残虐記

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残虐記の評価:

3.40/5点 レビュー 99件。 D ランク

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平均点3.40pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全84件 61〜80 4/5ページ
No.24
(4pt)

想像力を煽る

著者の他の作品と比較して小作/佳作の部類に入るのでしょうが、よく言えばコンパクトに纏まっていると評価できるでしょう。
読者の想像力を煽る、物語(その登場人物達)に特に救済はない、といった作風はここでも顕著です。
現実社会でも読者や視聴者の想像力(たいていは下世話な)を煽るニュース/報道は多いものですが、児童誘拐(→性的虐待?)という題材を上手に料理しているのは流石です。
残虐記 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 残虐記 (新潮文庫)より
4101306354
No.23
(5pt)

いくつもの真実と虚構が重なり合って物語りを紡ぎ出す

いくつもの真実と虚構が重なり合って物語りを紡ぎ出しています。それは
(1)作品の世界、いわば生方淳朗の手紙の世界の真実と虚構
(2)「残虐記」と題された手記の真実と虚構
(3)「残虐記」の中に出てくる小説内小説「泥のごとく」の真実と虚構
(4)実社会で起こった監禁事件の真実と虚構
この4つの真実と虚構が入り混じり、物語が読者の生理に絡み付いてくるようである。
フィクションとノンフィクション。どこまでが真実でどこまでが嘘なのか。
まるで真実という「縦糸」と虚構という「横糸」で残虐記という名の「布」が織りあがったかのようである。そして、その布をまとった読者は心の奥まで自分の残虐性と向き合うのである。ほんと様々な意味で「怖い」作品である。
残虐記 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 残虐記 (新潮文庫)より
4101306354
No.22
(5pt)

虚構の自覚

表向きは登場人物たちの表現という形になっていて、全能の神たる作者は直接的には見えない。それが妙なリアリティを生み出しているが、もちろんエンターテイメント小説としての割り切り・仕掛けも用意されている。
結末ですべてがすっきりと氷解するわけでもなく、わかりやすいヒューマニティが描かれているわけでもない。
しかし、そのわかりにくさ、輻輳する複眼思考が、作品に奥行きと余韻を生み出している。
単なるエンターテイメント小説には収まりきらない読み応えを感じる作品。
残虐記 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 残虐記 (新潮文庫)より
4101306354
No.21
(5pt)

相変わらずの毒

少女監禁
そういえばそんな事件がありましたよね。
週刊誌がこぞって特集組んで。
正義感ぶりながら、覗き見趣味という記事が満載でした。
あの事件を元に、ここまで毒のあるストーリーを・・・
さすが、桐野さんです、はい。
人間の底知れない、しかも、「リアルな毒」を書かせたら、
当代一と思います。
残虐記 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 残虐記 (新潮文庫)より
4101306354
No.20
(4pt)

想像が現実を凌駕する。

突然、日常生活を破壊してしまう圧倒的な暴力、恐怖、理不尽さを目の前に、人はどう変わっていくのか、何を拠り所とするのか、どのようにして悲劇は生まれ、育まれていったのか・・・。
ある誘拐、監禁事件の真相を”出来事”からではなく、人間関係や心の内から探った、作者の渾身の一作。
残虐記 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 残虐記 (新潮文庫)より
4101306354
No.19
(4pt)

“想像”の本来持つとてつもない力を信じようとする作者の意思

  桐野夏生は、「グロテスク」で東電OL殺人事件、「残虐記」で新潟少女監禁事件と、“あえて”あからさまに現実の猟奇的事件をモチーフとすることが多い。それはなぜだろうか?
  最近、現実に起こる事件には“想像”をはるかに凌ぐものが多い。あるいは、こうした事件は“想像”と“現実”が綯い交ぜになることで起こっているのかもしれないが。現実が想像を凌駕していくということは、想像、もしくは文学の敗北である。現実が想像を超えていくのではなく、想像が陳腐なものに成り下がっているのだ。桐野夏生は、そのことに大変自覚的な作家であり、現実をモチーフとした作品は“現実を超えていく想像”という図式にこだわっている気がする。少なくとも作者は、“想像”の本来持つとてつもない力を信じようとしている。
  「残虐記」は“想像の愉楽”を反復的に読者に供するための、創作上のたくらみを持つ。小説には、語り手は嘘をつかないという暗黙の了解があるが、「残虐記」は語り手がウソをつくのだ。ほかにも小説の中に小説を組み込むというメタ的な手法や夢世界の挿入など、様々な手を尽くして、何重にも“想像の愉楽”を反芻させてくれる。作中の言葉で言えば“性的人間”、つまり想像によって生きる人間で自分もありたい、自分もなりたい、と強く思わせる作品だ。
残虐記 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 残虐記 (新潮文庫)より
4101306354
No.18
(5pt)

人間の一筋縄ではいかない屈折を描いて、見事

 うん、確かに読み始めは「例の事件」が頭をよぎるが、実は中身は全然違うじゃん。
 まずは郊外の集合住宅の生活のリアルさが何とも言えない。ああいう母親っているし、ああいう娘との関係というのも、物すごく思い当たる。
 で、少女が誘拐された後の書き方がすごーく微妙で、状況がわかってきてからも読者をそらさないのはさすがである。この辺はネタバレになってしまうので詳しくは書かないけど。
 助け出された後の周囲の人間の悪意のない嫌らしさも、とてもよく描いている。こういう「タチの悪い善良さ」を体験したことのある人には少々つらいかもしれないが、いつもながら人間を知り尽くしていて、見事というよりほかはない。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.17
(4pt)

虚構の虚構について

とある大人にある日誘拐された『私』。そこで一年あまりの月日を過ごすことになる。のちに『私』は作家となり、結婚もするが、ずっと誰にも黙っていた『そのとき』のことを小説にし、どこかへ消えてしまう。
かなり不思議な作品だ。それは、人物があらゆる側面も持つように作られているからだろう。それは決して一方からの位置づけにとどまらず、さまざまな側面をもってひとりの人物として成立している。物語そのものは、非常に、といっても差し支えないほどシンプルだ。しかし、その背後に潜むものは迂回し、絡み、そして避けながら流れていく。しかもおもしろいのがそれがフィクションだというのだ。事件に遭った『私』が、事件についてフィクションで語るのである。虚構の虚構について考えるとき、その皮をひとつこちら側にまたいだ虚構についても考えてしまう。なかなかに印象的な作品だった。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.16
(4pt)

作品から漂う臭い

様々な臭いがこの作品から感じられた。
監禁前の少女の家の臭い、閉じ込められた空間の臭い、工場のそして監禁された後の臭い。
監禁される前の彼女の家から感じられるのは母親の香水の臭い、工場では人々の重くよどんだ生活臭、解放された後の彼女からはアルコール(消毒薬)の臭い、そして時の流れと共に段々と無臭になっていくのを感じた。
密室の中で無垢(であると人々が考える)な小学生と変質者、その間の関係は人々の好奇心をそそる。今の時代、売春をしている少女だって沢山いる。しかし、こういった犯罪被害者は「汚された天使」であり、人々は白いものが汚れていく場面を想像することによって一種の興奮を覚えるのかもしれない。
この作品で描かれている事件(以前あった事件を想像させるが、これは作者の産物であろう)はあまりに重苦しい。
作品の中で彼女がその後小説家として大成したというのがせめてもの救いではあるが、昨今発覚しているこのような事件の裏側に、「ふせげるけど防がなかった」「助長した」人々が多くいたという事が何より気分を重くさせる。
桐野氏の作品にしては短編でよくまとまっている、その分読みやすいが、読後はかなりきつい・・・
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.15
(4pt)

暗くて恐ろしい世界

面白く読めた。
さすが桐野夏生!という感じの、読んでて気持ち悪くなるほどの書き方だった。
例の事件は連想されるけど、これは十分フィクションになってると思った。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.14
(5pt)

『解放後』の物語

この本を読む前は、
主人公の女の子が男の家に連れて行かれて、
無事開放されるまでの日々を克明に綴ったものだろう、
と当然のように思っていたのだが、それは違っていた。
男の部屋での出来事はせいぜい全体の3分の1程度である。
開放された後の話の方が圧倒的に長い。
開放後の日々の方がこの物語の本題だったのだ。
幼い頃に監禁された子供は、
そのまま殆ど精神的成長が止まってしまうのだろうと
漠然と思っていたのだが、それもこの物語では違っていた。
幼い頃に社会から遮断された空間に放り出された事によって、
彼女は普通の子供では殆ど考えられないような
精神的成熟を遂げる事となる。
このように、この物語は、いくつかの意外性に満ちている。
しかし、最後の章を読んだ後は、何か熱いものがこみ上げてくる。
それは幼い頃に特殊な体験をしてしまった事へのやるせない気持ちと、
そしてずっと誰にも言えずに胸の中にしまっていた思いを
この目で見てしまったからかもしれない。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.13
(4pt)

リアルな描写は圧巻

新潟で起こった少女監禁事件を下敷きにした本書。桐野夏生の本の中では比較的読みやすい本だと思います。量もそこまで多くなく、中身もそこまでえぐくない。(ただし内容自体は衝撃的ですが…)文章全体が失踪した作家の手記という形を取っており、主人公の記憶や妄想が混じり、読んでて、結局のところ真実は何なのか、というあたりがわかんなくなってきたりもします。すっきりとした読後感を味わうような作品ではないので、読書にそういうものを求めている人にはちょっと面白くない作品かもしれませんね。ただ、主人公の心情、葛藤を描いたリアルな描写は一読の価値ありだと思います。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.12
(4pt)

“想像”の本来持つとてつもない力を信じようとする作者の意思

  桐野夏生は、「グロテスク」で東電OL殺人事件、「残虐記」で新潟少女監禁事件と、ここのところ、“あえて”現実の猟奇的事件をモチーフとした作品を手がけている。それはなぜだろうか?  最近、現実に起こる事件には“想像”をはるかに凌ぐものが多い。あるいは、こうした事件は“想像”と“現実”が綯い交ぜになることで起こっているのかもしれないが。現実が想像を凌駕していくということは、想像、もしくは文学の敗北である。現実が想像を超えていくのではなく、想像が陳腐なものに成り下がっているのだ。桐野夏生は、そのことに大変自覚的な作家であり、最近の作品は“現実を超えていく想像”という図式にこだわっている気がする。少なくとも作者は、“想像”の本来持つとてつもない力を信じようとしている。  「残虐記」は“想像の愉楽”を反復的に読者に供するための、創作上のたくらみを持つ。小説には、語り手は嘘をつかないという暗黙の了解があるが、「残虐記」は語り手がウソをつくのだ。ほかにも小説の中に小説を組み込むというメタ的な手法や夢世界の挿入など、様々な手を尽くして、何重にも“想像の愉楽”を反芻させてくれる。作中の言葉で言えば“性的人間”、つまり想像によって生きる人間で自分もありたい、自分もなりたい、と強く思わせる作品だ。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.11
(4pt)

アンドウミノルというトラウマ

 ケンジの,ヤタベとの関係に,心が痛みました.私自身の体験との相似点に,豪快な涙を流してしまいました.これは「少女誘拐」の話ではなく,ケンジとヤタベのラブ・ストーリーであるような気さえしました.そしてケンジとアナとのセックス・シーンの描写は,どんな台詞よりも,どんな悲しい暴力よりも切なく,愛情に満ちたケンジ・ヤタベ間に於ける恍惚を感じさせたのです. 母と景子の関係,父と景子の関係,母と父の関係,景子と夫の関係,ケンジとヤタベの関係,ケンジと景子の関係,景子と久美子の関係.全ての関係が,狂気に満ちて,俗に言えば,「歪んだ性」に見えます.しかし.それこそが,人間が生きる日常であり,私たちが隠蔽することに躍起になっている「性」でしょう.「歪んでいない性」など,存在し得ないのではないでしょうか.景子は,私であり,あなたであります.同時に,ケンジも,どの登場人物も,我々から離れた存在ではあり得ません. これから読まれる方に申し上げたい. 『残虐記』は,愛と性の物語です.
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.10
(5pt)

グロテスク以上の衝撃を私はうけました。

桐野さんの本を読むと 夢にでてきます。グロテスクも心に突き刺さる一冊ですが、この残虐着も何日も夢にそのまま、また飛躍し膨らみ切った状態ででてきそうです。 グロテスクより文章が、私には読み進みやすかったです。しかし内容にはより大きなショックを受けました。身近でもっと恐かった。深い淵にすいこまれそうです…
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.9
(4pt)

想像という化け物に 魂を奪われる人生

  大人は相手の心を読み、起き得る出来事を予想するが、  それはすでに適応ではない。(文中64ページより)成人男性でありながら、幼児を誘拐する原因が上記に集約されている。精神の成熟に達しないまま、適応可能な少女を求める歪んだ性。相手に自分の心を読まれることを嫌悪し、言う通り適応する少女を欲する。歪んだ性に執りつかれてしまう人の悲しさ。セックスの過大評価そんな男に一年もの間監禁生活を余儀なくされた、少女の背負う人生の負い目桐野夏生の文筆力に引き込まれすぐ読めるが、こういう事件には解決策が無いような結末に女としてやるせない    
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.8
(5pt)

薮の中

東電OL殺人事件に続き、桐野夏生が挑んだのはなんと新潟少女監禁事件。世の作家が書きたいと切望しながらもあまりの醜聞性に立ちすくむ題材に桐野は敢然と挑む。「手記の中の小説」という小説、という多重入れ子の構造に、夢と空想と現実が判然とせずに絡み合い、一度提示された仮説が次々と打ち砕かれていく。「意外な真実」であるように思えたことがどれも真実ではないようになる。「柔らかな頬」とおなじく結末はない。どれが真実かも明らかではない。それでも読者は途中で読むのをやめることはできない。そして、世の誰もが思いながらも口にできないこと、「監禁者と被監禁者の間に愛はなかったのか」という疑問に正面から答えたこと。桐野夏生の真骨頂はここにある。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.7
(4pt)

とり戻せない月日

たまたまこの本を読んだあとでデニス・ルヘインの「ミスティック・リバー」を読んだ。事件があった子どもがその後周囲の好奇心のなかで成長していくことの重さ。「残虐記」では語り手のつづる内容がどこまで事実なのか創作なのかというところも、「グロテスク」を思い起こした。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.6
(4pt)

現実の複雑さを丹念に描いた好作。

正直に告白する。というのは意外に難しいもので、大概の場合、人は自分の内面を正直に告白しようとしても、得てして何処か(瑣末な部分で)自分の都合の良いように脚色することがほとんどだ。間違いない。じゃあそれは他人に対する欺きなのかというと実はそうでもなくて、既に自分がいつしかその脚色を真実だと信じてたりするから事は単純な話ではないのである。というか厳密に言えば、語ろうとする内容の中に「判断」という要素が介在する時点で、(いかに誠実な「判断」だとしても)、「真実」にはヒビが入ってるということになる。こないだ見た「仮面ライダー龍騎」の中に、「事実は一つだが、真実は一つではない」というセリフがあったが、端的に言えばそういうことだ。かように我々の対面する現実というものは多元的に構成されておるものなのです。ややこしいなあ。面倒くさいなあ。桐野夏生は、そのややこしくて面倒くさいものに真っ向勝負を挑み、しかもちゃんと勝ち負けになっている(もしかしたら勝ってるかもしれない)希少な作家である。彼女の著作で俺が読んだのは今作と前作「グロテスク」の2作だけなのだが、どちらの作品にしても「事件が起こって謎が深まってそしてまた別の謎が出てきて最後で意外な犯人が分かってその動機が語られる」タイプの作品ではない。カテゴリーとしてはミステリーに属していると思うが、すごいトリックがあるとか事件が二転三転するとか、そういう要素は比較的少ないほうだろう。あえて「ミステリー」という言葉で説明するなら「現実の多元性が持つミステリー性」を描いている、ということになる。そして本の中でそれは解決されない。最終的に読者の「判断」に委ねられるのだ。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.5
(4pt)

引き込まれて読みきった

さっき、私にとって初の桐野作品「残虐記」を読み終えました。最初読み始めてから、ぐいぐいと引き込まれ、あっというまに読み終わってしまいました。面白かったです。とにかく、引き付けるものがあり、他の事をすべて忘れて読み込んでしまいました。それに、普段1度目は飛ばし読みをする私ですが、なぜか几帳面に読んでしまいました。この話の題材自体は、少女が男の家に誘拐・監禁されるという、マスコミ受けするワイドショー的内容です。そのせいもあって好奇心をそそり、引き込まれるように読んでしまうのですが、実はこの好奇心をそそられて読むという行為自体が、桐野氏の「皮肉」なのではないかと感じました。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013