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背広の下の衝動
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背広の下の衝動の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.54pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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新堂冬樹さんの本です。 相変わらず「こういうの好きだろ?」的な、職人気質を感じる短編集でした。 「邪」「団欒」「嫉」「部屋」という四編の短編がおさめられています。 「邪」と書いて「よこしま」、「嫉」と書いて「ねたみ」とルビがふってあります。 なんつーか「本気」と書いて「マジ」的な、ヤンキー臭のする、新堂さんらしい題名の付け方ですねぇ。 「邪」は、さえないリーマンが発作的に自殺するまでの軌跡を描いています。 「団欒」は、マスオさんの日常が描かれています。 「嫉」は、美しい妻が、子供の家庭教師で来ているイケメンで筋肉質の大学生と浮気しているのでは?と妄想かました夫の話。 「部屋」は、メンヘラな猟奇的な女が主人公の話。どちらかというと、詩的なイメージを羅列している感じの短編です。 どれもが、下品な表現が使われていて「新堂さん、相変わらずやなぁ」と安定のクオリティです。 卑屈で劣等感を持った男を描かせたら、新堂さんは一級品ですよねぇ。 おもしろかったのは、「団欒」ですね。 国民的アニメのサザエさんの、マスオさんが主人公なんですけど、 マスオさんの心の闇が描かれています。 マスオさんはワカメちゃんが実は苦手だとか、 イクラちゃんに対して「どうして、喋れないのに言葉だけは聞き取れるんだ!?」(79㌻)とツッコんでみたり、 フネに対しても「以前から思っていたことだけれど、ある意味、この女性が一番僕に冷たいのかもしれない」(93㌻)とか書かれていたり、 かなりマスオさんのことを掘り下げている感じがしました。 とりあえず、この「サザエさんシリーズ」で、もう一冊くらい、本を書いて欲しいです。 | ||||
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新堂作品を読むのは二冊目です。 最悪のホームドラマと帯タイトルに書いてあり興味を持ち購入。 四作の中で一番のめり込めたのは「嫉」。 途中で結末がわかったが主人公の行動や考え方の表現が上手く現れており楽しめた。 こんなサラリーマン沢山いるんだろうなと。 「部屋」は他の方全てがレビューしているとおり後味の悪い気分が塞ぐ話だった。 「背広の下の衝撃」というタイトルに全然関係のない内容。それどころか最悪。 新堂氏が発刊してる他の本にも動物の話とかあるみたいで動物好きの私は手に取りたいと思っていたがこれを読んで辞めた。 | ||||
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「無間地獄」、「カリスマ」、「ろくでなし」などのドロドロ系小説の大家(?)新堂冬樹がサラリーマンを主題に綴った短編集です。 最後の「部屋」だけはサラリーマンとは関係がないのですが、その他はいずれも強いコンプレックスを持ち、上司からはいびられ、理解のない妻、わがままな子供、冷たい世間というサラリーマンの典型的悲哀を極端にウジウジとチクチクともうそれはいやらしいほどに描き出します。 最初の「邪」はそんな辛い辛いサラリーマンが女子高生にあこがれるものの救いようのない結末に向かう姿を描きます。 二作目の「団欒」は某国民的アニメに登場する養子のキャラの内面を描き出します。毎日くりかえされる予定調和のような笑いや団欒に強引に巻き込まれるものの、笑顔で彼らに合わせなければならない養子の辛さがどれだけ苦しいか。子猫を虐待するシーンはいただけませんが、それ以外は映像がついつい浮かんでしまうので笑ってしまいます。これはギャグとしてもなかなかよい作品ですね。 三作目の「嫉」は新堂短編としてはなかなか傑作ではないでしょうか。ここでは家族思いで夫を愛する美人で肉感的な妻と、なんでもうちあけてくれる娘を持つとても恵まれたサラリーマンのように見えますが、実は、EDというものすごいコンプレックスを持ち、家族には包容力のあるいい感じの父親を演じているものの、娘の家庭教師にさわやかなスポーツマンが登場すると、夜叉のような嫉妬の鬼に変容します。妻と家庭教師が二人だけになった瞬間、30秒、5分20秒と秒単位で時間を見ている姿が恐ろしいです。そして理性を失った男のとる行動とその描写はまさしく新堂冬樹でなければ描けないでしょう。 四作目はかなりの問題作です。動物虐待をひたすら描いており、とても読むに耐えないです。新堂冬樹は、残酷さと愛をつきつめるとは美しさに昇華すると信じているような描写をよくします。偏執的なほどのタッチで愛を描く作品もあります。一方この短編は残酷さに焦点をあてたもので、発禁にならないのが不思議なくらいです。 | ||||
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実におもしろい。 サラリーマンだからだろう。 だからこそ実は全く笑えない日常がよくよく描かれている。 これを、「なるほど」と解釈するものではないかもしれない。 むしろ容赦なく流れる街のBGMのように、いたしかたなく受け止め、 それを痛いほど後悔し、「自分に当てはめてみる」快感を楽しむ作品である。 30〜50代の会社員にジャンル関係なく、 新堂冬樹の作品性に関係なくオススメなり。 | ||||
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新堂氏の作品といえば、金貸しのエグイストーリーというイメージが強かったが、本短編集(4作品)を読んで良い意味で裏切られた。 特に2番目と3番目の2作品は最高に面白くサラリーマンには是非読んで欲しい。 短編でも長編でも惹きつける作品を書ける新堂をこれからも応援したい。 | ||||
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著者の作品は、これが初めてでしたが、読後感の悪さで、何とも嫌な気分になってしまいました。短編4編ですが、その全ての結論が「救いが無い」の一言に尽きます。 幸いにも、図書館で借りたので、金銭的な痛手は負っていませんが、精神的に痛めつけられた心の傷は癒せません。 この著者の作品は、もしかしたら二度と手に取る事は無い様な気が致します。 | ||||
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部下、婿養子、夫婦、動物、それぞれの抑圧された衝動を赤裸々に描いている。前ニ編は、時にユーモラスに、憤怒を描く。後二編は、まことにおどろおどろしい。 | ||||
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4篇の作品を収録した短篇集。一番最後に収録されている『部屋』は、趣を異にしているものの、その他3作はタイトルのように平凡なサラリーマンを主人公とした物語。とのかく、この3作を読んでいて感じたのは、鬱屈した主人公の感情表現が見事だなぁ…ということ。会社では上司にいびられ、家では家族に疎まれる主人公を描いた『邪』、家族団欒のために自分を常に押し殺す入り婿が主人公『団欒』、セックスレスの妻が、娘の家庭教師と通じているのではないかと疑心暗鬼に陥っていく『嫉』と、とにかく人間の嫌な感情、負の感情の表現には恐れ入りました、という感じしかない。ま、『団欒』に関して言うと『サ○エさん』のパロディなので、そっちで見て楽しむことも可能だけど。『部屋』に関しては、ちょっと他の3作とは趣が違い、生理的に嫌な気分になる作品。他の作品も決して後味の良い作品ではないのだけど、その締めにこれが来る、という辺りが…。まぁ、この短篇集の最後を飾るには反対に向いているのかも知れないけれど。 | ||||
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いやな気持ちになりたい人にはお勧めです。読後は、児童虐待や残酷な殺人に関するニュースを見たあとのような気持ちになれます。とくに最後の話は、ストーリーもなくただ淡々と残酷な描写をしているだけで、気分が悪くなりました。 | ||||
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もう少し、ミステリー色の強い作品かと思っていましたが、結構エンタティメントの傾向が強かったです。40代、課長、郊外にローンで買った庭付き住宅、子供は受験、といったどこにでもいる背広を着た男の煮えたぎる胸の中が語られます。お父さんのこと、みんなもう少し、やさしく扱ってあげようね、っていうメッセージかな(笑)?特に2番目の「団欒」という作品の主人公は、私たちが良く知っているお父さんです。妻は、変な髪形、お義母さんは、年中和服、お義父さんとは食後の一局、いたずら好きな義弟に、ちょっとまじめな義妹、子供の名前も魚系です。大変らしいです、自分の時間がなくって(>_<)個人的には3個目の「妬」が気に入りましたが。タイトルのひとつ「邪」(よこしま)という音の響きが、なんともいえず、ええですね。 | ||||
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サラリーマンの悲愁が詰ったような一冊。同じような環境の人が読んだら、結構くるものがあるのではないだろうか。ある意味、新堂作品で久々の衝撃を味わいました。 新堂さんお得意のダメ男路線「邪」。 誰もが知っている、ある国民的家族の家に婿養子で入った○○○さんのお話「団欒」。笑いますが根底にあるものを考えると戦慄します。いいのかこんなの書いて(笑)。 一見理解のある父親には見えるが、その実内心の葛藤に苦しむ男が先走る妄想のため崩壊していく悲劇「嫉」 とここまで3篇はタイトル通りの話が展開するのですが、ラストの「部屋」はこの本の趣向に微妙にずれている気がします。読後もかなり滅入るもので「溝鼠」級のダークさです。これは無くても良かったのではと、そういった理由で星4つとしました。 | ||||
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まさに一気にと言う言葉が当てはまるように読めてしまいました。どの作品にも納得出来る心の動きが感じられて妙に現実味ありありの作品群でした。多分自分では感じていないかも知れないが、その時自分の心は「そんな事を考えていたのか!」なんて感じられる部分も多々有るかも知れません。是非読んでみて下さい。引き込まれる様に読めますよ。只、個人的には最後の「部屋」と言う作品だけは、妙に気持ち悪くていただけなかったので星四つにしました。 | ||||
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~新堂冬樹が放つノワール巨編!な~んて売り文句じゃなかった。短編4篇の、しかも主人公はサラリーマンという、新堂作品にとっては変化球。スポットがあたらない登場人物だ。どれもがサラリーマンがきっと心に持っているであるだろう日常の「被害妄想」を、「心の舌打ち」を、「下半身の欲望」を書ききっている。楽しすぎる、愉しすぎるのだ。人の形~~容は新堂の真骨頂、洞察なのか願望なのか非常に軽妙にかかれていて「にや~り」としてしまう。「邪」の悲しきサラリーマン。「団欒」ではどう考えても日曜日の「国民的漫画」のあの人。「嫉」での偏狭的夫。「部屋」での屈折した愛し方、愛され方の救えない悲しさ。題材は我々読者と等身大の男たち(部屋以外)、どんどんと闇が濃くなっていく様が心地よ~~く、まさに快感。短編とはいえひさびさに「ぐっ」ときてしまった。細かい描写と痛々しき文章、どれもこれもが「買い」です。表紙カヴァーをめくるとそこには渦巻く闇があることもスパイスです。~ | ||||
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