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悪い男



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【この小説が収録されている参考書籍】
悪い男

悪い男の評価: 4.22/5点 レビュー 9件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.22pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(5pt)

面白かった!

社会的もどかしさを実感させられる内容でとても考えさせていただきました。今回はエリンボルク主演だったので、お料理の味わいや匂いも感じれました。いつも面白いけど今回のもとても面白かったです
悪い男Amazon書評・レビュー:悪い男より
4488011314
No.8:
(4pt)

怒りとともに、もの悲しい情緒を感じる

地元新聞の書評がよかったので読んでみた。
私は本シリーズ(既に7作目)は初めてだったが、内容は独立しており何ら差し支えることはなかった。
本来の主人公は登場せず、脇役の女性捜査官エリンボルクが主人公だ。私の好きな派手なアクションやドンパチはないが、十分いい内容だ。……ネタバレになるかどうかわからないが、犯人を悪人と見立てることはできない。怒りとともにもの悲しさを感じた。事件解決後のことは描かれていないが、何らかの恩赦があればいいとさえ思ってしまった。
―ーただ、エリンボルクの家庭事情云々はこんなにいらない。今回の主人公は女性なので価値観や重きがそこにあると考えてのことなのだろうけど、事件とはほぼ無関係だ。シリーズものなので、ここで述べている内容がまたどこかでつながるのかもしれないが、もう少し少なくてもいいと思う。

私は元々北欧小説はハイレベルで好きなのだが、本シリーズも評価が高いようだ。遅ればせながら遡って1作目から読んでみることにした。
悪い男Amazon書評・レビュー:悪い男より
4488011314
No.7:
(5pt)

地道な捜査手法がかえって新鮮にみえる

「エーレンデュル捜査官シリーズ」といっても、今回はエーレンデュルは不在で、しかも休暇で行方知れず、同居人からも2週間連絡が取れない状態という奇妙な設定である(警察官が行方不明というの事件のはずなのだが、今後の伏線なのか?)。
そこで、今回は同僚の女性刑事エリンボルクが主人公となっているが、エリンボルクはエーレンデュルを「古い時代にしがみついている人間」と考えている。
とはいえ、本書でエリンボルクが展開する捜査はまったく昔ながらの地道な捜査である。多数の関係者から何度も事情聴取し、被害者の生い立ちをたどり、被疑者を張り込む。極めつけは現場に残された遺留品の匂いからタンドリー料理の愛好者をたどるところだ。最近の刑事小説でおなじみのDNA鑑定も監視カメラもプロファイリングもほとんど登場せず、地道な捜査に徹するところがかえって新鮮である。
北欧社会派ミステリーのテーマとしては、レイプ被害者の心理を詳しく描いていることで、時間がたっても被害感情が薄れるどころかかえってトラウマがひどくなり、追い込まれていく心理がよくわかる。「セックスをしたのではなくレイプされた」という被害者の叫びが印象的だ。
ちなみに、レイプドラッグで意識不明の相手に性交等をする犯罪は、日本ではかつて「準強姦罪」、「準強制性交罪」とされたが、近年の法改正で「不同意性交罪」の一類型となった。しかし、「セックスではなくレイプ」という観点から言えば、「不同意性交罪」という罪名にも疑義が残るところだ。

なお、刑事の家庭生活が詳しく描かれるのもおなじみだが、男性刑事の場合は妻や恋人との関係の悩みが多いのに対し、今回の女性刑事については子どもとの葛藤が描かれるのがジェンダーの相違のようで興味深い。
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4488011314
No.6:
(1pt)

右肩下がりのシリーズ

1作目「湿地」、2作目「緑衣の女」は大変面白かった、3作目「声」もまあまあ、その後は段々つまらなくなり、この作品が最悪。ストーリーに無理があるし、脇役の家庭事情なんてどうでもいい。自作も脇役の話みたいだけど、早く主役を出してくれ。
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4488011314
No.5:
(5pt)

エリンボルクでなくてはならない

毎年たくさんのミステリーを読み、今年もすでにたくさん読んでいるのに、このシリーズは別格。日曜日、読み始めたら、他のことは何もできなかった。スピンオフかと懸念したが大間違い。

何が素晴らしいのか説明したいが、説明は難しい。他の方が、上手に書いていらっしゃる。ただ、すべきことが何もできなかった日曜日は幸せでした。読んでください。ミステリー好きの方も、子育てに悩む方も。
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4488011314
No.4:
(5pt)

貴重なエリンボルク主役! 作者の愛情がたっぷり込められて女性刑事の個性も楽しめる作品である。

『湿地』以来、いずれも高水準を保っているこのアイスランド・ミステリーは『エーレンデュル捜査官シリーズ』として出版社より紹介されてきたが、本書では当のエーレンデュル主任警部が不在というシチュエーションで女性刑事エリンボルクが初の主演を果たす。時に助け役なのか邪魔する役なのか判断が難しいかたちで三人目の刑事シグルデュル=オーリが登場するが、こちらも友情出演程度の顔出し。本書は、一作を通じてあくまでエーレンデュルを主役とした作品なのだ。

 序章にして既にトリッキーである。まず女性にデートドラッグを飲ませレイプするという目的を持つ病的な犯罪者が一軒のバーで獲物を狙うシーンから本書はスタートする。続いて死体発見現場で本書のストーリーは正式発動されるのだが、思いに反して被害者はレイプされた女性ではなくデイトドラッグを仕掛けたほうの犯罪者の方であり、彼は自分の住むアパートの部屋で喉を掻き切られるという無残な姿で死んでいた。

 アイルスランドという、北極圏に近くフィヨルド地形が目立つような小さな国。人口は30万ととても少なく、しかもその大半がレイキャビックに集まっているという。この小さな国で世界の言語に翻訳されている作家と言えば本シリーズの原作者の他にラグナル・ヨナソンで、ぼくはこちらの作家も日本語翻訳作品は全読して注目しているのだが、こちらはアイスランド北部にあるシグルフィヨルズルという田舎町の警察署に所属する若き警官アリ=ソウルを主としたシリーズ。ヨナソンでは女刑事フルダのシリーズ三部作が立て続けに翻訳されその衝撃的内容に震えたものである。

 アイスランド・ミステリーに何よりも注目を集めたのが本エーレンデュルのシリーズで初邦訳された『湿地』であり、その後も主人公が抱えている過去(雪山で見失って以来行方のわからないままの弟、という未解決な事件)のトラウマは、執拗にシリーズに影を落とし続ける。さらにその事故、あるいは事件の真相究明にのために、エーレンデュルはレイキャビックから毎年決まって姿を消してしまう。

 本書でもエーレンデュルが不在であるわけはおそらく雪山の事故を思い出し真実に辿り着くための旅なのだと思う。なので本書では主人公をエリンボルクが務め、日頃あまり語られなかった彼女の私生活の描写が随所に語られつつ、彼女が執拗に本書の事件究明に携わる姿のどこかに、改めてエリンボルクという女性の大切にしているものが明確になってゆく。ちなみに料理へのこだわりが強く料理本を出版までしていることは過去作にも書かれていたたが、その辺りの拘りは本書でも頻出、刑事というよりも女性という側面を主体に男性作家によって書かれた作品である、という捩れのようなものも面白い。

 また真相に辿り着くための執念、そしてたった独りの捜査を通じて知り合ってゆく関係者たちとの接し方も通常捜査というよりは、より個人的な被害者である<悪い男>への怒りと殺害者への情さえ感じ取れてしまう辺りが通常のミステリと完全に逆転していて面白い。おそらくこの作品にしか登場しないキャラクターたちも、皆どこか魅力的でしっとりした情景描写に、いつもながらのインドリダソン作品のディープな味わいを感じてしまう。

 次作は同じ時期(つまり真の主人公であるエーレンデュル不在時)のシグルデュル=オーリを主人公にしたものだそうである。87分署みたいに人数はいないけれど日替わり主人公のような楽しみまで加わってきた本シリーズの今後、そして何よりもいずれ明らかになるであろうエーレンデュルの行方知れずの弟の行方という解に辿り着くまで本書は読み続けてゆかねばならない。その意味でも順に辿って全作を読んでゆきたいシリーズなのである。
悪い男Amazon書評・レビュー:悪い男より
4488011314
No.3:
(3pt)

普通です

評価が高かったので購入しました
読みやすいとは思いますが内容はつまらなかったので残念です
悪い男Amazon書評・レビュー:悪い男より
4488011314
No.2:
(5pt)

女性への暴力を断固として許さない態度

待望の新刊。今作も凄いページターナーぶりで、一日半で読み終えてしまいました。
今回はエーレンデュルが不在のため、エリンボルクが捜査責任者として殺人事件の捜査を行います。

レイキャビクのアパートで発見された喉を切り裂かれた男。その男はバーで出会った女性に睡眠導入剤入りの酒を飲ませて意識を失わせ乱暴する外道。
現場に残されたスカーフの匂い、近隣の住民が目撃した片足を引きずる男、殺された男が生まれ育った小さな漁村、ドラッグの売人など、わずかな手がかりを頼りに捜査を進めていきます。

刑事モノでよくあるアリバイトリック、犯人との激しい格闘などは今作でもありませんし
プロットには偶然に頼った強引さも感じないわけではありませんが、
事件の背後に存る、登場人物らにまつわる数々の陰鬱かつ不愉快な秘密が
氷が解けていくように少しずつ露わになっていくので、ページをめくる手が止められません。

クライマックスでの或る人物のセリフに、女性への暴力を断固として憎む作者の態度が凝集されているように
感じました。またその一方で"悪い男"に尊厳を蹂躙された女性らの内面をグロテスクなまでに克明に描ききることで、
暴力を受けた女性に憑依して苦悩と怒りを我ごととして感じようとしているように思えます。

サイドストーリーとしてエリンボルクの家庭事情と過去が描かれます。ややこしい時期の子供たちと衝突しながらも互いに向き合っていく模様が、陰惨な事件のちょうど良い緩衝材になっています。
血の海となった殺人現場を見た後、家で血の滴る牛肉を料理する?無理ですね(笑)
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4488011314
No.1:
(5pt)

夥しい数の暴力に満ちた世界に怯まず、恐れず、後ずさりすることなく生きて欲しい

「印」を読んだのは、2022/5月。本作は、<エーレンデュル捜査官>シリーズの七作目。しかし、最後までエーレンデュルはその姿を現すことがありません。今回は今まで脇役だった女性警察官、エリンボルクが主人公です。
 舞台はレイキャヴィク。プロローグがあって、その後中心街のアパートで半裸の男が首を刃物で切りつけられ失血死した状態で発見されます。男の口からは押し込まれた大量のレイプドラッグ、ロヒプノールが見つかります。他に殺人現場には、男が着ていた女ものの"San Francisco"のロゴ入りTシャツ、床に落ちていたスカーフ、そしてそのスカーフにはタンドーリの香辛料の匂いが残されていました。エリンボルクはそれらの証拠物の源を追って、辛抱強く捜査を重ねて行きます。"源にふれろ"。
 殺された男の名は、電気通信会社に勤めるルノルフル。エリンボルクは地方に住むルノルフルの母親を訪ね、ルノルフルが義務教育を終えた後村を出たことを知らされます。
 スリラーですから今回もまた私が書けるのはここまででしょうね(笑)。ストーリーを語ることは常に困難を伴います。特に今回はうねりながら物語が進行し、(ページを捲る手が止まらないことに加え)強いサスペンスが全体を覆い尽くしていますのでその"ときめき"を分断させるわけにはいきません。果たしてルノルフルは誰に殺害されたのか?何故?パズラーとしても多くの伏線が散りばめられ、煌きながら回収されています。
 特筆すべきは、事件と並行してエリンボルクとその家族のドメスティックな成り立ちと現在がじっくりと描写されていることにあります。そこに"アイスランド"の現実が噛み砕かれるように反映され、かなり読ませます。また、ただ読ませるだけではなく、エリンボルクが反抗期の最中にいるエリンボルクの長男、ヴァルソルとの軋轢を背負いながらも年若い長女、テオドーラの「包容力」に癒されるシーンの何と美しいことか。
 そして、この世界に於いて、アイスランドの土地で、この東洋の島国(日本)でも最も注目を浴びるアクチュアルなテーマを取り上げながら、その深い哀しみとそれでもなお力強く生きること、決して踏みにじられることのない個の尊厳を怯むことのないメッセージとしてアーナルデュル・インドリダソンは訴えかけているように思えます。
 エリンボルクの娘、テオドーラは「あたしがこれから生きる世界は、いったいどんなところなの?」(381p)と問いかけます。
 いたるところで止むことなく戦争が起こり、夥しい数の暴力に満ちた世界が待っています。恐れることはありません。大きなお世話かとは思いますが、貴方の母親のように後ずさりすることなく生きて欲しいと願っています。
 □「悪い男 エーレンデュル捜査官シリーズ」(アーナルデュル・インドリダソン 東京創元社) 2024/1/20。
悪い男Amazon書評・レビュー:悪い男より
4488011314

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