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人面瘡
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人面瘡の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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横溝先生の長編も素晴らしいですが、金田一耕助の人となりがわかる短編も見事でした。 | ||||
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「湖泥」の感想のみ。 獄門島に本鬼頭と分鬼頭、八つ墓村に東屋と西屋、鬼首村に由良家と仁礼家があるように、本作の村は、北神家と西神家でいがみあっているw 微妙だが、ワンパターンというよりは様式美の印象。なんだか落ち着くw あえて村の名前は伏せられているのもおもしろい。 身も蓋もないことを云えば、冒頭のロケーション説明以降、湖は然程ストーリーに絡まず重要な要素でもなかったが、「湖泥」が一見平和な山村に澱んだ人間関係を指しており、犯人が最後に漏らす動機に繋がることもあって、かなり印象的な作品。 たしか本作あたりで、あれっ金田一ものに由紀子って人物多くね? と気づいたような気がするw | ||||
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本書は表題作「人面瘡」ほか、「睡れる花嫁」「湖泥」「蜃気楼島の情熱」「蝙蝠と蛞蝓」の計5篇を収めた横溝正史の短篇集。すべての作品に名探偵・金田一耕助が登場する。金田一耕助ファイルとして再編された際の、旧角川文庫版との対応は以下のとおりである。 「睡れる花嫁」…華やかな野獣(角川文庫 緑 304-37)収録 「湖泥」…貸しボート十三号(角川文庫 緑 304-30)収録 「蜃気楼島の情熱」…びっくり箱殺人事件(角川文庫 緑 304-17)収録 「蝙蝠と蛞蝓」…死神の矢(角川文庫 緑 304-33)収録 「人面瘡」…不死蝶(角川文庫 3469)収録 物語の出だしが「生ける死仮面」とそっくり同じ「睡れる花嫁」や、義眼によって意外な犯人が浮かび上がる「湖泥」は、それぞれすでに「華やかな野獣」と「貸しボート十三号」で感想を書いたので、ここでは他の作品について述べることにする。 ●蜃気楼島の情熱 まずはタイトルが美しい「蜃気楼島の情熱」から。昭和29年9月「オール讀物」に発表された短篇で、「三つ首塔」と同じくアメリカで成功し大富豪となった者が引き起こす悲劇を描いている。 アメリカで億万長者となった志賀泰三は、瀬戸内の沖合に浮かぶ蜃気楼のような小島を購入。竜宮城のような屋敷を建て、新妻の静子と幸せに暮らしていた。しかし、彼にはアメリカで最初の妻・イヴォンヌを友人の樋上四郎に殺された過去があった。久しぶりにパトロンである久保銀造のところで旧交を温めていた金田一耕助は、志賀と親交のあった久保の紹介でその小島を訪れることになる。 幸福の絶頂にいた志賀だったが、静子が以前勤めていた村松医院の息子・滋の通夜から戻ると様子が一変していた。滋の父である村松恒から、静子の結婚後も滋との男女関係が続いていたと告白されたのである。その夜金田一を待っていたのは、絞殺された妻をかき抱く志賀の姿と枕元に転がる義眼だった……。 孤島ゆえに犯人はおのずと絞り込まれる本作。アメリカでも溺愛する妻を殺され、その嫌疑をかけられたこともあった志賀は当然のように疑われる。現場に落ちていた義眼がさらに彼の立場を悪くするが、金田一の推理が意外な犯人を導き出す。ラストシーンで旅立つ二人の姿は切ない。関係者のその後を知りたい方は「悪霊島」を読むことをおすすめする。 <登場人物> 久保銀造 … 岡山の果樹園経営者。金田一のパトロン。 志賀泰三 … アメリカ帰りの資産家。銀造の友人。 イヴォンヌ … 泰三の最初の妻。20年前、樋上四郎に殺された。 志賀静子 … 泰三の二番目の妻。村松医院の元看護婦。妊娠中。 樋上四郎 … 泰三の友人。出所後、志賀家の居候となる。 お秋 … 志賀家の老女中。 佐川春雄 … 志賀家が所有するランチの運転手。 村松恒 … 村松医院の医師。嘱託医。志賀泰三の唯一の親戚。 村松安子 … 恒の妻。 村松徹 … 恒の長男。陽に焼け、たくましい体をしている。 村松滋 … 恒の次男。右目が義眼。志賀静子は元恋人。故人。 村松田鶴子 … 恒の長女。志賀家をよく訪問していた。 磯川警部 … 岡山県警の古狸。金田一とは旧知の仲。 金田一耕助 … 年に1度の静養に久保銀造の果樹園を訪れた探偵。 ●蝙蝠と蛞蝓 「蝙蝠と蛞蝓」は昭和22年9月「ロック」という探偵雑誌に発表されたもので、この短篇集のなかで一番好きなお話。 とあるアパートに住む湯浅順平は蝙蝠が大嫌いだった。だから蝙蝠そっくりな隣人・金田一耕助のことは当然快く思っておらず、密かに蝙蝠男と呼んでいた。気に食わぬと言えば裏手に住む陰気な蛞蝓女・お繁だってそうだ。お加代も美少年の紅吉と親密さを増しているようで気に食わぬ。そんな日々の鬱憤を晴らすべく、湯浅はお繁を殺して金を奪い、その罪を金田一になすりつけるという小説を書き始めるのだが、本当にお繁が殺されてしまい事態は急変する……。 本作はまず、金田一耕介が正体不明の隣人として客観的に描かれている点に特徴がある。「いつも髪をもじゃもじゃにして、冴えぬ顔色」「垢まみれの皺苦茶のうえに、袴を一着」「小柄で貧相な風采」「戦災者かと思っていた」「昼のうちは寝そべって、本ばかり読んでいる」「死人の写真ばかり見てる人」などと散々な書かれようだが、一般人が見た金田一の私生活がどうだったのか知るうえで貴重な作品だろう。 湯浅順平が金田一耕介を毛嫌いしており、腹いせに犯人に仕立てた殺人事件の小説を書くのだが、そのシナリオがいつの間にか実行されてしまっているという展開も面白い。最後に出てくる金田一の人を食ったような台詞にはニヤリとさせられた。 <登場人物> 湯浅順平 … アパートの住人。鬱憤ばらしに隣人の小説を書く。 山名紅吉 … アパートの住人。順平と同じ大学の後輩。美少年。 剣突剣十郎 … アパートの経営者。病がちで床に臥せっている。 お加代 … アパートの看板娘。剣十郎の姪。順平が惚れている。 お繁 … アパート裏の家に住む女。順平は蛞蝓女史と呼ぶ。 金田一耕助 … 順平の隣に引っ越してきた蝙蝠そっくりな探偵。 ●人面瘡 「人面瘡」は昭和24年12月「講談倶楽部」で発表されたものを、後に金田一シリーズとして改稿し単行本化された作品。 東京の方でむつかしい事件を解決した金田一耕助は、その骨休めにと思って岡山を訪れたところ、事件捜査が暗礁に乗り上げ苦慮呻吟していた磯川警部に助けを求められる。否応なしに事件に引っ張り込まれた金田一だったが、さいわい三週間で事件を解決できたので、そのお礼に磯川警部が案内したのが温泉宿「薬師の湯」だった。 岡山県と鳥取県の境にある草深い田舎だが、県下ではちょっとしられた湯治場になっており、磯川警部も一週間ほど休暇を取って一緒に逗留していた。深夜、寝床を出て厠へ向かう金田一は、渓流沿いに稚児が淵に向かって歩く夢遊病の若い女を目撃する。その一時間後、宿のひとり息子である貞二に起こされた金田一たちは、昏睡状態となった先ほどの女と対面した。 彼女は松代という宿の女中で、薬物による自殺を図ったのである。一命をとりとめた松代は「今夜また由紀ちゃんを殺しました。由紀ちゃんを殺したのはこれで二度目です」という奇怪な遺書を残していた。松代の妹である由紀子の呪いによって、彼女の腋の下にはおぞましい人面瘡が現われたというのだが、「あたしは妹を二度殺しました」とはどういう意味なのだろうか。 翌朝、稚児が淵に浮かぶ由紀子の全裸死体が発見されると、謎に包まれた姉妹の過去がしだいに明らかになっていく。犯人は予想できるものであったが、同情してしまう方も多いのではないだろうか。また、本作の怪奇性を際立たせる要因となっている人面瘡も、ただの雰囲気づくりではなく、きちんと意味を持たせてあったことには驚かされた。 <登場人物> 貞二 … 温泉宿「薬師の湯」の若旦那。松代と婚約している。 お柳 … 「薬師の湯」の御隠居。貞二の母。松代を気に入る。 福田松代 … 宿の女中。夢遊病の女。腋の下に人面瘡がある。 福田由紀子 … 宿の女中。松代の妹。稚児が淵で死体を発見。 田代啓吉 … 由紀子の古い知人。顔半面に大火傷。 磯川警部 … 岡山県警の古狸。金田一とは旧知の仲。 金田一耕助 … 磯川警部と湯治場へ静養に来ていた私立探偵。 | ||||
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バカバカしいですがこの懐かしいカバーイラストが民放の男性アナウンサーにそっくりでヤベー奴じゃんとドキドキしちゃうアホ読者です。 小説はねる前にちょこっと読むと楽しかったです。長編も良いけど、短編も良いです。 古いですが時代に思いを馳せると楽しめました。 | ||||
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少し同じような系統の話が多かったですが、特に人面瘡はスッキリ面白かったです。 | ||||
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金田一耕助ファイルシリーズは旧角川文庫版から任意に中短編を引き出して再編集しているものがあります。 金田一耕助の主だった作品を選ぼうという意図はわかります。 初心者向けに、これは抑えるべきというセレクションなのでしょう。 キンドル化の際は収録作品名一覧はどこかにつけてくれないと困ります。 不親切極まりない。このファイル6の収録作はすべて旧版の角川文庫で読めます。 また旧版もすべてキンドル化されています。 だから、迂闊にこのファイル6に手を出すと、全部既読作品だったということになりかねません。 紙の本なら目次で確認できますが、キンドル版ではそうはいきません。 最低でも目次なり収録一覧表をつけてください。 本作収録の作品はバランスが取れた良作ぞろいです。が、既に短編集を何冊か読んでいる方は注意が必要です。紙の本ならいざ知らず、キンドル版での重複は洒落になりません。旧版の短編集「貸しボート十三号」と並ぶ良書なんですけど‥‥。 | ||||
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横溝正史シリーズを読破しようと本作品を手にした.ここにはタイトルとなった『人面瘡』の他,『睡れる花嫁』『湖泥』『蜃気楼島の情熱』『蝙蝠と蛞蝓』という計5作品が掲載されている. 正直,どの作品も「これは傑作!」というものでは無かった.それでも次から次へと読みたくなった.個人的には『人面瘡』よりも,『湖泥』と『蜃気楼島の情熱』の方が楽しめた.横溝正史らしい,人間模様が描かれている気がした. また次のシリーズに手を伸ばします. | ||||
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金田一耕助の活躍する五作の中短編が収録されているが、それぞれタイプの違う良作で、とても楽しめる好作品集となっていた。 『睡れる花嫁』…腐爛した妻の死体と同衾し続けた、異様な男の事件を発端に巻き起こる連続殺人。異常心理による猟奇事件のようにみえながら、その背後に狡猾に計算された企みがひそむ。都市を舞台にした金田一ものに多いタイプの作品だが、理性を喪失した異常犯罪が、理知的な計画犯罪へと様相を一変させる、その振り幅の鮮やかさが、この種の作品の醍醐味だろう。 『湖泥』…村社会で対立する二つの大家の関係を軸に、不吉な湖畔、水車小屋、屍姦、義眼と、橫溝ワールド全開のガジェットがそろった岡山ものの中編。からみあう愛憎の糸を解きほぐしてゆく謎解きの面白さもさることながら、自己をとりかこむ社会への、虐げられた者の、呪いと怒り凄まじい犯人像のインパクトが強く、ある種の社会派ミステリを読んだような印象をもった。以前、誰のエッセイだか評論だか忘れたが、「松本清張が都市型の社会派推理小説なら、横溝正史は農村型の社会派推理小説だ」と述べられてたのを読み、卓見だと感心したことを思い出す。短いが『本陣殺人事件』『獄門島』『悪魔の手毬唄』などと並ぶ、岡山ものの傑作だと思う。 『蜃気楼島の情熱』…竜宮城のようなと形容される奇矯な豪邸を舞台にした、綾辻行人などの新本格の先駆のような、トリッキーな本格もの。しかしその背後にある、愛欲や妬心羨望うずまく人間ドラマは、やはり橫溝作品独特の味わいをかもしている。 『蝙蝠と蛞蝓』…ある種の視点からながめると、金田一耕助って、こんなにウサン臭い野郎なんだというショートストーリー。金田一ファンなら読んでおきたいユーモラスな掌編。 『人面瘡』…月光をあびた山峡の湯治場の描写が神秘的で美しい。そんな背景のなかで展開する、『夜歩く』を思いだすような夢遊病の発作、そして殺人。しかし殺人事件よりも、秘密にされたヒロインの過去により興味がひかれる。後半の謎解きも、推理され再構築される事件の経緯よりも、近親者ゆえの複雑に屈折した愛憎ドラマが物語の軸をつらぬき、ミステリより悲劇的なヒロインの半生記を読んだような読後感にひたされた。 | ||||
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比較的初期の金田一耕助の活躍を描いた短編集。やはり長編の圧倒的なパワーには及ばないものの、まだ探偵業駆け出し時代の金田一の飄々とした好人物ぶりが楽しめる。「蝙蝠と蛞蝓」の趣向も面白く、初めお忌み嫌われていた彼が受け入れられていく様子がわかるが、名探偵としての名声を確立するまでの私立探偵は、こんなものかも知れない。表題作の「人面瘡」の解釈は眉唾な疑似科学っぽいもので首を傾げるがそれもご愛敬。 全て短編と言えど扱われている事件の陰惨さはいつもの横溝正史。それを金田一耕助の人を食ったような言動の醸し出すユーモアが救っている。その長編にも通じる構図がよりハッキリと現れており、日本のキャラミスの先駆者として高く評価したい。 | ||||
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金田一耕助ファイルとして22冊に再編リストラされたときに、首 (角川文庫)は旧角川文庫版「花園の悪魔」を改題しただけなのに対して、本作は 旧版華やかな野獣 (角川文庫 緑 304-37)に収録されていた「睡れる花嫁」 旧版貸しボート十三号 (角川文庫 緑 304-30)に収録されていた「湖泥」 旧版びっくり箱殺人事件 (角川文庫 緑 304-17)に収録されていた「蜃気楼島の情熱」 旧版死神の矢 (角川文庫 緑 304-33)に収録されていた「蝙蝠と蛞蝓」 旧版不死蝶 (角川文庫 (3469))に収録されていた「人面瘡」 をまとめた物です。 貸しボート十三号はトランプ台上の首 (角川ホラー文庫)に収録されてましたが、旧版の表題作が新刊で入手できない状況は何とかしてもらいたい | ||||
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本作は短編集という様式となっていますが、どれもミステリ作品として捉えるのには不十分な作品だと思います。 緻密なトリックが存在するわけでもないし、意外性のある動機でもない…というのが、収録4作品の感想です。 しかし、おどろおどろしい事件の描写については目を見張るものがあり、単なる凡作ではないと感じさせられます。 ミステリ作品というよりは、金田一耕助が登場する物語としての色合いが強い作品だといえます。 | ||||
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「睡れる花嫁」「湖泥」「蜃気楼島の情熱」「蝙蝠と蛞蝓」「人面瘡」の5編を収める短編集。 いずれも金田一耕助が活躍する。 岡山を舞台とするものが3つ。お馴染みの磯川警部も登場する。また、義眼を小道具にするものが3つ。そういうテーマに凝っていたころの作品なのだろう。それぞれ、扱い方やトリックが異なり、面白い。 表題になっている人面瘡は、とにかく不気味。 いずれも小品ではあるが、わりとしっかりした内容で楽しめた。 | ||||
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こちらに入っている『蝙蝠と蛞蝓』というお話が好きです。 金田一くんへの愛がたかまるお話です。 水をえた魚状態の瀬戸内海の孤島で...とか、家系図の枝分かれが激しすぎる旧家の...などの設定では全くないのですが、ぷいっと何度も何度も読んでしまい、金田一くんらしさに心ときめきます。 最後の台詞に「にやっ」としてください。 全体的にもサラッと横溝ワールドにふれる事ができるので、長編の合間のハラ休め感覚にいかかでしょうか? | ||||
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割と面白い。いつもと違って短いのが4つはいってるものなのだが、ミステリとしての面白みはないものの、文章や、物語的に面白いと思われた。何より、蝙蝠と蛞蝓は今までと全く違っており、事件よりその構成の奇抜さが魅力的。最後の金田一の人を食ったような台詞が物語のシメを引き立てているような気がしてならない。 | ||||
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