ノルウェイの森

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ノルウェイの森の評価:

3.82/5点 レビュー 818件。 C ランク

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平均点3.82pt

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全1,951件 1,321〜1,340 67/98ページ
No.631
(5pt)

緑はフランス革命のレジスタンスのように煙草を吸う

村上春樹という作家はまるで大人の為の絵本作家のようだ。どの作品も叙情的で、人が年を重ねる毎に得る当り前の感受性を表現している。とりわけ、この「ノルウェイの森」の上巻は、片山恭一『世界の中心で、愛をさけぶ』に抜かれるまで、日本小説単行本の発行部数トップであった。圧倒的な喪失を秘めたこの作品は手にしているだけで自分が失くす喪失を埋めてくれる、だから人はこぞってこの作品を手にした。僕が初めてこの作品を読んだは十代の頃、それ以来、二十代、三十代になった今読み返しても喪失の物語は筆者に主人公同様の喪失感を感化される、恋人と離れ、恋人を亡くす事、村上春樹自身もこの作品を友人の死を知らされた飛行機の中で執筆を始めた。本人が後の執筆物の中で「結果として書かれるべくして書かれた小説」と書いている通り、この作品の持つ圧倒的な喪失感は万人に通じる価値観として今の時代にも通じるものである。 僕は自分のぶんを食べてしまうとおなかがいっぱいになった。緑はそれほどの量を食べなかった。料理を作ってるとね、作ってるだけでもうおなかいっぱいになっちゃうのよ、と緑は言った。食事が終ると彼女は食器をかたづけ、テーブルの上を拭き、どこかからかマルボロの箱を持ってきて一本くわえ、マッチで火をつけた。そして水仙をいけたグラスを手にとってしばらく眺めた。「このままの方がいいみたいね」と緑は言った。「花瓶に移さなくていいみたい。こういう風にしてると、今ちょっとそこの水辺で水仙をつんできてとりあえずグラスにさしてあるっていう感じがするもの」「大塚駅の前の水辺でつんできたんだ」と僕は言った。緑はくすくす笑った。「あなたって本当に変わってるわね。冗談なんか言わないって顔して冗談言うんだもの」緑は頬杖をついて煙草を半分吸い、灰皿にきゅっとこすりつけるようにして消した。けむりが目に入ったらしく指で目をこすっていた。「女の子はもう少し上品に煙草を消すもんだよ」と僕は言った。「それじゃ木樵女みたいだ。無理に消そうと思わないでね、ゆっくりまわりの方から消していくんだ。そうすればそんなにくしゃくしゃにならないですむ。それじゃちょっとひどすぎる。それからどんなことがあっても鼻から煙を出しちゃいけない。男と二人で食事しているときに三カ月一枚のブラジャーでとおしたなんていう話もあまりしないね、普通の女の子は」「私、木樵女なのよ」と緑は鼻のわきをかきながら言った。「どうしてもシックになれないの。ときどき冗談でやるけど身につかないの。他に言いたいことある?」「マルボロは女の子の吸う煙草じゃないね」「いいのよ、べつに。どうせ何吸ったって同じくらいまずいんだもの」と彼女は言った。そして手の中でマルボロの赤いハード・パッケージをくるくるとまわした。「先月吸いはじめたばかりなの。本当はとくに吸いたいわけでもないんだけど、ちょっと吸ってみようかなと思ってね、ふと」「どうしてそう思ったの?」緑はテーブルの上に置いた両手をぴたりとあわせてしばらく考えていた。「どうしてもよ。ワタナベ君は吸わないの?」「六月にやめたんだ」「どうしてやめたの?」「面倒くさかったからだよ。夜中に煙草がきれたときの辛さとか。そういうのがさ。だからやめたんだ。何かにそんな風に縛られるのって好きじゃないんだよ」「あなたってわりに物事をきちんと考える性格なのね、きっと」「まあそうかもしれないな」と僕は言った。「たぶんそのせいで人にあまり好かれないだろうね。昔からそうだな」「それはね、あなたが人に好かれなくたってかまわないと思っているように見えるからよ。だからある種の人は頭にくるんじゃないかしら」」と彼女は頬杖をつきながらもそもそした声で言った。「でも私あなたと話してるの好きよ。しゃべり方だってすごく変ってるし。「何かにそんな風に縛られるのって好きじゃないんだよ」 そこで2010年ついに映像化されることになった「ノルウェイの森」映画化までの経緯は相当な苦労があったが、誰しもが、この作品の登場人物を演じる俳優のイメージが違うと思う、しかし先日、TBS系列で放送された「情熱大陸」で緑役を演じる、モデルの水原希子の500日を追っていたが、小林緑という、作中、僕、直子、キズキの関係性とは別にワタナベに寄り添う緑の活発で気まぐれな性格を、演技経験のない水原希子は見事に具体化していると感じた。ワタナベと緑のやり取りで好きな本文引用部。緑はまるで1789年に起きたフランス革命でレジスタンス達が吸っていた「ゴロワーズ」のようにマルボロを吸う。僕が映画化で期待することは緑の煙草の吸い方だ、僕が監督なら「17歳のカルテ」のウィノナ・ライダーのように煙草を吸わせる。モデルというフィルターを通し、緑を遊ばせた、水原希子の起用は映画を観る前から的を得ていると感じた。映画化に合わせ本作を読む人は、筆者のようにフェチズム的な観点から原作と映画の違いを観る事を薦める。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.630
(5pt)

20年経っても瑞々しい。

この小説は1987年に刊行されたと記されていますので、既に20年以上の風雪に耐えてきたわけですが、依然としてヒヤリとするような瑞々しさを保持しています。村上氏の作品について、文体のことが良く指摘されます。伝統的な日本文学とはいささか異なる翻訳調で、フィッツジェラルドやサリンジャーなどアメリカ文学を彷彿させます。この文体によるパッケージが鮮度を保っている重要な要素ではないかと思っています。ベタな表現ですが、冒頭の書き出しによって、読み始めるとビートルズの「ノルウェイの森」が聞こえてきます。本を開いている間、頭の中で鳴ってしまいます。村上氏は必ずしもこのタイトルが気に入ったものではないそうですが、これほど印象を決定付けているタイトルも珍しいのではないかと感じています。資本経済社会の規格の中に押し込められた若者達の青春像という捉え方をしています。他人にも自分にも距離を感じ、自分がしていることさえリアルに感じられない感覚。自己を客観的に観察し、すべての行動に理由付けをしてしまう自由な世界に生きる不自由さ。村上氏の文学が描くのは、現代に生きている人々のある種共通の感性ではないか、と思い始めています。
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4062748681
No.629
(5pt)

生きることは死ぬこと

死んだ人は、生きている人の中で生きていて、生きている人の生き方を動かす力があるようで無いようで、じゃあ、生きている人は自分としてどこで生きているんだろう?、と「何のために生きているんだろう?」と考えさせられる読後感です。ワタナベ君の20歳前後の日常の生活が淡々と進んでいって、終りが無いように終わってしまう話なのに、自分の気持ちの中にドンドン入り込んでくる不思議な感じがしました。別の感想としては、登場人物は全て、ちょっと普通じゃない人ばかりというが、世間ずれしているというか、少なくとも私の周りに大勢いるギラギラした人達とは別世界にいる人たちとの印象でした。普通世の中には、永沢君のように考える人がごく一般的なのになあ(頭が良いということは除いて)と、強く思いましたが、もしかしたら私のいる世界が違うのかなとも思ってしまいました。それから、笑えるところが沢山あったのが、とても意外でした。突撃隊のラジオ体操についてのコメントだとか、緑の「生理ナプキン燃やしている」発言などで、読みながら声を出して笑ってしまいました。みなさん、村上春樹って笑えるんです。。。この状況で何で性描写のシーンが出てこなければいけないのかなど、「意味わからん」というところも多いのですが、小説としては満点ですね。最後に、一番印象に残ったところは、緑が言っていた「苺のショートケーキ」に関する言葉です。ワタナベ君は「君みたいな考え方をする女の子に会ったのは初めてだな」って言いましたが、私は、女性って、そういうところがあるよなあと、ひたすら感心してしまったのでした。緑が何と言ったか気になる人は、是非この本を読んでみて下さい。
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4062748681
No.628
(4pt)

「ノルウェイの森」

今年の冬に映画化されるということで、手にとってみました。村上春樹の作品は不思議な世界観があり、読者の中でも好きか嫌いかがはっきりと分かれることが多いと思います。この作品は他の作品に比べ、読みやすいように感じました。特に驚きのある話の展開というわけでもないのですが、主人公やその周りの登場人物の心情やその変化が共感出来ない部分はあっても不思議と魅了されて読み終えるまで止まる事がありませんでした。上巻を読んだあとには、下巻をすぐに読みたくなるくらいでした。
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4062748681
No.627
(1pt)

文章を読ませる力があるも、何も残らない

期待値が大きかったせいか、残念な気持ちで読み終わってしまった。村上春樹特有の言い回しで文章を読ませる力は感じられるも内容に乏しいと感じてしまったのと、書いた時代の古臭さを感じてしまう。病に関する事や性に関する受け止め方が古く、現代の感覚とのズレが生じてしまい、素直に感情移入出来なかったのかも。一昔前なら良かったのですが…という残念な結果でした。またもう少し時間がたてば違う取り方になるかもしれません。ノルウェイの森 上 (講談社文庫) ノルウェイの森 下 (講談社文庫)
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4062748681
No.626
(5pt)

好き嫌いの激しい作品ですが・・・

「100パーセントの恋愛小説です」っていうキャッチコピーとクリスマスのような装丁に魅かれ手に取ったのは20年以上前のこと。 その時頭を悩ませていた、恋愛の解決のヒントになればと思い手にとりました。 初めて読んだときは全く理解できませんでした。主人公の行動や考え方も 特にすぐ寝ちゃうとことか・・・ あれから、折々にこの本を手に取り アラフォーにして少しだけ主人公の気持ちが経験と実感として感じるようになりました。それが幸せなことなのかどうか大いに疑問だけど・・・ これからも、時々読み直す作品だと思います。 過去を生きる人も、今を生きる人も そして未来を生きる人にも この作品は何かをもたらしてくれると思います。 皆さんにおすすめいたします。
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4062748681
No.625
(4pt)

生まれて初めて村上春樹を読みましたが、数行読んだだけで電気が流れました。

私はビジネス書は1000冊以上読んだのだが、こと小説は読まない。正確に言えば読まない人間だった。私にとって、文字を読むことは苦痛に近く、もっぱら自分のスキルを上げるという効果を得るためにだけに読むものだった。だから、歴史ものとか、小説とかは全く読まない。そういう人間だった。サラリーマン生活を辞め、最近起業した私がふと、ノーベル賞受賞なるか?の話題で村上春樹氏の名前が出るたびに、気になっていた「ノルウェイの森」。1Q84の前に読んでおきたくて手に取った。初版が出たのは1987年というから、すでに23年が経過する。当時は「今週のランキング」で良くノルウェイの森が上位で紹介されてたのを覚えている。さて、本文を読んでみて数行で、虜になった。体中に電気が走るような感覚がありました。ちょうど私の年齢の37歳の主人公から始まる点、飛行機が好きでB747と言われるだけで具体的にジャンボジェットがイメージできるという自分の指向性がそこにあるのは町がいないのだが、それにしても、描写が美しい。声に出してみると、その語感もいい。そうか、これが小説か。村上春樹氏だから、こんなに美しい表現なのか。この本が良いと評価する人には初心者が多いとある方のレビューに書いてあったが、そうでもよい。初心者の私には、数行読んだだけで感動させるものがあります。最後まで読んで、下巻まで読んで、また感想を追記しようと思います。
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4062748681
No.624
(5pt)

積極的に生きることを見出している作品

人生に傷ついたとき、人生に迷ったとき手にとって見るとより良い本でしょう。まだ世の中の成り立ちが今以上にわからなかった10代の時にはじめて読んで、その時にうまく解釈できなかった部分のディティールはよく覚えていませんでした。そして、あの頃は鮮烈に焼き付けたものが今にはそれほど響かなかったり、たいしたことじゃないじゃんと思ってみたり。再び33歳になって手に取りましたが、はじめて読んだ後の人生の危機の時に思い返してみたら心を強くできたかもなと思いました。今となってはですが。様々な批評がこの本に対してはありますが、自分にとっては、はじめて読んだ若いころの思い出が蘇ってくる、古い流行り歌みたいな存在でしょうか。どうしようもなく翳りのある設定ですが、最後にそこから積極的に生きることを見出している作品と自分では解釈しています。
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4062748681
No.623
(5pt)

やはり凄い作品

今更ながら、この作品を読んでみた。村上春樹氏の作品を全て読んだわけではないが、この作品は村上氏の最高傑作に挙げてもおかしくないほど完成された作品であった。作品を通して、大きな事件が起きるわけでもなく、悪人が出るわけでもないのだが、飽きずに最後まで読むことができた。風景や心情の描写はとても細かく美しく、ひとつひとつのシーンを映像として頭に思い浮かべることができた。
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4062748681
No.622
(5pt)

登場人物に病名をつけてみた

今回、この作品が映画化されるということでなんとなく手にとってみました。読み始めから「僕」の堂々巡りのような考えが延々、正直めんどくさかった。そして最後のレイコさんとのセックスシーンがあることでこの作品の後味が悪くなっている気がした。とはいえ、やはり登場人物の精神病や神経症系の細かい描写あたりは良く書かれてあると思った。 そして、登場人物たちの発言や行動から推測すると、直子とレイコは統合失調症、突撃隊は強迫性障害、「僕」は直子と死別したあと離人症になっていたと考えます。
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4062748681
No.621
(3pt)

名作とは思わないが、非難されるものでもないでしょう

読後に「さすが世界的な人気作家の作品!」という感激はないが、面白くなくもない。この作品を好きな人がけっこういるのも解る気はする。舞台設定は1970年前後だが内容にその時代性は全くない。学生運動の記述もほんの少しはあるがリアリティはなく、どちらかと言うと全体的に1980年代を感じる。内容的には、社会から逸脱した人達にどこか憧れている普通の若者である主人公の若き日の青春ストリー。大学を出た後、具体的にやりたい事がある訳でもなくもちろん将来の目標もない、かと言って完全に社会からのハミダシ者になる決心もできない、そんな立ち位置が何もない不安な状態を、心に傷があり現実社会から逸脱している他人を通し、自分も傷ある仲間達と同じ人種であり、そのために「ダメ人間」であるという立ち位置を見つけようとする・・・そいういう若者の話のように思える。そう「僕はしょせん皆と違う人間だから、しょうがないのです。」という心の解放感が聞こえてきそう。現実世界でも、そういう人達は少なくはないので、彼ら彼女らに自分自身の理由付けをくれる最良の書として愛される作品と思う。但し現実はこの主人公のようにその手の異性がすぐ周りに集まる事はないだろうからそこまでも期待するのはいくらなんでも人生に楽観的すぎるとは思うが・・・。その世界に悩みつつも満足しどこに行くかも解らない主人公・・・ビートルズの「ノルウエイの森」のように、「目が覚めると 僕は独りぼっち、可愛い鳥はいなくなってた。それで 僕は暖炉の火をおこしたのさ」という感じでしょうか?登場人物は善人と思っていると人格的にどうかと思うシーンがあったり、それまでちょっと小洒落た言い回しをしていた人物があるシーンではいきなり陳腐な表現を使い違和感があるところもあるが、、それはよく考えれば社会から隔離されて(と言うか望んで隔離した)人達の言動と思うと逆にリアルさは有る。ただ、全体に自殺者が多すぎるのは話を綺麗に解決しすぎでそこはいまいち。
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4062748681
No.620
(5pt)

映画化されたので・・・

映画化されたのでそれをきっかけに手にとりました。17歳という多感な時期に一番の友達キズキが遺書もなく死んだそこから主人公ワタナベを取り巻く世界のバランスが崩れてしまった他人の人生に深入りをしなかったら自分も平常心を保っていられただろうに・・・でも、他人と一番近くに感じることができるのは高校から大学のある一時かもしれない。この本は37歳のワタナベくんの回想から始まっているだから少なくともワタナベくんは自ら命を絶つことなくこの世界に生きているんだと・・・・本を読み終えた今ほっとしている。
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4062748681
No.619
(5pt)

捉えられないものに捕えられる

この小説を初めて読んだのは約10年前、まだ10代の頃でした。当時は特に何かを感じるでも無く、私にとって多くの村上作品がそうである様に、結局何が言いたいのか分からない、という言葉で簡単に片付けられる事が出来る存在でした。しかし今回久しぶりに手に取ったこの本は、それまで私が思っていたのとは全く別の物でした。私の知っている一般的な小説とは、物事のありとあらゆる物事や描写によって、如何に読者にそれを伝えられるかと言う、その本文こそが全てであるのに対し、村上春樹という作家のそれは、物事や描写はただの手段に過ぎず、もっと奥底に秘められている物が主体の様に感じられます。作者の中に確固たる意思があり、しかしそれが現れるはずの本文にこそその正体を現さない為、作中の出来事も描写であっても、良く分からない、と言う現象が起こるのではないでしょか。しかし凄いのは本質が分からないにもかかわらず感じる、その圧倒的な感覚が本の中だけに留まらずに現実の世界にまで後を追って来て漂ってしまうという点です。今回それまでの評価と全く別の物になったのは、他の作品では感じた事の無かったその様な感覚に捕えられてしまった事にあります。そしてその正体の明かされていないその物こそが、村上春樹の作品の最大の魅力なのではないでしょうか。様々な評価や憶測が飛び交っていますが、その本当の意味を知るのは作者本人が明かさない以上大変に難しい事の様に思います。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.618
(1pt)

恥ずかしくて読めなかった

見覚えのある、赤と緑の表紙。当時、気になっていたけれど手にしたことがなかった小説でした。今回は映画化ということでトライ。が。とてつもなく読みにくかったです。難しい言葉や漢字を使っているわけではないのだけど、描写説明がくどい。ちょっとノスタルジックな表現に雰囲気。でもそれがあけすけで、「この人、相当自分が好きなんだなア」と思いました。自分の好きな言葉や空気感をだすことは大切ですが、それが最初から多すぎると飽きるというか。発売当時は時代にあっていたのかもしれませんが、2010年に読むとなると厳しいです。とにかく言葉が恥ずかしかった〜「こんなに説明しなくてもわかるよ!キャー、やめて〜」と叫んでしまいました。なので上巻の冒頭しか読めずに断念。すみません、すみません。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.617
(5pt)

人間が抱える欠落と人生との関係

この小説にはさまざまな人格上の欠落を抱えた人たちが多く出てくる。彼らの多くはそのことを自覚しながら生きていて、そのうちの何人かは人生の途上で自らの命を断つという道を選んだ。途中、「生も死の一部である」という語り手の言葉が示される。この言葉から、自死というものを「道徳的に悪いことである」という図式の中に容易に回収させないようにしようという作者の意思を読み取った。「自死を肯定することはできないが、自ら死を選ぶ人生は存在する。そしてその存在を否定することはできない」という作者の肉声を聞いたように思ったのだ。読み終えた後も、「自ら死を選ばなかった人々」が、欠落を抱えつつも互いにひしめき合い、危なっかしくも人生を全うしていく人間模様が、心の深いところに刻まれたように思った。下世話な言い方になるけれど、人間の存在そのものにたいする愛しさがこみ上げてきたように思った。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.616
(5pt)

この本の発するメッセージ

ここには色々な意味で愚かな人間が次から次へと出てくる。
語り手にしても人間的な魅力に乏しく一言でいえばどこにでもいるような男だ。
作者はこの本を書くにあたって「リアリズム小説」を書くということへのこだわりがあったそうだ。
リアリズム小説にこだわると愚か者しか出てこないのかと皮肉を言いたくなるような気分になるが、
私はこの本を読み終えて馬鹿馬鹿しいという気分にはならなかった。
読後感として私の心に残ったのは、口はばったい言い方だが、「希望」という二文字だ。
たしかなものが何もない人生で、それでも生き続けていかなければならないのだという無言のメッセージを
登場人物たちすべてが発しているように思える。
また、ここでは重要な登場人物が二人自殺する。自ら命を断つことが人生の重要な選択肢として扱われていて、
「自殺=悪いこと」という簡単な図式のなかに読者を留まらせないようになっている。
これからこの本を読む人は、登場人物の瑣末で下世話な愚かさにとらわれず、この本全体の発するメッセージを
読み取っていただきたいと思う。
ノルウェイの森(上) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森(上)より
4062035154
No.615
(4pt)

大学生の日常を通して投影される、特殊な感覚

1969年、東京。19歳の大学生、ワタナベは学生寮で
周囲と距離を置いた生活を送っていました。
そんな彼が、周りの人との出来事を通じ、様々なことを感じます。
それはどこか不思議な、特殊な感覚でした。
有名なベストセラーの上巻です。分量は302ページ、所要3時間程度です。
この巻では、ワタナベと彼を取り巻く主要な登場人物がすべて登場し
複雑なドラマが始まり、展開されます。
きれいな文学的表現が多いです。例えば、「まるで春を迎えて世界にとびだしたばかりの
小動物のように瑞々しい生命感を体中からほとばしらせていた。」
「初秋の太陽が彼女の頬の上にまつ毛の影を落とし、
それが細かく震えているのが見えた。」などです。
内容について語るのは難しいです。現実的かどうかと言われれば、
非現実的だと思います。ただ、まったく否定できるものではなく
誰もが持っている感情を、小説という作られた舞台を通じて表現した作品、
という感じでしょうか。
その感情を共有できるかどうかで、この小説の好き嫌いが分かれるような気がしました。
ノルウェイの森(上) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森(上)より
4062035154
No.614
(5pt)

特別な時期に読むべき特別な小説

今からもう、10年以上前、大学生の時に読みました。そして、折にふれて、何年かに1度読み返しています。村上春樹の他の小説も大好きでよく読みますが、この本だけは本当に特別です。若い時に読んで本当に良かったと思いますし、読み返すと新たな発見とともにその時の感情がよみがえってきます。そして、小説と同じように、過ぎ去った時間を思い、過ぎ去った時間はもう永遠に取り戻すことができないことを実感します。
いろんな作家の作品を読んでいくと、その人がその時にしか書けない作品というのがあることがわかります。そして、多くの作家は、大体初期の頃、そのようなその人にとって最高の作品を残し、後は何作書いてもその作品を超えることができないということが多い気がします(才能を出しきったというか、才能が枯渇したというか……)。
村上春樹はそのようなことのない稀有な作家(それは村上春樹の生き方自体にも表れていると思います)ですが、それでも、この「ノルウェイの森」は、村上春樹にとって、そのような作品なのではないかと思っています。
ノルウェイの森(上) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森(上)より
4062035154
No.613
(1pt)

村下春樹は、最低のゴミだ。

村上春樹なんかを、なぜ読むのか? なぜベストセラーになるのか?
そんな日本人は、普段いかに本を読んでいないかが分かる。
村上春樹だけをちょっと読んで、それを過大評価するのは間違っている。
もっと良い作家、もっと面白い本は、いくらでもあるのに。
西洋かぶれの、軽薄で安直な村上春樹は、日本のゴミだ。
ノルウェイの森(上) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森(上)より
4062035154
No.612
(3pt)

美しい文体だが分からない

 夏だし、何か深みのある作品に触れたいと思い、まだ読んだことのなかった村上春樹の作品の代表作の上巻だけを読んでみた。アマゾンでも高評価だったし。
 読んでみて、何よりも引きつけられたのは、表現力の豊かさで、私の薄い読書体験の中でも、最もきれいで、思わず情景が浮かぶ表現を使う作家だと思った。
 内容の深さという点は、よく分からない。何を言いたいのかが分からない。小説も芸術作品の一つだから、論理性よりも、自らの感性で感じるものなのだから、分からないと思うのも当たり前なのだが。
 分からないなりに、考えてみる。
 「歪み」と表現されているように、何か社会とうまく付き合えなくなった人に焦点があたって物語が進行していく。でも、主人公のワタナベくんはその、社会とうまく付き合えなくない人に魅力を感じ、愛するようになる。精神的におかしく、壊れてしまうのは、決して本人たちが悪いのではなく、世間、社会の方に何か「歪み」があるのではということを暗にほのめかしている作品、ということは言えるのかもしれない。
 分からないなりに。村上作品を一度だけ読めたことが、私の人生経験にとっては、何か自信になる気がする。だから下巻も読んでみるが、感想は変わるかも知れない。
ノルウェイの森(上) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森(上)より
4062035154