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世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド



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世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドの評価: 4.24/5点 レビュー 262件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.24pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全212件 61~80 4/11ページ
No.152:
(5pt)

なんだかんだで、やはり最高傑作

鼻につくオサレ情景描写と、凡人設定なのに超リア充な万能スーパーマン主人公に定評がある村上春樹氏。
それでもやはり引き込まれるのがこの作品。あらすじを書き出せば二行で終わるようなストーリーだが(この作品のみならずだが)、マンガよりアニメより、引き込まれてボンヤリしてしまうのが文章の力なのかと思う。
初期設定から、私たちの生きる日常に一個非日常的な要素がある。この作品では「計算士」という職業。脳の中で情報を暗号化するとかいう、厨二病御用達アニメみたいな設定だが、日常の極めてリアルな描写が、それに現実味を与える。読み手に“実写”でイメージさせるのだ。あとはその非日常性をどんどん膨らませて、そのまんまズルズルと引きずり込まれる。
深層心理にあるパラレルワールド、地下の迷宮の冒険、やみくろなる怪物冗談みたいなマンガの世界に、一つ一つリアリティを保つ為の仕掛けが施してあるから我に返らず読めてしまう。そこがこの作者の凄いところ。
たぶん、「引きずり込まれまい」と構えて冷静に本を読む読者には向かないのかなと思う。
あくまでクオリティーの高いアトラクション。お化け屋敷にあえて入って怖がりたい、という姿勢がないと楽しめないのかな。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.151:
(5pt)

期待度MAX

上巻の、これどうやって繋がってくの、関係あるかんじだけど の感じはんぱない はっきり言ってこんな牽引力めったにないと思う
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.150:
(5pt)

村上春樹の最高傑作…と思う

SF的でもあり、ダークファンタジー的でもあり。 壁の世界はどこか、冷戦構造を想起させるような…。 しかし、どこにも答はない。 霧に霞むように、真実、正解はぼやけている。 だからこその文学。 だからこその人生。 今までで一番面白かった小説の1つ。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.149:
(5pt)

不思議な展開

切り口が面白い小説だと思います。断片的だと思ったことが、最後には一気につながる。読み終わってとてもすっきりとした感覚が残りました。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.148:
(4pt)

村上春樹のメッセージ

上下巻通しての感想です。
この作品は、クトゥルー神話のような雰囲気が強く漂う。やみくろや、やみくろの崇拝する邪神など。
主人公と太った娘が博士に会いに行く地下世界の件(くだり)は気が変になりそうな感じがよく出ていた(無駄に長い文章にイライラしたせいもあるが)
そう、ハッキリ言って冗長に過ぎないか?無理矢理長編にする為の無駄な描写が多いのじゃないか。引っ張って引っ張って最後があれでは余計に。
あの結末では、一体何が言いたかったのか、さっぱりわからない。
わかる読者なんているのか?
小説ってさ、作者が何を言いたいか読者にわからせなくていいのか?わからせる義務があるんじゃないの?
読み終わって思った。またかよ~、村上春樹。また読者に投げっ放しかよ~。て。
文庫本の背表紙の「村上春樹のメッセージが、君に届くか?」には思わず失笑。予防線張ってるじゃん。編集にもわかってない。
それとも村上春樹自身がわかってないんじゃないのか。さすがにそれはないか。あれだけの巧みな比喩ができるあの描写力で、自分が言いたいことを書けないはずがない。
で、ふと思ったんだが、村上春樹のメッセージ()はあの馬鹿長い物語の中にほんの数行くらいであり、結末含めあとはどうでもいい文章の羅列なのではないかと。
ならこれでいいのかな「自分の認識を変えれば、世界は一変する」
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)より
4101001359
No.147:
(4pt)

村上春樹のメッセージ

上下巻通しての感想です。
この作品は、クトゥルー神話のような雰囲気が強く漂う。やみくろや、やみくろの崇拝する邪神など。
主人公と太った娘が博士に会いに行く地下世界の件(くだり)は気が変になりそうな感じがよく出ていた(無駄に長い文章にイライラしたせいもあるが)
そう、ハッキリ言って冗長に過ぎないか?無理矢理長編にする為の無駄な描写が多いのじゃないか。引っ張って引っ張って最後があれでは余計に。
あの結末では、一体何が言いたかったのか、さっぱりわからない。
わかる読者なんているのか?
小説ってさ、作者が何を言いたいか読者にわからせなくていいのか?わからせる義務があるんじゃないの?
読み終わって思った。またかよ〜、村上春樹。また読者に投げっ放しかよ〜。て。
文庫本の背表紙の「村上春樹のメッセージが、君に届くか?」には思わず失笑。予防線張ってるじゃん。編集にもわかってない。
それとも村上春樹自身がわかってないんじゃないのか。さすがにそれはないか。あれだけの巧みな比喩ができるあの描写力で、自分が言いたいことを書けないはずがない。
で、ふと思ったんだが、村上春樹のメッセージ()はあの馬鹿長い物語の中にほんの数行くらいであり、結末含めあとはどうでもいい文章の羅列なのではないかと。
ならこれでいいのかな「自分の認識を変えれば、世界は一変する」
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.146:
(4pt)

こんなもん?

今まで食わず嫌いでしたが、ノーベル賞を受賞しようかという村上春樹とはいかに?ということで、適当に買ったのが本作でした。後で調べるとファンのなかでも結構評価が高いようです。感想ですが、話としては面白いと思います。二つの世界、影、獣など設定が絶妙ですね。世界の終わりは心がない世界らしいが、実際は人に好意をもったり、心配したり、心あるやん、などと細かい突っ込みをしつつも、続きを読みたいと思わせてくれます。ただ読後、読者に何かを感じさせることはあまりないと思います。あれー終わちゃた で?なんて感じです。ノーベル賞を取るほどとは思えませんでしたが、世の中に多くの愛読者がいるので、面白い話以上のなにかがあるのでしょう。また、別の作品を読んでみようと思います。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.145:
(4pt)

ハルキストにはなれなかったが、納得の作品。

村上春樹の作品に共感できない読者の多くは「結局なんだったのか」と、「オチ」がないことに困惑する事が多いようだ。私もその一人で、昔読んだ短編でもよく分からないままで終わっていて、「私とはウマが合わない作家」と決めつけていた。

「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」は、知り合いのハルキストから強く勧められた本だった。またネットでもこの村上作品を一押しする声も多かった。あまり長編には慣れてない自分にとっては、上下巻で分厚いし気が遠くなりそうだったが、読み終えた。確かに展開のテンポや、奇妙で不気味でありながら居心地の悪くないその世界観に飲み込まれたが、やはりはっきりした「オチ」は、素人読者の私には見つからなかった。

今でも素人読者だが、最近昭和初期・中期の作家を読み、その後この作品に戻ってくると、村上の良さが分かるようになった気がする。大絶賛とまでは行かないが、重要な作品だと思う。昔知り合いから勧められたように、村上春樹を読んでみようと考えている人にはオススメです。たとえ意味がわからなくても(私でも分かっていない気がする)、決して無駄な時間にはならないと思います。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.144:
(4pt)

失われた記憶(らしきもの)の探求、2つの世界で

【ネタバレ】
1983年(←10月2日が日曜日)東京を舞台にしたサイバースリラー(ハードボイルドワンダーランド)と、時代と場所は不明だがどことなく中世ヨーロッパを思わせるル=グウィン風ファンタジー(世界の終り)が並行に進む。やがて「世界の終り」は、「ワンダーランド」の主人公「私」の思考システムがコンピュータ処理され更に映像化されて生まれ、そして「私」の脳の核に埋め込まれた世界であることが判明。両ストーリーの進行と共に、「私」の脳に埋め込まれた機器の不具合により、「私」の意識が、記憶を失い「世界の終り」に「僕」として入り込み生きていることが、読者に対し判明する。

2つのストーリーは、最終的には相互補完して完結するが、それまではそれぞれ独立しても面白く、読者を引き込む。この一見まったく無関係な2つの物語がどう接合するのか、そこへの推理も読者を更に引きつける(2つ以上のストーリーを並行させたり時系列をシャッフルさせる手法は、これ以降アメリカ映画などでも急速に広まるが、本作の影響が大きいように思える)

両主人公ともに失われた記憶(あるいはそのようなもの)をつかみどころなくたぐり寄せようとする中、(読者に)両者の関係性が明らかになった時、「ワンダーランド」の「私」の「何か遠いものに手が届きそうで届かない」孤独な心象が強烈に伝わってきた。その後、「世界の終り」の「僕」の、失われた以前の自分への回帰欲求、犠牲の上に成り立つ安定した世界への懐疑(ヒント:オメラス)、図書館の女の子への感情、それらの間を揺れ動く葛藤も、痛いほど伝わってきた。これだけ複雑な感情を、読者にダイレクトに感じさせる文学作品は稀。この点では大傑作だ。

ワンダーランドでの「組織(システム)/計算士」対「工場(ファクトリー)/記号士」対立の構図は、その後の実世界でのセキュリティ対ハッカーを予見。本書の僅か前に原書が出版された『ニューロマンサー』からの影響は明瞭と思う(蛇足だが、「組織」や「工場」に「システム」や「ファクトリー」のルビをふるのは、その黒丸尚の邦訳に通ずるが、この邦訳の出版は本書刊行の少し後。何か影響関係はあるのだろうか?)

欠点。「ワンダーランド」が量的に多くアンバランス、冗長感もある。これは、「ワンダーランド」ではイベントが多い一方、「世界の終り」ではその世界の説明的描写が中心でそれほどイベントが無いため。「ワンダーランド」からは非現実な地下世界部分を、そこの住民「やみくろ」共々、削ぎ落とした方が、現実の東京の物語である印象を強め、「世界の終り」のファンタジー性との対照もくっきりしてよかったと思う(ディテールに様々な意味がこめられているだろうことを留意しつつ、あえて)。文体は前作『羊』に比べると、まどろっこしい比喩が少なくなり、読みやすくなったが、相変わらずの音楽映画文学その他の記号羅列は中2。飲酒喫煙シーンの多さも辟易、飲酒運転はもってのほかだ怒

最後の疑問:カバー/上巻表紙裏折込みページのイラストは何か?
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.143:
(5pt)

20年以上前の作品なのに・・

村上春樹の作品は好きでほとんど読んでます。その中でも、この本は何回も読んでしまいます。学生のときに読んで、物語の面白さと重厚さにひき込まれ、30過ぎて読み返してみると学生のころとは違うところや、別の角度から感じ入ってしまう作品です。題の「ハードボイルド・ワンダーランド」の間にある点が意外と重要なのかなと最近思いました。何度も読んで内容もほぼ正確に覚えていますが、知ってても読みたくなる文章の気持ちよさが村上作品の魅力だとおもっております。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.142:
(5pt)

これこそノーベル賞では?

村上春樹の小説をすべて読んでいはいません。ですから偉そうなことは書けません。1Q84、海辺のカフカ、田崎つくる〜と読むうちに過去の作品を読みだした不届きものです。理由は一番最初に80年代の暮れに読んだノルウェイの森が少々青臭かったから・・。間違いでした。それ以前に書かれていた本作を今頃読んで驚愕した。昔のほうが凄いね村上春樹は。下巻の後半の人生を語るあたりから何故か涙が出てしまった。僕の人生の指標となった本は「ライ麦畑〜」でしたが、どうしても判らなかった思想がこの年齢になって本作を読んでようやく明確になったような気がしました。皆さんに笑われそうですね。
 毎年ノーベル賞候補になりますが、「〜カフカ」よりも本作がその一番の対象になるのではと思います。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)より
4101001359
No.141:
(5pt)

どんどん脳の内側に向かう物語

自分の脳のなかに、
どんどん深く入り込んでゆく
奥の奥を覗いてみる。
自分がなんなのかわからなくなってくる。
不思議な気持ちにさせてくれます。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.140:
(4pt)

おもしろかった!

おもしろかった!読書はあまりしないですがのめり込むことができました。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)より
4101001359
No.139:
(5pt)

スキーター・デイビス1985?

ようやく購入した。長野県上田市のBOOK・OFFで。上巻にローレンバコールの話が出てきたなと思ったらローレンバコールさんが亡くなったばかりだ。それに、ちょうどWikipedia において永久ブロックされてしまったところだ。

そんなことが起こるのも村上春樹大明神の本の奥ゆかしさである(?)。

さて内容。ウーン、やっぱハンパないなあ。引き込まれまくりである。擬音ならズオオオッて感じである。衝撃のラストシーンでは号泣してしまった。涙ポロポロポロポロ流れて枯れてから@中島みゆきである。

Wikipedia の世界の終わりとの記事によると、この作品は村上春樹大明神の自伝なんだそうな。いったいどうゆうことなんだろう。システムが日本政府でファクトリーが日本企業?

やみくろは、、、やくざ?

と、考え始めた時点であなたのジャンクションは第三のほうに入ってる。

マコトに恐ろしい本だ。

村上くんといえば、いつかのインタビューで、「僕は世界の終わりを具現化したいんです」
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)より
4101001359
No.138:
(5pt)

生きる人間への深い愛

2つの世界の異なったストーリーが淡々と進んで行く…ように見えて、風を切って疾走していく。
精巧にできたパズルをひとつひとつ合わせてゆくのだが、ピタリピタリとピースを当てはめていくときの、この哀しさはどうだろう。
物語の世界から読者が抜け出せなくなる頃、「銀座線」「ポールスチュアートのジャケット」といった単語、即ち"日常"の破片によって、彼が残して行くものの大きさを知り、自分(読者)が生きた人間であることを思い知る。
彼が壁の中の街に留まることを選び、最後のピースが完結する。

自分に落とし前をつける、その事を”品格”と呼んでも良いような気がした。

数年おきにこの作品を読むと、その時の自分の年齢によって「心」への影響が変わってくる。
その時、その人の 壁の街が存在するのでしょう。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.137:
(5pt)

装丁ちゃうけど、、、

長野県上田市の本屋で これを購入し、

その後タリーズ・コーヒーで

宇治金時を食うてたら、

となりに座ったのが若く美しく太った女。

モンモンとしながら八分立ちの状態で

この本を開いたら、

そこには 若く美しく太った女についての記述があった。

そんなことが起こるのが村上春樹大明神の

本の奥ゆかしさである(?)。

世界の終わりの描写が詩的で美しいなあ、、、

あと、、、今から見ると子どもっぽい感じもあるが、

笑いのセンスは幼児性を前提とする(千原ジュニア)って話なんだろうなあ。

ああ、下巻をゲットできる盆休みが待ちきれない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.136:
(5pt)

Ecclesの「脳の二元論」仮説を物語として表現

1963年にノーベル生理学・医学賞をもらったエックルスは、1982年の論文で、現実の物理的世界(脳:膨大な神経細胞の精緻な装置)と心(意識)が、別々に存在すると言わざるを得ない、という実験事実に直面してしまい、「脳の二元論」仮説を、最晩年になって提唱しました(現在でも、すべての脳研究者が直面する問題です)。

「脳の二元論」仮説では、頭骨の中にあるのが、コンピュターをはるかに凌ぐ “超複雑な装置:システム” であり、頭骨の周りに、物理的実態のない靄(もや)のような “心(意識)” が漂っている、というイメージです。

私は、エックルスが提唱した「脳の二元論」仮説には与しませんが、村上春樹は、生理学者エックルスやシェリントンの唱える「脳の二元論」を文学的手法で表現しております。 「世界の終わり」が、実体を持つ、我々の物理世界、すなわち、脳のシステムとしての概要・全体機能を表現しているのに対して、「ハードボイルド・ワンダーランド」は、脳システムに対する、心(自我、意識)のポジションを文学的に表現しております。ふたつの並列する物語の中で、「世界の終わり」では<影>が、「ハードボイルド・ワンダーランド」では<私>という表現が “心の実体(核)” である、即ち、<影=私>、というようなフレームワークで物語が構成されております。

村上春樹の作品は、総じて、いわゆる小説というより、小説の名を借りた哲学書、あるいは、心理学書と言えるのかもしれません。確かに、読むと癖になる、麻薬のような性質があると思います。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.135:
(4pt)

難解な2つの世界

世界の終り、そしてハードボイルドワンダーランド。2つの世界は、最終的には隔てていた壁をすり抜けて繋がるというか、共存するというか、僕にはそのように感じた。
なんとなく「主人公が作り出した虚像の世界」のような意味深な文章が世界の終りには読み取れた。ハードボイルドワンダーランドは、太った娘の存在がキーである。彼女と主人公のやりとりは、村上春樹らしい独特な言い回しの会話といった感じで、春樹氏のファンはそれだけで楽しめる。
それにしてもテーマがよく分からないのだ。春樹氏の長編小説は読後にどこか青春を思い出させる、美しい哀しみや切なさを思わせるのだが、今回僕の読後の感想は、あまりにも難解だ。と頭がどこか混乱したのだ。
きっとこの物語の本質を知るには、行間や意図から、想像し、さらに創造し、読み取らなければ、本当の答えは見つからないのだろう。
やれやれ。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.134:
(5pt)

村上さん特有の世界

村上さんお得意のルートが二つある物語です。
暴力的な世界と童話のような世界が同時進行していくお話です。
世界が交差するかしないかで話がうやむやになったのが心残りです。
村上作品は毎回この続きはどうなったのだろうと気になってしまいます。
自分はカフカとこの本をお勧めします。
ノルウェイの森はちょっと肌にあいませんでした。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.133:
(5pt)

春樹に入るならこの1冊から

村上春樹は現実的な世界を舞台にした小説といわゆる奇妙な人物が絡み現実がどこかでねじれたような
奇妙なファンタジーの作品の2つの流れがある
本作は2つの物語を平行に進めているということもあってか、この2つのイメージがほどほどのところで
バランスがとれていて、しかも長くない(長編連作のようなクドさがない)ということで村上春樹を一冊読んでみよう
村上春樹はどれから読めばいいか、と悩んでいる人に自信をもってお薦めできる一作

どこか達観した主人公、洒落た(スカした)会話、癖のあるヒロイン
抽象的な世界観、奇妙な登場人物、日常が非日常へと緩やかに変化するミステリー的エギミック
前半の要素がアンチを生む要因にもなっていると言われますが、それでも支持が厚いのはそれらの要素がスパイスになって
より後者の要素が際立って魅力的に描写されているからでしょう。
平坦な文章ゆえ読み手を選ばないというのも大きいのかも。
個人的にはデヴィット・リンチと近い要素があるんですよね。特徴が被るというか。
主人公像だけはけっこうかけ離れてる気もするけど・・・。なんにせよ入門編としてお薦めです
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340

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