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1Q84



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【この小説が収録されている参考書籍】
1Q84 BOOK 1
1Q84 BOOK 2
1Q84 BOOK 3

1Q84の評価: 3.66/5点 レビュー 986件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.66pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全622件 501~520 26/32ページ
No.122:
(5pt)

二人の空白を感じることが出来たと思う

1984年4月の東京から始まる、青豆と天吾の物語です。
BOOK1では、二人の物語が交互に24章まで語られます。巻末に差し掛かったところで二人の物語に接点が見えてくる構成になっています。
1Q84(のBOOK1)は、一応、このように説明が出来ると思いますが、この物語に著者が込めた魂は、このような物語の説明ではなく、読んで感じたところにあるように思いました。
著者の作品に「意味がなければスイングはない」と言うタイトルのものがあり、これはデューク・エリントン楽団の曲「It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing)」の逆を言ったものですが、僕が「1Q84(の前半BOOK1)」を読んでの感想は「読まなければ意味がない」と言うことでした。
でも、意味が無ければ読まないと思うので、その意味を考えてみると、それは、ストーリー展開では説明できない青豆や天吾が抱える過去への思いと、BOOK1ではまだ語られない(空白として感じることが出来る)大切にしたい者への思いでした。著者がこの二人の思いに魂を込めて書いたのが、1Q84なのでは無いかと感じました。
もちろん、これは僕がBOOK1を読み終えて、全体を総括して感じたところなのであって、他にも沢山の思いが込められた物語です。その一つは、「子どもに対して大人がどのように接するべきなのか」です。
引き続きBOOK2を読み進みます。
1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
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No.121:
(4pt)

今回は、ひっくりかえらなかったです。

ラストは、物語が「終わった」というよりも、これから物語が「始まる!」という感じが強すぎて、ヤキモチします。ここが村上さんのズルサなんですよね。
「海辺のカフカ」のように上下巻ではないので、続きがあるのかなぁ?とも思います。
この作品がこの巻で終わっても、それはすごく村上春樹らしいラストなので、ずるいとは思いますけど文句はないです。他の作者だったら文句つけますけど(笑)
先が気になってすぐ2を買ったので、物語としては面白いと思います。
今まで村上さんの作品を読むと、どこかしら「ひっくりかえる」ような気持になっていたんですが、今回はどこも「ひっくりかえらなかった」です。
なので、現時点でこの物語は「傑作」とは言い切れないなぁ。
村上さんの文章は、何というか独特のリアリティがあって、そこが凄いと感じます。特に残酷なシーンが、あたかも目の前で目撃してしまった様な衝撃を感じたり、
物凄く緊迫した展開なのに、たまにチャーミングな文章があったり。
文章に何とも言えぬ味わいがあります。ただ、今回は物語としては満腹感が足りない!
1Q84 BOOK 2Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 2より
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No.120:
(4pt)

リアルと幻想が共存する世界

BOOK1とBOOK2を読んだ上で、2冊トータルしての感想を書きたいと思います。
☆は4つにしてありますが、厳密に言うとBOOK1が5つでBOOK2が3つと思っています。
なので、間を取って4、と。
≪青豆≫と≪天吾≫。
子供の頃にわずか一瞬だけのドキドキした思い出を共有している二人。
それ以来、20年近くも会っていないけれどいまでも同じ思いを胸にかかえてる。
はじめはなんの接点もないように思えた二人の今を交互に描くことにより物語は進行していきます。
二つの世界がどんどん近付いていくのには本当にワクワクしました。
「さきがけ」はどうしたって「オウム」を思い出させるし、
物語のキーとなる女の子「ふかえり」にしたって、どうしてもあの女優さんを思い出さずにいられない名前・・・。
現実にあるものを思い出させるような題材に、リトル・ピープルや空気さなぎといった幻想的な存在。
現実と幻想がうまく共存している不思議な作品だと思いました。
一言で言うと、途中までは面白かったです。
BOOK2の中盤まではよかったんだけど、青豆さんが「最後の目的」を果たしてからは流れが失速してしまってどうも・・・
二つの月がぴたっと一つに重なるような、そんな結末を予想していたのですが・・・。
物語は終わっても1Q84年はもう一つの世界で続いている・・・そんな余韻が残ります。
宗教のあり方とか、親が子供にしてあげるべきこととか、この作品によっていろいろなことは考えてしまう。
でもシンプルにただ一つ、子供の頃に強い絆で惹かれあった二人が、孤独のなかでもお互いを大切に忘れずに生きてきた。
その思いの深さを感じるだけでも意味のある作品なのではないでしょうか。
1Q84 BOOK 2Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 2より
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No.119:
(5pt)

読んでいて幸せでした

昨日一巻を読み終えました。私は素晴らしかったと思いました。
こんなに売れているのだから、評価が高いのかと思っていましたが、意外と評価されておらず、驚きました。
恥ずかしいのですが、「青豆さんは私だ」と思ってしまいました。こんな体験は久々でした。自分が世界の何かや誰かと共通項があることを感じることが、小説を読むことの一番の快楽、価値の一つだったことを久々に思いだしました。村上春樹はいまだに小説において普遍性を実現しようとしているのだろうと思います。
ここまで売れているのだから、褒める必要がないとも思いますが、普遍性とテーマを込めながら、読みやすさ、分かりやすさを追及して書かれた小説だと思います。
1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
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No.118:
(5pt)

胸がギュッとする

特に好きな人がいるわけでもないのに、誰か自分にも特別な人がいるに違いないと思わせる話です。すごく胸がギュッとしました。読んだ後、誰かに会いに行きたくなります。
1Q84 BOOK 2Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 2より
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No.117:
(4pt)

うむうむ…

他の方も仰っている様に、良くも悪くも村上春樹です。
私は村上春樹のファンですが、それは羊を巡る冒険以降の「浸らせてくれる」作風に起因しています。
それを求める人ならば、ハードカバーの価格でも一定以上の満足は得られるのではないでしょうか。このような作風、力量の作家はそういません。ま…社会現象に成る程でもないし、主人公の男は今まで以上にSEXしているだけなのですが…
1Q84 BOOK 2Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 2より
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No.116:
(4pt)

それなりの作品

流行だからと読んでつまらないと言う人は言えばいい。
おもしろいと感じて村上春樹が好きになるならそれでいい。
発売から2週間経って購入し
とりあえず忙しくて上巻読むのに2週間ほどかかってしまったが
それなりに面白いと感じた。
15年ほど前に当時出版されていた作品を全て読み、それ以来
手にとっていいなと思った作品だけ読んでいるが今回の作品は
「ノルウェー」で受けた衝撃はなかったがそれなりの作品ではあった。
1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
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No.115:
(4pt)

何か物足りない

村上春樹は村上春樹でしかなかったということが、ノーベル賞を取れない理由になりそう。
羊をめぐる冒険や、世界の終わり〜のようにストーリーとしての面白かったのは良かったのですが・・・
「喪失と再生」というテーマが、今回は目立ちすぎたような気がします。
1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
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No.114:
(5pt)

いろいろ意見は分かれると思うが・・・

かなり既にレビューが書かれているので、それを踏まえた上で、語ろうと思う。
この作品は、村上春樹ファンには、なんとも美味しい作品だと思う。 
村上的世界をいとおしく思い、そして、村上さんが言いたいことを、感じることが出来ている人には向いている。
けれど、残念ながら、読み終わった後に、「何が言いたかったんだろう?」と思う人も多いと思う。
そういう人は、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読んでも、「羊をめぐる冒険」を読んでも、「神の子供たちはみな踊る」を読んでも (ちなみにこの3作がわたしのフェイバリットです)、この作品を読んでも、「作者は何をいいたかったんだろう?」と思うだろうと思う。
残念ながら、村上春樹ファンにとって、「何を言いたかったんだろう?」は愚問である。
この作品の読後に残る、心の中の余韻、心を揺さぶる風景、えもいえぬ「ぞっとする」ほどの酔い、 それらを感じなかったならば、しかたないと思う。
ようするに、凡庸な読者には、向かないのです。
村上春樹が、村上春樹のために書いた、村上春樹の本です。
たしかに、ストーリーは、わりと、とっつきやすいし、面白い。 誰でもついていける。 
でも、その中に書かれていることは、村上春樹さん独自のものであって、文壇の人間でもない我々がああだこうだというのはまだ早いのだ。
Book2以降の発展に期待したい。 
「ねじまき鳥クロニクル」や「海辺のカフカ」のように、前半に、あんなに面白かったのに、後半が説明力に欠ける結果にならないことを祈りたい。
ただし、今のところ、この作品のできばえは、今までの村上作品の中で、1番優れていることは間違いない。
1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
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No.113:
(5pt)

映画2本分の値段で買える娯楽。

私はハルキストではありませんが、彼の著書はほとんど持っています。読んでないものもありますが。
いろんな人がいろんな感想を寄せていて、なるほどと思うことも多々ありました。賛成できない意見ももちろんありました。
ただ、上下巻合わせて1000ページを超える長編を最後まで飽きずに読ませるという著者の力量はさすがと思います。読み終わったあと達成感のようなものを感じました。
比べるのは間違っているかもしれませんが、映画を2本見る値段で10時間以上(遅読なため)作品に没頭できたというのは娯楽としては安いと思います。もしつまらない映画2本を観ても、おそらく人は「あーあハズレだったな」くらいにしか思わずに終わってしまうでしょう。
しかし村上春樹に関しては、かなり否定的な意見を綿密に書かれてしまう。人気作家の宿命でしょうね。
純文学とエンターテイメントは相反するものではないと思います。
いろんなタイプの小説家がいます。村上春樹を読んでつまらないとしか思えないなら、自分に合った作家の作品を読めばいいだけのことではないでしょうか。
1Q84 BOOK 2Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 2より
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No.112:
(4pt)

人は老いる

 村上さんは、その最初期の作品の中で登場人物にこんなふうに言わせている。人は誰でも死ぬし誰かと寝るものだ。だからそのような場面を小説中で特に描写しなくてもよい。
 それを読んで共感したのは、もう25年前のことだ。
 
 さて最新作においては、多くの人々が殺される。また性描写は時にどぎつく、また頻繁に現われる。これをどう考えたらよいのか。身もふたもない言い方だが、村上さんも老けたということだろう。すなわち、そのような描写を入れないと、強い感情を喚起できないと感じてしまっているのだと思う。
 では本作はつまらない小説か。いや。私は肯定的に評価する。千倉の施設に父を訪ねる場面が感動的で胸にしみるからである。淡々と書いているように見えるが、実は能力の限りを尽くした過不足のない表現である。
 父は作家の実の父でもあり、世の中あるいは日本を意味するとも取れるだろう。村上氏はそのような対象に出来る限り礼儀正しく、偽りではない感謝の念を伝えようとしている。本作以降の作品は作者の一種の遺言として理解されるものとなるだろう。
 
1Q84 BOOK 2Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 2より
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No.111:
(5pt)

読者を強く引きこむ,渾身の一作

 待ち望んだ新作。自分も含めた読者は,村上春樹がこれまで書いてきた名作の数々やエルサレムでの感動的なスピーチを念頭において大きな期待をよせてしまうため,読んだ後「あれ,こんなものなの?」という肩すかしを食らう気持ちもあるのだろう。しかしよく考えたら,村上春樹という名前がもはやブランド化していて,発売何週間かで百万部を売り上げてしまう状況においては,どんな作品であっても賛否両論は激しくなってしまうし,ハードルの高さゆえに非難の声も大きくなってしまう。仕方ないことだと言えばそれまでだし,そのプレッシャーに打ち勝つのが村上さんの作家としての役目だろうと言われればそうでもあるのだと思う。
 しかし,そんなゴチャゴチャしたことを言わせないくらい,この小説は面白い。村上さんが以前から語ってきた「物語の力」を肌で実感することができる。あらすじやテーマをここで語るには長すぎて大きすぎるし,何よりムダである気がしてならない。そんなことはもっと有能な評論家に任せておけばいい。解釈なんて人それぞれがすればいい。ここで自分が独りよがりな説明をしたって,それこそこの小説で描かれている「恐怖」に過ぎないのではないか。小説でもモチーフにされているであろうカルト教団はなぜあのような道を歩むことになったのか。自分で考えて咀嚼して気づかなければいけないと思う。読んだ何万人かが何かしら考えれば日本は多少救われるかもしれない。そしてそれもまた「物語の力」であると感じる。
 なんだかんだ言って語ってしまうんだよな。だって面白い小説だから。ブームに乗り遅れまいと読む人,長年ハルキストでありメタファーを解読しようと読む人,それぞれだと思うが,純粋に楽しめたら,それが一番ではないでしょうか。
 ちなみに自分は続編が読みたいです。どう飛躍するのかな。
1Q84 BOOK 2Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 2より
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No.110:
(5pt)

新しい世界観

社会性を持ち,未来に開かれた作品。
すべての結末が読者に委ねられているが、読後に消化不良の感がない。
すばらしいの一言。
プロットの詳細に手が込んでいて、練り込まれている。
この意味で、再読に耐える。
登場人物を極限まで追い込み、読者を物語に同化させる。
その結果、架空と現実の世界の境界が消え、読者は尋常ではない世界での体験が可能になる。
この小説世界から、現実の世界に戻った時に、従来の世界観が変わる。
1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
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No.109:
(4pt)

「スプートニクの恋人」「ねじまき鳥クロニクル」の流れを汲む、互いに絶対的な存在の男女

「1Q84」は、互いに絶対的な存在である男女の愛とそれを阻む性欲を描いた「スプートニクの恋人」、同様に絶対的な存在との愛とそれを引き裂くある種の人間が持つ歪んだ欲動を描いた「ねじまき鳥クロニクル」の流れを汲む、絶対的な存在の男女の愛の物語。
前2作との大きな違いは、その絶対的な存在が遥か昔に一瞬の時と手を重ねただけで、以来、接触がないことと男女に同等の重みが置かれている点。村上さんは本書に多くのこれまでの自作と尊敬する作家の生き様とその作品の重要なエッセンスを詰めに詰め込みました。恐らく、かつて無い程の総力戦で書き上げた作品だと思います。
ですが、結果として本2作は世界レベルの文学作品足りえず、自作も越えていません。栞紐の色を見れば分りますが、Book1(黄緑)、Book2(橙)を経た次作のBook3(青)が、世界的に価値観の変化を必要とされる2009年という時代を象徴する文学(芸術)であることを願います。
〜以下、過去各品との関連、読後にお読み下さい〜
1.「スプートニクの恋人」の「すみれ」は作家志望で比喩的に自分の血を流した後、漸く「僕」の愛に辿り尽いたかに見えますが、本書主人公「天吾」のように愛が届かなかった「僕」はその性欲を不倫で処理してきた
2.もう一方の主人公「青豆」の唯一無二の友人の自殺と「ノルウェイの森」の相似
3.本書の宗教団体やDVに苦しむ妻達と「ねじまき鳥クロニクル」の皮はぎボリスや妹(長女)を自殺に追いやり下の妹(主人公の妻)を性的・精神的な破綻に追いやる兄ワタヤノボルの狂気(歪んだ欲動・性欲)の相関
4.上述のワタヤノボルの使い走りの牛河が本書でも悪を代表する宗教組織の使い走りとして登場
5.村上さんが尊敬するドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」、最も深く関わった作家レイモンド・カーヴァーが行っていた小説の朗読(天吾のふかえりへの朗読)、カーヴァーが最も尊敬していた作家チェーホフの引用(多用)
6.地下鉄サリン事件のインタビュー集「アンダーグラウンド」からの手を握ることの深さの引用
1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
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No.108:
(4pt)

やはり

いつも思うのですが、読む側に全面的に理解を委ねるような村上作品。
読後に何か得るものがあるのか・・・・、むむむん難しい。
ただ、単純に面白い世界にこの世界に引き込んでもらえることに極上の楽しみがあります。
1Q84 BOOK 2Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 2より
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No.107:
(4pt)

どうしても納得いかない箇所が。

BOOK1のほうなんですが、両方読んでからの感想なので
こちらに書きます。
タマルさんはなんで、ほうれん草が好きな飼い犬を
縄でつないでいたんでしょうか?
なぜ鎖にしなかったのでしょうか?
リトルピープルなら、鎖だったとしても犬を消すことは
可能なんじゃないかと思う。
でもあえて、縄にした意味があったのか?
読み終わった後にそれがなぜか私の心にひっかかってます。
変ですね。
最後のほうは、とても哀しくなりました。
青豆さんは幸せなんだよね。
天吾はかならず青豆さんをみつけてくれる。
そう思います。
1Q84 BOOK 2Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 2より
4103534230
No.106:
(4pt)

唯一無二ゆえに

村上春樹以外に、村上春樹的な小説を書ける人がいない。これこそが、村上春樹人気の理由かなと。今作もかなり楽しく読ませていただきました。
タイトルの感じから、book3とbook4も出そうですので、今は続編の刊行を心より楽しみにしています。明快な結末がないと知りつつも、最後まで読まずにはいられない。ハルキワールド。
1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
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No.105:
(5pt)

Knife Edge

 ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』がEL&Pの『ナイフエッジ』の原曲であることは、村上春樹氏は知らなくても、「60年代から70年代にかけてのプログレッシブ・ロックのレコードを集めることが趣味」のタマル氏なら常識なのでした。
 作品自体は一旦読み始めると、読むのを中断するのには、かなりの意志の力が必要でした…。
 
1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
4103534222
No.104:
(5pt)

すきになった

この本を読んで、春樹のことが決定的に好きになった。羊やダンスよりもずっとずっといい。春樹臭を凝縮して、発酵させた物語。はかなさと強さを見せてくれる作品。こんなおいしいワインをまずいなんて言うのはだれ。
1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
4103534222
No.103:
(5pt)

〈1Q84〉って?(雑感)

 〈天吾〉と〈青豆〉。二人の登場人物を主なる軸として、物語は進行し、やがて一つの軸へと収束していく。
 この作品における〈ふかえり〉の存在感は大きい。
ふかえりという十七歳の少女を目の前にしていると、天吾はそれなりに激しい心の震えのようなものを感じた。(中略)おそらく何かが小さな隙間から入ってきて、彼の中にある空白を満たそうとしているのだ。そんな気がした。それはふかえりが作り出した空白ではない。天吾の中にもともとあったものだ。彼女がそこに特殊な光をあてて、あらためて照らし出したのだ。
 この文章を証するように、〈ふかえり〉が好む音楽は、〈天吾〉の好みとぴたりと合う。
『平均律クラヴィーア曲集』は数学者にとって、まさに天上の音楽である。十二音階すべてを均等に使って、長調と短調でそれぞれに前奏曲とフーガが作られている。全部で二十四曲。第一巻と第二巻をあわせて四十八曲。完全なサイクルがそこに形成される。
 〈天吾〉は数学好きだから。「1Q84」もまた、BOOK1二十四章とBOOK2二十四章、同じ構成がとられてある。村上さんも数学好きなのかもしれない。
 
 〈ふかえり〉の〈語法の特徴の一つ〉は、〈疑問符を付けずに質問をする〉ことにある。このことと、以下に引く文章とはなにか関係があるのだろうか。
1Q84年――私はこの新しい世界をそのように呼ぶことにしよう、青豆はそう決めた。/Qは question mark のQだ。疑問を背負ったもの。  
 藤井省三氏は、「阿Q正伝」における〈Q〉は中国語で〈幽霊〉を意味する〈鬼〉から来ているのではないか、と指摘している。〈1Q84〉の〈Q〉もまた、〈幽霊〉を意味しているのではないか。 
彼らはその男に命ぜられるままに動く人々です。人格や判断能力を持ちあわせていない人々です。
 小説に登場するカルト教団の信者たちは、そう表現されてある。こじつけでしかないかもしれないが、それは、〈幽霊〉のような人々だ。〈幽霊〉のような人々が登場する、〈幽霊〉のような時代。それが、1Q84年、というわけか。
 〈天吾〉は〈ふかえり〉にチェーホフが記した〈ギリヤーク人〉に関する文章を読んで聞かせる。〈ふかえり〉の発する言葉を、私は好きだ。
「きのどくなギリヤークじん」とふかえりは言った。(中略)「すてきなギリヤークじん」とふかえりは言った。
 〈リトル・ピープル〉の存在感が増し、BOOK1は幕を閉じる。BOOK2が楽しみだ。
1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
4103534222

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