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首
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首の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全16件 1~16 1/1ページ
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他のレビューからあまり期待せずに読みましたが、いい意味で期待を裏切られました。現代ホラーに通ずるような世界観から何から、とんでもない良書だと思います。いわゆるZ世代にも読んでもらいたい一冊です。横溝正史先生の底力を思い知らされました。隠れた名作(私が無知だっただけですが)だと思いますので絶賛おすすめします。 | ||||
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中学〜高校時代に横溝ブームが有って当時カドカワ文庫で金田一シリーズは読破したつもりでしたが、「花園の悪魔」以外の3作品に記憶が無く購入しました。 長編と違い展開が早く後半の謎解きでいつの間にか金田一さんが調べた事実、当事者の語りだけで信用してしまう警部殿などあれれと思う場面も出てきますが楽しく読めました。 | ||||
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表題作『首』と『生ける死仮面』『花園の悪魔』『蝋美人』を収録。解決・種明かし前に全ての情報が提示されているとは限らず、「横溝先生!フェアじゃないですよ!」と言いたくなるが…ヤボですね。 凄惨酷烈な事件が描かれる一方で、金田一と磯川警部のホンワカとしたやりとりで心が和む私は、やはり好きなんですわ。金田一耕助シリーズ。 | ||||
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本短篇集には四作品が収録されていて、掲載雑誌別では『講談倶楽部』が二篇、『オール読物』と『宝石』が一篇ずつだが、『宝石』に掲載された表題作の出来がやはり一番いい。 戦前乱歩は、通俗作品を書き飛ばすようになっても、『新青年』にはあまりテキトーな作品は載せられないと書いていたように、戦後は『宝石』がその位置にあった。 著者もまた、掲載雑誌で創作のギアを変えていたことがわかる。 以下、表題作の感想。 冒頭のシチュエーションは、かなりそのまま、二年後から連載が開始された『悪魔の手毬唄』に移植された感じw ただし事件そのものやトリックは全然別物である。 お籠り堂とか犬の問題とかの雰囲気もいい。 カーの有名な短篇を思わせるトリックで、あれと較べると、唖然となる具合であちらに軍配をあげざるを得ないが、短篇にしては結構しっかりしたトリックだから、一群の金田一耕助もの短篇の中では上位に位置すると思う。 | ||||
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本書は表題作「首」をはじめ、「生ける死仮面」「花園の悪魔」「蝋美人」という4つの猟奇的事件を収録している横溝正史の短篇集。すべての作品に名探偵・金田一耕助が登場する。 収録作を読んでいて気になったのは、金田一がショックを受けた時の表現だ。「脳天から鉄串でもぶちこまれるような、はげしいショック」というのが基本だが、横溝先生はこの痛そうな表現が気に入っていたようで、「脳天から楔」「脳天から真っ赤にやけただれた鉄串」など様々なバリエーションが登場する。このあたりを分析してみるのもファンなら面白いかもしれない。 ●生ける死仮面 「生ける死仮面」は昭和28年10月「講談倶楽部」に掲載された作品。東京都杉並区のT署管内をパトロールしていた山下巡査は、彫刻家・古川小六の朽ち果てたアトリエで少年と思われる腐乱死体を発見する。小六は男色家として有名で、数日前に浮浪児とおぼしき美少年を連れ込んでから、日ごとに異臭が強くなっていたためだ。 彼はデスマスクを作ってまで、死んでしまった少年を愛し続けていたという。少年の死因は薬物中毒であることが判明し、資産家の緒方夫婦が自分たちの倅だと名乗りを上げるなか、金田一が隠された真実を暴いていく。最後のどんでん返しは驚くべきもので、同じように死体愛好(ネクロフィリア)を題材にしている「睡れる花嫁」と比較して読むのも楽しいだろう。 <登場人物> 古川小六 … 彫刻家。有名な男色家で浮浪児を連れ込んでいた。 緒方光子 … 小六から逃げ出した妻。緒方家の分家の一人娘。 緒方辰夫 … ヒロポン中毒の家出少年。デスマスクを取られる。 緒方欣五郎 … 三鷹の大地主。辰夫の父親だと名乗り出る。 緒方やす子 … 欣五郎の妻。痩せて青白い顔をした狐目の女。 緒方重兵衛 … 欣五郎の養父。財産を辰夫に譲ると遺言を残す。 本橋加代 … 緒方重兵衛の愛人。緒方辰夫の生みの母。 山下巡査 … 巡回中、古川小六のアトリエで腐乱死体を発見。 K博士 … アトリエで発見された腐乱死体の解剖を行う。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。 金田一耕助 … 雀の巣の頭にくたびれた着物袴。ご存知名探偵。 ●花園の悪魔 「花園の悪魔」は昭和29年1月「オール読物」に掲載された作品。東京郊外S温泉にある花乃屋旅館に隣接する花壇で、ヌードモデル南条アケミの全裸死体が発見された。遺留品のマフラーから、容疑者はアケミが所属していた東亜美術倶楽部のマスコット的存在である山崎欣之助に絞られる。しかし、全国に指名手配されているにも関わらず、その行方は杳として知れなかった。 南条アケミの衣服が現場から消えていたことは大きなヒントとなるのだが、帽子に血がついていたと新聞で読んだだけで犯人の見当がつく金田一の推理力には驚かされる。また、多忙な時間をさいて散歩に付き合いイライラしている等々力警部と、飄々とした金田一のやりとりは微笑ましかった。 なお、作中でも触れられているとおり、本作はメッカ殺人事件という実際にあった事件をモチーフにしている。東京・新橋のメッカというバーで、天井から血がしたたり落ちてきたため天井裏を調べると、株ブローカーの惨殺死体が横たわっていたというもの。アプレ・ゲール犯罪の典型とされたこの事件、気になった方は調べてみるのも一興と思われる。 <登場人物> 山内三造 … S温泉にある花乃屋旅館に隣接する花壇の園丁。 鈴木良雄 … ヌードモデルを紹介する東亜美術倶楽部の責任者。 南条アケミ … 東亜美術倶楽部のモデル。死体で発見される。 安川ナオミ … 東亜美術倶楽部のモデル。山崎欣之助の恋人。 杉本チカ子 … 東亜美術倶楽部のモデル。毒舌。 賀川晴江 … 東亜美術倶楽部のモデル。太っちょ。 金田康造 … 花乃屋で南条アケミのヌード写真を撮影した男。 斎藤泰治 … 東亜美術倶楽部の得意客。金田康造は偽名。 山崎欣之助 … 南条アケミと関係のあった大学生。行方不明。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。 金田一耕助 … 山崎欣之助の両親から再調査を依頼された探偵。 ●蝋美人 「蝋美人」は昭和31年2月「講談倶楽部」に掲載された作品。軽井沢の山中で身元不詳の白骨死体が発見される。異端の法医学者である畔柳博士が、新進彫刻家・瓜生朝二と共に複顔術を施し、銀座の百貨店で披露したところ世間は驚きに包まれた。その姿はかつて銀幕の妖花と呼ばれ、昨年夫を殺害して逃亡中の女優マリにそっくりだったのだ。 事態が紛糾するなか、畔柳博士の死とオルゴールが金田一耕助を真実に導いていく。最後にふかい、暗いためいきをつく金田一が切ない。 <登場人物> 畔柳貞三郎 … 身元不詳の白骨死体に複顔術を施した法医学博士。 畔柳恵美子 … 貞三郎の娘。父の忠実な助手だったが昨年事故死。 佐藤亀吉 … 軽井沢の山中で女の白骨化した死体を発見した老人。 瓜生朝二 … 富裕な若手彫刻家。畔柳博士の協力者。 立花マリ … 夫殺害の嫌疑をかけられ失踪した元映画女優。 伊沢信造 … 昨年殺された人気作家。立花マリの夫。 伊沢加寿子 … 信造の母。伊沢女子学園の経営者であり校長。 伊沢徹郎 … 加寿子の次男。伊沢女子学園で講義をうけもつ。 伊沢早苗 … 加寿子の娘。母親に似て気位が高い。 雄島隆介 … 早苗の婚約者。政治家として脚光を浴びている。 杉本もと … 畔柳家に十数年来奉公している老婢。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。 金田一耕助 … 雄島隆介の依頼で事件解決に乗り出した探偵。 ●首 「首」は昭和30年5月「宝石」に掲載された作品。ミステリ専門誌で発表された作品だけあって、プロットやトリックがしっかりしており、本書に収録された作品の中でも出色の出来だ。 静養のため、磯川警部と岡山県境の山里にある「熊の湯」という湯治場を訪れた金田一耕助。その地では約300年前、名主・鎌田十右衛門が何者かに殺害されるという事件が起き、晒し首が置かれていた岩は獄門岩と呼ばれるようになっていた。昨年この事件をなぞられたかのような殺人事件が発生しており、磯川警部の真の目的は、金田一の力を借りてその事件を解決することであった。 短篇ながら、江戸時代から村に伝わるおぞましい伝説と、伝説をなぞる形で現代に起きる殺人事件を絡めた構成が見事で読み応えがある。トリックも合理的でよく出来ているが、岡山を舞台に磯川警部の人柄や金田一らしい優しさが描かれている点も大きな魅力だと思う。名作「悪魔の手毬唄」に通じるものがあるので、ぜひ併せてお読みいただきたい。 <登場人物> 里村恭三 … 色好みで有名な映画監督。伝説を擬えて殺される。 香川千代 … 里村監督に見いだされた可憐な新人女優。 内山進治郎 … 男優。彫りのふかい荒けずりな容貌が売り物。 服部千吉 … カメラマン。 土井新 … 助監督の青年。 幾代 … 県境の山里にある「熊の湯」という湯治場のおかみ。 達夫 … 熊の湯の先代。道子の婿養子。去年の事件で死亡。 道子 … 幾代の姪で達夫の妻。去年の事件で死亡。 啓一 … 道子と達夫の一人息子。 お菊 … 熊の湯の女中。 片山 … 達夫の猟仲間。医者。 伊豆 … 達夫の猟仲間。村役場の書記。 田口玄蔵 … 頻繁に山へ松茸を盗みに入る男。 磯川警部 … 岡山県警の古狸。金田一とは旧知の仲。 金田一耕助 … 静養のために磯川警部と熊の湯を訪れた探偵。 | ||||
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流石は金田一さん!グロい部分もありながら、充分楽しめました。 | ||||
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題作を始め、猟奇的な殺人事件に挑む金田一の活躍を描いた短編集。表題作の出来が一番良さそうだけど、どれも好作で味があり、粒ぞろいと言って良いと思う。猟奇的だったり、おぞましい男色を扱ったりしてるけれど、どれもきちんとした、謎解きミステリであった。 長編ではもたつく印象のある金田一が、短編だけに、名探偵らしくスパッと事件を解明しているのが印象的。手頃な長さで、読者として推理して楽しめた。必ずしも長編通りのイメージではないが、ミステリとして良く書けていると感心、金田一も、名探偵として見直した。 | ||||
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横溝正史シリーズ第11弾,『首』を手にした.本書には「生ける死仮面」「花園の悪魔」「蝋美人」「首」の短編4作が収められている. いずれの作品でも,最初に犯人と思われる人物が浮かび上がったり,殺人の動機らしきものが浮かび上がってくるが,最後はひっくり返る.実に心地よく裏切られる.大昔の事件と重ね合わせるように殺人が展開されてゆく,“定番の技法”もいくつかの作品で用いられている. 個人的には,エンディングは「花園の悪魔」が,殺人の動機としては「蝋美人」が,それぞれ楽しめた.シリーズ第12弾は『悪魔の手毬唄』.次の長編が楽しみになる短編集だった. | ||||
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『生ける死仮面』『花園の悪魔』『蠟美人』『首』の四作からなる短編集。いずれも、生首、首なし死体、腐乱死体、屍姦された全裸の他殺体と、毒々しい猟奇の花が満開の作品ばかりだが、遺棄されたバラバラ死体だの、損壊された複数の死体と同居していた殺人者だの、現実のニュースにも似かよった猟奇事件を、時おり見かけるなぁと思ったりもする。ただ、嘔吐をもよおす異常性だけがよどんでいる現実の事件に対し、計算されたトリッキーな奸計が、事件の背景に理知的に組みあげられているのが、これらの作品との大きな違いであろう。そうした点から、精緻に構成された謎解きの鮮やかさにくわえ、江戸時代にまでさかのぼる奥行きのある舞台設定など、もっとも充実した完成度をもつのは表題作の『首』で、金田一ものの短編のなかでも、傑作の一つに数えてよいのではないかと思う。また他の三編も、読みどころとなる美点をそれぞれもち、読み始めたらやめられない楽しめる作品集となっていた。 それにしても、橫溝ミステリを読みながら、「現実の事件にも似たようなものがあったなぁ…」という感想をもつことに、奇妙な感慨を抱かずにはいられない。かつて橫溝作品は、松本清張の登場と高度経済成長の時代の変動とともに台頭した、リアリズム重視の社会派推理小説の旺盛のなかで、リアリティのない「お化け屋敷の絵空事」として、古びた過去の遺物のように出版界の表舞台から退けられた。しかし、リアルな社会性に立脚することをよしとした、この頃の社会派推理小説の多くが、今読むと時代のギャップを感じさせる古臭ささにまみれている一方で、古びた「絵空事」だったはずの橫溝ミステリに、より現実の事件の投影をみるとは何としたことだろう―。なるほど、東西冷戦時代が終結し、固定の黒電話がスマートフォンに進化して、現実的な社会性なるものは日々刻々変化し、立ちあげられた社会派推理小説の足もとから、またたく間に消失していったのに対し、「お化け屋敷」は現在も数十年前もそれほど姿を変えてはいない。その闇のなかに仕立てられた恐怖や残酷は、当時の社会派推理小説がまとったリアルな社会性とやらよりも、より普遍的な人間性の秘奥に通じているのかも知れない…。そんなことも、つらつら考えさせられた一冊だった。 | ||||
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死亡した少年のデスマスク、チューリップ花壇の全裸死体、白骨死体に肉付けして復元された女性の人形、獄門岩の上に乗っかていた首。遺体のディスプレイにこだわった中短編4作品。いずれも、凝った設定で、真相も意外性があり、なかなかの出来。 「生ける死仮面」 怪しげな画家が、死亡少年のデスマスクを作成し、その腐乱死体と戯れる猟奇的な冒頭場面が印象的。その少年の家族を中心とした複雑な人間関係、腐乱死体の身許に関する疑い、別のバラバラ死体の発見等々、短い作品の中に色々と盛り込み過ぎて、消化不良でわかりにくくなっていると感じた。バラバラ死体の胴体がなかなか出てこなかった理由が面白い。 「花園の悪魔」 温泉のチューリップ花壇で見つかった全裸の絞殺死体。女の衣装や靴が持ち去られていたが、なぜ犯人はそうしなければならなかったのか。その理由を説明する意表を突く真相。被害者が絞殺後に犯されていたことが大きな欺瞞になっている。 「蝋美人」 身元不明の白骨死体を肉付けする法医学者の復元実験。復元された女性にまつわる過去の殺人及び失踪事件、事件発生時のオルゴールに関する謎、新たな殺人事件の発生、とスピーディーに物語は進行していき、大きな欺瞞を持つ真相は意外性十分。ただし、読者が推理するうえでの手掛かりが不足しているし、身元不明の白骨死体の発見など、ご都合主義と感じる箇所もあった。 「首」 「獄門岩」の上に乗っかていた首、胴体が浮かんでいた「首なしの渕」。三百年前に起きた事件と同じことが昨年繰り返され、今年再び繰り返される。わざわざ首を切り落としたのはなぜか。去年と全く異なる関係者の間で同じことが繰り返されたのはなぜか。金田一耕助は、犬がお籠り堂につながれていたこと、里村の遺体が後で靴を履かされていたこと、馬頭観音がなくなっていたことなどに注目する。金田一耕助の目の付け所、それに基づいて組み立てられた推理は鋭い。 | ||||
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久しぶりに横溝正史を読もう、と思って手に取った一冊。収められている4編のうち、「生ける死仮面」「花園の悪魔」は短編、「蝋美人」「首」は中編である。もともとは『花園の悪魔』というタイトルだったが、新装版に際して『首』に改題されたらしい。タイトルとしては前者の方がふさわしい気もするが、あえて改題されたのは、4編中で「首」が圧倒的に出来のいい作品だからだろう。それはお読みになればすぐに分かると思う。 「首」の舞台は岡山県。山間部を舞台に描かれる忌まわしい連続殺人、これはもう堂々たる横溝正史ワールドである。300年前の黒歴史やら滝壺の首なし死体やら、横溝文学を語る際によく使われる〈おどろおどろしい〉という表現も、本作にはぴったり。やがて事件は金田一耕助によって論理的な解明をみることになり、怪奇と論理の融合がきちんとなされているのも見事。おまけに最後には少々ウェットな情感が漂い、どことなく名作『悪魔の手毬唄』をも彷彿とさせる。 と、まずは〈いいとこ探し〉をたくさんしてみたけれど、惜しむらくはいささか消化不良の気味がなきにしもあらず、なこと。呪いがあくまで遠景にとどまり、いつの間にかぼやけてしまったり、せっかくいい伏線をたくさん張り巡らせたのに、その回収が妙に慌ただしかったりする。それにラスト、金田一耕助が犯人と対峙したときになぜあんな態度をとったのか、その心をもう一歩踏み込んで描いてほしかったし、謎解き自体ももう少し丁寧にやるべきだった。つまり本作は長編にするべきだった、と思うのだ。 ほかの3編が「首」に比べてはるかに劣っているのも、残念といえば残念なところ。いずれも通俗的で、なんだか江戸川乱歩のエピゴーネンみたい、と鼻白んでしまう。腐乱死体との同衾や死姦といったエログロ描写は、残酷美学には程遠い〈こけおどし〉ではないか。残念ながらそこには、美しい論理の花も咲いていない。というわけで、本書の白眉は「首」にとどめを刺す。でもこのタイトル、横溝先生にしてはちょっと地味ですね。「獄門岩の惨劇」ぐらいの大げさ感があってもよかったのではないかしらん。 | ||||
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短編集「貸しボート十三号」に匹敵するパズラー揃いの短編集です。 表題作の「首」はパズラーの見本といってよい完成度です。 金田一と磯川警部の名コンビが凄惨極まりない事件に、人情味のある結末をもたらします。 有能なチームを率いる等々力警部では、ちょっとできない結末です。 「生ける死仮面」「蝋美人」共に「顔のない死体」テーマの亜種ですが、それぞれ登場人物のキャラクターも相まって一ひねりが効いている短編群です。「花園の悪魔」は似たようなタイトルの作品が他にあり、内容が似たような作品が他にもあるのですが、そこは職人芸で楽しませてくれます。他の作品と比較してみると面白いかもしれません。「幽霊男」や「霧の中の女」(金田一耕助の冒険1)を読んでみると楽しいですよ。 | ||||
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4つの短編からなっていますが、表題作の「首」がいいです。 じっくり考えればトリックが読めるかも。 それにしても長編よりも短編の方が金田一は冴えてる? 毎度、金田一の周囲には死体だらけなのですが、短編はけっこう鮮やかに解決します。 長編は金田一さん、あんたがいたから死体が増えたんじゃ無いの!とつっこみたくなるくらい解決までに時間がかかるイメージがありますが。 | ||||
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ボリュームが少ない割にはネタは充実していると思います。 生ける死仮面 上田秋成の作品「雨月物語」をたとえて物語は始まります。性転換、同性愛、と横溝先生独特のネタもあり、警部と金田一さんが途中で振り回されるのも面白い。特にある証言での金田一さんの反応は珍しいです。 花園の悪魔 トリックは薄いですが、金田一さんの”僕もさびしいんですよ・・・”と言いながらの警部さんとのやり取りが面白い。 蝋美人 拠り所を失い自己コントロールを失った博士の暴走。事件のトリックよりも心理描写の方が印象深かった。 首 収録作品の中で、トリックはこれが一番面白かった。 読み返しできる作品です。最後の金田一さんの優しさがいいです。 | ||||
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『花園の悪魔』の改題。 「生ける死仮面」「首」「花園の悪魔」「蝋美人」の4編が収められている。 いずれも金田一耕助の活躍する物語で、なかでも「首」は上々の出来。鮮やかなトリックが使われており、読後感も良い。『夜歩く』と比較しながら読むといいだろう。 「生ける死仮面」も二転三転するプロットが面白かった。 | ||||
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同収作は、「生ける死仮面」、「花園の悪魔」、「蝋美人」。上記3作は等々力警部、表題作「首」は磯川警部…と、お馴染みの名脇役が登場する短編集。ただ、同収3作は、猟奇色有りなので、要注意。短編だけに、人物描写や心理描写に物足りない感もありますが、表題作では磯川警部のジレンマにふれた場面もあって、やはり押さえどころは心得ていらっしゃいます(笑)。「獄門島」(磯川警部)、「仮面舞踏会」(等々力警部)といった両警部登場の代表作をお読みの上、両警部の人となりをある程度捕らえた上で、両警部と金田一の似て非なる交流ぶりを比較するのも一興。 | ||||
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