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ボトルネック
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ボトルネックの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.59pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全113件 101~113 6/6ページ
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東尋坊でパラレルワールドに迷い込んでしまうという設定。 そのパラレルワールドでは、自宅には、自身であるリョウの代わりにサキという姉が居る。 ここまでは、ファンタジックな内容だが、もう一つの世界でリョウが見聞したものの現実の数々は、、、。 この作品、リョウという一人の人間の存在意義を嫌という程突きつけてくる。 そして、その存在意義は、あまり芳しくないのだ。 これには誰しも深く悩むだろう。 自分なんて、居ない方がマシだ、なんて考えるかも知れない。 それは、自分の分身である姉のサキの思考や行動が、自分に比べて、あまりにも適切だからだ。 最終的にリョウが感じるのは、強烈な劣等感だ。 こんなのは残酷過ぎる。 当初は、内容が面白いので、すらすらと読み進むが、終盤になると、読み進むのが辛くなってくる。 邪魔者は排除すべきという意味の「ボトルネック」というタイトルも辛い。 生きるべきかどうかが問題だという、ハムレットの様な難題に突き当たるが、本書は結論は何ら示さない。 結論を示さないのは、その答えを読者に委ねるという意味だ。 それなら、私がリョウに結論を提示したい。 過酷な体験お疲れ様。これからも自分らしく生きて下さい。 何故なら、人間の最大の仕事は、生きる事なのだから。 | ||||
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高校生の主人公がもう一つの現実世界、パラレルワールドに迷い込んでしまう話です。 そこには主人公の代わりに生まれなかったはずの姉が存在します。二つの世界の差はそれだけ。しかし、積極的に問題を解決しようと努力を続けた姉の世界は元の世界と比べるべくもなく素晴らしい世界になっています。自分の存在意義に苦悩しつつ、姉と共に協力し、主人公は元の世界に帰る術を探ります。 二つの世界の差異を紐解く過程がミステリーになっており、この点においては謎解きも楽しく軽快に読み進めることが出来ます。姉のサキの明るくおせっかいな性格が作品に華を添えていますね。 しかし、主人公に感情移入すると途中から読むのが辛くなっていきます。姉がいるもう一つの世界を知れば知るほど、元の世界と比べて何もかもがうまくいっていることに気づかされ、主人公は圧倒的な無力感に打ちのめされます。 けれど、まったく救いのない作品ではありません。 ラストシーンを終えて本を閉じた後、私は主人公の選択を想像しました。そこには読み手が想像力を羽ばたかせる余地があります。ぜひ、この感覚を味わっていただきたい。 読んでいてもやもやする部分が多々ありますが、読んで損なし、と私は思います。 | ||||
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青春推理の旗手として注目を集める著者の、 なかでも特に苦い内容の作品。 推理小説というよりも人間ドラマとしての性格が強い。 ファンタジーやホラーといった、一風変わったモチーフを用いているが、 あくまでシリアスである。 金沢から東尋坊といったトラベルミステリの要素を含んでおり、 地元民には感慨深いものがある。 また、昔のアメリカ映画「素晴らしき哉!人生」のネガティブバージョンともいえる。 | ||||
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悩みます。 というのも、この本、紹介がとても難しいのです。 普通の意味で「面白い」という本でもないし、「感動的」でも「エキサイティング」でもないし、「胸が暖かくなる」というのとも違うからです。 どちらかといえば、「衝撃的」で、「印象深く」て、「考えさせられるところが多々ある」作品ですが、なにより印象に強く残るのは「異常なまでの後味の悪さ」だという作品です。負のオーラがばりばりに出ている作品です。青春小説のていは取っていますが、中身はなまじの厭世小説よりも心に苦みを植え付けます。 けれど、ある意味傑作なのは間違いがないのです。心に残るのです。 どのようにしてそのあたりのことを伝えたらいいかわからず、実に紹介を書くまでに悶々とした作品です。 彼の他の作品、たとえば「春期限定いちごタルト事件」のような甘酸っぱさはなく、結果的に衝撃が待ち受ける「さよなら妖精」とも違い、後味の悪さや悪意の度合いは、ユーモラスな中にも毒が強かった「犬はどこだ」を遥かに上回るというこの作品。米澤さんの才能を強く感じさせるとともに、読んでてしんどくなる一冊でもありました。 しんどいのに辞められない、どこか惹かれてしまうところがこの作品にはあります。主人公の弱さ、至らなさ、運命の理不尽さに翻弄されざるを得ない状況、悪意の強さ。どれもが味わい深いんです。例えていえば、ちょっとニュアンスは違うんですが太宰治の「人減失格」のような感じでしょうか。 主人公はまだ高校生ですし、パラレルワールドにも行くし、小さなネタをしっかりと回収していく日常の謎系の要素もふんだんにあって、全体の構成物はポップなんですが、できあがった作品はひ軽みの中に苦さが強くがつんと効いています。 なんだかわかったようなわからないようなレビューですが、是非読んでみて欲しい一冊です。 | ||||
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レビューは難しいので感想を。 夢もなく希望もなく救いもない話なのに、強烈に印象に残る。 北村薫さんの凛々しい主人公の小説を読んでそんなに強くなれないよとイラっとくることがある。重松清さんの病気ものを読んでしょせん作り話だとしらけることがある。なのになぜか「ボトルネック」には癒される気がする。サイコホラーのように怖いのに、どこか切実で引き込まれる。 ラストとキイワードのつながりがいまいち理解しきれないこともあり、何度か読み直した。そういう意味でのミステリ(?)としてはわかりづらい。でも、米澤作品の中ではいちばん好き。 この救いのなさがいいのかな。すごく気分に合う。雰囲気としてはB.E.エリスの「レス・ザン・ゼロ」を思い出した。 | ||||
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恋人を失った少年が、自分が生まれなかった世界に迷い込む。そこではじまる間違い探し。自分の生まれた世界との違い、また、その違いの根本的な原因である「ボトルネック」は何なのか。最後まで読んだとき、悲しさがあふれる、自分探しのSF青春小説。 主人公が生まれなかった世界と、主人公の生まれた世界との間違い探し、というアイデアがとてもおもしろい。主人公「リョウ」には、生まれる前に死んでしまった姉「露」がいた(水子)。その「露」という姉が、もう一方の世界では「サキ」として無事に生まれている。その世界には、「リョウ」は存在しない。SF的にいえばいわゆるひとつのパラレルワールドというヤツである。そこで主人公はサキと共に、二つの世界の間違い探しをしながら、冷徹なまでに客観的に自分の生き方を見つめてしまう。そして、自分の生まれた世界で排除しなければならない「ボトルネック」が何か、という疑問の答えを出すのだが。。主人公が出す答えは、とても悲しく、痛ましい。 この主人公、とてもネクラであり、自分に対しての出来事を遠くからみている、という性格。とてつもなく、考え方に共感でき、感情移入しやすいキャラクターであったことも、高評価につながった要因のひとつであるが、さらに大きな要因として、サキというキャラクターの存在がある。天真爛漫でありながら頭の回転が速く、そして、他人を思いやる。あだち充のヒロインキャラ全開のサキに乾杯。 ただ、腑に落ちない点もある。とくに最後の章のサキの言葉。なぜイチョウの木?それの何を思い出すと、彼の決断をよい方向へ導くエピソードってあったっけ??ここに大きなミステリが隠されているような気もする。ボトルネックを排除するってのは、思い出も排除してしまうことに他ならないってことか??わからん。。 ラストの一行。この一行は、(たぶん)叙述トリックなどが隠されているわけではないけれど、かなり衝撃的で、悲しくて、さびしくて。もうこれは笑うしかないよ。鳥肌立ちつつ、笑ったよ、おいらは。結局、彼にとっての「ボトルネック」は周りの環境だったのかもしれない。あと、中盤読みつつ、「元の世界に戻ると、そこにはサキがいて、恋人がいて、自分もいる」という、超幸せエンディングも夢見ていたのだが、見事に裏切られて、なんとなく「エヴァンゲリオン」を思い出したりもしたよ(時事ネタ)。 | ||||
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主人公が高校生であって、この結末は可哀相だなと言うのが、 一番の感想です。 未来のある若者が、人生に希望を持てないのは、 大人世代としては罪悪感すら覚えました。 なぜか自分を除いた以外は、 いままで自分がいた時と同じ設定の世界に飛び込んでしまったリョウ。 生まれるはずのなかった姉・サキと共に、 謎を解明していくのですが。 軽いテンポの会話でストーリーは進んでいくのに、 その内容のなんて重いこと。 どこにも救いがなく、悲しい気持ちで読み終えました。 ただ、生きていくというのはつらいことの連続ですからね。 リョウよりはましだと思えば、生きて行く事ができるのかも。 そう思わないと救われないお話です。 | ||||
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「私なんていてもいなくても同じだ」 自分や他人の存在意義や価値、そんな感じのことを考えたこと誰もが一回はあるんじゃないかと思う。もし心当たりがあるなら是非これを読んで欲しい。 主人公は恋人を弔いにやってきた場所から、別世界へ。 知っている町並みだけど違和感がある。 そこは主人公が産まれなかった世界。 代わりに「産まれてこなかった姉」が生きている世界。 違うのはそれだけ。 そして主人公がいた世界と主人公が生まれなかった世界の「間違い探し」をしていくうちにあることに気付く……というストーリー。 恋愛や青春、謎が絡まっている物語ですが、 ボトルネックは速やかに排除しなければならない ただ、その言葉が残酷に残ります。 | ||||
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比較的ハッピーな学生時代を過ごしてきた僕には、この主人公の暗さは新鮮だった。 毎日が刺激的で楽しかった僕の周りでも、こういった立場・精神状態の級友はいたのだろう、人生半ばに達して、ようやくそのことが解り始めた。 そうした時に読んだこの小説は、水が真綿を吸収するように僕の心に入り込んできた。読み終えてすぐに、もう一度読んでしまった。 読んでいて思い浮かぶ光景は、全て鉛色の暗雲の下。全編を流れるモノトーンなムードに、「若さ」や「ささやかな恋愛感情」が ほんの少しのカラーを添えて、登場人物がそれなりに生き生きと描かれている。 | ||||
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受け入れるだけでなく、事態を打開しようと 考えて行動することの大切さを 教えてくれる作品だと思います。 私たちにはこの本の主人公のように 自分の行動がどれほど周りに影響を及ぼしているか 知る術はないけれど、それを少しでも良い方向に 向かわせるための機能が人間には備わっています。 それが想像力だってこともこの本は教えてくれていると 思います。 | ||||
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自分の代わりに、流産で生れなかったはずの〈姉〉が存在する〈もう一つのセカイ〉に迷い込んだ青年の物語。 自分よりも、あらゆる面で優れた〈姉〉が存在し、何もかも、もとの世界よりもうまくいっている〈セカイ〉―。 本作の主人公は、徹底的に己の無力さを突きつけられ、自分こそ世界に不要だったのではないか、と考えてしまいます。 こうした青臭い認識や、思春期にありがちな自虐的な自己陶酔に抵抗を覚える人もあるかとは思います。 しかし、やはりこの年頃にとっては切実な問題であり、誰もが一度は経験する普遍的な感情であるというのも紛れもない事実です。 ラストシーン。 主人公は明快な「答え」を手に入れたわけではなく、ようやくスタートラインに立てた、という段階です。 ここから、どちらの道に進むかは自分次第でしょう。 ただ私としては、〈自分が損ねた世界〉も〈情けない自分〉も、痛みも含めて受け入れ、肯定してもらえたら、とは思います。 むろん、言うは易し、ですが。 ▼付記 本作の主人公・リョウと〈姉〉のサキのやり取りを読んでいると、 西尾維新氏の〈戯言シリーズ〉に登場するいーちゃんと哀川潤を思い出しました。 後に、著者である米澤穂信氏が『ユリイカ』での対談で、本作においては、 〈(思春期における全能感の裏返しとしての)無能感の化け物〉を書きたかった、と語っているのを見て、 なるほど、似てて当然、と納得した次第です。 | ||||
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好き嫌いが分かれる作品かなと思います。 著者の作品に「犬はどこだ」、「さよなら妖精」、「小市民シリーズ」、「古典部シリーズ」などがあげられますが('07年6月現在)、 文章自体のあくはそこまで強くなくても、淡々と描かれる物語は、破滅への道です。 どうしようもなく、抗いようもないほどの、そうとしかならない終わりではあります。 「間違い探し」がこれほど残酷に響く作品も珍しい。 希望なんて一片もない、だけどないとは言い切れない世界です。 たった一言の言葉にあれだけ悩んで、考えて、出された「答え」が最後のページにありました。 | ||||
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ミステリー色はほとんどありませんが、あらゆる意味で衝撃を受けた作品でした。青春小説というイメージにある爽やかさは微塵もありません。語り手である「僕」が、自分が生きてきた世界とは別の世界に対面し、手に入れた真実…。そしてタイトル「ボトルネック」の意味。「もしも」の世界がこれほどまでに残酷だとは思いませんでした。息の詰まる、クライマックスには注目です。 | ||||
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