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本因坊殺人事件



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本因坊殺人事件の評価: 4.11/5点 レビュー 9件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.11pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(4pt)

囲碁テーマの初期作品ですが、意外によかったです

内田康夫氏が逝去されてしまい、もう新作が出ないので、まだ読んでいなかった旧作を掘り出して読んでいます。この作品は、1980年に「死者の木霊」でデビュー後、翌年に発表された第2作です。旅エッセイの「ミステリ紀行」の中で内田氏ご本人が書いておられますが、”僕の著書の中で最も売れ行きの悪い作品のひとつ”ということ、私も囲碁になじみがないのでどうもとっつきが悪く、未読のままになっていました。
まだ浅見光彦も竹村警部も登場しない本当に初期の作品ですが、先日読んだ1983年作の「シーラカンス殺人事件」と同様に、キャラクターにたよらない分、一生懸命書いたストレート直球の真っ当なミステリに仕上がっています。ご本人は第3作目の「後鳥羽伝説殺人事件」とあわせて3つを”アマチュア時代の作品”と呼ばれていて、本当はここでネタ切れで小説はもう終わり、広告業に戻ろうと考えていたそうです。

当時はミステリといえば”ダイイング・メッセージや暗号を入れないといけないと思っていた”そうで、この作品にもしっかり暗号が登場、他のレビューアさんも書いていらっしゃいますが、まるでテレビの2時間ミステリドラマのようです。囲碁の知識がないとだめかと思っていましたが、なくても大丈夫でした。もちろん囲碁がわかる方はもっと楽しめるに違いありません。
それぞれのキャラクターも個性があり、また、秋田や宮城の温泉郷を舞台にした旅情ミステリとしても読め、なかなかおもしろかったです。同種の作品に「王将たちの謝肉祭」があるので、今度はそちらを読んでみようと思います。
本因坊殺人事件 (角川文庫 (6030))Amazon書評・レビュー:本因坊殺人事件 (角川文庫 (6030))より
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No.8:
(4pt)

フィクションゆえの強引さとえげつなさはあるものの珍しい囲碁ミステリーの秀作です。

囲碁ファンであられた著者・内田康夫氏が著した長編第2作で見つけるのが誠に珍しい囲碁ミステリーの秀作です。本書は第1作「死者の木霊」と比べると探偵役がプロの警察官から素人の民間人二人組にガラリと変わっておりますが、著者が今回その道を選んだ理由については最後の最後にきちんとわかる仕掛けになっていますね。
伊豆・大瀬崎で何者かが男の死体を海に投げ入れる姿が目撃される。一方、宮城県鳴子温泉で高村本因坊と若手浦上八段とが囲碁のタイトル「天棋戦」の対局を戦った結果、高村が敗れ何と彼はその翌日に荒雄湖で水死体となって見つかる。その後さらに奥多摩渓谷で対局の記録係を務めた新宮三段の死体が発見される。浦上八段と観戦記者の近江は対局中から高村本因坊の行動に不審を抱いており二人それぞれに事件の謎を解明すべく立ち上がるのだった。
今から30数年前に読んだ時にも感じた事ですが、やはり囲碁の世界の関係者が実際にここまでやるだろうか?という不自然な思いが一番強いですね。まあそれについても可能性として起こり得るシチュエーションはこしらえられてはいるのですが、どうしてもフィクションゆえの強引さとえげつなさは完全にぬぐいきれないですね。それに関連してミステリーはどうしても無慈悲で残酷な流れになってしまいますが、本当に囲碁関係者の二人の死は行き当たりばったりの無益な殺生と言う他ない悪運の極みで非常に残念ですね。それから囲碁ミステリーという事で囲碁の細かい専門的なルールを完全に知っていないとトリックを理解できないのかなと構えましたが、その点は杞憂で素人でも大丈夫なレベルで安心しましたが、でもそれは逆に言えば囲碁マニアの方にはそんなに深く踏み込んでいない事がやや不満に思えるかも知れないとも言えますね。まあミステリー・ファンは総じて厳しい方が多いですから全ての人を満足させるのは非常に難しいでしょうね。細かい所を書くと死体処理の手口が第1作と似通っている(バラバラ死体ではないだけでほぼ一緒ですね)のと、著者は読みが難しい漢字を多く書かれるなあと(ふりがなを振って頂いているので大丈夫ですが)気づきましてそれもまた作風に文学性を感じる理由にもなっていますね。そろそろまとめに入りますが、私はこの特殊な暗号トリックについては独創的で良いと思います。けれど今回の素人探偵の二人については前作の武村巡査部長に対して残念ながらかなり分が悪いなと思います。まず当然の如く聞くべき質問をつまらぬ遠慮によって見送りそのせいで事件の解決を長引かせた事、そして厳しい事を書きますが私は止むを得ない面があるとは思いながら、この結末が果たして本当に良かったのか?という点で大いに疑問です。それは親切にしてくれた地方警察の刑事さん達に真実を打ち明けず結果的に欺いているのと同様な事、そして如何なる理由があろうとも自分が愛する人に真実を告げないという選択自体が良い事ではないと考えるからです。でももしこの小説の延長線上で浦上八段が妻の礼子さんにこっそりと真実を打ち明けてそれでも全く変わる事無く二人の愛が末永く続いて行くと言ったストーリーが待っているのであれば私はこの結末を許容したいと思います。
本因坊殺人事件 (角川文庫 (6030))Amazon書評・レビュー:本因坊殺人事件 (角川文庫 (6030))より
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No.7:
(4pt)

特に悪いところもなく、十分でした。

汚れもなく、読むのに十分たえるものでいた。価格も安く手ごろですが送料が高いかなと思います。
本因坊殺人事件 (角川文庫 (6030))Amazon書評・レビュー:本因坊殺人事件 (角川文庫 (6030))より
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No.6:
(4pt)

囲碁界華やかなりし時代の小説

僕は囲碁愛好家なので、推理小説としても楽しめたし、囲碁界に関する描写も楽しめた。
棋譜の中に暗号が隠されていたり、棋戦の主催権をめぐっての政治的駆け引きの描写など、囲碁ファンなら1冊で色々楽しめる。

ただ、囲碁ファンなら疑問に感じる点が一か所あった。
黒の浦上八段の一間高ガカリに対して、白の高村本因坊が下ツケを打ち、黒はおさえた。
ここで高村本因坊は91分という長考に入り、この長考が後の事件にとって重要な意味を持ってくるのである。

ここでの長考に対し、
「こう打てば、白は引く一手である。囲碁には初心者でもそう打つし、名人でもそう打つという、いわば決まりきったような形のところがあって、ここはまさにその典型というべき例だ」
と書いてある。
「こんな分かりきったような所で時間を浪費する理由は全く思いつかない」とまで書いてある。
これは作者の内田氏が定石にあまり詳しくない証拠だろう。
確かに、現代碁では、この形からは小目の「ツケヒキ定石」と言って、引く形がほとんどである。
しかし、「ツケサガリ定石」というのも存在し、二線に下がる手も存在するのである。
昔のプロの碁では「ツケサガリ定石」も結構打たれている。
決して、「白は引く一手」と分かりきってる場面ではない。

この箇所を読んだ時、内田氏は囲碁はあまり強くはないなと感じた。

殺人の動機も囲碁ファンなら感慨深いものがある。
大型棋戦の主催権をめぐって、大新聞社や政治家が絡んでの利権から殺人事件にまで発展するのだが、現代ならこの動機はあり得ない。
本書が書かれた1981年は囲碁人気が過去最高であった時期であり、囲碁人口は1200万人とも言われていた。
だからこそ、部数をあげるため、大新聞社が競ってタイトル戦を主催したがっていた。
ところが、今では囲碁人口は当時の三分の一以下に激減している。
新聞社は競って棋戦を主催したがるどころか、大金を払ってまで棋戦を主催する価値があるのかという議論すらある惨状だ。
囲碁界が華やかなりし頃だから成立する話である。
囲碁ファンにとっては古きよき時代を懐かしむ内容となっている。

囲碁ファンでなくとも楽しめるが、囲碁ファンなら色んな楽しみ方ができる本である。
本因坊殺人事件 (角川文庫 (6030))Amazon書評・レビュー:本因坊殺人事件 (角川文庫 (6030))より
4041607027
No.5:
(3pt)

無難に面白い

断崖絶壁での犯罪告白シーンがよくネタにされるサスペンスドラマそのままで、思わず笑ってしまいました。

囲碁のタイトルマッチを軸にして、殺人事件や師弟愛が描かれていくさまは単純に面白い話で、最後まで楽しく読むことができました。
一方でミステリーとしては下に示すようにやや面白みに欠けるというかちょっとアンバランスに感じる部分があり、惜しい印象も。
・劇中では大きい疑問点として扱われている「ライターを何故被害者が持っていたか?」について、読者は名人の車内モノローグで予想が付いてしまう。
・最初のモノローグに出てきた男が重要な役割を果たすかと思ったら、確かに重要な役割は果たしているけど物語的な描写が少ない。
・せっかく切れ者らしい描写の警部を出したのに推理面での貢献度が少ない。
本因坊殺人事件 (角川文庫 (6030))Amazon書評・レビュー:本因坊殺人事件 (角川文庫 (6030))より
4041607027
No.4:
(5pt)

秀作。

半日もあれば、十分楽しめます。 囲碁好きにはたまらない、雑学的な要素も魅力。 文章がきれいで読みやすく、物語の世界に引き込まれます。 旅情も感じらるし、終盤はテレビドラマ的な見せ場もあります。 本格派ではないですが、知的好奇心を満たしてくれる作品です。
本因坊殺人事件 (角川文庫 (6030))Amazon書評・レビュー:本因坊殺人事件 (角川文庫 (6030))より
4041607027
No.3:
(4pt)

初期の内田康夫の長編作品 囲碁の世界を描いた異色作品

内田康夫が1981年に発表した『本因坊殺人事件』は、彼の長編の第2作にあたります。
碁の世界を描いていますが、碁のルールを知らなくても読み進められますし、対局中の張りつめた雰囲気や、観戦記者や立会人、封じ手などタイトル戦の臨場感が伝わってきますので、当然碁の好きな人にはこたえられない作品でしょう。棋譜はありませんが、布石は紹介してあります。途中長考シーンが登場しますが、その対局姿が浮かぶような描写力があるからこそ一定作品の世界に入り込むことができると思いました。
本書は、1981年10月に栄光出版社より刊行され、1984年7月にエイコー・ノベルズ、1985年4月角川文庫、そして2006年10月に幻冬舎文庫として発売されたものです。
探偵役は対局者となった棋士の浦上彰夫と天棋戦の主宰新聞社の大東新聞の観戦記者の近江俊介が、突然起こった殺人事件の謎の解明に挑んでいます。
推理小説のレビューは注意を払う必要がありますので、ストーリーの展開を書くことは避けますが、読みやすい文章と暗号仕立ての展開もあって最後まで興味深い内容が続きます。殺人の動機はもう一つ理解しにくいですし、殺人の瞬間の描写もまた上手く描けているとは言えません。
推理小説ですが、展開や構想の観点からはさほど優れた作品とは言えないと思います。テレビのサスペンス・シリーズで取り上げられそうな舞台設定ですし展開ですので、読んでいる内にそちらのイメージが強く支配していました。
このあたりの特徴は、内田氏がテレビの世界に長く関わっていたことと関連がありそうです。
本因坊殺人事件 (角川文庫 (6030))Amazon書評・レビュー:本因坊殺人事件 (角川文庫 (6030))より
4041607027
No.2:
(4pt)

シリーズものではありませんが・・・。

この作品は浅見光彦も信濃のコロンボも出てこない単発の推理小説です。

以後の世界が舞台になっていて、天棋戦で高村本因坊が若手の浦上八段に負けてタイトルを失った翌朝、水死体で発見されるところから事件は始まります。

新聞記者の近江俊介と若手棋士の浦上彰夫が事件の謎に立ち向かいます。

その緊迫感がとても心地よい小説。

『王将たちの謝肉祭』と合わせて読むことをお勧めします。
本因坊殺人事件 (角川文庫 (6030))Amazon書評・レビュー:本因坊殺人事件 (角川文庫 (6030))より
4041607027
No.1:
(5pt)

迫力ある内容に満足

内田康夫氏の初期の作品には、作者の全エネルギーが感じられるから読めと薦められたことがあります。 読み始めて見ると、迫力ある内容そして文面に押される思いで、一気に読み終わっていました。 碁に興味がなくとも、対局の場を実際に見ているような感じがしました。
画面映像での浅見光彦ファンになった私ですが、今では内田康夫氏の全作品のファンとなりつつあります。 そんな私から。 映像大好きっこですが、本作品は読むべしとご推薦します。 特に、内田ワールドに入りかけた人にお勧めです。 内田氏の迫力ある、勢い迫る文章に後押しされて、碁の世界で起こった事件を堪能してみてはいかがかしら!
本因坊殺人事件 (角川文庫 (6030))Amazon書評・レビュー:本因坊殺人事件 (角川文庫 (6030))より
4041607027

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