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ボトルネック



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【この小説が収録されている参考書籍】
ボトルネック

ボトルネックの評価: 3.59/5点 レビュー 185件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.59pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全113件 81~100 5/6ページ
No.33:
(4pt)

青春ファンタジー

出だしから引き込まれる文章。
終盤まで一気に展開していく世界感。
ラストは読み手の想像力を掻き立てる。

ややタイトルがピントはずれな気がするのと
ミステリーに範疇されてしまうのは違う気がすることが
星が減った理由だが、内容は好きだ。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.32:
(4pt)

最後に課題が突き付けられます

誰でも時折考えますよね、「ここに俺がいなくて別のやつがいたら、この集団や世界はどうなっていたのだろう・・」って。それを突き詰めていった作品です。そして、最後に難しい課題を突き付けてきます。あっさりしたミステリーかと思って読み始めましたが、最後はいろいろと考えさせられました。文章も簡潔で、展開も比較的早く、飽きを感じさせません。★は4つですが、非常に中身が濃く、良い作品だと思います。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.31:
(4pt)

ミステリというよりはジュブナイル

米澤穂信さんの作品ということでミステリに分類されているようですが、どちらかと言えば眉村卓さんとかのジュブナイルSFの流れをくむ作品だと思います。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.30:
(4pt)

もの凄く救いのある小説です

救いのない話と解釈している方が多いようですが、これってラストシーンで全てが救われる話じゃないかなぁ。
「何でもなくなれば、無敵になれる」と思っていたけれど、サキによって実はそうじゃなかったことに気付かされた主人公。
その結果、『自分は「何でもない」こと以下の「ボトルネック」でしかない』とウジウジ思い悩むわけですが、ラストシーンで、自分にも存在意義があることに気づいた、と私は解釈しました。
想像力を働かせてみると(笑)、少なくともフミカにとっては、絶望に打ちひしがれるリョウは、ボトルネックどころか、ヨダレが出るほどオイシイ存在なわけですしね。
帰るべき場所に帰ったリョウは、「何でもなくなること」を捨て、姉直伝の想像力を駆使して、強く生きてくれることでしょう。
ある意味、もう独りじゃないんだし。
サキが運転するスクーターの後ろに乗った時に、しがみついた背中の温もりを、リョウが忘れるとも思えません。
過剰すぎる主人公の内面描写に少し辟易したのと、薄っぺらい情景描写が残念だったので、★1個マイナスです。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.29:
(4pt)

自分がいない世界

米澤さんの小説をこの小説で初めて読みました。分量もそれほど多くなく、内容も面白くて、一気に読み上げてしまいました。
自分が存在する世界。
自分が存在せず、生まれるはずがなかった姉が存在する世界。
この両者には、自分という存在の有無で回りの友人や家族などに影響を与え、その違いが明瞭にあらわれてくる。そして、自分が存在しないことにより、回りの状況が良くなっているとしたら、自分は一体、何をしていたのか。自分の存在価値が全くなくなってしまう。
主人公が不器用なりにも、必死に生きてきた青春時代を思い浮かべることができました。
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4103014717
No.28:
(5pt)

不思議な感じ

にわか米澤ファンです。
40男にもなって若い男子が主人公の
本を読むのも、それ自体、かなり感慨深いものがあり、
おれが二十歳の頃はこんなにいろんなこと考えてたっけ?
なんてそんなことが結構気になっちゃった面はありますが、
ちょっと不思議な感じが残る本でした。
登場人物は個性的で、会話もおもしろい。
でもテーマは軽くない、と言ったらもう月並みな感想
そのものですが、一回読んだくらいだとちょっと
分からないのかなって思わせられた結論でした。
1年くらいほかの本をたくさん読んだら、また読もうと思って
(そして奥さんにも読んでもらって一緒に話をしようと思って)
よく見えるところにおいています。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.27:
(4pt)

好き嫌い分かれる、若さゆえの痛みを感じる作品

『2010年このミステリーがすごい!』で第一位、しかも作家推薦で。
 期待通り、というわけではなくいい意味で肩透かしを食らいました。
 まず、これを読む方はハッピーエンドを望んではいけないと思います。
 ダークに終わります。若さゆえの抑圧された痛みや無常観が満載です。
 しかし、この物語のタイトル、ボトルネックの意味が分かると、物語の意味がはっきり浮かび上がってきます。
 自分が生まれなかった世界で起きている事柄と、自分のいた世界を比較するにつれて、主人公の存在がどういうモノだったのかと理解していく様が、非常に痛烈でいたたまれない。
 私だったら耐えられませんね……。
 この本の8割ほどがラストシーンの伏線だったりするので、尚更ラストの衝撃は大きかったです。
 ただ、中途半端な伏線回収があったり(某カメラ少女の件)、正直居てもいなくてもいいような登場人物(兄)などで冷めてしまったのが残念だと思います。
 故に、★ひとつ差し引いて★4つとします。
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4103014717
No.26:
(4pt)

苦い

苦い……一言で感想を言うならそれに尽きる。
両親の仲は冷え切っていて、
そりの合わない兄は交通事故で植物状態になっており、
事故で死んでしまった恋人を弔おうとすると、兄が死んだと間の悪い電話がかかってくる
東尋坊で主人公は誘われるように断崖から転落し、金沢の街で目を覚ます。
自宅に帰ると、見知らぬ「姉」がいて、自分自身の存在はなく、そしてその世界は自身が知っている世界とは微妙に異なっている。
パラレルワールド、日常の謎という体裁を取りながら、描いた物語はとにかく「苦い」。
自分自身の存在価値、人が生きると言うこと、他者と関わると言うことをさらっと読ませて、ぐさっと胸に突き刺す。
ラストに届くメールの一文まで、主人公にだめ押しをして、突き放すようにして物語が終わる。
そんな終わり方にも関わらず、いや、このラストしかないんやと思わせる文章力は秀逸。
学生時代、特に自分自身に意味のない自身を見つける前に読んでいたらトラウマになってしまったかもしれない。
でも、読んだら読んだで深く考えたかも。
ミステリという枠にくくることができない「考えさせる」……違う、「考えろ!」の小説。
衝撃でした。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.25:
(5pt)

雲に覆われている世界

僕は今まで、今時の学生にしては本を沢山読んできたつもりである。 重松清、東野圭吾、高見広春、あさのあつこ、恩田陸、スティーブン・キング、湊かなえ、三崎亜記(誤字脱字あるかもです)・・・・
この作品は、今挙げてきたどの作家の作品を読んでも感じなかったことである。 
物語が終始暗い小説は珍しくない。最近でいうと湊かなえの「告白」などがそうだろう。 でも、この作品はまったく違う。 ラストは、これもまたお決まりの読者判断。 でも、なんか違う。 バッドエンドにも取れるし、無理矢理、主人公のこれからを明るく考えることだってできるかもしれない。 
でも、なんか全体を通して、そう、作中の金沢の街みたいに「雲に覆われている」のである。 暗いと簡単にすませてはいけないような雰囲気がある。 どこか三崎亜記を思わす。 まったく別物だが。
そしてあれだけ多くの問題を残して終わる作品も多くないのではないか。 最後のツユの声(あれは・・・主人公の幻聴だろうか?)の意味、最後メールの送り主(大体察しはつくが)、そしてなぜ主人公はあっちに行き、また戻されたのだろうか? ノゾミの呪い? だとしたら残酷すぎやしないか。 まぁ僕の想像力は乏しいのでwww
登場人物の名前にも一人一人意味があるところも見所である。 いや、この小説は文字一つ一つに何か意味があるかもしれない。 もう一度注意して読みたいところである。
そして残酷すぎる題。
自分の生きている意味を問われるようで。。
僕はこの作家を、今まで知らなかった。 たまたま書店で、「このミステリーがすごい!2010年度第一位!」と記載があったので興味を持ったのだ。
今回の作品で、著者はすごい実力を持っていることがわかった。 今後の動向に期待したい。 ぜひ一読を。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.24:
(4pt)

痛々しささえ感じる青春の光景

もし自分とは違う人間がいたら世界は・・・?というifモノ.
主人公が中学生という年齢設定,死産したはずの姉という最小限の仕掛けから
起こる変化はあまりスケールが大きくない.
中学生・高校生の世界観を計算しているのかもしれない.
姉の存在によって主人公が大切にしていたもののが残っている世界.
その変化が自分と姉の違いによってもたらされているという事実.
自分にできなかったことをやってのける人間の存在は
自分の無力さを否応なく実感させる.
なによりも大事だと思っていたものすらも幻想にすぎなかったというのは
中学生が受け止めるには重すぎる現実である.
無謬だった未来がだんだん小さくなっていくのは成長のプロセスとも言えるが,
あまりにも残酷な青春の光景である.
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.23:
(5pt)

引き込まれ具合がGood!

初めて米澤作品を読ませていただきました。
率直な感想は、読みやすさと引き込まれ具合がちょうどいいと言った感じです。
この作品に関して言えば、途中青春小説を読んでいるようなワクワク感とドキドキ感も得られました。
作品自体は青春ものではまったくありませんけんどね。
誰でも一度は考える「生きがい」「自分の存在意義」ということを自分以外の人間だったらという点でミステリアスに書いています。
ただ、最後が2択を読者に選ばせる終わり方なので、あまり僕の好きな終わり方ではなかったのが残念です。
僕がどちらを想像したかは語りませんが、
タイトルの「ボトルネック」とはこの作品では排除すべきものとして捉えられていますが、
僕はボトルネックとはどうテコ入れして解消するかという課題だと思っているので、違う終わり方を期待してしまいました。
また、「生きたくない」という言葉で現実世界にもどるところが絶妙。
誰??どういう意味??と読み終わった後でも想像が膨らみます。
と言うことで、読んで損はしない面白い作品だと思います。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.22:
(5pt)

読後感は、なんとも・・・・・・

本屋で宣伝されていたからふと買った作品。あらすじはどこかキナくさい。
しかし、私の胸には確かにずんと重く、重く響くものがありました。正直、暇つぶしのつもりで購入した自分を恥じています……。
読み始め、あなたはこう思うかもしれません。「これは、ライトノベルに属するものではないか?」
しかし、この物語、ちらほらと暗い影が落ちていて、なかなか一筋縄ではいかないものになっています。(キャラや作風がそれに近かったので例に挙げましたが、ライトノベルを否定する意味合いはありません)
サクサクとした書き口にカタルシスのある謎解き、主人公のジレンマなど妙に“くせになる”感じです。
キャラとしては、私は特にサキが気に入りましたね。活発ながら憎めない。少し超人然としてしまったところはありますが、ヒロインとして申し分なかったと思います。
そして、この作品を最も象徴し、私の評価をどんと上げたのがラストの破壊力でしたね。
思わず、本を閉じて、うーんと唸ってしまいました。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.21:
(5pt)

悪夢のごときパラレルワールド

いわゆるパラレルワールド系のお話です。“if”の世界で自分のいるべき場所にいる人物との出会いと、それが自分でないことによる世界の変容をテーマにしています。話の中では“間違い探し”と表現されていますね。
この小説はあまり中盤くらいまでは強いドラマ性はないし、鬱々として話はなかなか進行しません。しかし、全体の雰囲気として完成度は高く、読ませます。では、何がよいのか。
娯楽小説では大抵の場合、大きな謎があったりどんでん返しや衝撃の結末というものが用意されています。しかし、小説はそれだけではありません。一見して無意味な経過や何気ない出来事が大きな意味を持ったり、深い余韻を残すことがあります。この小説がまさにそれにあたります。なので、本を読むときに単純にストーリーのみを追うタイプの人や、どんでん返しを楽しみたい向きの方にはあまりお勧めできません。まあ、ドラマチックでもありませんしね。読む人を選ぶというのは否定しません。
しかしながら、小説としては大変面白い。
だからこそ面白い話もあるのだ、ということを感じさせる傑作だと私は感じました。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.20:
(5pt)

自己投影する結末

この作品のラストを読んで感じることは、読者それぞれの自己投影にようなものだと思います。感じたことはあなた自身。この作品の読了は、以後の人生をこの作品からの問いかけと共に生きることの始まり。主人公の独白は衝撃的でした。
『ボトルネック』、未読の方は覚悟して読まれてください。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.19:
(4pt)

鮮明な印象(ネタバレ)

非常に読後感が悪いというのが第一印象。なんて救いのない、しんどい話なんだろうと思い、暗い気分になりました。しかし考えさせられる話です。自分がいない、自分の変わりに優秀な姉のいる世界。自分がいるときよりもはるかにいい状況になっている世界。「ボトルネック」という非常に暗示的なキーワードに主人公もそして読者も主人公が取り巻く環境の障害になっているのは自分だと思い込むけれど、ほんとうにそうなのでしょうか?そもそも自分が障害になったかは自分がいない、優秀な姉もいない世界と自分がいる世界を比較したときにしかわからないのではないか?そして最後の母のメール。この一文を読んだ主人公はどのような気持ちになりどんな行動をおこしたか。救いのない結果になったのか。私は否だと思いました。本当に必要のない人間にメールを送るでしょうか。姉のいる世界で「想像力」を身につけた主人公がその事実に気づいたと思いたいです。死ねば自分のしたことはそこで幕を閉じ物語は終わるが、生きていればいつか一発逆転だって可能。そこで姉がいる世界以上の世界をつくることだってできるかもしれないと彼が気づいてくれれば…。そんな蛇足を想像してしまうほど、余白を楽しむことのできるある意味秀逸な小説ではないかと思います。このミスに選ばれた小説は向日葵の咲かない夏といい、禁断のパンダといい最後の後味が異様に悪いと思いましたが、これはよい小説でした。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.18:
(4pt)

「意外な結末」

米沢穂信さんの本は、「春季限定いちごタルト事件」を初めて読み、何も考えずに楽しめるタイプの作家さんなのかな、と考えていました。
しかし、この作品を読んでみて、結構考えてしまいました。
あの人が好き、あの人が嫌い。そんな誰もが抱く当然の感情に、些細な疑問がわいてきます。
それは、「好きな人と嫌いな人は正反対だ」ということへの疑問です。もちろん、僕たちが好意を抱く相手と、軽蔑する相手は全く正反対の特徴を持っています。
でも、実際にはその人達の中に、自己愛や、自己否定や自己欺瞞を見ている。
人間関係は「コンプレックスの投影」とか「自分の鏡像を愛していただけ」とか、それだけで表せるものではないでしょうが、なんとなく普段なんの違和感も無く抱いていた感情に「え?」と疑問を抱かされてしまう。
何より、この作家さんの凄い所は、そんな重いテーマをライトノベルかと見間違うような文章の中に落としこんでいる部分だと思いました。
まわりクドイ説明的な文章ではなく、登場人物の「似てるから」という一言で、主人公や周りの人たちに対する認識や、愛のカタチまで変わっていく。
こんな「意外な結末」もあるんだなと思いました。
流行作家で、スラスラ読めるのに、心に何か残してくれる。他の作品も読んでみたく思います。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.17:
(4pt)

別の世界で「姉」に出会うというアイデアが秀逸

今生きている世界と少しだけ違うパラレル・ワールドに迷い込む、というストーリーはめずらしくありませんが、この小説ではそこで自分の世界で存在していなかった「姉」に出会ってしまうというところがとても新鮮でした。
この「姉」サキが、とても魅力的に描かれていて、主人公リョウとのかけあいには甘酸っぱいものを感じました。
ただ、終盤になっていろいろなことがわかってくるにつれて、リョウの劣等意識がだんだん前面にでてきてつらい感じになってきます。
最後は‥‥うーん。
なんとなく映画『バック・トゥー・ザ・フューチャー』を思い出しました。であれば、今度はサキがやってきて、こっちの世界まで変えちゃうとか、そんな能天気な続編を読みたいですね。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.16:
(5pt)

思春期の男の子が痛ましい思いをする話

パラレルワールドもの!?
思春期の男の子が痛ましい思いをする話
程度の差はあるが米澤氏の作品にはこの手のものが多い!?
未熟であること罪なのか
悪意をもって人を傷つけることに比べたら、仮に罪だとしても非常に軽い罪ではないのか
それに対して、この罰はひどいくないか
失望の末の死か、絶望しながらの生かの選択
主人公は弱い立場の人間だ
弱者にムチ打つラストだった
主人公は何もしなかったことで、危機(ノゾミの死)に気付かなかった
これって罪か
しかも、積極的に行動したサキというキャラは主人公に絶望をもたらした
じゃあ、どうしたらいいの???
過程より結果が全てということか
現在の日本の閉塞感がよく現れている作品
元の世界で、ノゾミは主人公を恨んでないと思う
ノゾミが死なない可能性(世界)はあった
しかし、元の世界のノゾミはそれを知らない
ノゾミの怨念が主人公を別の世界に送り込み、罰をあたえたとは思えない
では、誰が、なぜ、主人公を別の世界へ送り込んだのか???
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.15:
(5pt)

軽快なのに重厚

文章や設定などはとても軽快でライトノベルのようにサクサク読めます。
多少SFチックだったり、登場人物が都合良く動きすぎているところはご愛嬌だと思いますが、
本作の要点はそんなところではなく、残酷なまでに突きつけられた「もしも」の話が核です。
この「if」をアクロバティックな方法で描ききっています。
バタフライエフェクトに関する考察も特殊ながらとても興味深い。
想像力を広げていくとここまで出来るのかという深い作品です。
救いがなく、救いの残るラストはとても好きです。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.14:
(5pt)

とんちんかんなレヴュー

 この小説から強いてメッセージ性を引き出すとすれば、それは、逃げるな! ということだろうか。
 主人公リョウによって、物語は語られる。このリョウ、という男、あまりに私に似ている。
……足元を見て首を引っ込めていれば大抵の嵐はやり過ごせるというのに、想像力がなんだというのか。
 リョウは、想像力を働かせるのが苦手だ。私もまた。
この三日間で、ぼくは考えを放棄することを学んだ。ぼくが何を考えても、結局はどこにも行きつかない。なら、教えてもらうのがいい。導いてもらうのが楽だ。
 この二十何年間、私は「考えを放棄」し続けてきた。私が「何を考えても、結局はどこにも行きつかない。なら、教えてもらうのがいい。導いてもらうのが楽だ」。黙っていれば、誰かが助け舟を出してくれる。何もしなくても、誰かが横から助けてくれる。
ぼくも、ぼくなりに生きていた。別にいい加減に生きてるつもりはなかった。しかし、何もしなかったことが、こうも何もかもを取り返しがつかなくするなんて。
 私も、私「なりに生きていた。別にいい加減に生きてるつもりはなかった。しかし、何もしなかったこと」で、自分ひとりでは何も考えられない、決められない、行動できない、どうしようもない男になってしまった。私はいつもそれを、環境のせいにしていた。逃げていた。逃げずに生きること。現在と未来とを侵食してくる過去と、現在のなかで、目をそらさずに闘うこと。それが私に必要なことなのかもしれない。
 ミステリ小説らしい、不気味なかしょを紹介する。まずは、黒猫。
猫を見つけた。毛並みの美しい、黒い猫。ぼくと目が合うと、なぜか少し近寄ってくる。その猫の、美しい緑色の目に、ぼくは一瞬惹きつけられた。が、黒猫は退屈そうな鳴き声を上げると、ぷいとそっぽを向いた。まあ、好かれるとは思っていなかった。
 〈美しい緑色の目〉は、別のかたちで繰り返される。どう繰り返されるのか、それは、本書を手にとってご確認のほどを。
 つぎは、子供。
子供がふと顔を上げた。ぼくと目が合う。/にこりと子供が笑った。……途端、ぼくはものすごい違和感を感じた。その子の表情が妙に分別くさく、年不相応な、似つかわしくないものに感じられたからだ。
 さらに、この子は女性に、「川守! もう、汽車が来るよ!」と呼びかけられている。「川守」は苗字であって、名前ではなかろう。大人が子供を呼ぶとき、こんな呼び方をするものだろうか? この子はいったい、なんなのか。黒猫が化けたのか。あるいは、黒猫さえ、なにかが化けた、かりそめの姿なのだろうか。「川守」とは、川における渡し守か? とすれば、どんな川の渡し守か? 三途の川か? いずれにせよ、ただならぬ雰囲気を醸し出している。
伏線という視点では、序章の密度が特筆に価する。(村上貴史氏による「解説――次の一歩を」より)
 私が見事だと思った伏線を紹介する。
白い花を投げ込む。/しかしびょうと吹いた海風に、小さな花は押し戻され、投げたぼくの足元にはらりと落ちた。本当に風が強い。
 これは、私のカンであるが、この小説が訴えかけてくるものは、私たちが潜在的に感じていること、考えていることなどと、目をそらさずに向き合え、想像しろ、答えは自分のうちにあるぞ、という叱咤激励であるような気がする。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717

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