党独裁のソビエトの厳しい閉塞感を実に見事に表現し、そのやりきれない逆境の中でレオが人として、また夫として、確実に良き方向へと変わりいく姿が描かれ、それが胸に強く迫ってきます。
 そしてまた彼が変わることが出来るのも、周囲の名もなき人々、貧しき人々の手助けがあるから。まかり間違えば国家に対する反逆者として命を失いかねない状況の中で彼らがとる行動もこの小説の中では決して現実離れしたものには見えません。読むものをぐいぐいと最終場面まで引っ張っていく力があります。
 頁を繰る手を緩めることの難しい一級のサスペンス小説でした。
チャイルド44 下巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 下巻 (新潮文庫)より
4102169326
No.40
(5pt)

おもしろい!特に、上巻。

おもしろい!
飢えに苦しむソビエトの片田舎の一風景から始まります。
その描写も、え!?猫を捕まえて食べるの?!という場面ながら、
罠をしかける子ども二人の描写がとても興奮する。
この最初の描写が、後へと続く大事な描写になるとは。
20年後、刑法も、刑事訴訟法も、憲法も、自由を守るものではないソビエト。
人が簡単に逮捕され、有罪判決で処刑される現実。
お互いが密告におびえ、監視しあう、夫婦、同僚、上司でさえも。
足下の安全はまったく薄氷を踏むのと同じ。
そんな描写がリアルです。
そこで生きる主人公レオ。犯罪があることを否定はできず、立ち上がります。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.39
(1pt)

期待はずれ

前評判が良かったので、期待して読みましたが、期待はずれでした。なぜ、これだけ売れているのかよく分かりません。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.38
(4pt)

フラッシュバック

この小説を読んでいる途中で突然フラッシュバック現象を感じました。自分の幼少期がフラッシュバックしたわけではなく、主人公の幼少期の映像が脳裏に「バッ」「バッ」とフラッシュのようにありありと甦るのです。これはすごい。なるほど、映画化が予定されるわけです。
上下二巻は結構ボリュームがあり、読み始めるまでに躊躇がありましたが、食いついてしまえばあとは作者の思うつぼです。
作者は、がんじがらめな関係性の中でしか成立し得ない人間存在の息苦しさを緻密に描きだしています。
人間は独立した存在ではなく、その起源からしてすでに他者に依存しています。どんなに強がってみたところで、すべての人間は母親から生まれてくるしかないのです。
この世で初めて出会う他者である母親や父親との関係性、兄弟との関係性、恋人や配偶者との関係性、コミュニティとの関係性、そして国家との関係性。
様々なしがらみの中で生きる辛さは現代日本社会の閉塞感に通じるものもあるように感じました。
思考しているのは自分です。そして、自分以外はすべて他者です。他者との関係構築につまづくと、自我を維持するのは困難になります。自分はたった一人ですが、他者は無限に存在するのですから。
他者との関係性という多面体をサスペンスという媒体を用いて見事に描き切り、しかも破綻をきたしていない。作者の力量に感心するのみです。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.37
(2pt)

一気惰性

下巻も買ってしまったので仕方なく一応消化。銭が無駄だった。こんな事もある…。
上巻を読んでからの購入をお奨めします。
チャイルド44 下巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 下巻 (新潮文庫)より
4102169326
No.36
(4pt)

動機は世界を矮小にしかねない。

社会主義の不条理と恐怖を徹底的に描いた上巻だったが、下巻ではレオの目覚め、事件へと迫る過程が描かれ、アクション、男たちの友情、夫婦の愛の復活などが本作を古典的なハードボイルド小説へと転調する。
それにしても巧みな筆致、息をもつかさずラストまで読める傑作には違いないのだけれど、事件の核心、犯人の動機については折角大風呂敷を広げた社会派サスペンスの世界観を矮小化してはいないか。レオが主人公足りうるのは因縁があるからではなく、全てを失ったときに子供の死を前にして正義の信念に目覚めるからではなかったのか?
チャイルド44 下巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 下巻 (新潮文庫)より
4102169326
No.35
(3pt)

意匠に纏まりを欠き、安手のハードボイルドのよう

1950年代のモスクワで起こった少年の轢死事件を発端にし、MGB(KGBの前身)の捜査官レオを主人公として、当時の旧ソ連の世相を描き切った骨太の力作。前作の最後で地方の人民警察署に飛ばされたレオが、生き甲斐を求めて幼児連続殺人に取り組む姿が描かれたが、その続きから始まる。

上巻のレビューで、レオのMGB捜査官から人民警察官への降格は中途半端と評した。無論、人民警察官に降格した事が、限られた残りの人生における"生き甲斐"のために、レオを幼児連続殺人に取り組ませた原動力なのだが、こんな動機でサイコ・キラーと対決する捜査官と付き合わされる読者は堪らない。妻ライーサとの確執もあって、レオが唐突に正義感に目覚めたように見えるのも不自然。本来ならレオを敵視すべき筈の人民警察署長ネストロフもレオに協力する始末。ご都合主義が過ぎるのではないか。ネストロフ一家の命も掛かっているのだ。後続の村人達も同様。そして、レオに執拗な試練を与える様は、主人公を闇雲に痛めつける安手のハードボイルドを読んでいるかのよう。サイコ・キラーの生い立ちも中盤までに容易に推測出来るので終盤の興趣も薄い。国家権力による殺人とサイコ・キラーによる殺人との対比の皮肉が効いているのが僅かな取り柄か。結末も甘い。

旧ソ連の社会体制と一般市民の感情、サイコ・キラー追走劇、そしてレオと言う男を通して描く人間の矜持と運命の皮肉。これらを包括的に巧く描こうとして、悉く失敗しているような気がする。登場人物にロシア人の香りがしないのも致命的で、旧ソ連を舞台に選んだのも単なる目先の変化と主人公の障壁創りの容易さ以外には考えられない。冷戦終結後に本作を発表するセンスも疑問で、とにかく題材を絞って求心力のある物語にすべきだったろう。
チャイルド44 下巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 下巻 (新潮文庫)より
4102169326
No.34
(2pt)

ディストピア的凡作でがっかり

スターリン主義ソ連を舞台にした暗い話で陰惨で救いが無く、なんだか反スラブ色を感じる。ミステリーとしては凡作。サイコな犯人像は夢オチ的な万能性があるし。主人公像も娯楽小説に必要な思い入れができないお話になってしまってるんでそういう評価になる。意外性の閃きがついに最後まで無かった。
誰でもすらすら読めるのだけれどある程度本という物を読み込んでいる人達にはまるで味気の無い作と言えましょう。
上巻を読んでから下巻の購入の要不要を決めた方が良い。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.33
(4pt)

閉塞した “理想主義国家”の闇と対決するレオ

’08年、「このミステリーがすごい!」海外編第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第2位に輝いた作品。また、CWA(英国推理作家協会)がその年の最も優れたスパイ・冒険・スリラー小説に贈る’08年度イアン・フレミング・スティール・ダガーを受賞している。
時は1953年。舞台はスターリン体制下のソ連。主人公はKGBの前身国家保安省上級捜査官のレオ・デミドフ。彼は、はじめは上からの命令に盲目的に従う模範的なエリートだったが、自ら見舞われた不運を契機に、地方の人民警察の下級巡査長に左遷される。そこで、それまでの生き方を改め、自分ばかりか愛する妻や両親の命も賭して、少年少女連続大量殺人事件の捜査に乗り出すのだった。しかしそれは苦難の連続だった。そもそもみなが平等なソ連という社会主義国家体制の世界では“殺人”などという犯罪は起こりえないという理念の下にあるからだ。「殺人鬼はこれからも殺しつづけるだろう。それが可能なのはそいつが並はずれて利口だからではない。そういう人間がいることを国家が認めようとしないからだ。」(下巻200ページ)
この物語は、閉塞した社会におけるレオの自己再生、夫婦の絆の再生、家族の再生を、大変な危灘の数々を乗り越えて、思いもよらぬ連続殺人犯とその動機とに対決するまでのレオの一途な姿を通して描ききった、とても20代の著者トム・ロブ・スミスのデビュー作とは思えない重厚な傑作である。
映画化もされるとのことだが、どうか、見せかけのアクションや冒険サスペンスを誇張したエンターテインメントに終わることなく、原作の意図する雰囲気を壊して欲しくないと思う。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.32
(4pt)

閉塞した “理想主義国家”の闇と対決するレオ

’08年、「このミステリーがすごい!」海外編第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第2位に輝いた作品。また、CWA(英国推理作家協会)がその年の最も優れたスパイ・冒険・スリラー小説に贈る’08年度イアン・フレミング・スティール・ダガーを受賞している。
時は1953年。舞台はスターリン体制下のソ連。主人公はKGBの前身国家保安省上級捜査官のレオ・デミドフ。彼は、はじめは上からの命令に盲目的に従う模範的なエリートだったが、自ら見舞われた不運を契機に、地方の人民警察の下級巡査長に左遷される。そこで、それまでの生き方を改め、自分ばかりか愛する妻や両親の命も賭して、少年少女連続大量殺人事件の捜査に乗り出すのだった。しかしそれは苦難の連続だった。そもそもみなが平等なソ連という社会主義国家体制の世界では“殺人”などという犯罪は起こりえないという理念の下にあるからだ。「殺人鬼はこれからも殺しつづけるだろう。それが可能なのはそいつが並はずれて利口だからではない。そういう人間がいることを国家が認めようとしないからだ。」(下巻200ページ)
この物語は、閉塞した社会におけるレオの自己再生、夫婦の絆の再生、家族の再生を、大変な危灘の数々を乗り越えて、思いもよらぬ連続殺人犯とその動機とに対決するまでのレオの一途な姿を通して描ききった、とても20代の著者トム・ロブ・スミスのデビュー作とは思えない重厚な傑作である。
映画化もされるとのことだが、どうか、見せかけのアクションや冒険サスペンスを誇張したエンターテインメントに終わることなく、原作の意図する雰囲気を壊して欲しくないと思う。
チャイルド44 下巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 下巻 (新潮文庫)より
4102169326
No.31
(4pt)

上巻のみの感想〜竜頭蛇尾の感が強い、下巻に期待

1950年代のモスクワで起こった少年の轢死事件を発端にし、MGB(KGBの前身)の捜査官レオを主人公として、当時の旧ソ連の世相を描き切った骨太の力作。本稿では上巻のみを。
1933年のウクライナ、飢餓の村で食用として森の中で猫を狩る年少の兄弟と、兄が何者かに逆に狩られる姿とが描かれる不気味なプロローグ。それから20年後の上述の轢死事件。作者はレオを、革命を崇拝するヒロイズム溢れる人物に設定している。殺人の噂もあった轢死事件を治安維持のためアッサリ事故として処理する。同時に起きるスパイ容疑者の失踪。レオの失態である。プロローグから容疑者の追跡劇まで一貫して背景に描かれるのは雪、雪、そして氷。この厳寒の描写をバックに、当時の社会体制、人々の心情、MGBのhierarchyの冷徹さが映し出される。恐怖政治以外の何者でもない。だが、レオも落伍者候補の例外ではない。MGB内の暗闘や個人的怨恨から窮地に陥る。「国家的事象を描く時は、個人に焦点を当てた方が効果的」と言う鉄則通り、次第にレオの心理に焦点が絞られて来る。病床での悪夢の内容がレオに"慈悲"の心が芽生えた事を示唆するが、慈悲は捜査官には危険な禁忌だった。そして、MGBがレオに課した指令は余りにも過酷。ボロボロになりながら自身と家族を守ろうとするレオ。そして、懊悩の末にレオが下した決断とは...。
幕間で描かれる森の中のサイコ・キラー。そして、スターリンの突然の死。ここまでは良い。独裁者の突然死による体制の混乱がレオ一家を救ったと言う展開は止むを得ないかもしれないが、地方の人民警察署送りと言うのは如何にも中途半端だろう(プロローグと繋げるとしても)。話もレオと妻のライーサの諍いを初め、家庭小説に変身したかのようである。これなら、ライーサを見殺しにして、その罪を胸に抱きながらレオが捜査官を続けて行くと言う展開の方が優ったのではないか。下巻でのレオの復活に期待したい。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.30
(5pt)

良い意味で映画的

アンチヒーローというより悪役に近い存在だった主人公レオが、
国家の狂気に気付き始めた頃から徐々に人間味を帯び始め、
そこから物語は盛り上がりを欠くことなく最後まで突き進んでいく。
連続殺人、レオに隠された過去、レオと妻の辛辣な愛の形、
レオを執拗なまでに陥れようとする部下。
いくつものプロットが巧みに絡み合い、たびたび驚嘆する展開が訪れる。
洗練された筆致、映画的なストーリーテリング。どれをとっても素晴らしい。
訳も、本書のドライな世界観が表現されていて、
たまにある海外小説ゆえの読みにくさは全くない。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.29
(4pt)

映画も是非、観たい!

最初は体制の揺ぎ無い信奉者であった主人公が、最後の一点で踏みとどまり、人間として再生していく過程が丹念に描かれていて、一気に読み終えました。
モデルとなった事件をより忠実に再現した「ロシア52人虐殺犯 チカチーロ」は、VHSで観ました。細部は覚えていませんが、スティーブン・レイ演じる風采のあがらない捜査官が、ドナルド・サザーランド演じる上司の庇護を受けながらジリジリと犯人を追い詰めていく様がリアルに活写されていました。
「チャイルド44」もリドリー・スコット監督で映画化決定とのこと。是非、観たいです。
■犯人の子供はその後、どうなっていくのか。そこだけ尻切れトンボな感じが残ったので、4点です。
チャイルド44 下巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 下巻 (新潮文庫)より
4102169326
No.28
(4pt)

着眼のすごさ

著者が参考文献で挙げている『収容所群島』、『悲しみの収穫』(これには誤訳が多いが)の読者にとっては、事実の方がよほど怖いことはよく知っている。しかし、それを背景に単なる猟奇事件の謎解きに終わらせなかった著者の着眼と筆力には脱帽。しかし、いくつか問題点がないわけでもない。まず冒頭のシーンだが、飢えた人々が人肉食のために人を襲うケースはまずありえない。それに、誤訳もいくつか見られる。オリョロでなくオリョール(地名)、人民内務委員会ではなく内務人民委員部(組織名)、ルビヤンカではなくルビャンカ(地名)など。せっかく精緻に歴史文献に基づく原作も、これでは台無しになってしまう。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.27
(5pt)

レオをクライヴ・オーウェンで、是非

2008年リリース。作者のトム・ロブ・スミスは1979年ロンドン生まれ。2001年にケンブリッジ大学英文学科を首席卒業していて、本作がデビュー作だ。既にリドリー・スコット監督で映画化が決定しているとのことだが、マイケル・マンに撮らせてみたかったなぁ、と思う。後半に行くほど、これが映像化されたらどんなに凄いだろうと思わずにはいられないほど素晴らしいストーリー展開で、いわゆる『映像読み』してしまった作品だった。
まず、素材としてスターリン体制下のソヴィエトを使ったところが鋭い。この時代のソヴィエトの酷さはミステリーの素材として超一級品だ。そこに着眼したところから既に並の才能ではないのが分かる。
そして構成が見事だ。最初の章が何のためにあるのか後半になるまで分からない。それが何故あるのか分かったとき、ストーリーは最終章に突入している。結末も凄い。あまりに文句なしの傑作で、むしろこの作品の映画化の配役の方が気になってしまう。ぼくの希望はレオがクライヴ・オーウェン、ライーサがモニカ・ベルッチ、アンドレイが難しいだろうがマット・デイモンだ。とてもとても楽しみだ。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 上巻 (新潮文庫)より
4102169318
No.26
(5pt)

この作品の映画化の配役の方が気になってしまう

2008年リリース。作者のトム・ロブ・スミスは1979年ロンドン生まれ。2001年にケンブリッジ大学英文学科を首席卒業していて、本作がデビュー作だ。既にリドリー・スコット監督で映画化が決定しているとのことだが、マイケル・マンに撮らせてみたかったなぁ、と思う。後半に行くほど、これが映像化されたらどんなに凄いだろうと思わずにはいられないほど素晴らしいストーリー展開で、いわゆる『映像読み』してしまった作品だった。
まず、素材としてスターリン体制下のソヴィエトを使ったところが鋭い。この時代のソヴィエトの酷さはミステリーの素材として超一級品だ。そこに着眼したところから既に並の才能ではないのが分かる。
そして構成が見事だ。最初の章が何のためにあるのか後半になるまで分からない。それが何故あるのか分かったとき、ストーリーは最終章に突入している。結末も凄い。あまりに文句なしの傑作で、むしろこの作品の映画化の配役の方が気になってしまう。ぼくの希望はレオがクライヴ・オーウェン、ライーサがモニカ・ベルッチ、アンドレイが難しいだろうがマット・デイモンだ。とてもとても楽しみだ。
チャイルド44 下巻 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: チャイルド44 下巻 (新潮文庫)より
4102169326